【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉

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第19話 湖底の神殿

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「え? それはどういう……」


「言葉通りの意味ですよ。私は中等部にあなたが入学してきた時からずっと、こんなふうにあなたが、私の所へやってくるのを待っていました」


 マリアーナは、さっぱり意味が分からなかった。


「あなたのその綺麗な栗色の髪は、本当にアリエルそっくり」


「……え? 母を…ご存知なのですか?」


 メラニアは優しく微笑んだ。


「あなたのお母上は、私の幼馴染で、同じ師のもとで精霊魔法を学んだ、一番の親友でした」


 ◇◆◇◆


 マリアーナの中に、母アリエルの記憶はほとんどない。
 彼女がまだ幼い頃、病気で亡くなった母の傍らで、父セシウスが涙を流していたことを、おぼろげに覚えている程度だ。
 

「アリエルは、私など遥かに及ばない、精霊魔法の使い手でした。お父上からは何も?」


 マリアーナは、黙って首を横に振った。


「そうですか……。あなたに、アリエルの幻影を追わせたくはなかったのかもしれませんね」


「それでも、あなたはやはり精霊魔法に辿り着いた。これも精霊神のお導きでしょう」


 メラニアは、しっかりとマリアーナを見つめて言った。


「精霊魔法は、とても強力な魔法です。扱いを誤れば、精神を蝕まれ、廃人になってしまう危険すらあります」


「改めて聞きます。あなたに、精霊神と契約を結び、精霊魔法を習得する覚悟はありますか?」


「はい! 父と……母の名にかけて!」


「……わかりました。ついてきなさい」


 ◇◆◇◆


 メラニアは、校舎を出ると精霊の湖に向かう遊歩道へと歩を進めた。
 マリアーナは、メラニアに躊躇いがちに声を掛けた。


「……校長先生、その…お母様はどんな人だったのですか? 私…小さかったので、ほとんど記憶がなくて……」


 メラニアは、マリアーナの方を振り返り、いたずらっぽく笑いながら言った。


「淑女…とは無縁の子だったわ。活発で、いつも少年みたいに目をキラキラさせて……。よく、ふたりでいたずらして、先生に叱られたものよ。……いけない、アリエルに怒られちゃうわね。お父様には内緒よ!」


 マリアーナも笑った。


「なんだか安心しました。聖女様みたいな人だったら、私、真似できそうにありませんから……」


 ◇◆◇◆


 メラニアは、精霊の湖の縁まで来ると、歩みを止めた。


「マリアーナ、なぜ魔法学校が、この地を選んで建設されたか、知っていますか?」


 マリアーナは、首を横に振った。


「この精霊の湖には、古代神のひとり、精霊神ルキアが眠るとされる神殿があります。魔法学校は、その加護を受けるため、この地に設立されました」


「……神殿?」


 メラニアは、片膝をつくと祈りをささげた。


「精霊神ルキアの眷属が願い奉る。顕現せよ!!」


 マリアーナは息を呑んだ。


 湖の上空に、巨大な魔法陣が展開し、水面が波立ち始めた。
 轟音と共に湖の水が左右に割れ、湖底が露わになっていった。


 ほどなく、湖底の中央部に、神殿が姿を現した。


「さて、行きましょうか」


「精霊神との契約は、あの神殿にて行います」

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