【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第153話 まるで悪役

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「恭介だけを殺してもらおうかと思っていたのに残念。みつかったな」

そう言って民家の屋根から男と恭介が対面している地面へと飛び降りたのは白川先生。

「隠れている気なんてなかったクセにさ。よく言うよ。俺が気づかずに恭介だけを襲うとでも思ったの?そのときにいろいろ探ろうって腹だったのかな?」

男がしゃべるたび耳の奥で人を嘲笑うような不気味で低い声がこだまして、軽いめまいを起こす感覚に陥る。

「そ、そうだったのか?!俺はマジで裏切られたんだと思ったぜ?」
胸を撫でおろす恭介。

「それは申し訳なかったね。本気で怖がってもらったほうが相手もキミひとりだと思い込みやすいかと思ったんだけど、そんな安っぽい小細工が通じる相手ではなかったか」

「ふふっ、俺ってそんな単純で騙しやすそうな感じだったかな?」

男は右手を口に当てて上品そうに汚い笑みを浮かべると、
「美しい苦笑い。その顔が苦痛に歪むのが楽しみだ。ねぇ、白川センセ?」
舐め回すような目で白川先生を見つめた。

「あ、あいつ、どうして白川先生のこと知って…?」

驚く柚吏に
「ワシらがゴソゴソと動いていたように、向こうもこっちのことをいろいろと調べていたんじゃろう」
おじぃちゃんが返す。

「心配なのは、どこまでヤツらに知られているか…」

「…えっ?おじぃちゃんも、なんかいろいろ知ってたの?しかも調べてた?」

「当たり前じゃろう」
「はっ?いつから…?…って、もしかして10年前…?」

末明が驚きすぎて口に手を当てたまま固まったとき、
「俺も楽しみだよ。趙高ちょうこうの末裔、高木くんだっけ?あんたをこの手で敗北させられるのは」
白川先生がニヤリと嗤う姿が見えた。

…し、白川先生、さっきからちょくちょく悪役っぽく見える振る舞いしてるけど大丈夫かな?!

一瞬は心配した末明だったけれど、次に出てきた
「代々の悪事、お前の代で終わらせてやろう」
という言葉にホッとした。
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