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「ここがワタシ達の道場よ。
まだリニューアル工事の最中だけど。」
久美子は立派な建物の中に佳紀を案内した。
「うわっ、スゴイですね!
リングもちゃんとある!」
「うん。
上は寮、食堂、トレーニングルームもあるのよ。」
「マジですか!
まだ立ち上げてない団体なのに、こんなに豪華な道場があるなんて。」
「ここは、元々某メジャー系団体が入ってたんだけど、色々不祥事があったでしょ?
で、解散しちゃって、選手達はあちこちの団体に移籍して、この建物だけが残ったの。
だから、相場よりはかなり安く買えたのよ。」
「安いって言っても、都内でこんな立派なビル…
相当高かったんじゃないですか?」
「そうね。
少し無理したけど、どうしても欲しかったの。」
「友谷さんて、何をなされてるんですか?」
「えっ、ワタシ?
ただのニューハーフよ。
そして、今はただのおばあちゃん。」
「ニューハーフってそんなに儲かるんですか?」
「人によるんじゃないかな?
ワタシの場合は十五から働いてて、水商売から芸能界、会社経営とか、とにかく色々やってきたの。
それと、出会いが沢山あって、みんな良くしてくれたの。
気が付いたら、多少のお金が手元に残ったの。
ワタシ、家族もいないし、お金も別に使う事もなかったから、何か役に立てることがないかなって思ったの。
若いニューハーフを目指してる子達の。」
「それで、ここを?」
「住むところを提供したり、経営してたショーパブやバーで働いてもらったりして、自立できるようにアシストしてたの。
そんなとき、この道場が売りに出されているのを知ってね。
今はこのプロレス団体の立ち上げに力を注ごうとしてるとこ。」
「へえ、スゴイですね」
「レスラー集めはこれから本格的にしようと思ってて、ネット広告とか、色んな媒体でのPRにも力を入れてて、来週からupされていくと思うわ。」
「で、ワタシが一人目のってこと?」
「そうそう。」
「でも、プロレスのプの字も知らないワタシが務まるような仕事じゃないと思うんですけど。」
「その点は心配ないわ。
こう見えても多少の人脈はあってね。
軌道に乗るまで、ここで基本的な事を教えてくれるコーチの手配も済んでるし。」
「さすがですね」
「佐倉さんも、いきなりプロレスはどうか?って言われても無理だろうと思うけど、頭の片隅にでも置いてもらって、ちょっと興味が出てきたら、いつでもいいので、気軽に遊びに来てね。」
「はい。」
佳紀の心は、既に大きく傾き始めていた。
ここに入るという方向に。
まだリニューアル工事の最中だけど。」
久美子は立派な建物の中に佳紀を案内した。
「うわっ、スゴイですね!
リングもちゃんとある!」
「うん。
上は寮、食堂、トレーニングルームもあるのよ。」
「マジですか!
まだ立ち上げてない団体なのに、こんなに豪華な道場があるなんて。」
「ここは、元々某メジャー系団体が入ってたんだけど、色々不祥事があったでしょ?
で、解散しちゃって、選手達はあちこちの団体に移籍して、この建物だけが残ったの。
だから、相場よりはかなり安く買えたのよ。」
「安いって言っても、都内でこんな立派なビル…
相当高かったんじゃないですか?」
「そうね。
少し無理したけど、どうしても欲しかったの。」
「友谷さんて、何をなされてるんですか?」
「えっ、ワタシ?
ただのニューハーフよ。
そして、今はただのおばあちゃん。」
「ニューハーフってそんなに儲かるんですか?」
「人によるんじゃないかな?
ワタシの場合は十五から働いてて、水商売から芸能界、会社経営とか、とにかく色々やってきたの。
それと、出会いが沢山あって、みんな良くしてくれたの。
気が付いたら、多少のお金が手元に残ったの。
ワタシ、家族もいないし、お金も別に使う事もなかったから、何か役に立てることがないかなって思ったの。
若いニューハーフを目指してる子達の。」
「それで、ここを?」
「住むところを提供したり、経営してたショーパブやバーで働いてもらったりして、自立できるようにアシストしてたの。
そんなとき、この道場が売りに出されているのを知ってね。
今はこのプロレス団体の立ち上げに力を注ごうとしてるとこ。」
「へえ、スゴイですね」
「レスラー集めはこれから本格的にしようと思ってて、ネット広告とか、色んな媒体でのPRにも力を入れてて、来週からupされていくと思うわ。」
「で、ワタシが一人目のってこと?」
「そうそう。」
「でも、プロレスのプの字も知らないワタシが務まるような仕事じゃないと思うんですけど。」
「その点は心配ないわ。
こう見えても多少の人脈はあってね。
軌道に乗るまで、ここで基本的な事を教えてくれるコーチの手配も済んでるし。」
「さすがですね」
「佐倉さんも、いきなりプロレスはどうか?って言われても無理だろうと思うけど、頭の片隅にでも置いてもらって、ちょっと興味が出てきたら、いつでもいいので、気軽に遊びに来てね。」
「はい。」
佳紀の心は、既に大きく傾き始めていた。
ここに入るという方向に。
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