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本編
(最終話)番と言われてもわかりませんが
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ふわふわと体が浮いている感覚がする。ふと目を開くと見覚えのある部屋に立っていた。ここは現世の俺の部屋だ。机や本棚は変わらず置かれているが、ベッドが無くなっていて代わりに仏壇が置かれている。その仏壇の前に胡座をかいて座っている1人の金髪の男性の背中が見える。これは誰だろう?
一歩踏み出してみても全く音がしない。男の肩に手を置こうとしたらその手は何も触れることなく通り抜けた。
これは夢だろか?
仏壇に目をやると手前に飾られている遺影には最後の大会で撮った陸上ユニフォーム姿の自分が写っていた。懐かしいな。もう随分昔のことのように感じる。ということはこの人は⋯と男の顔を見ると予想通り大人になった紡久だった。相変わらずの美形だな。でもハヤトさんから聞いた話では23~5歳くらいのはずだが想像よりも大人っぽい。
「伊織、俺もう35歳になったよ。」
弟が壮年の男性になってしまっていた。
紡久はおちょこを遺影の前に置いてお酒を注ぎ、自分の分を手酌で注いでぐいっと一飲みした。
「この日本酒、最近好きなんだ。俺はお酒があまり強くないから伊織も気を付けてね。」
俺はまだお酒未経験だ。異世界では特に年齢制限はなく何歳からでも飲んで良いのだが、何となく20歳になるまではと思って飲まないようにしていた。
俺は何気なくお酒を注がれたおちょこを手に持ってみた。すると幽体離脱したかのようにおちょこが分裂して手の中に収まった。もしかしてお供え物だから?よくわからないけどお酒を少し口に含む。美味しいとは思えなかった。
「伊織はあの世でどんな風に過ごしているかなぁ。好きなもの食べてる?好きなこと沢山できてる?」
お酒に弱いと言っていたようにすでに顔が赤くなっている。饒舌なのは酔っているからか?
「そうだ、俺今度結婚するんだ。」
『ええっ!おめでとう!』
聞こえていないだろうについ声を張り上げてしまった。
「俺だけが幸せになっても良いんだろうかと悩んだけどさ、きっと伊織は優しいから祝福してくれると思っているんだ。」
当たり前だ。弟の結婚だなんておめでたいことを喜ばない訳がない。
「いつか、俺があの世に行ったら沢山話をしよう。それまで沢山やりたいことをして欲しいな。」
うん、そうだな。異世界では死後どこに行くのかはわからないが、紡久に自慢できるくらい色んなことをしよう。ふいに体を引っ張られる感覚がする。ああ、ここで本当にお別れなんだと感覚でわかる。
『紡久、結婚おめでとう。俺も好きな人ができたんだ。こっちでは魔法が使えて、冒険者なんてやってるんだよ?俺も楽しんで生きていくから心配しないで幸せになってね。』
聞こえないとわかっていても声をかける。話している間に周りの空間が白く塗りつぶされていく。紡久が完全に消えてしまう直前、顔を上げ「伊織⋯?」と目が合い呼ばれたような気がしたが、その答えを知ることはできなかった。
再びふわふわとした頭でぼんやりしているとふいに幼い頃を思い出した。俺のことを「にいちゃ」と呼んでいた紡久はすぐに俺を「いおり」と呼ぶようになった。母からは「お兄ちゃんでしょ?」と言われても「みんなが"いおり"ってよぶからボクも一緒がいい!」と駄々を捏ねた。俺は弟が可愛くて仕方がなかったので呼び方なんて何でも良かった。懐かしいなと思いながら重い瞼を開くと目の前には夢で見ていた幼い紡久⋯ではなく、弟と同じ金髪碧眼の色を持ったクリスくんが俺の顔を覗き込んでいた。
「お兄ちゃん?」
ふふ、もう「兄」と呼んでくれる人はいないからちょっと嬉しいな。声が出ないので目を合わせて笑ってみせる。表情も動きがぎこちない。
「お兄ちゃんが起きたー!!うわーん!!」
突然号泣して俺に乗っかるクリスくん。ぐえっ。するとドタドタとした足音が聞こえて部屋のドアを勢い良く開いてジークが飛び込んできた。
「イオ!!目が覚めたか!?気分はどうだ?」
布団に乗り上げたクリスくんを降ろし、俺の頬を撫でながら心配そうに声をかける。
「ありがとう。気分は悪くない。」
声が掠れている。とにかく体がダルかったが、痛みはない。体を起こしてもらい水をゆっくり飲む。
「イオは3日間目を覚まさなかったんだ。」
「ええ!?」
寝すぎ!どうりで体が重いはずだ。
息を整えて落ち着いたので辺りを見回す。
「ここは?」
「俺たちの宿でここは俺が使っている部屋だ。」
「俺ジークのベッド取っちゃった?」
「構わない。他の奴のベッドで寝かせたくないしな。」
「失礼しますよ。イオ、起きたのですね。」
「イオくん心配したよー!」
ラーフさんとロロさんが部屋に入ってきた。
それから俺が寝ている間の3日間のことを軽く教えてくれた。誘拐犯たちは既に王都の騎士団が回収し取り調べ中で、クリスくんは安全が確認できるまでギルド預かりになったが、俺から離れたがらなかったのでジークたちが面倒を見ているらしい。
クリスくんが助かって良かった。気を失う前の記憶が曖昧だったのでホッとした。ん?気絶する前に俺は何を言っていた?夢と現実の境目が曖昧だ。
「とりあえずイオを休ませたいからお前ら出ていけ。」
とジークが皆を部屋から出した。
「イオ、腹は空いてないか?空いてなくても何か食べた方が良い。いつ起きても良いようにパン粥を魔法鞄で保管していたんだ。イオの好きな店のやつだぞ。」
「ねぇ、ジーク。」
「ん?」
「俺、ジークに好きだって言った?」
「ングッ!!!」
「あれ?やっぱり夢だったのかな?じゃあもっかい。俺、ジークのことが好きなんだ。」
「俺も好きだっ!!」
「え?!」
「え?」
俺が驚いた声を出すとつられるようにジークも声を上げた。
「ジークって俺のこと好きなの!?」
「当たり前だろ!」
「それは⋯番として?」
「え、いや、ああそうか。なるほど。ええ?俺、もしかして言ってなかったか?」
頭を抱えてブツブツと呟くジーク。
顔を上げたかと思うと両肩をガシッと掴まれた。
「いいかイオ。きっかけは確かに番だったからというのは否定しない。だが、一緒に依頼をして少なくない時間を過ごしてイオの中身ごと好きになった。前も言ったろ?努力を惜しまず、足りないところは工夫して、依頼人に誠実なところとか好きにならずにはいられなかった。」
「お、おお。ありがとう。じゃあ俺たちの両想いだな。」
「ああ、結婚しよう。」
「早い早い。」
何このスピード感。
「俺、恋人ができたのが初めてだからその時間も楽しみたいかな。」
「可愛い。わかった。」
その日からジークは俺を献身的に看病した。いつでも尻尾を振っていて機嫌が良さそうだ。
俺はベッドから一歩も下ろしてもらえず、移動は全てジークの抱っこ。恥ずかしすぎる。肩を貸してもらえればいいのに。食事も手ずから食べさせてくれて、トイレまで介助しようとしたのは流石に止めてもらった。
お見舞いに来たスピカさんには泣かれた。その後こまめに高級増血ポーションを準備してくれたのだが、増血ポーションは不味いので飲むのに苦労した。
たまにジークがギルマスに呼び出されて留守にするときはクリスくんとのお喋りの時間だ。その流れでクリスくんは孤児院で暮らしていると聞いた。そうか、この子も落ち人だから⋯。孤児院では優しい先生と仲の良い友達がいると楽しそうに話してくれた。元の世界のことはあまり覚えていないらしい。
歩けるようになるくらいまで回復したころ。安全が確保されたということでクリスくんが孤児院に戻ることになった。迎えに来た孤児院の先生に抱きついて泣いているクリスくんは俺と別れるときにも泣いた。
落ちてしまった筋力を少しずつ戻していき完全に回復したころ、誘拐事件が解決したので報告をすると冒険者ギルドに呼び出された。俺が聞いても良い内容なんだろうかと思ったけれど、当事者なので聞く権利はあるとギルマスは言ってくれた。
執務室の向かい合ったソファにSランクパーティメンバーと俺とギルマスが座る。このメンバーでここにいるのは臨時パーティを組むことが決まったとき以来かな。あの時と違うところは俺の隣にジークが座っていることだ。
落ち人誘拐事件はやはりあのおじさん獣人が主犯だった。え?フェネック獣人?フェネックってあの耳の大きな小さい狐みたいでものすごく可愛いフェネック?おじさんはフェネックに謝ってほしい。
事件の全貌はこうだ。
フェネック獣人の固有スキル〘盗聴〙は最近目覚めた能力らしく、スキルを使っていくうちに落ち人を金銭でやり取りする人族の貴族がいることを知った。
そこで〘盗聴〙を使って人の弱みを握り脅したり、金に困っている獣人に報酬をチラつかせて人手を増やし、獣人の国にいる落ち人を攫っては貴族に売っていた。しかし派手に動きすぎて国に警戒されるようになったので、隣国の人族の国で活動するようになった。
〘盗聴〙は万能ではなく色々と制限もあり、盗聴対象から距離が離れると使えないので、主犯でありながら本人自ら行動をしていたことにより今回確保できたのだという。
攫われた落ち人たちはすぐに保護されたのだが、既に売られてしまった落ち人たちを見つけることに時間がかかったらしい。奴隷を買うと法的に罰せられるので購入者も隠すことに必死になる。
それを探すことに利用されたのがフェネック獣人の〘盗聴〙スキルだった。盗み聞きした内容を偽りなく「自白」させることで捜査は滞りなく進み、全ての落ち人は元いた場所に帰された。
奴隷を買った貴族とフェネック獣人に協力していた獣人たちは当然罰せられることになった。刑罰は「ドワーフの国」の鉱山での強制労働だ。ドドソルニアではいつでも人員を募集していて、ドワーフの腕っぷしの強さは犯罪者相手であろうと決して負けない。魔道具を使って犯罪者が魔法を使えないようになるとどんな獣人でもドワーフには勝てない。
フェネック獣人の〘盗聴〙スキルは便利ではあるが、リスクも大きいので同じく強制労働の刑罰になった。
「そこで犯罪者たちをドドソルニアへ護送する馬車の護衛と見張りを依頼したい。」
犯罪者が複数の場合、結託して脱走しないように少人数に分けて護送する。もし犯罪者が脱走した場合、その時点で冒険者には攻撃する権利が発生する。もし攻撃により犯罪者が死亡したとしても罪には問われない。
その昔、脱走意思のない犯罪者をあえて痛めつける冒険者がいたのでこの仕事をするには強さと信頼が求められる。
「わかった。王都の収容所からだな?片道の依頼だからドドソルニアでしばらく活動していくか。」
「じゃついでに修理が必要な魔道具があるから代理で行ってきてくれ。正確な日程は騎士団から聖騎士に依頼が入ってきてからになるから泊まりの依頼は受けるなよ。」
話は終わり、全員でギルドを出る。お昼を過ぎたこの時間帯は冒険者の数が少ないので静けさすら感じる。
さぁ、俺はここで勇気を出さなければならない。いつか来ると思っていたこの日がタイミングだ。
「あ、あの!」
歩いていた3人がピタリと止まり振り返る。
「俺を、俺をパーティに正式加入させて下さい!」
足をそろえて頭を下げる。
「⋯いやとっくに正式加入してるぞ?」
「へ?」
どうやら俺とジークが想いを伝え合った次の日にはギルドで手続きは済ませていたらしい。早い。
「イオと離れる訳がないだろ?あ、もしこの地に留まりたいなら俺はそれでもいいぞ?」
「ちょっとジーク、ハロルド様の説得はご自分でお願いしますよ。」
「俺の仕事は弟もできるだろ。」
「その場合でも一度は獣人の国には戻らないといけませんよ。」
「それはそうだな。イオ、それぐらいはいいか?」
「ちょっと待ってください!」
ポンポンと何やら重要そうな会話をするジークとラーフさん。
「俺、これからもパーティにいて良いんですか?」
「当たり前だろ?」
「当たり前ですねぇ。」
「当たり前だよー!」
当然のように受け入れられていた。俺はもう少し自惚れても良いのかもしれない。
「よ、よろしくお願いします。他の国にも行ってみたいです。」
「ああ、いつでもここには戻って来られるから安心しろ。」
初めて臨時パーティを組んだときに他の国の存在を知った。まさに現世で読んでいた異世界転生の世界でドキドキして仕方がなかった。自分の実力では決して行けないから期待しないよう、考えないようにしていたが、この人達と一緒ならどこでも行ける。
その後、騎士団から正式に護送依頼が来て日程が決まった。ハヤトさんにここを離れることを報告したら今度会うときは他の国の感想を教えてくれと頭を撫でられた。そして5年間住んでいた宿を引き払い、おかみさんと挨拶を交わしたときに「戻ってきたら顔を見せにおいで」と巾着を飾り紐で結んだお守りをくれた。旅路を怪我なく過ごせるようにと願いを込められたものだ。
王都に向かうための馬車の前でギルマスとスピカさんに見送られる。スピカさんは泣いていた。
「イオ、元気でやれよ。こいつらが一緒なら命の危険はないだろうから安心して好き勝手やってこい。」
「いつでも戻ってきたらいいからね。この世界でのイオの故郷はここだよ?」
俺は精一杯の感謝を込めて礼をした。
「今までお世話になりました。いってきます。」
挨拶を交わす俺たちの後ろではジークとラーフさんがこそこそ話をしている。
「おい、ハヤトはいいのか。なんならお前は残っても⋯」
「おや?あなたの行く先が私の道ですよ。ふふっ、1度私から逃げられるチャンスをあげようかと思いまして。私無しでいつまで持つことか⋯楽しみです。」
「うわー結局逃さない気満々じゃねぇか。」
何を話しているのかは聞こえなかったがロロさんの「行くよー」の声で全員馬車に乗り込む。
隣に座ったジークの尻尾が腕に絡む。
異世界に落ちて、番と言われてもその感覚は未だにわからない。
でも俺を好きだと全身で表してくれるこの格好良くて可愛いオオカミ獣人のことを好きになった気持ちを大事にしていきたいと思う。
(終わり)
*******************************
最終話まで読んで頂きありがとうございました。この長さの小説を書くのが初めてだったので、思いつきで考えた設定を覚えていなくてあとから矛盾に気付くということがよく起こりました。もし矛盾点を見つけたら教えて頂けるとありがたいです。次からは設定表を作りながら書かないといけないなと思える良い経験をしました。
この話を考え始めた当初はイオはクーデレのイメージでしたがいつの間にか弟属性になっていたり、ジークはもっとお前は番だ!と全面に出すようなイメージでしたが思った以上に理性的で用意周到なキャラになりました。
「俺たちの旅はこれからだ」の形になりましたが、元々考えていた話がここまでだったので書くことが面倒になったわけではありません。しかしいつか続きを書きたくなったときのためにこのような形の終わり方にしました。
最後に番外編「相原の後悔」を投稿してから本作品は完結とさせて頂きます。
一歩踏み出してみても全く音がしない。男の肩に手を置こうとしたらその手は何も触れることなく通り抜けた。
これは夢だろか?
仏壇に目をやると手前に飾られている遺影には最後の大会で撮った陸上ユニフォーム姿の自分が写っていた。懐かしいな。もう随分昔のことのように感じる。ということはこの人は⋯と男の顔を見ると予想通り大人になった紡久だった。相変わらずの美形だな。でもハヤトさんから聞いた話では23~5歳くらいのはずだが想像よりも大人っぽい。
「伊織、俺もう35歳になったよ。」
弟が壮年の男性になってしまっていた。
紡久はおちょこを遺影の前に置いてお酒を注ぎ、自分の分を手酌で注いでぐいっと一飲みした。
「この日本酒、最近好きなんだ。俺はお酒があまり強くないから伊織も気を付けてね。」
俺はまだお酒未経験だ。異世界では特に年齢制限はなく何歳からでも飲んで良いのだが、何となく20歳になるまではと思って飲まないようにしていた。
俺は何気なくお酒を注がれたおちょこを手に持ってみた。すると幽体離脱したかのようにおちょこが分裂して手の中に収まった。もしかしてお供え物だから?よくわからないけどお酒を少し口に含む。美味しいとは思えなかった。
「伊織はあの世でどんな風に過ごしているかなぁ。好きなもの食べてる?好きなこと沢山できてる?」
お酒に弱いと言っていたようにすでに顔が赤くなっている。饒舌なのは酔っているからか?
「そうだ、俺今度結婚するんだ。」
『ええっ!おめでとう!』
聞こえていないだろうについ声を張り上げてしまった。
「俺だけが幸せになっても良いんだろうかと悩んだけどさ、きっと伊織は優しいから祝福してくれると思っているんだ。」
当たり前だ。弟の結婚だなんておめでたいことを喜ばない訳がない。
「いつか、俺があの世に行ったら沢山話をしよう。それまで沢山やりたいことをして欲しいな。」
うん、そうだな。異世界では死後どこに行くのかはわからないが、紡久に自慢できるくらい色んなことをしよう。ふいに体を引っ張られる感覚がする。ああ、ここで本当にお別れなんだと感覚でわかる。
『紡久、結婚おめでとう。俺も好きな人ができたんだ。こっちでは魔法が使えて、冒険者なんてやってるんだよ?俺も楽しんで生きていくから心配しないで幸せになってね。』
聞こえないとわかっていても声をかける。話している間に周りの空間が白く塗りつぶされていく。紡久が完全に消えてしまう直前、顔を上げ「伊織⋯?」と目が合い呼ばれたような気がしたが、その答えを知ることはできなかった。
再びふわふわとした頭でぼんやりしているとふいに幼い頃を思い出した。俺のことを「にいちゃ」と呼んでいた紡久はすぐに俺を「いおり」と呼ぶようになった。母からは「お兄ちゃんでしょ?」と言われても「みんなが"いおり"ってよぶからボクも一緒がいい!」と駄々を捏ねた。俺は弟が可愛くて仕方がなかったので呼び方なんて何でも良かった。懐かしいなと思いながら重い瞼を開くと目の前には夢で見ていた幼い紡久⋯ではなく、弟と同じ金髪碧眼の色を持ったクリスくんが俺の顔を覗き込んでいた。
「お兄ちゃん?」
ふふ、もう「兄」と呼んでくれる人はいないからちょっと嬉しいな。声が出ないので目を合わせて笑ってみせる。表情も動きがぎこちない。
「お兄ちゃんが起きたー!!うわーん!!」
突然号泣して俺に乗っかるクリスくん。ぐえっ。するとドタドタとした足音が聞こえて部屋のドアを勢い良く開いてジークが飛び込んできた。
「イオ!!目が覚めたか!?気分はどうだ?」
布団に乗り上げたクリスくんを降ろし、俺の頬を撫でながら心配そうに声をかける。
「ありがとう。気分は悪くない。」
声が掠れている。とにかく体がダルかったが、痛みはない。体を起こしてもらい水をゆっくり飲む。
「イオは3日間目を覚まさなかったんだ。」
「ええ!?」
寝すぎ!どうりで体が重いはずだ。
息を整えて落ち着いたので辺りを見回す。
「ここは?」
「俺たちの宿でここは俺が使っている部屋だ。」
「俺ジークのベッド取っちゃった?」
「構わない。他の奴のベッドで寝かせたくないしな。」
「失礼しますよ。イオ、起きたのですね。」
「イオくん心配したよー!」
ラーフさんとロロさんが部屋に入ってきた。
それから俺が寝ている間の3日間のことを軽く教えてくれた。誘拐犯たちは既に王都の騎士団が回収し取り調べ中で、クリスくんは安全が確認できるまでギルド預かりになったが、俺から離れたがらなかったのでジークたちが面倒を見ているらしい。
クリスくんが助かって良かった。気を失う前の記憶が曖昧だったのでホッとした。ん?気絶する前に俺は何を言っていた?夢と現実の境目が曖昧だ。
「とりあえずイオを休ませたいからお前ら出ていけ。」
とジークが皆を部屋から出した。
「イオ、腹は空いてないか?空いてなくても何か食べた方が良い。いつ起きても良いようにパン粥を魔法鞄で保管していたんだ。イオの好きな店のやつだぞ。」
「ねぇ、ジーク。」
「ん?」
「俺、ジークに好きだって言った?」
「ングッ!!!」
「あれ?やっぱり夢だったのかな?じゃあもっかい。俺、ジークのことが好きなんだ。」
「俺も好きだっ!!」
「え?!」
「え?」
俺が驚いた声を出すとつられるようにジークも声を上げた。
「ジークって俺のこと好きなの!?」
「当たり前だろ!」
「それは⋯番として?」
「え、いや、ああそうか。なるほど。ええ?俺、もしかして言ってなかったか?」
頭を抱えてブツブツと呟くジーク。
顔を上げたかと思うと両肩をガシッと掴まれた。
「いいかイオ。きっかけは確かに番だったからというのは否定しない。だが、一緒に依頼をして少なくない時間を過ごしてイオの中身ごと好きになった。前も言ったろ?努力を惜しまず、足りないところは工夫して、依頼人に誠実なところとか好きにならずにはいられなかった。」
「お、おお。ありがとう。じゃあ俺たちの両想いだな。」
「ああ、結婚しよう。」
「早い早い。」
何このスピード感。
「俺、恋人ができたのが初めてだからその時間も楽しみたいかな。」
「可愛い。わかった。」
その日からジークは俺を献身的に看病した。いつでも尻尾を振っていて機嫌が良さそうだ。
俺はベッドから一歩も下ろしてもらえず、移動は全てジークの抱っこ。恥ずかしすぎる。肩を貸してもらえればいいのに。食事も手ずから食べさせてくれて、トイレまで介助しようとしたのは流石に止めてもらった。
お見舞いに来たスピカさんには泣かれた。その後こまめに高級増血ポーションを準備してくれたのだが、増血ポーションは不味いので飲むのに苦労した。
たまにジークがギルマスに呼び出されて留守にするときはクリスくんとのお喋りの時間だ。その流れでクリスくんは孤児院で暮らしていると聞いた。そうか、この子も落ち人だから⋯。孤児院では優しい先生と仲の良い友達がいると楽しそうに話してくれた。元の世界のことはあまり覚えていないらしい。
歩けるようになるくらいまで回復したころ。安全が確保されたということでクリスくんが孤児院に戻ることになった。迎えに来た孤児院の先生に抱きついて泣いているクリスくんは俺と別れるときにも泣いた。
落ちてしまった筋力を少しずつ戻していき完全に回復したころ、誘拐事件が解決したので報告をすると冒険者ギルドに呼び出された。俺が聞いても良い内容なんだろうかと思ったけれど、当事者なので聞く権利はあるとギルマスは言ってくれた。
執務室の向かい合ったソファにSランクパーティメンバーと俺とギルマスが座る。このメンバーでここにいるのは臨時パーティを組むことが決まったとき以来かな。あの時と違うところは俺の隣にジークが座っていることだ。
落ち人誘拐事件はやはりあのおじさん獣人が主犯だった。え?フェネック獣人?フェネックってあの耳の大きな小さい狐みたいでものすごく可愛いフェネック?おじさんはフェネックに謝ってほしい。
事件の全貌はこうだ。
フェネック獣人の固有スキル〘盗聴〙は最近目覚めた能力らしく、スキルを使っていくうちに落ち人を金銭でやり取りする人族の貴族がいることを知った。
そこで〘盗聴〙を使って人の弱みを握り脅したり、金に困っている獣人に報酬をチラつかせて人手を増やし、獣人の国にいる落ち人を攫っては貴族に売っていた。しかし派手に動きすぎて国に警戒されるようになったので、隣国の人族の国で活動するようになった。
〘盗聴〙は万能ではなく色々と制限もあり、盗聴対象から距離が離れると使えないので、主犯でありながら本人自ら行動をしていたことにより今回確保できたのだという。
攫われた落ち人たちはすぐに保護されたのだが、既に売られてしまった落ち人たちを見つけることに時間がかかったらしい。奴隷を買うと法的に罰せられるので購入者も隠すことに必死になる。
それを探すことに利用されたのがフェネック獣人の〘盗聴〙スキルだった。盗み聞きした内容を偽りなく「自白」させることで捜査は滞りなく進み、全ての落ち人は元いた場所に帰された。
奴隷を買った貴族とフェネック獣人に協力していた獣人たちは当然罰せられることになった。刑罰は「ドワーフの国」の鉱山での強制労働だ。ドドソルニアではいつでも人員を募集していて、ドワーフの腕っぷしの強さは犯罪者相手であろうと決して負けない。魔道具を使って犯罪者が魔法を使えないようになるとどんな獣人でもドワーフには勝てない。
フェネック獣人の〘盗聴〙スキルは便利ではあるが、リスクも大きいので同じく強制労働の刑罰になった。
「そこで犯罪者たちをドドソルニアへ護送する馬車の護衛と見張りを依頼したい。」
犯罪者が複数の場合、結託して脱走しないように少人数に分けて護送する。もし犯罪者が脱走した場合、その時点で冒険者には攻撃する権利が発生する。もし攻撃により犯罪者が死亡したとしても罪には問われない。
その昔、脱走意思のない犯罪者をあえて痛めつける冒険者がいたのでこの仕事をするには強さと信頼が求められる。
「わかった。王都の収容所からだな?片道の依頼だからドドソルニアでしばらく活動していくか。」
「じゃついでに修理が必要な魔道具があるから代理で行ってきてくれ。正確な日程は騎士団から聖騎士に依頼が入ってきてからになるから泊まりの依頼は受けるなよ。」
話は終わり、全員でギルドを出る。お昼を過ぎたこの時間帯は冒険者の数が少ないので静けさすら感じる。
さぁ、俺はここで勇気を出さなければならない。いつか来ると思っていたこの日がタイミングだ。
「あ、あの!」
歩いていた3人がピタリと止まり振り返る。
「俺を、俺をパーティに正式加入させて下さい!」
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「⋯いやとっくに正式加入してるぞ?」
「へ?」
どうやら俺とジークが想いを伝え合った次の日にはギルドで手続きは済ませていたらしい。早い。
「イオと離れる訳がないだろ?あ、もしこの地に留まりたいなら俺はそれでもいいぞ?」
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「俺の仕事は弟もできるだろ。」
「その場合でも一度は獣人の国には戻らないといけませんよ。」
「それはそうだな。イオ、それぐらいはいいか?」
「ちょっと待ってください!」
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「当たり前だろ?」
「当たり前ですねぇ。」
「当たり前だよー!」
当然のように受け入れられていた。俺はもう少し自惚れても良いのかもしれない。
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「イオ、元気でやれよ。こいつらが一緒なら命の危険はないだろうから安心して好き勝手やってこい。」
「いつでも戻ってきたらいいからね。この世界でのイオの故郷はここだよ?」
俺は精一杯の感謝を込めて礼をした。
「今までお世話になりました。いってきます。」
挨拶を交わす俺たちの後ろではジークとラーフさんがこそこそ話をしている。
「おい、ハヤトはいいのか。なんならお前は残っても⋯」
「おや?あなたの行く先が私の道ですよ。ふふっ、1度私から逃げられるチャンスをあげようかと思いまして。私無しでいつまで持つことか⋯楽しみです。」
「うわー結局逃さない気満々じゃねぇか。」
何を話しているのかは聞こえなかったがロロさんの「行くよー」の声で全員馬車に乗り込む。
隣に座ったジークの尻尾が腕に絡む。
異世界に落ちて、番と言われてもその感覚は未だにわからない。
でも俺を好きだと全身で表してくれるこの格好良くて可愛いオオカミ獣人のことを好きになった気持ちを大事にしていきたいと思う。
(終わり)
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最終話まで読んで頂きありがとうございました。この長さの小説を書くのが初めてだったので、思いつきで考えた設定を覚えていなくてあとから矛盾に気付くということがよく起こりました。もし矛盾点を見つけたら教えて頂けるとありがたいです。次からは設定表を作りながら書かないといけないなと思える良い経験をしました。
この話を考え始めた当初はイオはクーデレのイメージでしたがいつの間にか弟属性になっていたり、ジークはもっとお前は番だ!と全面に出すようなイメージでしたが思った以上に理性的で用意周到なキャラになりました。
「俺たちの旅はこれからだ」の形になりましたが、元々考えていた話がここまでだったので書くことが面倒になったわけではありません。しかしいつか続きを書きたくなったときのためにこのような形の終わり方にしました。
最後に番外編「相原の後悔」を投稿してから本作品は完結とさせて頂きます。
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鋭く澄んだ眼差し
鍛え上げられた筋骨隆々の体躯
を持ち、外見こそ威圧的だが、礼節と合理性を重んじる国民性をしている。
異世界から来る存在は非常に珍しい。
しかしオークは千年を生きる種族ゆえ、**長い歴史の中で「時折起こる出来事」**として、記録にも記憶にも残されてきた。
⸻
■ ガスパールというオーク
ガスパールは、この国でも名の知れた貴族家系の三男として生まれた。
薄く灰を帯びた緑の肌、
赤い虹彩に金色の瞳孔という、どこか神話的な目。
分厚い肩と胸板、鍛え抜かれた腹筋は鎧に覆われずとも堅牢で、
銀色に輝く胸当てと腰当てには、代々受け継がれてきた宝石が嵌め込まれている。
ざらついた低音の声だが、語調は穏やかで、
貴族らしい品と、年齢を重ねた余裕がにじむ話し方をする。
● 彼の性格
• 極めて面倒見がよく、観察力が高い
• 感情を声高に表に出さないが、内側は情に厚い
• 責任を引き受けることを当然のように思っている
• 自分が誰かに寄りかかることだけは、少し苦手
どこか「自分は脇役でいい」と思っている節があり、それが彼の誠実さと同時に、不器用さでもあった。
⸻
■ 過去と喪失 ――愛したオーク
ガスパールはかつて、平民出身のオーク男性と結ばれていた。
家柄も立場も違う相手だったが、
彼はその伴侶の、
不器用な優しさ
朝食を焦がしてしまうところ
眠る前に必ず手を探してくる癖
を、何よりも大切にしていた。
しかし、その伴侶はすでにこの世を去っている。
現在ガスパールが暮らしているのは、
貴族街から少し離れた、二階建ての小さな屋敷。
華美ではないが、掃除が行き届き、静かな温もりのある家だ。
彼は今も毎日のように墓参りを欠かさない。
それは悲嘆というより、対話に近い行為だった。
⸻
■ 現在の生活
ガスパールは現在、
街の流通を取り仕切る代表的な役職に就いている。
多忙な職務の合間にも、
洗濯、掃除、料理
帳簿の整理
屋敷の修繕
をすべて自分でこなす。
仕事、家事、墓参り。
規則正しく、静かな日々。
――あなたが現れるまでは。
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