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明朗快活
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「えっ、なんでわかるんですか?」
佳紀は、自分の内面部分を見抜いた久美子に対し、驚きの声を上げた。
「ワタシもニューハーフ歴四十年以上だから、少し見たら大体はわかるの。」
「えっ、ニューハーフなんですか?」
「そうよ。」
「スゴイ。
フツーの女性の方だと思ってました。
声も高いし」
「そういうあなただって声が高いじゃないの。
声って一番難しくてね。
手術したって、何か裏返ったような声になったりするしね。
一番いいのは、発声練習を重ねる事。
でも、あなたは既に高い声をしている。
これはスゴイ事よ。」
「それは、どーも」
「もしよかったら、話を聞いていただけないかしら?」
「別にいいんですけど、ヒマですから。
でも、プロレスなんて…とてもじゃないですけど…」
「あなた、体躯がしっかりしてるから、少し練習をしたらすぐに上達すると思うわ。
それと、何よりも顔が可愛いから。
プロレスって純粋なスポーツでも格闘技でもなくて、謂わば魅せる事に重点を置いてるの。
ボクシングみたいに避けたりしないで、敢えて相手の技を受けてって感じで。」
「へえ、奥が深いんですね。
いいですよ。
お話くらいはお聞きしても。マジでヒマしてるので。」
偶然会ったばかりの久美子を見て、佳紀は悪い印象を持たなかった。
それ故に、二つ返事で話を聞きに行く事を決めたのだった。
久美子自体が聞き上手で、佳紀は、通りを歩きながら、ついつい自分の身の上話をしてしまった。
「そうなの。
わかるわ。坊主頭にしたくないっていうあなたの気持ち。」
「わかっていただけます?
ワタシ、それだけは勘弁してって感じで、坊主になるくらいなら野球なんて辞めてやるって、公立に進んだんですけど…
そこは坊主にはしなくてよかったんですけど、野球が弱すぎて、部員も集まらずで、結局は野球を辞めたのと同じ形になっちゃいました。」
「それは残念だったわね。」
「もう、過去の話です。
踏ん切りもついたし、東京に出てきてニューハーフにでもなろうかって思ってて…
そしたら、友谷さんに声をかけられた次第です。」
「だったら、ワタシはスゴイ幸運の持ち主だね。
偶然とはいえ、あなたに出会えたんだもの。」
「あの、こんな事言うの…大変失礼なんですが…
ニューハーフのプロレスなんて需要があるんですか。」
「あるわよ。
実はね、既にニューハーフのプロレス団体があってね。単独で興行を打つのは難しそうなんだけど、それなりに人気があるのよ。
でも、ワタシたちがやろうとしているのは、もっと美しさに重点を置いたプロレスなの。
だから、あなたのような美貌の持ち主には絶対に来て欲しいの。」
久美子がそう言うと、佳紀は慌てて首を横に振った。
佳紀は、自分の内面部分を見抜いた久美子に対し、驚きの声を上げた。
「ワタシもニューハーフ歴四十年以上だから、少し見たら大体はわかるの。」
「えっ、ニューハーフなんですか?」
「そうよ。」
「スゴイ。
フツーの女性の方だと思ってました。
声も高いし」
「そういうあなただって声が高いじゃないの。
声って一番難しくてね。
手術したって、何か裏返ったような声になったりするしね。
一番いいのは、発声練習を重ねる事。
でも、あなたは既に高い声をしている。
これはスゴイ事よ。」
「それは、どーも」
「もしよかったら、話を聞いていただけないかしら?」
「別にいいんですけど、ヒマですから。
でも、プロレスなんて…とてもじゃないですけど…」
「あなた、体躯がしっかりしてるから、少し練習をしたらすぐに上達すると思うわ。
それと、何よりも顔が可愛いから。
プロレスって純粋なスポーツでも格闘技でもなくて、謂わば魅せる事に重点を置いてるの。
ボクシングみたいに避けたりしないで、敢えて相手の技を受けてって感じで。」
「へえ、奥が深いんですね。
いいですよ。
お話くらいはお聞きしても。マジでヒマしてるので。」
偶然会ったばかりの久美子を見て、佳紀は悪い印象を持たなかった。
それ故に、二つ返事で話を聞きに行く事を決めたのだった。
久美子自体が聞き上手で、佳紀は、通りを歩きながら、ついつい自分の身の上話をしてしまった。
「そうなの。
わかるわ。坊主頭にしたくないっていうあなたの気持ち。」
「わかっていただけます?
ワタシ、それだけは勘弁してって感じで、坊主になるくらいなら野球なんて辞めてやるって、公立に進んだんですけど…
そこは坊主にはしなくてよかったんですけど、野球が弱すぎて、部員も集まらずで、結局は野球を辞めたのと同じ形になっちゃいました。」
「それは残念だったわね。」
「もう、過去の話です。
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でも、ワタシたちがやろうとしているのは、もっと美しさに重点を置いたプロレスなの。
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