N -Revolution

ミサトの秘密

就寝間際のこと…
いつものように、美月とミサトは女子トークを繰り広げていたが…

会話が途切れたとき、美月が何かを思い出したような顔をし、ポツリと言った。


「ねえ、ミサト」


「どうしたの？

美月」　　　


「今度さあ、ワタシ
実家にカミングアウトしに帰るって言ってたじゃん。」


「うん。

そうだったね。」



「ミサトって、両親にはカミングアウトしてんの？」


「してないよ…」



「そうなんだ…

そういえば、ミサトの昔の話ってあんまり聞いた事なかったなあって。」


「そうだね

人に話したことって、ほとんどないから。」


「ごめん

言いたくなかったら言わなくていいよ。」


「ううん。

大丈夫だよ。

美月だって最初はあんまり語りたがらなかったじゃん。」


「そうだね。

ここに来た時は、まだ恥ずかしいって気持ちが強くてね。

でも、NPWの人達はみんなワタシと同じ悩みを持っているし、それでいてみんなすごく綺麗で、強いから。
ワタシも先輩達みたいになりたいって思うようになって…

それからかな

恥ずかしさみたいなのが消えたのは。」


「わかるよ。

ワタシもそうだもん。
ミカさんやサオリさんをはじめとして、みんな美しくて、可愛くて、それでいてレスラーとしてめっちゃレベルが高い。

憧れないわけないよね。」


ミサトは、そう言って笑った。

しかし、すぐに笑うのをやめてしまい、しばらく沈黙が続いたが…


「美月

ワタシが過去の話をしなかったのは、ワタシの話が全然面白くないからなのよ。」


「面白くない？」


「そう。

みんなさあ、体は男子として生まれてきたのに、心は女の子じゃん。

もちろん、ワタシもそうだったんだけど…


先輩達も子供の頃はオカマだってバカにされたり、いじめられたりしたって聞くけど、大体は悲しい思い出ってあるよね」


「うん。

そうだね。」



「ワタシも御多分に洩れず、小さい時はいじめられてたんだけど…」


ミサトは、過去の自分を思い出しながら、美月に語り始めたのだった。