Rich&Lich ~不死の王になれなかった僕は『英霊使役』と『金運』でスローライフを満喫する~

八神 凪

文字の大きさ
221 / 245

第二百三十話 疑惑の二人であるというもの

しおりを挟む
「おーらぁぁぁぁぁぁい!!」
「うお!? 飛んだ……!」

 ゼオラやスレイブさんのことは気になるけど、ひとまず野球をして楽しむ僕達。
 騎士さん達と交じって僕とフォルドは別チームで、アニーとステラはどっちに入るか決めてもらった。

 さて、一番乗り気だったアニーは見ての通り元気よく遊んでいた。
 身体能力が高いので大きく伸びた打球を、バックスタンドを踏み台にして飛んでキャッチする。打った騎士さんが驚いているが、ずっと一緒にいた僕達も驚くよあれは。

「とったのー!」
【おお、すげぇすげぇ】
【いいジャンプだったぞアニー】

 今のでスリーアウトチェンジなので攻守入れ替えになった。満面の笑みでボールを見せてくるアニーにボルカノとゼオラが絶賛していた。

「くそ……ステラ、アニーみたいなことはできないのか!?」
「できない。あれはアニーがおかしい」
「まあ、そうだよな……」
「……」
「まだ点差は無い。落ち着いて行こうぜ」

 フォルドとステラが組んでいるのラースさんのところである。こっちは果物係のガイズさん率いるチームである。

「よーし、いいぞアニー! あっちも度肝を抜かれていると思うぜ!」
「僕達も抜かれたけどね」
「そ、そうだね……」

 気弱騎士のクレシオスさんがアニーを見て苦笑する。元気がすぎるのはいいけど怪我だけはして欲しくないと思う。

「よし、次は攻撃だ――」

 という感じでゲームは進み、途中でオオグレさんの頭とボールが入れ替わったなどのトラブルはあったものの、最終的にラースさん陣営に居た鍛冶師のグラフさんの一発がホームランとなり決着がついた。

「くあぁぁ! やっぱ鍛冶師は腕力があるんだろうな」
「鍛え方が違うぜ?」
「やるわね、さすがグラフ!」
「彼女も居るし、腹立つ……!」

 グラウンドでくたくたになったみんなが笑いあっていた。

「楽しかったねー♪」
「だな。明日帰るのが勿体ないくらいだぜ」
「そうね」
「ステラは楽しかったかい?」

 そのまま宴会をするらしい大人たちを置いて、僕達は家へ帰るため歩いていた。

「そうね。運動はあまりしないけど、楽しかった」
「それは良かったよ。ステラはあんまり表情が変わらないから気になっていたんだ」
「ふふ、ありがとう。そういえばウルカ君はこれだけ動いても大丈夫みたいね」
「え? ああ、うん。昔からそうじゃないか」
「そうね」
「? ステラちゃん変なことを言ってるの。ウルカ君は修行の時から元気ー」
「そうだぜ?」

 ステラが僕をみて口の端を上げてから僕が元気だというようなことを口にした。
 なんでいきなりそんなことを、と思っているとアニーとフォルドも同意する。

「ううん、なんでもないの。このまま元気で結婚して欲しいなって」
「あ、それはそうだねー」
【ふむ】

 ステラが腕に絡みついてくると、アニーも空いた腕に抱き着いてきた。その様子に頭上のゼオラが腕組みをしてなにか呟いていた。

「ま、ウルカはヴァンパイアハーフだから中々死なないだろ? 元気だって」
「そうね」

 先ほどまでの無表情とは違い、珍しくにっこりと微笑んでいた。
 ……この顔、どこかで……?

【……】
「クルルル!」
「あ、フォルテだ! お迎えに来てくれたのー?」
「わふ!」
「お、シルヴァもか。……タイガは相変わらず伸びてんのかな」

 家路の途中でフォルテとシルヴァがやってきて、アニーが首に抱き着いていた。
 フォルドはシルヴァを撫でまわしながらここに居ないタイガに苦笑していた。

 ゼオラのステラを見る目がやはり変わった気がするな。僕もなにか違和感がある。
 しかしそれが何故なのか、ということまではわからないのと『ステラがなにかを企んでいる』ということはないと思うので今のままでもいいかな?

 少し気になるけど、もしなにかをするならもっと前からやるべきだしね。
 その内ゼオラがなにか話してくれるかもしれない。
 というか、現状はゼオラとスレイブさんの方が謎である。

 当の本人は川へと続く水路の近くに家を建てて欲しいということで話がついた。
 あまり辺鄙な場所で幽霊がいるとイメージが悪くなるけど、あそこならまあ大丈夫かな? 幽霊は水辺を好むなあ。ゼオラもそうだったし。

 そして――

「それじゃあまたねー!」
「楽しかったぜ、また呼んでくれよ!」
「また来る」

 ――翌日、三人が町へ帰る時が来た。

「なかなかいい人間達みたいだし、安心できるわね。バスレ、ラースさんにベルナさん。今後もウルカちゃんをよろしくね」
「もちろんです奥様」
「お約束しますよ。また来られるのでしょう?」
「歓迎しますよぅ」
「一応、陛下との約束もあるしそうそう来ないつもりよ。それじゃ、また会いましょうウルカちゃん」
「うん! 父さんと兄ちゃん達によろしくね」

 僕がそういうと、母さんは『兄ちゃん達はたまにしか帰ってこないから薄情だ』と笑っていた。
 そんなやりとりの後、ラースさんの転移魔法でボルドさんの居るロッキンの町へ転移。騒がしくも楽しいメンバーが帰ってしまった。

「クルル……」
「わおーん……」
「ふにゃあ」

 見送っていた動物達は少し寂しそうだ。ハリヤーもタイガを背中に乗せたままみんなが立っていた場所をじっと見ていた。

【行っちまったな】
「うん。また会うだろうし、それが楽しみになるよ」
【いい友人を持っているな。私もそうだった】
「スレイブさんも?」

 僕が聞き返すと優しい笑顔で頷いていた。いい人なんだろうな……英雄みたいだし。

 さて、今日も家を建てるかと背伸びをしていると町の入り口……まあ、あんまり機能していないけど、そこから一台の馬車がやってきた。

「誰だろ?」
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。 しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。 そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。 その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。 (スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

処理中です...