ハーレムキング

チドリ正明@不労所得発売中!!

文字の大きさ
21 / 48
3章 公爵令嬢の救い方 編

ハーレムキングは裏の顔を探る

しおりを挟む
 馬車に揺られて、数時間。

 道中の景色はゆっくりと移り変わり、青々と茂った草原が、やがて丘陵地へと変わっていった。
 舗装された街道は整っており、馬車の揺れも穏やかだった。流石は公爵家の領地といったところだ。

 窓の外を眺めながら、オレは脚を組んで言った。

「ふむ……これだけの道を馬車で行くとなると、やはり貴族というのは優雅なものだな。空腹を感じないのが悩みになるほどに」

「……それ、完全に王様がハンモックみたいに背もたれに沈んでるからですよね?」

 サラが呆れたように横から突っ込んできた。
 彼女はいつもの修道服ではなく、動きやすい旅装を纏っていたが、その背筋はいつも通りぴんと伸びていた。緊張しているらしい。ツッコミの声もいささか小さい気がする。

 彼女は揺れに耐えながらも、視線はしっかりとルシアに向いている。

「それにしても、ずいぶん静かですね。ルシアさん……何か、考え事ですか?」

 前方に座るルシアは、窓の外を見つめたまま、ふと目を伏せた。

「……いえ、大丈夫です。ただ、久しぶりに戻る領地なので、少しだけ感傷的になっているだけです」

 その声音は柔らかだったが、どこか冷たく、自分の感情を少し遠ざけているようにも感じられた。

 感傷、か。養女であるがゆえ、悩みの種は無数にあるのだろうな。
 オレはその言葉を咀嚼しながら、ルシアの様子を観察していた。

 その横顔は相変わらず整っていて美しかったが、瞳の奥にはごく僅かな警戒が見て取れた。
 そしてその警戒は、オレやサラに向けられたものではなく、これから訪れる場所に向けられたものだった。

「ふむ……ルシア。君が今、何を考えていようとオレは問わん。だが、もしもオレに頼れることがあれば、遠慮なく言ってくれて構わないぞ?」

「まあっ、王を名乗る人に、そう言われるとは思いませんでした」

 ルシアが少しだけ笑みを見せたが、やはりその瞳の奥は笑っていなかった。

「王はいつでも助ける所存だ!」

「ふふ、いえ、失礼。ですが……お気持ちはありがたく……」

 まただ。微笑んで、相手に安心を与える仮面。
 完璧すぎる所作と、ほころびのない言葉選び。

 彼女は確実に“何か”を隠している。
 であれば、ますます気になるのが王の性!
 秘密は暴くためにある! そして問題は解決するためにある! 全ては王であるオレに与えられた試練なのだ!

 オレは堂々と胸を張って言い放った。

「よかろう! 秘密があるならそれで良い! 秘密が多い方がときめくというもの! そして、それすら包み込むのが、ハーレムキングの器である!」

「もう少し真面目なセリフに聞こえる言い方はなかったんですか!?」

 サラのツッコミが炸裂する中、ルシアは肩を震わせて笑っていた。

「……面白い方ですね、本当に」

 その笑みもまた、仮面かもしれない。

 だが、オレは知っている。
 仮面の奥には、きっと本当の顔がある。

 それを暴くのもまた、王の務めというものだろう。

 そうして、馬車は丘を越えた。

 見えてきたのは、小さな城郭と、清らかな湖に囲まれた城館。

 ここがルシアの故郷か。

 何が待ち受けているのかはわからない。ただお招き預かったからには、王としてたっぷり堪能させてもらうとしよう!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

処理中です...