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104.それぞれのエピローグ(オフィーリア&セオドア)
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「いかかでしょうか? オフィーリアお嬢様」
卒業パーティーに向けて美しく着飾ったオフィーリアの横で、マリーが控えめだがどこか得意気顔で尋ねた。
「ええ。素敵だわ」
鏡に映る自分の姿をオフィーリアは満足気に見つめた。
淡い黄色を基調にしたドレスに白と水色のレースがふんだんにあしらわれ、とても可憐だ。
ハーフアップにした艶やかな赤毛には同じ黄色と水色のリボンがとても可愛らしい。
可愛らしいというよりは美人なタイプのオフィーリアは自慢の赤髪に合わせた赤や黒などを使ったシックで大人びたドレスがとてもよく似合う。自分でもそれは分かっており、夜会やお茶会ではそういったドレスを着用することが多かった。
しかし、今日は自分の好きな色を着ると決めていた。それはずっと前から・・・。
もし、寂しい卒業パーティーを迎えることになっていたとしても、きっとこのドレスを着ていた。
オフィーリアは部屋を出る前に自分の机に置いてある一冊のノートを手に取った。それは椿がこの世界で予習復習に使っていたノートだ。
オフィーリアはゆっくりページを捲ると、途中のページで手を留めた。
「オフィーリア様には幸せになって欲しい!! 絶対、断罪回避!! 私にできることは何か?」
そこには、そんな走り書きがある。
オフィーリアは嬉しそうにそれを指でなぞった。そして、ふぅと息を吐くと、ノートを閉じた。
「さあ、行きましょう、マリー」
「はい。お嬢様。門までお送りいたします」
キリッと姿勢を正すと、マリーを伴って部屋から出て行った。
☆彡
女子寮の入り口には自分のパートナーをエスコートしようという男子生徒で溢れていた。
その中に、もちろんセオドアもいる。ソワソワと待ちきれない様子でオフィーリアを待っていた。
「お待たせしました。セオドア様」
やっと来た―――決して遅れてはいないが―――オフィーリアを前に、セオドアは一瞬心臓が止まった。
「セオドア様・・・?」
目を丸め、声を失っているセオドアに、オフィーリアは首を傾げた。
セオドアはハッと我に返り、恥ずかしそうに目を伏せた。
「あまりにも綺麗で・・・」
その言葉にオフィーリアはカーっと頬が熱くなった。慌ててツンとそっぽを向く。
「黄色のドレスを選んだんだね。そして水色も・・・。とてもよく似合っているよ」
「まあ、ありがとうございますっ」
褒め言葉にドキドキしながらも、ツンとした態度を崩さない。急いで扇で顔を隠すが遅かったようだ。セオドアには真っ赤な顔がしっかり見られてしまった。
「俺の色を身に付けてくれたと思っていいのかな?」
黄色と青。金髪碧眼のセオドア。きっと自惚れではないだろう。
「そ、そ、そういうわけではありませんわよ! たまたまわたくしの好きな色というだけですわ!」
ツンと答えるオフィーリアに、セオドアはクスッと笑うと、
「たまたま君の好きな色を俺自身が持っていたなんて光栄だ」
そう言って手を差し伸べた。
彼女はよくこの色のリボンを身に付けていた。ずっと前から身に付けていた。
そんなに前から自分は想われていたのに・・・。本当に自分は何を見ていたのか。
改めて今までの自分が悔やまれる。
「今度こそ・・・、今度こそ絶対に君を大切にする」
手に取ったオフィーリアの指先にそっと唇を寄せた。
「ま、まだ、気が早いですわよ!」
「ああ、そうだな。でも・・・」
でも・・・。実は彼にはアドバンテージがある。
なぜなら、二人は侯爵家同士が決めた婚約関係であり、それは解消されていないのだ。この世界に帰ってきてから、セオドア自身も家に何も伝えていないが、特にラガン家からの何のお達しもない。恐らく、オフィーリアも何も伝えていないはず。
このまま行けば、近いうちに二人は婚姻するだろう。
だが、それに胡坐をかく気はないし、切り札として使うつもりもない。
婚姻までの短い間に、オフィーリア自身に婚約者と認めてもらわないといけないのだ。
万が一にも認めてもらえない場合は、自分が悪者なってでも彼女の意思を尊重し、婚約を解消するだけの気概を持って臨むつもりだ。
「でも、他の奴らに君を奪われないように牽制しないと」
オフィーリアの手を持ち直すと、今度は甲にキスを落とした。
真っ赤な顔で自分を見つめるオフィーリア。
「さあ、行きましょう。お姫様」
セオドアはオフィーリアを優しく引き寄せると、自分の腕に彼女の手を添えさせた。
ゆっくりと学院に向かって歩く。
途中、生け垣の薔薇が目に入った。
可憐というより大人っぽく少し妖艶さも備える美人な彼女には薔薇の花がよく似合う。真っ赤なドレスに真っ赤な薔薇がとてもお似合いだと誰もが思うだろう。
(いいや。彼女は薔薇よりガーベラがよく似合う。本当の彼女はガーベラのように明るくて無邪気な人なんだから)
セオドアは自分に寄り添い歩く愛しい人を見た。
早くこの人に100本のガーベラの花束を渡したい。そして、今度こそ大切に幸せにしたい。
そう強く思いながら、学院までゆっくりと歩いて行った。
卒業パーティーに向けて美しく着飾ったオフィーリアの横で、マリーが控えめだがどこか得意気顔で尋ねた。
「ええ。素敵だわ」
鏡に映る自分の姿をオフィーリアは満足気に見つめた。
淡い黄色を基調にしたドレスに白と水色のレースがふんだんにあしらわれ、とても可憐だ。
ハーフアップにした艶やかな赤毛には同じ黄色と水色のリボンがとても可愛らしい。
可愛らしいというよりは美人なタイプのオフィーリアは自慢の赤髪に合わせた赤や黒などを使ったシックで大人びたドレスがとてもよく似合う。自分でもそれは分かっており、夜会やお茶会ではそういったドレスを着用することが多かった。
しかし、今日は自分の好きな色を着ると決めていた。それはずっと前から・・・。
もし、寂しい卒業パーティーを迎えることになっていたとしても、きっとこのドレスを着ていた。
オフィーリアは部屋を出る前に自分の机に置いてある一冊のノートを手に取った。それは椿がこの世界で予習復習に使っていたノートだ。
オフィーリアはゆっくりページを捲ると、途中のページで手を留めた。
「オフィーリア様には幸せになって欲しい!! 絶対、断罪回避!! 私にできることは何か?」
そこには、そんな走り書きがある。
オフィーリアは嬉しそうにそれを指でなぞった。そして、ふぅと息を吐くと、ノートを閉じた。
「さあ、行きましょう、マリー」
「はい。お嬢様。門までお送りいたします」
キリッと姿勢を正すと、マリーを伴って部屋から出て行った。
☆彡
女子寮の入り口には自分のパートナーをエスコートしようという男子生徒で溢れていた。
その中に、もちろんセオドアもいる。ソワソワと待ちきれない様子でオフィーリアを待っていた。
「お待たせしました。セオドア様」
やっと来た―――決して遅れてはいないが―――オフィーリアを前に、セオドアは一瞬心臓が止まった。
「セオドア様・・・?」
目を丸め、声を失っているセオドアに、オフィーリアは首を傾げた。
セオドアはハッと我に返り、恥ずかしそうに目を伏せた。
「あまりにも綺麗で・・・」
その言葉にオフィーリアはカーっと頬が熱くなった。慌ててツンとそっぽを向く。
「黄色のドレスを選んだんだね。そして水色も・・・。とてもよく似合っているよ」
「まあ、ありがとうございますっ」
褒め言葉にドキドキしながらも、ツンとした態度を崩さない。急いで扇で顔を隠すが遅かったようだ。セオドアには真っ赤な顔がしっかり見られてしまった。
「俺の色を身に付けてくれたと思っていいのかな?」
黄色と青。金髪碧眼のセオドア。きっと自惚れではないだろう。
「そ、そ、そういうわけではありませんわよ! たまたまわたくしの好きな色というだけですわ!」
ツンと答えるオフィーリアに、セオドアはクスッと笑うと、
「たまたま君の好きな色を俺自身が持っていたなんて光栄だ」
そう言って手を差し伸べた。
彼女はよくこの色のリボンを身に付けていた。ずっと前から身に付けていた。
そんなに前から自分は想われていたのに・・・。本当に自分は何を見ていたのか。
改めて今までの自分が悔やまれる。
「今度こそ・・・、今度こそ絶対に君を大切にする」
手に取ったオフィーリアの指先にそっと唇を寄せた。
「ま、まだ、気が早いですわよ!」
「ああ、そうだな。でも・・・」
でも・・・。実は彼にはアドバンテージがある。
なぜなら、二人は侯爵家同士が決めた婚約関係であり、それは解消されていないのだ。この世界に帰ってきてから、セオドア自身も家に何も伝えていないが、特にラガン家からの何のお達しもない。恐らく、オフィーリアも何も伝えていないはず。
このまま行けば、近いうちに二人は婚姻するだろう。
だが、それに胡坐をかく気はないし、切り札として使うつもりもない。
婚姻までの短い間に、オフィーリア自身に婚約者と認めてもらわないといけないのだ。
万が一にも認めてもらえない場合は、自分が悪者なってでも彼女の意思を尊重し、婚約を解消するだけの気概を持って臨むつもりだ。
「でも、他の奴らに君を奪われないように牽制しないと」
オフィーリアの手を持ち直すと、今度は甲にキスを落とした。
真っ赤な顔で自分を見つめるオフィーリア。
「さあ、行きましょう。お姫様」
セオドアはオフィーリアを優しく引き寄せると、自分の腕に彼女の手を添えさせた。
ゆっくりと学院に向かって歩く。
途中、生け垣の薔薇が目に入った。
可憐というより大人っぽく少し妖艶さも備える美人な彼女には薔薇の花がよく似合う。真っ赤なドレスに真っ赤な薔薇がとてもお似合いだと誰もが思うだろう。
(いいや。彼女は薔薇よりガーベラがよく似合う。本当の彼女はガーベラのように明るくて無邪気な人なんだから)
セオドアは自分に寄り添い歩く愛しい人を見た。
早くこの人に100本のガーベラの花束を渡したい。そして、今度こそ大切に幸せにしたい。
そう強く思いながら、学院までゆっくりと歩いて行った。
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