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ドドソルニア編
護衛依頼
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街を出てひたすら歩く。この辺りは森というより林なので見通しは悪くない。目的の素材が採れる洞窟までの道のりはシエロさん任せなので後ろからついて行く。護衛なので前を歩かなければならないかと思いきや、人によって形は異なるらしい。俺が初めての護衛依頼だということで心配したロランがシエロさんを護衛するための注意事項を教えてくれた。
本格的に護衛が必要なのは採掘を始めてからで、道中はシエロさんの補佐のつもりで動けば良いとのこと。そして会話が成り立たなくても気にするなと言われた。確かに街を出てから一言も喋らない。終始無言だ。
仕事中に私語はしない人もいるだろうし、たまたま護衛をすることになっただけの冒険者と親睦を深める義務はシエロさんにはないだろうと思い、俺も必要最低限の声がけだけしている。
しばらく歩くと前方から「河馬鼠」が3頭飛び出してきた。見た目は現世のカピバラに似ているが、3本の角と鋭い牙が生えている。動きは素早いが単調なので討伐ランクは低い。
シエロさんは素早い動作で腰に差した武器を手に取り、2頭を一瞬で斬り伏せた。俺は残りの1頭をさくっと処理する。よし、ランクの低い魔獣は苦労することなく討伐できるようになったぞ。そしてずっと気になっていたのだが、シエロさんの武器は刀だった。腰に差した鞘を見てからもしやと思っていたが間違いなかった。
「日本刀だ⋯」
思わず呟くとシエロさんは鞘に刀を収めてこちらを向いた。
「知ってるの?俺の師匠が刀鍛冶専門の職人だったんだ。確か師匠の知り合いのサムライ?に感銘を受けてとか言ってたな。」
侍の落ち人か。こんなところで日本の文化に出会えるとは思わなかったな。そしてこの人は刀鍛冶の弟子なのに刀は作ってないんだなと思ったが、鍛冶の世界を知らないので余計なことは言わないでおこう。再び無言で歩き始める。たまに魔獣と出くわすが、難なく2人で討伐していく。それにしても職人なのに強いな。ドワーフは身体能力が高いと聞いていたがこういうことなんだろな。
それからしばらく歩いて小さな洞窟に着いた。ここまで魔獣だけで野党には会わなかった。1人で護衛依頼をするときに真っ先に心配したのが「人間相手の場合はどうするか」だった。今までは野党に襲われた場合でもジークたちが一瞬で制圧するので俺の役目は無かった。野党は躊躇なく殺しにくる。ジークたちほどの実力差があれば簡単に無力化できるが、俺は相手を殺すつもりでないとやられてしまう。しかし自分にはまだその覚悟はできていない。
なのでいざというときのために複数で襲われたとき用のシミュレーションをこの数日間ジークたちに協力してもらった。魔法鞄にも相手を痺れさせる薬草や目潰し、拘束するためのロープを入れている。
この魔法鞄は以前奮発して新しく買ったもので、容量を増やして時間停止効果のあるものを選んだのだが、この護衛依頼のためにあれもこれもと入れていたら満帆になってしまった。
洞窟に入る前に魔獣避けの香草を焚いておく。これで入り口から入ってくる魔獣に気を遣わなくてよくなるので格段に護衛がしやすくなる。シエロさんはランタン型の魔道具を取り出して腰に付けたかと思うといきなり走り出した。
「ええ!?」
もしかしてこれが「ドワーフは急に走り出す」ってやつか!?スタートは遅れたが足場の悪い洞窟なのですぐに追い付いた。洞窟内はところどころ大きな岩が道を狭くしている。それを避けながら小走りで奥へ奥へと進んでいくと開けた所に着き、そこには小さな湖が広がっていた。
「ここで採掘する。」
と一言呟いてシエロさんは荷物を壁際に置いた。道具を取り出し、湖の際まで行くと柄杓のような物で湖の水を掬い、洞窟の壁に水をぶっかけた。すると水をかけられた場所の一部がうっすらとオレンジ色に光り、そこをめがけてハンマーとタガネで叩き出した。
オレンジ色はしばらくすると消えていき、シエロさんはその度に水をかけて再び光らせて叩くという動作を繰り返した。周りが一切見えていない様子に、なるほどこれが護衛が必要な理由なのかと納得した。
俺はシエロさんの周りを囲むように魔獣避けの香草を焚き、ランタン型魔道具の光の強さを弱め、光らせる範囲を広げた。魔道具は無限に使用できるわけではない。中の魔石に込められた魔力が切れると使えなくなる。魔石とは魔力を帯びている石のことで、魔獣が持っている核のことだ。核を持つ生き物を共通で魔獣と呼び、蟲型は魔蟲と呼ぶ。冒険者はこの魔獣を討伐して体からは素材を、体内から魔石を取り出しお金に変える。
魔獣が持っている核は天然魔石と呼ばれ、空の魔石に魔力を込めたものは人工魔石と呼ばれる。
カンカンと岩を砕く音が洞窟内に響く。俺は少し離れて全体を見渡せる位置にある岩に腰掛けた。護衛時間がいつまで続くかわからないので体力は温存しておきたい。俺は目視で周囲を警戒する方法と、魔力を周囲に巡らせて感知する方法を交互に使うことにした。これで魔力も節約できる。気配を読むことは前から得意だ。たまに湖から出てくる小物の魔獣を討伐しつつ、周囲を警戒し続ける。
洞窟内からは外の様子が見えないので時間感覚が掴み辛い。「お腹が空いてきたな」と思った頃に岩を砕く音が止まった。シエロさんの周りには大小の石が沢山転がっていて、今度はその石を先程より一回り小さい道具で叩き始めた。再び石を砕く音が洞窟内に響く。それから石を砕いて魔法鞄に収めるという動作が続けられた。
長い時間をかけて作業をしていたシエロさんが「もう入らないな」と一言呟いた。どうやら魔法鞄の許容量満杯まで鉱石が入ったようだ。
お昼の時間はとっくに過ぎていて、体感的には夕方近くになっている。食事もせずに作業に没頭していたシエロさんは「お腹すいた⋯」と言いながらフラフラと俺の方へ歩いてきて向かいの岩に腰掛けた。そして腰の小さな鞄から干し肉を取り出して齧りついた。
「シエロさんの食事ってそれだけですか?」
「うん⋯」
「俺多めに持ってきたので食べますか?」
「食べる⋯」
何があるのかわからないので多めに食事を用意していて良かった。俺は魔法鞄に入れていた固めのパンに肉を挟んだサンドイッチのようなものを取り出した。時間停止の効果でいつでも出来立てを食べられる。
「足りなかったらまだありますからね。」
「ん」
渡したパンをもぐもぐ食べ始めるシエロさん。これしか持ってきていなかったから好き嫌いは聞かなかったけれど問題なさそうだ。シエロさんはサンドイッチを2つ食べてからこの場を撤収することになった。
洞窟から出ると外はすっかり暗くなっていた。初めての護衛依頼でかなり気疲れしていたが、ギルドに着くまでが護衛だと気を引き締める。夜の林は昼とは違った生態系になるので注意が必要だが、特に問題なく対処して街に着いた。ギルドに向かうとものすごい勢いで走ってくる人がいるなと思ったらジークとロランだった。
「師匠ー!!こんな時間まで何やってたのー!」
「イオ無事か?何かトラブルでもあったのか?」
ええ?何事?と不思議に思ったがとりあえず依頼達成報告だけ先にさせてもらった。改めて話を聞くといつものシエロさんなら採掘は昼過ぎに終わっているはずなのに、暗くなっても俺たちが帰ってこないので心配したロランと、同じく心配していたジークは一緒になってギルド前で待っていたらしい。
「確かに予定より遅かったら心配するよね。ごめん。」
「そうだよ!師匠も何でこんなに遅くなったの?いつもなら護衛の冒険者に引きずられて帰ってくるのに!」
引きずられて?なぜ?
話に聞くとドワーフは時間を忘れて作業に没頭するので、食事や切り上げる時間は護衛の冒険者が判断して無理やり終わらせることが多いらしい。きっと護衛依頼の達成金は時間に関係なく一律だからだろうな。
確かにロランと護衛について話したときに「言うこと聞かなかったら殴ってもいいよ。」と物騒なことを言われたが、そういうことだったのか。
「いやでも満足するまでやってもらうのが1番良いだろうし。」
「⋯気に入った。次も護衛依頼出すからやってね。じゃ。」
一方的に話を切り上げてシエロさんはスタスタと歩いていった。
「待って師匠!イオ護衛ご苦労さま。またね。」
ロランは慌ててシエロさんについていった。俺はなんだがシエロさんに気に入られたようだ。
遅い時間なので宿の食堂は閉まっていたが宿泊客に冒険者が多い宿なので、夕食を注文していて食べられない場合は箱詰めされて部屋のテーブルに置いてもらえる。この箱は簡易魔道具で中の食べ物の質を保ったまま保存できる。ただし、こうなった場合は箱の魔道具は買い取りになってしまうので要注意だ。期限は1日だけの使い捨て魔道具なのでそこまで高価ではないが何日も続くとなかなかの出費になる。
ジークの部屋に入るとテーブルの上に箱詰めされた食事が置いてあった。
「あれ?ジークはまだ食べてなかったの?」
「イオの帰りが遅くて心配で⋯」
「そっか、じゃあ一緒に食べよう。」
俺は自分の部屋に置かれている食事箱を持ってきてジークの部屋で食べた。洞窟でパンを食べてからあまり時間が経っていないので全部は食べられなかったが、残した分はジークが食べた。
「護衛って護衛のことだけを考えるわけではないんだね。」
「う~ん、いや~アイツほどでは⋯いや職人は皆似たようなもんかな。前もって言っておけば良かったな。」
「ううん、これも経験だよ。今度も依頼してくれるみたいだから次はご飯の時間と終わる時間を意識してみる⋯ふぁ~。」
話していると欠伸が出た。
「はは、疲れたか?」
「うん、やっぱり"人を守る"って色々と違うね。」
シャワーを浴びて寝ようかなと思ったらジークに抱え込まれてベッドに2人で転がった。抱きしめられたまま匂いを嗅がれる。
「ジーク!俺まだシャワーしてない!」
今日1日の汗と洞窟の土と魔獣の血で汚れた体なのに!
「俺は気にしないが⋯これでいいだろ?」
と俺に浄化魔法をかけた。そして軽いキスから深い舌を絡めるキスに移りながら俺の体に触れていく。
この数日、最初は添い寝だけだったが少しずつ触れ合いに慣れていくという目的でジークに触られるようになっていた。
何の経験もなく男同士でする考えも無かった俺に合わせて、まずは触れ合いに慣れることからだな言われてこの行為は始まった。
最初は服の上から触れるだけ、それから服の下、上半身から下半身へと少しずつ触れ合いは進んでいった。
元々性欲はあまりなく、たまに事務的に処理していただけだった。この世界に来て魔力を体内でコントロールすることができるようになると、魔力の巡りと共に鎮まっていったのでここ数年は自分で触りもしなかった。そのため初めて下半身を触られたときはすぐに達してしまい羞恥心で爆発しそうだったが、嫌悪感は湧かなかった。
俺も少しずつジークに触れるようになった。割れた腹筋も逞しい胸筋も見惚れるほど素晴らしく、程よい弾力で触ると心地良かった。
そして初めてジークのジークを見たとき、その大きさに思わず凝視してしまった。これを入れるの?無理じゃない?え?入るの?という俺の静かなパニックを察して「いきなりはしないから、まずは俺に慣れて?」と言って触ることに抵抗が無くなるまで少しずつ触れ合いが増やされていった。
***************************
・冒険者たちのトイレ事情
女性冒険者も含めてその辺でする。匂いで寄ってくる魔獣もいるので消臭効果のある薬草と一緒に埋める。
浄化魔法があるから大でも大丈夫。
本格的に護衛が必要なのは採掘を始めてからで、道中はシエロさんの補佐のつもりで動けば良いとのこと。そして会話が成り立たなくても気にするなと言われた。確かに街を出てから一言も喋らない。終始無言だ。
仕事中に私語はしない人もいるだろうし、たまたま護衛をすることになっただけの冒険者と親睦を深める義務はシエロさんにはないだろうと思い、俺も必要最低限の声がけだけしている。
しばらく歩くと前方から「河馬鼠」が3頭飛び出してきた。見た目は現世のカピバラに似ているが、3本の角と鋭い牙が生えている。動きは素早いが単調なので討伐ランクは低い。
シエロさんは素早い動作で腰に差した武器を手に取り、2頭を一瞬で斬り伏せた。俺は残りの1頭をさくっと処理する。よし、ランクの低い魔獣は苦労することなく討伐できるようになったぞ。そしてずっと気になっていたのだが、シエロさんの武器は刀だった。腰に差した鞘を見てからもしやと思っていたが間違いなかった。
「日本刀だ⋯」
思わず呟くとシエロさんは鞘に刀を収めてこちらを向いた。
「知ってるの?俺の師匠が刀鍛冶専門の職人だったんだ。確か師匠の知り合いのサムライ?に感銘を受けてとか言ってたな。」
侍の落ち人か。こんなところで日本の文化に出会えるとは思わなかったな。そしてこの人は刀鍛冶の弟子なのに刀は作ってないんだなと思ったが、鍛冶の世界を知らないので余計なことは言わないでおこう。再び無言で歩き始める。たまに魔獣と出くわすが、難なく2人で討伐していく。それにしても職人なのに強いな。ドワーフは身体能力が高いと聞いていたがこういうことなんだろな。
それからしばらく歩いて小さな洞窟に着いた。ここまで魔獣だけで野党には会わなかった。1人で護衛依頼をするときに真っ先に心配したのが「人間相手の場合はどうするか」だった。今までは野党に襲われた場合でもジークたちが一瞬で制圧するので俺の役目は無かった。野党は躊躇なく殺しにくる。ジークたちほどの実力差があれば簡単に無力化できるが、俺は相手を殺すつもりでないとやられてしまう。しかし自分にはまだその覚悟はできていない。
なのでいざというときのために複数で襲われたとき用のシミュレーションをこの数日間ジークたちに協力してもらった。魔法鞄にも相手を痺れさせる薬草や目潰し、拘束するためのロープを入れている。
この魔法鞄は以前奮発して新しく買ったもので、容量を増やして時間停止効果のあるものを選んだのだが、この護衛依頼のためにあれもこれもと入れていたら満帆になってしまった。
洞窟に入る前に魔獣避けの香草を焚いておく。これで入り口から入ってくる魔獣に気を遣わなくてよくなるので格段に護衛がしやすくなる。シエロさんはランタン型の魔道具を取り出して腰に付けたかと思うといきなり走り出した。
「ええ!?」
もしかしてこれが「ドワーフは急に走り出す」ってやつか!?スタートは遅れたが足場の悪い洞窟なのですぐに追い付いた。洞窟内はところどころ大きな岩が道を狭くしている。それを避けながら小走りで奥へ奥へと進んでいくと開けた所に着き、そこには小さな湖が広がっていた。
「ここで採掘する。」
と一言呟いてシエロさんは荷物を壁際に置いた。道具を取り出し、湖の際まで行くと柄杓のような物で湖の水を掬い、洞窟の壁に水をぶっかけた。すると水をかけられた場所の一部がうっすらとオレンジ色に光り、そこをめがけてハンマーとタガネで叩き出した。
オレンジ色はしばらくすると消えていき、シエロさんはその度に水をかけて再び光らせて叩くという動作を繰り返した。周りが一切見えていない様子に、なるほどこれが護衛が必要な理由なのかと納得した。
俺はシエロさんの周りを囲むように魔獣避けの香草を焚き、ランタン型魔道具の光の強さを弱め、光らせる範囲を広げた。魔道具は無限に使用できるわけではない。中の魔石に込められた魔力が切れると使えなくなる。魔石とは魔力を帯びている石のことで、魔獣が持っている核のことだ。核を持つ生き物を共通で魔獣と呼び、蟲型は魔蟲と呼ぶ。冒険者はこの魔獣を討伐して体からは素材を、体内から魔石を取り出しお金に変える。
魔獣が持っている核は天然魔石と呼ばれ、空の魔石に魔力を込めたものは人工魔石と呼ばれる。
カンカンと岩を砕く音が洞窟内に響く。俺は少し離れて全体を見渡せる位置にある岩に腰掛けた。護衛時間がいつまで続くかわからないので体力は温存しておきたい。俺は目視で周囲を警戒する方法と、魔力を周囲に巡らせて感知する方法を交互に使うことにした。これで魔力も節約できる。気配を読むことは前から得意だ。たまに湖から出てくる小物の魔獣を討伐しつつ、周囲を警戒し続ける。
洞窟内からは外の様子が見えないので時間感覚が掴み辛い。「お腹が空いてきたな」と思った頃に岩を砕く音が止まった。シエロさんの周りには大小の石が沢山転がっていて、今度はその石を先程より一回り小さい道具で叩き始めた。再び石を砕く音が洞窟内に響く。それから石を砕いて魔法鞄に収めるという動作が続けられた。
長い時間をかけて作業をしていたシエロさんが「もう入らないな」と一言呟いた。どうやら魔法鞄の許容量満杯まで鉱石が入ったようだ。
お昼の時間はとっくに過ぎていて、体感的には夕方近くになっている。食事もせずに作業に没頭していたシエロさんは「お腹すいた⋯」と言いながらフラフラと俺の方へ歩いてきて向かいの岩に腰掛けた。そして腰の小さな鞄から干し肉を取り出して齧りついた。
「シエロさんの食事ってそれだけですか?」
「うん⋯」
「俺多めに持ってきたので食べますか?」
「食べる⋯」
何があるのかわからないので多めに食事を用意していて良かった。俺は魔法鞄に入れていた固めのパンに肉を挟んだサンドイッチのようなものを取り出した。時間停止の効果でいつでも出来立てを食べられる。
「足りなかったらまだありますからね。」
「ん」
渡したパンをもぐもぐ食べ始めるシエロさん。これしか持ってきていなかったから好き嫌いは聞かなかったけれど問題なさそうだ。シエロさんはサンドイッチを2つ食べてからこの場を撤収することになった。
洞窟から出ると外はすっかり暗くなっていた。初めての護衛依頼でかなり気疲れしていたが、ギルドに着くまでが護衛だと気を引き締める。夜の林は昼とは違った生態系になるので注意が必要だが、特に問題なく対処して街に着いた。ギルドに向かうとものすごい勢いで走ってくる人がいるなと思ったらジークとロランだった。
「師匠ー!!こんな時間まで何やってたのー!」
「イオ無事か?何かトラブルでもあったのか?」
ええ?何事?と不思議に思ったがとりあえず依頼達成報告だけ先にさせてもらった。改めて話を聞くといつものシエロさんなら採掘は昼過ぎに終わっているはずなのに、暗くなっても俺たちが帰ってこないので心配したロランと、同じく心配していたジークは一緒になってギルド前で待っていたらしい。
「確かに予定より遅かったら心配するよね。ごめん。」
「そうだよ!師匠も何でこんなに遅くなったの?いつもなら護衛の冒険者に引きずられて帰ってくるのに!」
引きずられて?なぜ?
話に聞くとドワーフは時間を忘れて作業に没頭するので、食事や切り上げる時間は護衛の冒険者が判断して無理やり終わらせることが多いらしい。きっと護衛依頼の達成金は時間に関係なく一律だからだろうな。
確かにロランと護衛について話したときに「言うこと聞かなかったら殴ってもいいよ。」と物騒なことを言われたが、そういうことだったのか。
「いやでも満足するまでやってもらうのが1番良いだろうし。」
「⋯気に入った。次も護衛依頼出すからやってね。じゃ。」
一方的に話を切り上げてシエロさんはスタスタと歩いていった。
「待って師匠!イオ護衛ご苦労さま。またね。」
ロランは慌ててシエロさんについていった。俺はなんだがシエロさんに気に入られたようだ。
遅い時間なので宿の食堂は閉まっていたが宿泊客に冒険者が多い宿なので、夕食を注文していて食べられない場合は箱詰めされて部屋のテーブルに置いてもらえる。この箱は簡易魔道具で中の食べ物の質を保ったまま保存できる。ただし、こうなった場合は箱の魔道具は買い取りになってしまうので要注意だ。期限は1日だけの使い捨て魔道具なのでそこまで高価ではないが何日も続くとなかなかの出費になる。
ジークの部屋に入るとテーブルの上に箱詰めされた食事が置いてあった。
「あれ?ジークはまだ食べてなかったの?」
「イオの帰りが遅くて心配で⋯」
「そっか、じゃあ一緒に食べよう。」
俺は自分の部屋に置かれている食事箱を持ってきてジークの部屋で食べた。洞窟でパンを食べてからあまり時間が経っていないので全部は食べられなかったが、残した分はジークが食べた。
「護衛って護衛のことだけを考えるわけではないんだね。」
「う~ん、いや~アイツほどでは⋯いや職人は皆似たようなもんかな。前もって言っておけば良かったな。」
「ううん、これも経験だよ。今度も依頼してくれるみたいだから次はご飯の時間と終わる時間を意識してみる⋯ふぁ~。」
話していると欠伸が出た。
「はは、疲れたか?」
「うん、やっぱり"人を守る"って色々と違うね。」
シャワーを浴びて寝ようかなと思ったらジークに抱え込まれてベッドに2人で転がった。抱きしめられたまま匂いを嗅がれる。
「ジーク!俺まだシャワーしてない!」
今日1日の汗と洞窟の土と魔獣の血で汚れた体なのに!
「俺は気にしないが⋯これでいいだろ?」
と俺に浄化魔法をかけた。そして軽いキスから深い舌を絡めるキスに移りながら俺の体に触れていく。
この数日、最初は添い寝だけだったが少しずつ触れ合いに慣れていくという目的でジークに触られるようになっていた。
何の経験もなく男同士でする考えも無かった俺に合わせて、まずは触れ合いに慣れることからだな言われてこの行為は始まった。
最初は服の上から触れるだけ、それから服の下、上半身から下半身へと少しずつ触れ合いは進んでいった。
元々性欲はあまりなく、たまに事務的に処理していただけだった。この世界に来て魔力を体内でコントロールすることができるようになると、魔力の巡りと共に鎮まっていったのでここ数年は自分で触りもしなかった。そのため初めて下半身を触られたときはすぐに達してしまい羞恥心で爆発しそうだったが、嫌悪感は湧かなかった。
俺も少しずつジークに触れるようになった。割れた腹筋も逞しい胸筋も見惚れるほど素晴らしく、程よい弾力で触ると心地良かった。
そして初めてジークのジークを見たとき、その大きさに思わず凝視してしまった。これを入れるの?無理じゃない?え?入るの?という俺の静かなパニックを察して「いきなりはしないから、まずは俺に慣れて?」と言って触ることに抵抗が無くなるまで少しずつ触れ合いが増やされていった。
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