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第18話 精霊魔法
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リドールが本格的に魔法剣の訓練を始めた頃、マリアーナは王都での用事を終え、魔法学校へ向かっていた。
魔族との戦闘の後、マリアーナは自分たちのトライアドに何が足りないのか、自分はどのような役割を果たすべきなのか、考えていた。
――リドは、必ず魔法剣を習得して帰ってくる。私は……。
マリアーナは、自分の攻撃魔法では魔族に通用しないことを、身をもって学んでいた。
――魔法剣を操れるようになったら、リドは前衛になれる。ラフィトは万能型の遊撃向き。私が後衛からふたりを支援できれば……。
マリアーナは、支援魔法のエキスパートを目指すことに決めた。
ただ、残念なことに、マリアーナの周りには支援魔法の専門家がいなかった。
そこでマリアーナは、魔法学校へ戻ることにした。
魔法学校には、様々な分野の専門家がいた。さらには、国内最大の魔導書図書館もあった。
◇◆◇◆
魔法学校に戻ると、マリアーナはまずマリル女史の研究室を訪ねた。
「マリル先生、ただいま戻りました」
「おかえりなさい、マリー! 無事で何よりです。あなたたちトライアドの活躍は、魔法学校でも話題になっていたのですよ。まあそちらに掛けて」
マリアーナは、戦地でのことを手短に報告し、支援魔法についてのアドバイスを求めた。
マリル女史はひとしきり考えた後、マリアーナに言った。
「ひとくちに支援魔法といっても、様々な系統があります。ただ、その中で最も古く強力なものは、精霊魔法で間違いありません」
「……精霊魔法……」
「おそらく、あまり耳にしたことはないでしょう。魔法学校のカリキュラムにも含まれていません。習得が困難とされ、文献もあまり残っていないのです。今では、ほとんど使い手もおりません」
「……私に習得できるでしょうか?」
マリル女史は、優しく微笑むと言った。
「あなたは、あのセシウス魔法師団長のご息女でしょう? 自信を持ちなさい」
「でも、使える人は……」
「ええ、『ほとんど』いませんね」
「私の知る限り、校長のメラニア女史くらい、でしょうか」
「……え!?」
「校長先生は、精霊魔法の第一人者です。きっとあなたの力になってくれると思いますよ」
◇◆◇◆
しばらく出張で学校を離れていたメラニア校長が帰ってきたのは、その1週間後のことだった。
連日図書館で、数少ないながらも現存する精霊魔法の文献を読みあさっていたマリアーナは、早速校長室を訪れた。
「待たせていたようで、申し訳ありません。マリル女史から、用件は聞いています」
「精霊魔法を学びたい、と」
「はい。ご教授いただけないでしょうか?」
メラニアは、しばらく黙ってマリアーナを見つめた。
そして、にっこりと微笑み、こう言った。
「もっと早くに来るものと思っていたのだけれど」
魔族との戦闘の後、マリアーナは自分たちのトライアドに何が足りないのか、自分はどのような役割を果たすべきなのか、考えていた。
――リドは、必ず魔法剣を習得して帰ってくる。私は……。
マリアーナは、自分の攻撃魔法では魔族に通用しないことを、身をもって学んでいた。
――魔法剣を操れるようになったら、リドは前衛になれる。ラフィトは万能型の遊撃向き。私が後衛からふたりを支援できれば……。
マリアーナは、支援魔法のエキスパートを目指すことに決めた。
ただ、残念なことに、マリアーナの周りには支援魔法の専門家がいなかった。
そこでマリアーナは、魔法学校へ戻ることにした。
魔法学校には、様々な分野の専門家がいた。さらには、国内最大の魔導書図書館もあった。
◇◆◇◆
魔法学校に戻ると、マリアーナはまずマリル女史の研究室を訪ねた。
「マリル先生、ただいま戻りました」
「おかえりなさい、マリー! 無事で何よりです。あなたたちトライアドの活躍は、魔法学校でも話題になっていたのですよ。まあそちらに掛けて」
マリアーナは、戦地でのことを手短に報告し、支援魔法についてのアドバイスを求めた。
マリル女史はひとしきり考えた後、マリアーナに言った。
「ひとくちに支援魔法といっても、様々な系統があります。ただ、その中で最も古く強力なものは、精霊魔法で間違いありません」
「……精霊魔法……」
「おそらく、あまり耳にしたことはないでしょう。魔法学校のカリキュラムにも含まれていません。習得が困難とされ、文献もあまり残っていないのです。今では、ほとんど使い手もおりません」
「……私に習得できるでしょうか?」
マリル女史は、優しく微笑むと言った。
「あなたは、あのセシウス魔法師団長のご息女でしょう? 自信を持ちなさい」
「でも、使える人は……」
「ええ、『ほとんど』いませんね」
「私の知る限り、校長のメラニア女史くらい、でしょうか」
「……え!?」
「校長先生は、精霊魔法の第一人者です。きっとあなたの力になってくれると思いますよ」
◇◆◇◆
しばらく出張で学校を離れていたメラニア校長が帰ってきたのは、その1週間後のことだった。
連日図書館で、数少ないながらも現存する精霊魔法の文献を読みあさっていたマリアーナは、早速校長室を訪れた。
「待たせていたようで、申し訳ありません。マリル女史から、用件は聞いています」
「精霊魔法を学びたい、と」
「はい。ご教授いただけないでしょうか?」
メラニアは、しばらく黙ってマリアーナを見つめた。
そして、にっこりと微笑み、こう言った。
「もっと早くに来るものと思っていたのだけれど」
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