54 / 63
第3章ゲーム開始?時期じゃないでしょう
第53話 ばら撒かれた毒
しおりを挟む
「おい、アイル王女殿下からお茶会の招待状が届いたか?」
「いや、俺は届いてないな。隣のクラスに知り合いがいるんだけど、そいつは届いたらしい」
「参加するって言ってたか?」
「当たり前だろう。王族からの招待状だぞ。そうそう断れるわけがない」
「だよなぁ。どうするかな」
王女は昔から噂の絶えない方だった。もちろん、王族という身分上注目が集まるので噂が絶えないというのも仕方のないことかもしれない。
しかし、公爵令嬢に王族の権力を使って使用人や騎士の真似事をさせたりとあまりにも横暴すぎる噂が決して誇張ではないということを学校に入学して初めて理解した。
公爵令嬢の社交界デビューに下位貴族ですら着ないお粗末なドレスを送りつけ、そちらも王族の権力を使って必ず着てくるように命令していたと聞いた。
正直、関わり合いになりたくない。両親からも極力、距離を置くように言われている。
権力の意味を分かっていない王族なんて厄災でしかないのだから当然だ。
「前回のお茶会は殿下が自ら開催する初めてのものだったらしい。でも、来なかったんだと」
「急用でも入ったのか?」
「さぁ。一切の説明がなかったらしい。ただ、噂によれば忘れてたらしい」
「は?そんなことあり得るのか?」
「まぁ、普通はあり得ないわな」
でも、あの王女ならあり得るという空気がいつの間に学校内に漂っていた。王女のことを知らなかった人も、学校内でも関わったことがない人も多い中それでも何をしでかすか分からない危険人物となっている。
本来であれば、少しでも顔を覚えてもらおうと媚を売られまくるはずなのに誰もが避ける存在へと変わってしまった。
「しかも前回呼ばれた人たちが、何の説明も謝罪もなく再度お茶会の招待状を送りつけられたことに怒った何人かが断りの手紙を出したみたいなんだ」
王族の招待を断れるということはそれなりに有力貴族ということになる。陛下ならともかく王女が怒らせていい相手ではない。
「参加を断った連中に王女はどうしたと思う?」
「どうって、そりゃあ、前回のお茶会について説明して、謝ったんじゃないか?」
いくら王族でも貴族を敵に回しすぎるのは良くないだろう。我が国は法治国家だ。王族の横暴に目を瞑るにも限界がある。
ただでさえ、公爵令嬢の扱いに対して不満が大きくなり始めているのにこれ以上はいくら王でも庇えなくなる。
「普通ならな。でも、アイル殿下はそうはしなかった。殿下はお茶会に参加するよう命令したんだ」
「なっ」
悪手だ。誰も止めなかったのか?公爵令嬢でさえも?
「アイル殿下は誰の言葉も聞かない人らしいからな。気に入って側に置いているミラノ公爵令嬢の言葉ですら一度も聞いたことがないらしい。それと、これは憶測なんだけどな」
そう言って友人は一段と声を小さくした。
「ミラノ公爵令嬢ってかなり美人だろう?社交界デビューの時から囁かれていたんだけどさ、王女殿下は公爵令嬢の美しさに嫉妬して、わざと貶めているんじゃないかって言われてる」
アイル殿下も容姿は整っている。でも、公爵令嬢と比べると確かに見劣りはするな。
親友だ、友人だと言いながら名前を間違えていたり、扱いが雑なのはそういうことか。女って怖っ。
口が裂けても言えないけど、王女殿下って性格が悪いな。
「ますます関わりになりたくない。知ってるか?前回と今回のお茶会を王女殿下が開催した理由」
「ああ、王女殿下は明確にはしてなかったけど招待客を見れば一目瞭然だろう。実際、俺のところには来てないからな。王女殿下にとっては取るに足らない田舎貴族で良かったと今回ほど思ったことはないよ」
「他人事だと思って」
「実際、他人事だからな」
憎らしい奴だ。
「だが、そう警戒する必要もないだろう。容姿と家柄重視で選んでるみたいだし。そうすると、お前の容姿は悪くないけど良くもない。まぁ、手が届きそうなイケメンって感じだな」
「貶してるのか?」
「褒めてるよ。そういう人間の方がモテるけど。自分を特別視している王女の目には止まらないんだから良かったじゃないか。喜んでおけよ」
ちょっと複雑なんだけど。目立たないように角の方で大人しくしてよ。
王女が学校で急に始めたお茶会開催の理由は婚約者探し。多少の財力はあれど伯爵家の俺が選ばれることはまずないだろうしな。
「いや、俺は届いてないな。隣のクラスに知り合いがいるんだけど、そいつは届いたらしい」
「参加するって言ってたか?」
「当たり前だろう。王族からの招待状だぞ。そうそう断れるわけがない」
「だよなぁ。どうするかな」
王女は昔から噂の絶えない方だった。もちろん、王族という身分上注目が集まるので噂が絶えないというのも仕方のないことかもしれない。
しかし、公爵令嬢に王族の権力を使って使用人や騎士の真似事をさせたりとあまりにも横暴すぎる噂が決して誇張ではないということを学校に入学して初めて理解した。
公爵令嬢の社交界デビューに下位貴族ですら着ないお粗末なドレスを送りつけ、そちらも王族の権力を使って必ず着てくるように命令していたと聞いた。
正直、関わり合いになりたくない。両親からも極力、距離を置くように言われている。
権力の意味を分かっていない王族なんて厄災でしかないのだから当然だ。
「前回のお茶会は殿下が自ら開催する初めてのものだったらしい。でも、来なかったんだと」
「急用でも入ったのか?」
「さぁ。一切の説明がなかったらしい。ただ、噂によれば忘れてたらしい」
「は?そんなことあり得るのか?」
「まぁ、普通はあり得ないわな」
でも、あの王女ならあり得るという空気がいつの間に学校内に漂っていた。王女のことを知らなかった人も、学校内でも関わったことがない人も多い中それでも何をしでかすか分からない危険人物となっている。
本来であれば、少しでも顔を覚えてもらおうと媚を売られまくるはずなのに誰もが避ける存在へと変わってしまった。
「しかも前回呼ばれた人たちが、何の説明も謝罪もなく再度お茶会の招待状を送りつけられたことに怒った何人かが断りの手紙を出したみたいなんだ」
王族の招待を断れるということはそれなりに有力貴族ということになる。陛下ならともかく王女が怒らせていい相手ではない。
「参加を断った連中に王女はどうしたと思う?」
「どうって、そりゃあ、前回のお茶会について説明して、謝ったんじゃないか?」
いくら王族でも貴族を敵に回しすぎるのは良くないだろう。我が国は法治国家だ。王族の横暴に目を瞑るにも限界がある。
ただでさえ、公爵令嬢の扱いに対して不満が大きくなり始めているのにこれ以上はいくら王でも庇えなくなる。
「普通ならな。でも、アイル殿下はそうはしなかった。殿下はお茶会に参加するよう命令したんだ」
「なっ」
悪手だ。誰も止めなかったのか?公爵令嬢でさえも?
「アイル殿下は誰の言葉も聞かない人らしいからな。気に入って側に置いているミラノ公爵令嬢の言葉ですら一度も聞いたことがないらしい。それと、これは憶測なんだけどな」
そう言って友人は一段と声を小さくした。
「ミラノ公爵令嬢ってかなり美人だろう?社交界デビューの時から囁かれていたんだけどさ、王女殿下は公爵令嬢の美しさに嫉妬して、わざと貶めているんじゃないかって言われてる」
アイル殿下も容姿は整っている。でも、公爵令嬢と比べると確かに見劣りはするな。
親友だ、友人だと言いながら名前を間違えていたり、扱いが雑なのはそういうことか。女って怖っ。
口が裂けても言えないけど、王女殿下って性格が悪いな。
「ますます関わりになりたくない。知ってるか?前回と今回のお茶会を王女殿下が開催した理由」
「ああ、王女殿下は明確にはしてなかったけど招待客を見れば一目瞭然だろう。実際、俺のところには来てないからな。王女殿下にとっては取るに足らない田舎貴族で良かったと今回ほど思ったことはないよ」
「他人事だと思って」
「実際、他人事だからな」
憎らしい奴だ。
「だが、そう警戒する必要もないだろう。容姿と家柄重視で選んでるみたいだし。そうすると、お前の容姿は悪くないけど良くもない。まぁ、手が届きそうなイケメンって感じだな」
「貶してるのか?」
「褒めてるよ。そういう人間の方がモテるけど。自分を特別視している王女の目には止まらないんだから良かったじゃないか。喜んでおけよ」
ちょっと複雑なんだけど。目立たないように角の方で大人しくしてよ。
王女が学校で急に始めたお茶会開催の理由は婚約者探し。多少の財力はあれど伯爵家の俺が選ばれることはまずないだろうしな。
300
あなたにおすすめの小説
【完結】子育ては難しい~廃嫡した息子が想像の斜め上にアホだった件~
つくも茄子
ファンタジー
リオン王国には、バークロッド公爵家、アーガイル公爵家、ミルトン公爵家の三大公爵家が存在する。
三年前に起きたとある事件によって多くの貴族子息が表舞台から姿を消した。
各家の方針に従った結果である。
その事件の主犯格の一人であるバークロッド公爵家の嫡男は、身分を剥奪され、市井へと放り出されていた。
親のであるバークロッド公爵は断腸の思いで決行したのだが、とうの本人は暢気なもので、「しばらくの辛抱だろう。ほとぼりが冷めれば元に戻る。父親たちの機嫌も直る」などと考えていた。
よりにもよって、元実家に来る始末だ。
縁切りの意味が理解できていない元息子に、バークロッド公爵は頭を抱えた。
頭は良いはずの元息子は、致命的なまでに想像力が乏しかった。
悪役令嬢だけど、私としては推しが見れたら十分なんですが?
榎夜
恋愛
私は『花の王子様』という乙女ゲームに転生した
しかも、悪役令嬢に。
いや、私の推しってさ、隠しキャラなのよね。
だから勝手にイチャついてて欲しいんだけど......
※題名変えました。なんか話と合ってないよねってずっと思ってて
《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!
皇子(みこ)
恋愛
辺境の地でのんびり?過ごして居たのに、王都の舞踏会に参加なんて!あんな奴等のいる所なんて、ぜーたいに行きません!でブスなんて言われた幼少時の記憶は忘れないー!
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
才能が開花した瞬間、婚約を破棄されました。ついでに実家も追放されました。
キョウキョウ
恋愛
ヴァーレンティア子爵家の令嬢エリアナは、一般人の半分以下という致命的な魔力不足に悩んでいた。伯爵家の跡取りである婚約者ヴィクターからは日々厳しく責められ、自分の価値を見出せずにいた。
そんな彼女が、厳しい指導を乗り越えて伝説の「古代魔法」の習得に成功した。100年以上前から使い手が現れていない、全ての魔法の根源とされる究極の力。喜び勇んで婚約者に報告しようとしたその瞬間――
「君との婚約を破棄することが決まった」
皮肉にも、人生最高の瞬間が人生最悪の瞬間と重なってしまう。さらに実家からは除籍処分を言い渡され、身一つで屋敷から追い出される。すべてを失ったエリアナ。
だけど、彼女には頼れる師匠がいた。世界最高峰の魔法使いソリウスと共に旅立つことにしたエリアナは、古代魔法の力で次々と困難を解決し、やがて大きな名声を獲得していく。
一方、エリアナを捨てた元婚約者ヴィクターと実家は、不運が重なる厳しい現実に直面する。エリアナの大活躍を知った時には、すべてが手遅れだった。
真の実力と愛を手に入れたエリアナは、もう振り返る理由はない。
これは、自分の価値を理解してくれない者たちを結果的に見返し、厳しい時期に寄り添ってくれた人と幸せを掴む物語。
偽りの呪いで追放された聖女です。辺境で薬屋を開いたら、国一番の不運な王子様に拾われ「幸運の女神」と溺愛されています
黒崎隼人
ファンタジー
「君に触れると、不幸が起きるんだ」――偽りの呪いをかけられ、聖女の座を追われた少女、ルナ。
彼女は正体を隠し、辺境のミモザ村で薬師として静かな暮らしを始める。
ようやく手に入れた穏やかな日々。
しかし、そんな彼女の前に現れたのは、「王国一の不運王子」リオネスだった。
彼が歩けば嵐が起き、彼が触れば物が壊れる。
そんな王子が、なぜか彼女の薬草店の前で派手に転倒し、大怪我を負ってしまう。
「私の呪いのせいです!」と青ざめるルナに、王子は笑った。
「いつものことだから、君のせいじゃないよ」
これは、自分を不幸だと思い込む元聖女と、天性の不運をものともしない王子の、勘違いから始まる癒やしと幸運の物語。
二人が出会う時、本当の奇跡が目を覚ます。
心温まるスローライフ・ラブファンタジー、ここに開幕。
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。
木山楽斗
恋愛
平民であるフェルーナは、類稀なる魔法使いとしての才を持っており、聖女に就任することになった。
しかしそんな彼女に待っていたのは、冷遇の日々だった。平民が聖女になることを許せない者達によって、彼女は虐げられていたのだ。
さらにフェルーナには、本来聖女が受け取るはずの報酬がほとんど与えられていなかった。
聖女としての忙しさと責任に見合わないような給与には、流石のフェルーナも抗議せざるを得なかった。
しかし抗議に対しては、「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」といった心無い言葉が返ってくるだけだった。
それを受けて、フェルーナは聖女をやめることにした。元々歓迎されていなかった彼女を止める者はおらず、それは受け入れられたのだった。
だがその後、王国は大きく傾くことになった。
フェルーナが優秀な聖女であったため、その代わりが務まる者はいなかったのだ。
さらにはフェルーナへの仕打ちも流出して、結果として多くの国民から反感を招く状況になっていた。
これを重く見た王族達は、フェルーナに再び聖女に就任するように頼み込んだ。
しかしフェルーナは、それを受け入れなかった。これまでひどい仕打ちをしてきた者達を助ける気には、ならなかったのである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる