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3章 公爵令嬢の救い方 編
ハーレムキングは早くも新ヒロインに出会う
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旅に出て、三日目の昼下がり。
オレとサラは、どこへ向かうでもない道を、気ままに歩いていた。
「ねえ……本当に行き先決めてないんですか?」
「ふははははっ! 王の旅に地図は不要だ! 巡り合いこそが道を形づくる! 偶然は運命、出会いはハーレムへの招待状なのだからな!」
「もう……わけわかんない……」
サラは眉間を押さえながら、それでもオレの少し後ろを歩いてくる。
不満そうに見えて、歩調はピッタリだ。なんだかんだで、悪くない関係になってきた気がするな。
そんなときだった。
——ドンっ! ドンドン!
遠くから、鈍い衝撃音が響いた。
同時に、風に乗って届く叫び声。土煙が立ち上り、騒然とした気配が風に混じってくる。
「……王の耳は、トラブルを聞き逃さない! 行くぞ!」
オレは地面を蹴った。
「えっ!? ちょっと、急に走らないで! ……もう!」
サラも慌てて後を追ってきた。
木々を抜け、丘を下りかけたその先——
視界の中に、馬車があった。
護衛の騎士たちが倒れ、その荷車の周りを取り囲んでいるのは、粗野な装備に身を包んだ盗賊の一団。
「ちっ、護衛は片付いたか? 嬢ちゃん、早く出てきな! 大人しく捕まるか殺されるかしてくれれば、護衛の連中は助けてやってもいいぜ?
「くっ……!」
車内から出てきたのは、一人の少女。
薄紫の髪をポニーテールに束ねた、美しい女性だった。上質なマントに身を包み、しなやかな指先で弓を構えている。
「……っ、この場を退けるなら見逃してあげる! まだ警告よ!」
「警告だってよ! 笑わせるぜ! この人数差を覆せると思ってんのか?」
美しい女性と汚らしい盗賊たちのやり取りは、オレの心を昂らせた。
「おおっ……!」
オレの胸に、一筋の雷光が走った。
「サラ、あれは……」
「見ればわかります。ヒロインですねー」
サラは棒読みだったがそれはまあいい。
紛れもなくあの少女はヒロインだろう。上品な装いと雰囲気はサラやアレッタとはまるで違う。二人が悪いと言っているんじゃない。ただ、あの少女が異質だった。
一目でわかる! あれは新ヒロインだ!
「見事な見立てだ!」
そんなことを言っている間にも、盗賊たちが彼女に迫っていく。
——瞬間、オレは空へ跳び上がった。
「王、推参ッ!!」
空中から拳を振り下ろす。先頭の盗賊に命中した一撃は、地面を震わせて一人を地面にめり込ませた。
「な、なんだあいつ!? 空から降ってきやがった!」
「ふふん、王の降臨に驚いてくれて結構! だが、そんな余裕はここまで!」
立ち尽くす盗賊たちに、次の一撃を見舞おうと身構える。
「サラ!」
「了解ですっ……《清めの結界・障壁展開》!」
サラの足元に広がった光の円が、まるで浄化の波紋のように周囲へ広がる。
盗賊たちの足が鈍る。詳しくは知らないが、魔力を奪う結界らしい。
「さすが元中級神官だ!」
「その紹介はやめてくださいってば!」
足元を封じられた盗賊たちに、オレは間髪入れず突っ込む。
拳、掌打、蹴り——その全てが盗賊たちの意識を的確に刈り取っていった。
「う、うわっ……つ、強っ……なんだこいつ……!」
「ハーレムキング・デイビッドの名、しかと覚えておけ!」
最後の一人が悲鳴を上げて森へ逃げ出すと、辺りには再び静けさが戻った。
その後……サラは気絶する護衛を簡単に治療する傍ら、オレは麗しい少女と向かい合っていた。
「助けていただいて……ありがとうございます」
少女は静かに、深く頭を下げた。
その所作には、明らかに庶民にはない“格”があった。
背筋は美しく伸び、手先まで緊張感を宿した動き。姿勢は完璧で、礼にこめられた誠実さと、育ちの良さがひと目で分かる。
ふむ……これは“貴族”のそれだな
オレはすぐに察した。ハーレムキングたる者、女性の格もまた見抜けねばならんからな!
彼女の髪は、淡いラベンダーを含んだような銀紫色で、陽の光を受けると薄く輝く。
長い髪は首元で高く束ねられ、揺れるポニーテールが凛々しさと華やかさを同時に醸していた。
肌は白磁のように滑らかで、表情には自信と気品がある。
まっすぐにこちらを見つめる瞳は澄んだ瑠璃色で、その眼差しは、戦いの直後とは思えぬ落ち着きを湛えていた。
腰には弓、背には矢筒を背負い、流れるようなラインのワンピースは、動きやすさと美しさを両立させていた。
まさに“凛とした気高さ”を絵に描いたような女性。
「名はなんという?」
「……ルシアです。エルネス公爵家の令嬢です」
——し・か・も! 公爵令嬢!!!
弓を手に戦うお嬢様とは、なんたる美味!
いや、なんたる好機!
オレの中の王の血がざわめいた。
「ふははははっ! 新たなるハーレムの扉、ここに開かれたり!!」
オレは一歩進み、誇らしげに名乗った。
「ルシア嬢、オレはハーレムキング・デイビッド。そしてこちらは旅のパートナーにして、ツッコミ担当のサラ。どうぞよろしく!」
「ちょっと!? 紹介が雑すぎませんか!?」
「ふふ……デイビッドさん、王を名乗る方にしては、随分と賑やかで面白いですね」
ルシアの口元が、ほんのわずかにほころんだ。
む、これは……!
オレは心の中で拳を握った。すでに、最初の好感は得た! 王としての第一歩は、完璧だ!
オレとサラは、どこへ向かうでもない道を、気ままに歩いていた。
「ねえ……本当に行き先決めてないんですか?」
「ふははははっ! 王の旅に地図は不要だ! 巡り合いこそが道を形づくる! 偶然は運命、出会いはハーレムへの招待状なのだからな!」
「もう……わけわかんない……」
サラは眉間を押さえながら、それでもオレの少し後ろを歩いてくる。
不満そうに見えて、歩調はピッタリだ。なんだかんだで、悪くない関係になってきた気がするな。
そんなときだった。
——ドンっ! ドンドン!
遠くから、鈍い衝撃音が響いた。
同時に、風に乗って届く叫び声。土煙が立ち上り、騒然とした気配が風に混じってくる。
「……王の耳は、トラブルを聞き逃さない! 行くぞ!」
オレは地面を蹴った。
「えっ!? ちょっと、急に走らないで! ……もう!」
サラも慌てて後を追ってきた。
木々を抜け、丘を下りかけたその先——
視界の中に、馬車があった。
護衛の騎士たちが倒れ、その荷車の周りを取り囲んでいるのは、粗野な装備に身を包んだ盗賊の一団。
「ちっ、護衛は片付いたか? 嬢ちゃん、早く出てきな! 大人しく捕まるか殺されるかしてくれれば、護衛の連中は助けてやってもいいぜ?
「くっ……!」
車内から出てきたのは、一人の少女。
薄紫の髪をポニーテールに束ねた、美しい女性だった。上質なマントに身を包み、しなやかな指先で弓を構えている。
「……っ、この場を退けるなら見逃してあげる! まだ警告よ!」
「警告だってよ! 笑わせるぜ! この人数差を覆せると思ってんのか?」
美しい女性と汚らしい盗賊たちのやり取りは、オレの心を昂らせた。
「おおっ……!」
オレの胸に、一筋の雷光が走った。
「サラ、あれは……」
「見ればわかります。ヒロインですねー」
サラは棒読みだったがそれはまあいい。
紛れもなくあの少女はヒロインだろう。上品な装いと雰囲気はサラやアレッタとはまるで違う。二人が悪いと言っているんじゃない。ただ、あの少女が異質だった。
一目でわかる! あれは新ヒロインだ!
「見事な見立てだ!」
そんなことを言っている間にも、盗賊たちが彼女に迫っていく。
——瞬間、オレは空へ跳び上がった。
「王、推参ッ!!」
空中から拳を振り下ろす。先頭の盗賊に命中した一撃は、地面を震わせて一人を地面にめり込ませた。
「な、なんだあいつ!? 空から降ってきやがった!」
「ふふん、王の降臨に驚いてくれて結構! だが、そんな余裕はここまで!」
立ち尽くす盗賊たちに、次の一撃を見舞おうと身構える。
「サラ!」
「了解ですっ……《清めの結界・障壁展開》!」
サラの足元に広がった光の円が、まるで浄化の波紋のように周囲へ広がる。
盗賊たちの足が鈍る。詳しくは知らないが、魔力を奪う結界らしい。
「さすが元中級神官だ!」
「その紹介はやめてくださいってば!」
足元を封じられた盗賊たちに、オレは間髪入れず突っ込む。
拳、掌打、蹴り——その全てが盗賊たちの意識を的確に刈り取っていった。
「う、うわっ……つ、強っ……なんだこいつ……!」
「ハーレムキング・デイビッドの名、しかと覚えておけ!」
最後の一人が悲鳴を上げて森へ逃げ出すと、辺りには再び静けさが戻った。
その後……サラは気絶する護衛を簡単に治療する傍ら、オレは麗しい少女と向かい合っていた。
「助けていただいて……ありがとうございます」
少女は静かに、深く頭を下げた。
その所作には、明らかに庶民にはない“格”があった。
背筋は美しく伸び、手先まで緊張感を宿した動き。姿勢は完璧で、礼にこめられた誠実さと、育ちの良さがひと目で分かる。
ふむ……これは“貴族”のそれだな
オレはすぐに察した。ハーレムキングたる者、女性の格もまた見抜けねばならんからな!
彼女の髪は、淡いラベンダーを含んだような銀紫色で、陽の光を受けると薄く輝く。
長い髪は首元で高く束ねられ、揺れるポニーテールが凛々しさと華やかさを同時に醸していた。
肌は白磁のように滑らかで、表情には自信と気品がある。
まっすぐにこちらを見つめる瞳は澄んだ瑠璃色で、その眼差しは、戦いの直後とは思えぬ落ち着きを湛えていた。
腰には弓、背には矢筒を背負い、流れるようなラインのワンピースは、動きやすさと美しさを両立させていた。
まさに“凛とした気高さ”を絵に描いたような女性。
「名はなんという?」
「……ルシアです。エルネス公爵家の令嬢です」
——し・か・も! 公爵令嬢!!!
弓を手に戦うお嬢様とは、なんたる美味!
いや、なんたる好機!
オレの中の王の血がざわめいた。
「ふははははっ! 新たなるハーレムの扉、ここに開かれたり!!」
オレは一歩進み、誇らしげに名乗った。
「ルシア嬢、オレはハーレムキング・デイビッド。そしてこちらは旅のパートナーにして、ツッコミ担当のサラ。どうぞよろしく!」
「ちょっと!? 紹介が雑すぎませんか!?」
「ふふ……デイビッドさん、王を名乗る方にしては、随分と賑やかで面白いですね」
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