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第十二話 魔族が話しかけてきた
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第十二話 魔族が話しかけてきた
三十数メートル離れた地点で、デーモン・チーフが立ち止まった。
用心しているらしい。ウオーター・カッターなどの攻撃水魔法を。
たしかに、三十数メートルは、攻撃水魔法の射程距離ギリギリだ。
たとえあたっても、相手を倒せるか否かは分からない。
とりわけ、驚異的な再生能力を持つ魔族の場合は。
デーモン・チーフが、大声で話しかけてきた。人間の言葉で。中央王国の共通語で公用語だ。
「黒髪の人間、聞きたいことがある」
毒薔薇姫が驚いて、声をあげた。
「魔族が人間の言葉を話した!」
デーモン・チーフが、大声で言葉を続けた。
「おまえの水魔法と風魔法は、教科書に載っていない」
サソリ姫が驚いて叫んだ。
「魔族に教科書があるのかよ!」
「バカにするな!」
デーモン・チーフが、怒鳴り返した。
「私は、魔族騎士学校を優秀な成績で卒業した!」
「魔族にも学校があるなんて……」
多くの女生徒たちが絶句した。
サソリ姫が、意地悪そうに言った。
「トッキロより訛りが少ないね」
すぐさま、答えた。
「ボクは王都に来たばかりですから。東の東のさらに東の町から」
「それ、先月も聞いた」
毒薔薇姫が、ささやいた。
「そんなことより、これはチャンスよ。言葉が通じるということは、話し合いで解決できるということよ」
「話の通じる相手じゃ、なさそうですけど」
そうトッキロが答えたが、毒薔薇姫は、それを無視した。
大声をあげた。毒薔薇姫が。
「ねえ! 魔族のかた! 話し合いましょう!」
デーモン・チーフが、視線を転じた。トッキロから、毒薔薇姫に。
「誰だ、おまえは!」
毒薔薇姫が大声で答えた。
「わたくしは、南区総督の娘で、この学園の生徒たちの代表的な者です」
実際には、なにも代表していない。だが誰も、彼女には逆らわない。彼女の父に讒言されれば、濡れ衣を着せられて、処刑されかねないからだ。
デーモン・チーフが大声で尋ねた。
「さきほどの風魔法と水魔法による攻撃について、聞きたい!」
「ええ、いいわよ! なんでも聞いて!」
勝手に、毒薔薇姫が答えた。
「あの攻撃は、どうやったのか?」
風魔法による攻撃、エア・ソードは、屋上の上でしか使っていない。地上にいたデーモン・チーフには、見えないはずだ。
だがアース・ドラゴンは、デーモン・チーフたちが操っていた。
それならば、十メートル級のアース・ドラゴンの視覚を、共有していたはずだ。魔法によって。
あるいは、魔族の頭部にある角は、電波塔のように情報のやりとりができるのかもしれない。
なぜなら、魔族が操る魔獣には、すべて一本角があるからだ。
それらの魔獣は爬虫類で、この世界には、もともと生息していなかった生物だ。
王立魔法学園の教科書には理由が記されていないが、魔王軍の侵攻は、常に夏だけだ。
その理由を、教師たちに聞いてみた。
王立魔法学園南校の教師たちは、まともに答えられなかった。
おそらくその理由は、操る魔獣が爬虫類だからだ。爬虫類は、王都の冬には耐えられない。
魔王軍の過去の侵攻では、いずれも七月になってから南部州に侵入し、最短で八月上旬には王都に達する。今回も同様だ。
過去のケースでは、王都が陥落したこともあったが、それ以上北には侵攻していない。
そのときは、王族は北部州まで逃げたそうだ。
八月末頃になると、常に魔王軍は撤退する。王都が陥落していても、していなくても。
その理由は、十月になる前に、南方山岳地帯に到達したいからだろう。
おそらく十一月になると、標高の高い南方山岳地帯は寒すぎるため、爬虫類は山越えができない。
黙っていると、毒薔薇姫が尋ねた。
「ねえ、どうやったの?」
魔族は、普通の人間よりも、はるかに多くの魔力を持つそうだ。
彼らに原理を教えれば、すぐに身につけてしまうだろう。
教えるわけには、絶対にいかない。
トッキロは、大声で呼びかけた。
「わたしの質問に答えたら、教えよう」
三十数メートル離れた地点で、デーモン・チーフが立ち止まった。
用心しているらしい。ウオーター・カッターなどの攻撃水魔法を。
たしかに、三十数メートルは、攻撃水魔法の射程距離ギリギリだ。
たとえあたっても、相手を倒せるか否かは分からない。
とりわけ、驚異的な再生能力を持つ魔族の場合は。
デーモン・チーフが、大声で話しかけてきた。人間の言葉で。中央王国の共通語で公用語だ。
「黒髪の人間、聞きたいことがある」
毒薔薇姫が驚いて、声をあげた。
「魔族が人間の言葉を話した!」
デーモン・チーフが、大声で言葉を続けた。
「おまえの水魔法と風魔法は、教科書に載っていない」
サソリ姫が驚いて叫んだ。
「魔族に教科書があるのかよ!」
「バカにするな!」
デーモン・チーフが、怒鳴り返した。
「私は、魔族騎士学校を優秀な成績で卒業した!」
「魔族にも学校があるなんて……」
多くの女生徒たちが絶句した。
サソリ姫が、意地悪そうに言った。
「トッキロより訛りが少ないね」
すぐさま、答えた。
「ボクは王都に来たばかりですから。東の東のさらに東の町から」
「それ、先月も聞いた」
毒薔薇姫が、ささやいた。
「そんなことより、これはチャンスよ。言葉が通じるということは、話し合いで解決できるということよ」
「話の通じる相手じゃ、なさそうですけど」
そうトッキロが答えたが、毒薔薇姫は、それを無視した。
大声をあげた。毒薔薇姫が。
「ねえ! 魔族のかた! 話し合いましょう!」
デーモン・チーフが、視線を転じた。トッキロから、毒薔薇姫に。
「誰だ、おまえは!」
毒薔薇姫が大声で答えた。
「わたくしは、南区総督の娘で、この学園の生徒たちの代表的な者です」
実際には、なにも代表していない。だが誰も、彼女には逆らわない。彼女の父に讒言されれば、濡れ衣を着せられて、処刑されかねないからだ。
デーモン・チーフが大声で尋ねた。
「さきほどの風魔法と水魔法による攻撃について、聞きたい!」
「ええ、いいわよ! なんでも聞いて!」
勝手に、毒薔薇姫が答えた。
「あの攻撃は、どうやったのか?」
風魔法による攻撃、エア・ソードは、屋上の上でしか使っていない。地上にいたデーモン・チーフには、見えないはずだ。
だがアース・ドラゴンは、デーモン・チーフたちが操っていた。
それならば、十メートル級のアース・ドラゴンの視覚を、共有していたはずだ。魔法によって。
あるいは、魔族の頭部にある角は、電波塔のように情報のやりとりができるのかもしれない。
なぜなら、魔族が操る魔獣には、すべて一本角があるからだ。
それらの魔獣は爬虫類で、この世界には、もともと生息していなかった生物だ。
王立魔法学園の教科書には理由が記されていないが、魔王軍の侵攻は、常に夏だけだ。
その理由を、教師たちに聞いてみた。
王立魔法学園南校の教師たちは、まともに答えられなかった。
おそらくその理由は、操る魔獣が爬虫類だからだ。爬虫類は、王都の冬には耐えられない。
魔王軍の過去の侵攻では、いずれも七月になってから南部州に侵入し、最短で八月上旬には王都に達する。今回も同様だ。
過去のケースでは、王都が陥落したこともあったが、それ以上北には侵攻していない。
そのときは、王族は北部州まで逃げたそうだ。
八月末頃になると、常に魔王軍は撤退する。王都が陥落していても、していなくても。
その理由は、十月になる前に、南方山岳地帯に到達したいからだろう。
おそらく十一月になると、標高の高い南方山岳地帯は寒すぎるため、爬虫類は山越えができない。
黙っていると、毒薔薇姫が尋ねた。
「ねえ、どうやったの?」
魔族は、普通の人間よりも、はるかに多くの魔力を持つそうだ。
彼らに原理を教えれば、すぐに身につけてしまうだろう。
教えるわけには、絶対にいかない。
トッキロは、大声で呼びかけた。
「わたしの質問に答えたら、教えよう」
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