N -Revolution

フロイライン

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久遠の愛

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「コーチ」


帰宅しようと歩いていたら山本の名前を後ろから呼ぶ声がした。


「あっ」


呼び止めたのは、彼と同じく、練習を終えて帰ろうとしていた高野アキだった。


「今から帰りですか?」


「ああ。

アキもか。」


「はい。」


入寮していないアキは、一人暮らしをしており、道場には通いで来ていた。


「コーチ、まっすぐ帰られるんですかあ?」


「そうだな。
別に寄りたいところもないからね。」


「飲みに行ったりはしないの?」


「久しくしてないなあ。」


「山本さんて、豪快なイメージがありました。

朝まで浴びるようにお酒飲んでるような。」


「若い頃はそんな感じだったよ。

二日酔いでリングに上がって、吐いたこともあるしな。」


そう言って、山本は声を出して笑った。


「へえ、それなのに今は全然飲まないんだ。」


「まあ、俺もいい歳してるしな。

それに、死んだカミさんからの遺言でなあ。
無茶したらダメだって言われてんだ。」


「遺言?」


「カミさんは真面目な女でなあ、規則正しい生活を送ってたのに、病気になって先にあの世に逝っちまった。

それが、死ぬ寸前まで、俺のことを心配しててな。

飯も作れないような男を残して死んでいくのが心配で仕方ないって。

だから、アイツに心配かけないように、それからは、俺も規則正しい生活っていうのを実践してるってわけさ。」


「そうだったんですね…」


「ああ。

ところでアキは、どうして寮に入らないんだ?
最初、少しだけ入っててすぐに出ちゃったもんなあ。

ウチの寮は、二人部屋とはいえ、相当恵まれてると思うけどな。」


「ワタシ、集団生活が苦手なんですよー」


「わかるわー

そうだよな、アキって

うん。


わかる」


「妙に納得しないで下さいよ。

ワタシってそんなに協調性がないように見えますか?」


「うん。見える」


「ヒドイっ。」


「すまんすまん。

俺も群れるのがそんなに得意じゃないから、そういう気持ちはわからんでもないよ。」


「でしょ?」


「でも、これから帰って飯作ったりしなきゃなんないんだろ?

それも大変だろ?」



「ワタシ、料理が趣味だから、全然苦になりませんよ。」


「ほう、それは何よりだな。

俺は毎日、頭を悩ませる日々さ。」


「そっか。
コーチも一人暮らしですもんね。

毎日自炊ですか。」


「そうだよ。

もう慣れたけどな。
レパートリーはそんなに増えてないが。」

山本は、照れくさそうな表情を浮かべて笑った。
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