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治安
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高級住宅街と貧民街が隣り合わせにある、全国的にも珍しい立地の中でも、川向こう…
そう、百恵たちの住む地域は一層ガラが悪く、無法地帯と化していた。
住めば都の言葉通り、百恵達にとっては治安の悪さなど全く感じなかったが。
高級住宅街に住む恭子は、川向こうだけは絶対に行ってはならないと、小さい時から親に言われ、一度も足を踏み入れた事がなかった。
足が悪かったこともあり、万が一何か起きたときに逃げられないという心配もあって、恭子自身もその言いつけを忠実に守って生きてきた。
それ故に、これだけ近いところにいながら、今まで一度も百恵を見つけられない大きな理由となっていた。
だが、誠の口から居場所を聞き、居ても立っても居られなくなった恭子は、二年ぶりに初恋の人に会うべく、橋を渡った。
入った瞬間に感じる違和感。
これが大阪に今なお残る無法地帯にして貧民街なのである。
恭子は辺りを慎重に観察しながら道をまっすぐ歩き、突き当たりで左右を確認した。
視線の先に木造の古ぼけた駅舎があった。
支線だけあって、戦前から改築されていないその駅舎は街並みとも相まって、ダークな雰囲気を演出していた。
日はまだ落ちていなかったが、気の早い立ちんぼがニ、三人ほど現れ、腕を組んで談笑していた。
まさか、その中に自分の探す袮留がいるのでは?
と、注意深く顔を見ていったが、二人目の女と視線が合い、慌てて目を逸らした。
だが、三人とも三十過ぎに見え、袮留ではないと確信した。
「お嬢さん、さっきから何を見てんの?
私ら、なんかおかしい?」
目が合ってしまった二人目の女が恭子に近づいてきて、因縁をつけてきた。
「あ、いえ、すいません。
人を探してたもんですから」
恭子は九十度に体を折り曲げて謝罪した。
「高校生のアンタがここらの立ちんぼに何の関係があんのよ?
人の事馬鹿にしてるんでしょ?」
スンナリは許してくれず、腕を掴まれた。
だが
「ごめんなさい
ウチの知り合いやねん。
お姉さん方、気悪させてしもたんやったら謝ります。」
後ろから現れた百恵が、すんでの所で恭子の窮地を救い、手を引っ張ってその場から逃すことに成功した。
声も顔も体つきも匂いも、何一つ袮留を連想させるものはなかったが、それが袮留だということを恭子はすぐに感じ取った。
いつも自分がピンチのときに現れ、救ってくれたあの袮留だということを。
そう、百恵たちの住む地域は一層ガラが悪く、無法地帯と化していた。
住めば都の言葉通り、百恵達にとっては治安の悪さなど全く感じなかったが。
高級住宅街に住む恭子は、川向こうだけは絶対に行ってはならないと、小さい時から親に言われ、一度も足を踏み入れた事がなかった。
足が悪かったこともあり、万が一何か起きたときに逃げられないという心配もあって、恭子自身もその言いつけを忠実に守って生きてきた。
それ故に、これだけ近いところにいながら、今まで一度も百恵を見つけられない大きな理由となっていた。
だが、誠の口から居場所を聞き、居ても立っても居られなくなった恭子は、二年ぶりに初恋の人に会うべく、橋を渡った。
入った瞬間に感じる違和感。
これが大阪に今なお残る無法地帯にして貧民街なのである。
恭子は辺りを慎重に観察しながら道をまっすぐ歩き、突き当たりで左右を確認した。
視線の先に木造の古ぼけた駅舎があった。
支線だけあって、戦前から改築されていないその駅舎は街並みとも相まって、ダークな雰囲気を演出していた。
日はまだ落ちていなかったが、気の早い立ちんぼがニ、三人ほど現れ、腕を組んで談笑していた。
まさか、その中に自分の探す袮留がいるのでは?
と、注意深く顔を見ていったが、二人目の女と視線が合い、慌てて目を逸らした。
だが、三人とも三十過ぎに見え、袮留ではないと確信した。
「お嬢さん、さっきから何を見てんの?
私ら、なんかおかしい?」
目が合ってしまった二人目の女が恭子に近づいてきて、因縁をつけてきた。
「あ、いえ、すいません。
人を探してたもんですから」
恭子は九十度に体を折り曲げて謝罪した。
「高校生のアンタがここらの立ちんぼに何の関係があんのよ?
人の事馬鹿にしてるんでしょ?」
スンナリは許してくれず、腕を掴まれた。
だが
「ごめんなさい
ウチの知り合いやねん。
お姉さん方、気悪させてしもたんやったら謝ります。」
後ろから現れた百恵が、すんでの所で恭子の窮地を救い、手を引っ張ってその場から逃すことに成功した。
声も顔も体つきも匂いも、何一つ袮留を連想させるものはなかったが、それが袮留だということを恭子はすぐに感じ取った。
いつも自分がピンチのときに現れ、救ってくれたあの袮留だということを。
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