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4章 論理と感情を合わせる方法 編
ハーレムキングは確信する
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酒場からの帰路、夜のイデアの街は穏やかな光に包まれていた。
石畳を踏みながら、オレとサラとアレッタの三人は、夕食を終えたばかりの心地よい余韻をまといながら並んで歩いていた。
「しかし、さすが賢者の国って感じよね。道端の屋台まで魔道具仕込みとは……お菓子とジュースなんてどこでも買えるしね」
アレッタが感心したように見上げたのは、壁に設置された小さな棚。自販機だ。この国の硬貨を入れてボタンに触れると、温められたパイ菓子や冷えた飲み物が出てくる仕掛けだ。
「うむ、魔法というのは文化を変えるものだ。こういう発展を見るたびに、旅の意味が深まるな!」
オレが満足げに頷くと、サラもくすりと笑った。
平穏なやり取りが続く中、ふと、オレはアレッタに声をかけた。
「ところで、アレッタ。君は任務でここに来たのだったな? 詳しく聞かせてもらおうか」
「あれ、言ってなかったっけ?」
アレッタは視線を前に向けたまま、少し声を潜めて語り始めた。
「セイクリール神殿の内部に怪しい魔法使いがいたの。名前も素性もわからないけど……真っ黒なローブに、顔の半分を隠してる変なやつ。目が、赤くて、獣みたいだった」
赤い目、黒いローブ、顔の半分を隠している。
オレの脳裏に、あの研究室での男の姿がよぎる。
「……そいつを君が追ってきた理由は? ただ見かけたから、というわけではないのだろう?」
「簡単よ。そいつ、禁呪の記録にアクセスしていたから」
アレッタの声色が一段と硬くなる。ここでもやはり禁呪か。
「サラは当たり前のように知ってると思うけど、神殿の記録庫には、過去に禁忌とされた禁呪の理論の断片が保管されてるのよ。エルフしか使えない精霊魔法のものは流石にないけど……それでも、その断片は容易に触れてはいけないものなの。そいつはそれを盗み見ようとした。しかも、強い魔力干渉を残して逃げた。あれは普通の魔法使いじゃないわね。司祭たちも騒いでたわよ」
アレッタの顔色は怪訝だった。随分と大事だ。
「なるほどな……」
やはり、あの黒ずくめの男と繋がっているか。これは偶然などではないな。
オレが顎に手を当てて考え込みかけた、その時——
ドォォォォンッ!!
突如として、夜空に響き渡る爆音。
地面がかすかに揺れ、遠くで赤い閃光が夜の空を照らした。
「っ、何!?」
サラが驚いて振り返り、アレッタは腰の剣に手をかけて鋭く目を光らせた。
「今の、ただの爆発じゃない……魔力が混じってました!」
「こんな時間になんなのよ!」
「方向は……東区画の方か?」
オレはすぐに空を仰ぎ、煙が昇る方向を見定める。
「王様……!」
「ふむ、どうやら散歩はここまでのようだな。王の名において言おう、これは重大な事件だ! どんな闇よりも暗い底の見えない何かがオレたちを巻き込もうとしている!」
夜の静寂を裂くように、街のどこかで何かが始まったのは間違いない!
そう高らかに宣言したものの、オレはすぐに足を止め、ちらりと後ろを振り返った。
サラとアレッタは、わずかに顔を強張らせながらも、すぐに動こうとしていた。
だが、その頬はほのかに紅潮し、瞳もわずかに潤んでいた。
……ふむ。酒が回っているな。
普段は真面目なサラが少し浮かれていたのも、酒精のせいだろう。アレッタもまた、軽口の数が多かった。
いま無理をさせれば、足を引きずるように進むことになる。
ならば、決断は容易い。
「サラ、アレッタ、君たちはここで待て」
オレは静かに言った。
「えっ……でも、王様……!」
「ふはは、心配無用! 王はな、たとえひとりでも王なのだ。むしろ、ひとりの方が動きやすいこともある」
言いながら、マントを翻す。
酔った足で現場に踏み込ませることなど、オレの流儀ではない。守るべき者は、最前線ではなく“後方”に置くのが王の正しい在り方だ。
「君たちが動くのは、もしもの時だけでいい。王が戻らなかったら、思いきり心配してくれて構わん。それが役割分担というものだ!」
サラは唇を噛み、何か言いかけたが——
「……わかりました。気をつけてくださいね」
結局、そう言って小さく頷いた。
アレッタも「じゃあ、せめて戻ってきたら熱いお茶でも淹れてやるわよ。そもそもあんたが一番飲んでたはずなのになんで素面同然なの?」と気遣う言葉を残す。
ふっ、なんと優しいヒロインたち!
だが、彼女たちはまだ知らない。
王というのは、誰かの優しさを盾にしてこそ、真正面から全てを受け止められるものなのだ。
闇の中へと歩き出しながら、オレは一人、背筋を伸ばして呟いた。
「守るとは、背を向けて逃がすことではない! 信じて立たせることだ。そしてそのために、王は誰よりも先に前を走る! それこそが王!」
夜の風が、黄金のマントを大胆に揺らす。
王は、オレは、独りで現場へと向かっていった——いつものように、すべてを守るために!!!
石畳を踏みながら、オレとサラとアレッタの三人は、夕食を終えたばかりの心地よい余韻をまといながら並んで歩いていた。
「しかし、さすが賢者の国って感じよね。道端の屋台まで魔道具仕込みとは……お菓子とジュースなんてどこでも買えるしね」
アレッタが感心したように見上げたのは、壁に設置された小さな棚。自販機だ。この国の硬貨を入れてボタンに触れると、温められたパイ菓子や冷えた飲み物が出てくる仕掛けだ。
「うむ、魔法というのは文化を変えるものだ。こういう発展を見るたびに、旅の意味が深まるな!」
オレが満足げに頷くと、サラもくすりと笑った。
平穏なやり取りが続く中、ふと、オレはアレッタに声をかけた。
「ところで、アレッタ。君は任務でここに来たのだったな? 詳しく聞かせてもらおうか」
「あれ、言ってなかったっけ?」
アレッタは視線を前に向けたまま、少し声を潜めて語り始めた。
「セイクリール神殿の内部に怪しい魔法使いがいたの。名前も素性もわからないけど……真っ黒なローブに、顔の半分を隠してる変なやつ。目が、赤くて、獣みたいだった」
赤い目、黒いローブ、顔の半分を隠している。
オレの脳裏に、あの研究室での男の姿がよぎる。
「……そいつを君が追ってきた理由は? ただ見かけたから、というわけではないのだろう?」
「簡単よ。そいつ、禁呪の記録にアクセスしていたから」
アレッタの声色が一段と硬くなる。ここでもやはり禁呪か。
「サラは当たり前のように知ってると思うけど、神殿の記録庫には、過去に禁忌とされた禁呪の理論の断片が保管されてるのよ。エルフしか使えない精霊魔法のものは流石にないけど……それでも、その断片は容易に触れてはいけないものなの。そいつはそれを盗み見ようとした。しかも、強い魔力干渉を残して逃げた。あれは普通の魔法使いじゃないわね。司祭たちも騒いでたわよ」
アレッタの顔色は怪訝だった。随分と大事だ。
「なるほどな……」
やはり、あの黒ずくめの男と繋がっているか。これは偶然などではないな。
オレが顎に手を当てて考え込みかけた、その時——
ドォォォォンッ!!
突如として、夜空に響き渡る爆音。
地面がかすかに揺れ、遠くで赤い閃光が夜の空を照らした。
「っ、何!?」
サラが驚いて振り返り、アレッタは腰の剣に手をかけて鋭く目を光らせた。
「今の、ただの爆発じゃない……魔力が混じってました!」
「こんな時間になんなのよ!」
「方向は……東区画の方か?」
オレはすぐに空を仰ぎ、煙が昇る方向を見定める。
「王様……!」
「ふむ、どうやら散歩はここまでのようだな。王の名において言おう、これは重大な事件だ! どんな闇よりも暗い底の見えない何かがオレたちを巻き込もうとしている!」
夜の静寂を裂くように、街のどこかで何かが始まったのは間違いない!
そう高らかに宣言したものの、オレはすぐに足を止め、ちらりと後ろを振り返った。
サラとアレッタは、わずかに顔を強張らせながらも、すぐに動こうとしていた。
だが、その頬はほのかに紅潮し、瞳もわずかに潤んでいた。
……ふむ。酒が回っているな。
普段は真面目なサラが少し浮かれていたのも、酒精のせいだろう。アレッタもまた、軽口の数が多かった。
いま無理をさせれば、足を引きずるように進むことになる。
ならば、決断は容易い。
「サラ、アレッタ、君たちはここで待て」
オレは静かに言った。
「えっ……でも、王様……!」
「ふはは、心配無用! 王はな、たとえひとりでも王なのだ。むしろ、ひとりの方が動きやすいこともある」
言いながら、マントを翻す。
酔った足で現場に踏み込ませることなど、オレの流儀ではない。守るべき者は、最前線ではなく“後方”に置くのが王の正しい在り方だ。
「君たちが動くのは、もしもの時だけでいい。王が戻らなかったら、思いきり心配してくれて構わん。それが役割分担というものだ!」
サラは唇を噛み、何か言いかけたが——
「……わかりました。気をつけてくださいね」
結局、そう言って小さく頷いた。
アレッタも「じゃあ、せめて戻ってきたら熱いお茶でも淹れてやるわよ。そもそもあんたが一番飲んでたはずなのになんで素面同然なの?」と気遣う言葉を残す。
ふっ、なんと優しいヒロインたち!
だが、彼女たちはまだ知らない。
王というのは、誰かの優しさを盾にしてこそ、真正面から全てを受け止められるものなのだ。
闇の中へと歩き出しながら、オレは一人、背筋を伸ばして呟いた。
「守るとは、背を向けて逃がすことではない! 信じて立たせることだ。そしてそのために、王は誰よりも先に前を走る! それこそが王!」
夜の風が、黄金のマントを大胆に揺らす。
王は、オレは、独りで現場へと向かっていった——いつものように、すべてを守るために!!!
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