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Sympathy Love
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山本とアキは最寄駅が同じなので、今日のように帰りが一緒になる時がある。
そんな時は、二人で色々な話をしながら帰るのだが、この日は少し勝手が違った。
いつもは話した事がなかった、亡き妻の話を、山本がしたからであった。
アキも驚きをもって、山本の話に耳を傾けていたが、一段落したところで、今度はアキが話題を振り、電車が来るまでの間、ホームで話を続けていた。
「ねえ、山本さん。」
「なんだよ、急に名前で呼ぶなんて。」
「道場出たら、コーチって呼ぶのもおかしいしね。」
「それはまあ、そうだけど。
どうした?」
「山本さん
今日の晩ご飯は何食べるの?」
「俺か?
何も決めてないなあ、まだ。
帰りに駅前のスーパー寄って考えようかなあって。」
「あー、あそこの店行ってるんですね。
ワタシはよっぽどのことがない限り、商店街の方のスーパーに行ってますよ。」
「商店街?
遠いだろ。」
「値段も鮮度も全然違いますよー。」
「へえ、気付かなかった。」
「もう、そういうところが男の人らしいわね。
ワタシも男なんだけど。」
「えっ…
あ、そうか
アキの戸籍が男だってことをすっかり忘れてたよ。」
「えっ、ワタシの事女だと思ってくれてたんですか。」
「そうだなあ。
アキのような美人にお目にかかった事がないからなあ。
生まれながらの女じゃないってのが信じられんよ。」
「えーっ、嬉しい。
山本さんもお世辞とか言うんだ。」
「お世辞?
俺はそういうの、全く言えんよ。」
「もう、山本さんて、ウチらが欲しい言葉をサラッと言うんだから。」
「えっ?
マジでわかんないんだけど。」
「フフッ
そういうとこよ。」
「うーん…」
「ねえ、今日の晩御飯、一緒に食べませんか?」
「えっ、どういうこと?」
「お互い一人なんだし、どっちかの家で一緒に食べたら、安くつくし、効率いいんじゃないかって。」
「あ、いや、それは…
女性の部屋に行くわけには…」
「女性じゃないよ。
だったら、山本さんの家にお邪魔していい?
ワタシが作るから。」
「それも、なんだか悪いなあ。」
「悪くないって。
じゃあ決まりね。」
「ウチ、汚ねえぞ。」
「気にしないって。
あっ、電車来たよ
なんかワクワクしてきた」
焦った表情の山本に視線を送りながら、アキはニヤッと笑って言った。
そんな時は、二人で色々な話をしながら帰るのだが、この日は少し勝手が違った。
いつもは話した事がなかった、亡き妻の話を、山本がしたからであった。
アキも驚きをもって、山本の話に耳を傾けていたが、一段落したところで、今度はアキが話題を振り、電車が来るまでの間、ホームで話を続けていた。
「ねえ、山本さん。」
「なんだよ、急に名前で呼ぶなんて。」
「道場出たら、コーチって呼ぶのもおかしいしね。」
「それはまあ、そうだけど。
どうした?」
「山本さん
今日の晩ご飯は何食べるの?」
「俺か?
何も決めてないなあ、まだ。
帰りに駅前のスーパー寄って考えようかなあって。」
「あー、あそこの店行ってるんですね。
ワタシはよっぽどのことがない限り、商店街の方のスーパーに行ってますよ。」
「商店街?
遠いだろ。」
「値段も鮮度も全然違いますよー。」
「へえ、気付かなかった。」
「もう、そういうところが男の人らしいわね。
ワタシも男なんだけど。」
「えっ…
あ、そうか
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「えっ、ワタシの事女だと思ってくれてたんですか。」
「そうだなあ。
アキのような美人にお目にかかった事がないからなあ。
生まれながらの女じゃないってのが信じられんよ。」
「えーっ、嬉しい。
山本さんもお世辞とか言うんだ。」
「お世辞?
俺はそういうの、全く言えんよ。」
「もう、山本さんて、ウチらが欲しい言葉をサラッと言うんだから。」
「えっ?
マジでわかんないんだけど。」
「フフッ
そういうとこよ。」
「うーん…」
「ねえ、今日の晩御飯、一緒に食べませんか?」
「えっ、どういうこと?」
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