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日野サオリ
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ミカは二週に一度の女性ホルモンの注射を受けながら、トレーナーの山本から基礎的なトレーニングを受ける日々が続いた。
しかし、ここで問題が生じる。
ミカが練習の途中でうずくまってしまったのだ。
胸を押さえて苦悶の表情になりながら…
「ん?
どうした、佐倉」
驚いて駆け寄る山本に、ミカは苦しそうに
「すみません、ちょっと痛くて…」
と、申し訳なさそうに言った。
「おい、それはどこか悪いんじゃないのか
ちょっと医者に診てもらった方がいいぞ…」
山本は心配そうな表情を浮かべ、ミカに声をかけたが、リングの下でその様子を見つめていた久美子が話に入ってきた。
「違うのよ、山本さん。」
「えっ、違う?」
「ミカちゃんが痛がってるのは胸にシコリが出来てるからなの。」
「シコリ?
いやいや、それは良くないんじゃないですか。
ガンとか…」
「そうじゃなくて、ミカちゃんは今女性ホルモンの注射を定期的に受けているでしょ。
しばらく続けてたら、胸にシコリができてくるのよ。
これってみんなが経験する事で、胸が膨らんでいく過程の最初にやってくる試練なの。
まあ、これが痛いのなんのって、走ったりしても激痛が走るくらいだから、何か物が当たったりしたら、そりゃ耐えられずにうずくまってしまうわよ。
今は我慢するしかないし、とりあえず胸に刺激は与えないであげて。」
「なんだ、そういう事でしたか。
佐倉、大丈夫か?」
「すいません、大丈夫です。」
「いやいや、今は無理する時じゃない。
ちょっと休憩しよう。」
山本はそう声をかけて、ミカとリングを降りた。
すると久美子が時計を見ながら
「ちょうどよかったわ、今からお客さんが来るから、二人も一緒にいて。」
と、二人に言った。
「お客さん?」
「ええ。
あ、もう着いたみたい。」
久美子が入口の方に視線を向けると、一人の女性がドアを開けて入ってきた。
女性というより、まだ女子といった感じで、高校の制服を着ている。
ミカは、その女性が自分と同い年に見えたが、制服を着ているからには、年下なのかと思いながら見つめていた。
「こんにちは、日野さんね?」
「はい。」
日野と呼ばれた少女は、少し恥ずかしそうな表情を浮かべ、頭を下げた。
「紹介するわ、こちらは、今日ウチの面接を受けにきてくれた日野サオリさん。」
ミカが女性と思っていたその少女は、自分と同じニューハーフであった。
そして、その少女こそ、今やこのNPWで、ミカと二枚看板の美人レスラーとして活躍している日野サオリ、その人であった。
しかし、ここで問題が生じる。
ミカが練習の途中でうずくまってしまったのだ。
胸を押さえて苦悶の表情になりながら…
「ん?
どうした、佐倉」
驚いて駆け寄る山本に、ミカは苦しそうに
「すみません、ちょっと痛くて…」
と、申し訳なさそうに言った。
「おい、それはどこか悪いんじゃないのか
ちょっと医者に診てもらった方がいいぞ…」
山本は心配そうな表情を浮かべ、ミカに声をかけたが、リングの下でその様子を見つめていた久美子が話に入ってきた。
「違うのよ、山本さん。」
「えっ、違う?」
「ミカちゃんが痛がってるのは胸にシコリが出来てるからなの。」
「シコリ?
いやいや、それは良くないんじゃないですか。
ガンとか…」
「そうじゃなくて、ミカちゃんは今女性ホルモンの注射を定期的に受けているでしょ。
しばらく続けてたら、胸にシコリができてくるのよ。
これってみんなが経験する事で、胸が膨らんでいく過程の最初にやってくる試練なの。
まあ、これが痛いのなんのって、走ったりしても激痛が走るくらいだから、何か物が当たったりしたら、そりゃ耐えられずにうずくまってしまうわよ。
今は我慢するしかないし、とりあえず胸に刺激は与えないであげて。」
「なんだ、そういう事でしたか。
佐倉、大丈夫か?」
「すいません、大丈夫です。」
「いやいや、今は無理する時じゃない。
ちょっと休憩しよう。」
山本はそう声をかけて、ミカとリングを降りた。
すると久美子が時計を見ながら
「ちょうどよかったわ、今からお客さんが来るから、二人も一緒にいて。」
と、二人に言った。
「お客さん?」
「ええ。
あ、もう着いたみたい。」
久美子が入口の方に視線を向けると、一人の女性がドアを開けて入ってきた。
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ミカは、その女性が自分と同い年に見えたが、制服を着ているからには、年下なのかと思いながら見つめていた。
「こんにちは、日野さんね?」
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