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私はドアをノックしてシャーベットの部屋に入った。
「少しよろしいかしら、シャーベット様」
「ええ。構わなくってよ」
まるで女主人のように振る舞うシャーベットを見て私は大根役者が出ている稚拙なお芝居を彼女が催しているみたいで笑えた。
もちろん。実際には笑ってないけれど。
「私がつけた侍女が気に入らなかったようね」
私はベッドの上で上体を起こして本を読んでいたシャーベットの傍らに立つ。
シャーベットは私の言葉に目を見開き、あたかも驚いている風を装っている。
「まさか!そんなことありませんをわ。なぜそのようなことを仰るのですか?あの侍女がそう言ったんですか?」
傷ついてますとでも言いたげに目に涙を浮かべているシャーベット。
どこまでもバカにしている。
彼女は気づいていないのだろうか。侍女に対する侮辱は雇い主である私への侮辱になると。
「主人の客人の悪口を言うような質の悪い侍女を雇った覚えはないわ」
「客人?」
眉間にシワを寄せて私を睨み付けるシャーベット。
あらあらダメね。こんなに直ぐに本性を現すなんて。
「ええ。たとえ、体を売る娼婦でも。分を弁えない女狐であったとしても」
「それはあなたの方でしょ!」
何を言い出すかと思えば。
「王命により婚約者は私」
「でもあなたは」
「貴族の結婚は義務。庶民のあなたには分からないかもしれないけれど。あまり図に乗らないことね。あなたの愛している男は婿養子。この家の主は私よ」
「彼は王族よ」
「きっとそこに拘っているのはあなたと彼だけでしょうね」
彼は王族であっても所詮は補欠だ。
それに今の王太子に何かあっても親戚筋から新たに選べばいい。
王族の親戚筋は彼と違って王位継承権をまだ保持しているのだから。
彼はここに来た時点で王籍を剥奪され、同時に王位継承権も失ったのだ。
「侍女を新たにつけることも雇うこともしないわ」
「何ですって」
「だって、私がつける侍女は気に入らないのでしょう」
私はニッコリと笑って部屋を出た。部屋の外には笑いを噛み殺したダリウスが居た。
ドアを閉めるさい、シャーベットがこちらを射殺さんばかりに睨み付けてきた。私はそれを鼻で笑ったが。
翌々日からセルフ殿下が私がシャーベットを苛めたとかで怒鳴ってきたり、シャーベットがたくさんの業者を邸に招き入れて買い物をしたりと好き放題していた。
私はセバスチャンが持ってきたシャーベットの領収証を見てほくそ笑み。
「本当にバカな子」
そんな私をセバスチャンは楽しそうに、ダリウスは顔をひきつらせて見ていた。
「お前だけは敵に回したくねぇって思うよ」
と、ダリウス。
「さすがはお嬢様です。ああ、そう言えばシャーベット様とセルフ殿下が新たに使用人を雇うことにしたそうです。こちらがその契約書です。」
契約書に書かれている賃金を見て私は思わず声を出して笑ってしまった。
「何だよ、そんなに面白いことが書いてたのか?」
ダリウスが後ろから覗きこむ。
私は額を抑え、吹き出す笑いを何とか堪えた。
「ものを知らないにも程がある。王族は存在そのものが貴いとでも思っているのかしら。施しを受けて当然だとでも思っているのかしら。全く愚かね。本当に。愚かだわ」
「これで人が来るのか?」
ダリウスがそう問うのは当然だ。何せ契約書には無償で働けと書いているのだから。
そしてダリウスの問いに対する私の答えは決まっていた。
「来ないと面白くないでしょ」
「少しよろしいかしら、シャーベット様」
「ええ。構わなくってよ」
まるで女主人のように振る舞うシャーベットを見て私は大根役者が出ている稚拙なお芝居を彼女が催しているみたいで笑えた。
もちろん。実際には笑ってないけれど。
「私がつけた侍女が気に入らなかったようね」
私はベッドの上で上体を起こして本を読んでいたシャーベットの傍らに立つ。
シャーベットは私の言葉に目を見開き、あたかも驚いている風を装っている。
「まさか!そんなことありませんをわ。なぜそのようなことを仰るのですか?あの侍女がそう言ったんですか?」
傷ついてますとでも言いたげに目に涙を浮かべているシャーベット。
どこまでもバカにしている。
彼女は気づいていないのだろうか。侍女に対する侮辱は雇い主である私への侮辱になると。
「主人の客人の悪口を言うような質の悪い侍女を雇った覚えはないわ」
「客人?」
眉間にシワを寄せて私を睨み付けるシャーベット。
あらあらダメね。こんなに直ぐに本性を現すなんて。
「ええ。たとえ、体を売る娼婦でも。分を弁えない女狐であったとしても」
「それはあなたの方でしょ!」
何を言い出すかと思えば。
「王命により婚約者は私」
「でもあなたは」
「貴族の結婚は義務。庶民のあなたには分からないかもしれないけれど。あまり図に乗らないことね。あなたの愛している男は婿養子。この家の主は私よ」
「彼は王族よ」
「きっとそこに拘っているのはあなたと彼だけでしょうね」
彼は王族であっても所詮は補欠だ。
それに今の王太子に何かあっても親戚筋から新たに選べばいい。
王族の親戚筋は彼と違って王位継承権をまだ保持しているのだから。
彼はここに来た時点で王籍を剥奪され、同時に王位継承権も失ったのだ。
「侍女を新たにつけることも雇うこともしないわ」
「何ですって」
「だって、私がつける侍女は気に入らないのでしょう」
私はニッコリと笑って部屋を出た。部屋の外には笑いを噛み殺したダリウスが居た。
ドアを閉めるさい、シャーベットがこちらを射殺さんばかりに睨み付けてきた。私はそれを鼻で笑ったが。
翌々日からセルフ殿下が私がシャーベットを苛めたとかで怒鳴ってきたり、シャーベットがたくさんの業者を邸に招き入れて買い物をしたりと好き放題していた。
私はセバスチャンが持ってきたシャーベットの領収証を見てほくそ笑み。
「本当にバカな子」
そんな私をセバスチャンは楽しそうに、ダリウスは顔をひきつらせて見ていた。
「お前だけは敵に回したくねぇって思うよ」
と、ダリウス。
「さすがはお嬢様です。ああ、そう言えばシャーベット様とセルフ殿下が新たに使用人を雇うことにしたそうです。こちらがその契約書です。」
契約書に書かれている賃金を見て私は思わず声を出して笑ってしまった。
「何だよ、そんなに面白いことが書いてたのか?」
ダリウスが後ろから覗きこむ。
私は額を抑え、吹き出す笑いを何とか堪えた。
「ものを知らないにも程がある。王族は存在そのものが貴いとでも思っているのかしら。施しを受けて当然だとでも思っているのかしら。全く愚かね。本当に。愚かだわ」
「これで人が来るのか?」
ダリウスがそう問うのは当然だ。何せ契約書には無償で働けと書いているのだから。
そしてダリウスの問いに対する私の答えは決まっていた。
「来ないと面白くないでしょ」
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