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第十一話 魔族がやってきた
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第十一話 魔族がやってきた
その魔族は、たしかに「デーモン・チーフ」だ。頭部に、かなり大きな一本角があるからだ。
王立魔法学園では、授業で習う。魔族や魔王軍について。
教科書には、魔族のイラストも掲載されている。
大きな一本角があれば、デーモン・チーフだ。魔王軍の下級将校といったところで、小隊長や中隊長クラスだ。
大きな角が二本あれば、「デーモン・ゼネラル」で、大隊長や連隊長クラス。
大きな角が三本あれば、「デーモン・ロード」だ。人間の国に侵攻する魔王軍の総司令官だ。魔王国の幹部、もしくは魔王の実子のこともあるようだ。
デーモン・チーフもデーモン・ゼネラルも、人間側の勝手な呼称だ。
魔王軍は、数百年前から、不定期的に人間の国を侵略してきた。夏の間だけだが。
魔王が支配する魔王国は、南方山岳地帯の南側だ。
この異世界では、現在、人間が支配する国は、中央王国と、その周辺の小国だけだ。
中央王国の国境は、南は南方山岳地帯の北側、北は北方山岳地帯の南側だ。東は東方砂漠地帯の西側で、西は西方草原地帯の東側だ。
中央王国は、五百年以上前は、東西南北の人間の国々と、交流があった。侵略も含めて。
中央王国の第一王朝と第二王朝時代は、東方帝国から二度にわたって大規模な侵略を受けた。現在の東部州は東方帝国に占領され、東方人が移住した。
第一王朝時代は、西方のヘレニズム諸国などと友好的な交流があった。第二王朝時代は、西方帝国から侵略を受け、現在の西部州を占領された。そのため西部州には、西方人系の金髪碧眼の人々が多い。
第一王朝時代までは、南方山岳地帯の南側には、人間の国があった。南方人による南方帝国だ。南方人は髪と瞳の色が黒で、肌が浅黒い。インド系の人々だ。高度に発達した手工業と黒魔術で、高度な文明を築いていた。
だが、今から七百年ほど前、中央王国第一王朝時代の末期、南方帝国に、魔族が出現した。ある日、突然。
黒魔術で、異世界から呼び寄せてしまったのではないか、との説もある。
逆に、魔族のほうが自ら異世界転移してきたのだ、との説もある。
南方帝国は、滅亡した。魔族の攻撃によって。
その際、多くの南方人が難民として、中央王国に避難してきた。その結果、現在の南部州には、南方人が多く居住している。
中央王国は、第一王朝滅亡後、五十年間ほどの内戦をへて、第二王朝が成立した。
第二王朝滅亡後、中央王国は、百年にわたる大内戦時代となった。
四百年ほど前、第三王朝が成立した。現在まで続いている王朝だ。
中央王国第三王朝時代になってからは、東方帝国との交流も、西方帝国との交流も途絶えている。
理由は、気候の乾燥化と寒冷化だ。
東方砂漠地帯は、ラクダを用いた隊商で横断できなくなった。東方砂漠地帯の東側のオアシス諸都市が、消滅してしまったからだ。オアシスの水が枯れたために。
西方草原地帯も、馬による隊商で横断できなくなった。西方草原地帯の西側の草原が、砂漠化したからだ。
現在、東方帝国や西方帝国がどうなっているかは、誰も知らない。健在かもしれないが、滅亡しているかもしれない。
すでに人間が支配する国は、中央王国と、その周辺の小国だけかもしれない。
羽をたたんだデーモン・チーフが、一歩一歩、近づいてきた。ゆっくりと。
パニックに陥った。女生徒たちが。
彼女たちは、トッキロの後方へと移動した。
トッキロが、デーモン・チーフと対峙することになった。
毒薔薇姫が、尋ねた。
「魔族って、炎を口から吐くんだっけ?」
「それは、スカイ・ドラゴンよ」
動揺を抑えながら、毒蛇姫が答えた。
「だけど、魔族は炎を使うって、授業で聞いた気がするわ」
「火炎魔法よ。あたしたち人間の魔法使いよりも、はるかに強力だそうよ。人間ならば、AランクやSランク魔法使いに相当するとか」
「そんなの、わたしたちが勝てるわけないじゃない」
毒薔薇姫は、涙目になった。
王立魔法学園南校を卒業すると、自動的にBランク魔法使いとして登録される。
教師に賄賂を渡せば、卒業試験にも合格させてもらえる。
だが、賄賂でなれるのは、Bランクまでだ。
賄賂でAランクになることはできない。
王立魔法学園南校の卒業生で、Aランク魔法使いになれるのは、数年に一人くらいだ。
サソリ姫が、引きつった表情で口を開いた。
「そのうえ魔族は、身体能力は人間をはるかに上回り、驚異的な再生能力があるとか」
「そんなの、ムリムリ。そんな敵、どうすんのよ!」
毒薔薇姫が泣き叫んだ。
それに、多くの少女たちも、泣き叫んだ。恐怖と絶望で。
その魔族は、たしかに「デーモン・チーフ」だ。頭部に、かなり大きな一本角があるからだ。
王立魔法学園では、授業で習う。魔族や魔王軍について。
教科書には、魔族のイラストも掲載されている。
大きな一本角があれば、デーモン・チーフだ。魔王軍の下級将校といったところで、小隊長や中隊長クラスだ。
大きな角が二本あれば、「デーモン・ゼネラル」で、大隊長や連隊長クラス。
大きな角が三本あれば、「デーモン・ロード」だ。人間の国に侵攻する魔王軍の総司令官だ。魔王国の幹部、もしくは魔王の実子のこともあるようだ。
デーモン・チーフもデーモン・ゼネラルも、人間側の勝手な呼称だ。
魔王軍は、数百年前から、不定期的に人間の国を侵略してきた。夏の間だけだが。
魔王が支配する魔王国は、南方山岳地帯の南側だ。
この異世界では、現在、人間が支配する国は、中央王国と、その周辺の小国だけだ。
中央王国の国境は、南は南方山岳地帯の北側、北は北方山岳地帯の南側だ。東は東方砂漠地帯の西側で、西は西方草原地帯の東側だ。
中央王国は、五百年以上前は、東西南北の人間の国々と、交流があった。侵略も含めて。
中央王国の第一王朝と第二王朝時代は、東方帝国から二度にわたって大規模な侵略を受けた。現在の東部州は東方帝国に占領され、東方人が移住した。
第一王朝時代は、西方のヘレニズム諸国などと友好的な交流があった。第二王朝時代は、西方帝国から侵略を受け、現在の西部州を占領された。そのため西部州には、西方人系の金髪碧眼の人々が多い。
第一王朝時代までは、南方山岳地帯の南側には、人間の国があった。南方人による南方帝国だ。南方人は髪と瞳の色が黒で、肌が浅黒い。インド系の人々だ。高度に発達した手工業と黒魔術で、高度な文明を築いていた。
だが、今から七百年ほど前、中央王国第一王朝時代の末期、南方帝国に、魔族が出現した。ある日、突然。
黒魔術で、異世界から呼び寄せてしまったのではないか、との説もある。
逆に、魔族のほうが自ら異世界転移してきたのだ、との説もある。
南方帝国は、滅亡した。魔族の攻撃によって。
その際、多くの南方人が難民として、中央王国に避難してきた。その結果、現在の南部州には、南方人が多く居住している。
中央王国は、第一王朝滅亡後、五十年間ほどの内戦をへて、第二王朝が成立した。
第二王朝滅亡後、中央王国は、百年にわたる大内戦時代となった。
四百年ほど前、第三王朝が成立した。現在まで続いている王朝だ。
中央王国第三王朝時代になってからは、東方帝国との交流も、西方帝国との交流も途絶えている。
理由は、気候の乾燥化と寒冷化だ。
東方砂漠地帯は、ラクダを用いた隊商で横断できなくなった。東方砂漠地帯の東側のオアシス諸都市が、消滅してしまったからだ。オアシスの水が枯れたために。
西方草原地帯も、馬による隊商で横断できなくなった。西方草原地帯の西側の草原が、砂漠化したからだ。
現在、東方帝国や西方帝国がどうなっているかは、誰も知らない。健在かもしれないが、滅亡しているかもしれない。
すでに人間が支配する国は、中央王国と、その周辺の小国だけかもしれない。
羽をたたんだデーモン・チーフが、一歩一歩、近づいてきた。ゆっくりと。
パニックに陥った。女生徒たちが。
彼女たちは、トッキロの後方へと移動した。
トッキロが、デーモン・チーフと対峙することになった。
毒薔薇姫が、尋ねた。
「魔族って、炎を口から吐くんだっけ?」
「それは、スカイ・ドラゴンよ」
動揺を抑えながら、毒蛇姫が答えた。
「だけど、魔族は炎を使うって、授業で聞いた気がするわ」
「火炎魔法よ。あたしたち人間の魔法使いよりも、はるかに強力だそうよ。人間ならば、AランクやSランク魔法使いに相当するとか」
「そんなの、わたしたちが勝てるわけないじゃない」
毒薔薇姫は、涙目になった。
王立魔法学園南校を卒業すると、自動的にBランク魔法使いとして登録される。
教師に賄賂を渡せば、卒業試験にも合格させてもらえる。
だが、賄賂でなれるのは、Bランクまでだ。
賄賂でAランクになることはできない。
王立魔法学園南校の卒業生で、Aランク魔法使いになれるのは、数年に一人くらいだ。
サソリ姫が、引きつった表情で口を開いた。
「そのうえ魔族は、身体能力は人間をはるかに上回り、驚異的な再生能力があるとか」
「そんなの、ムリムリ。そんな敵、どうすんのよ!」
毒薔薇姫が泣き叫んだ。
それに、多くの少女たちも、泣き叫んだ。恐怖と絶望で。
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