番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―

白雲八鈴

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26章 建国祭

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 空は晴天。冬の寒い日もこの日ばかりは、寒さなどは関係がないと言わんばかりに、王都中が活気づいていた。

 それは勿論今日から数日に渡り建国祭が始まるのだ。

 しかし、シェリーはというといつもどおり、何事も無いように朝を迎えていた。

「シェリー。今日はどうするの?」

 カイルがシェリーに今日の予定を聞く。シェリーはというと、リオンの膝の上に座らされて珈琲を飲みながら、カイルを見てきた。

「別に何もないですよ?」

「あれ?シェリー。ルークくんの応援は行かなくていいのか?」

 グレイが首を傾げながらシェリーに尋ねる。確か新年の武闘大会にルークが出場すると言っていたはず。

「今日は一般部門の予選ですので違います」

 どうやら数日ある建国祭の中でも武闘大会は部門ごとに別れているようだ。するとオルクスがキラキラした目をして聞いてきた。

「それって俺でも参加できるのか?」

「出来ますが、オルクスさんでは物足りないのではないのですか?」

 レベルが100を超えたオルクスが一般人と混じって武闘大会に参加するとなれば、それは子供のお遊びに付き合うようなものだろう。それにギラン共和国でギランの豹と呼ばれたオルクスが対戦相手とわかると棄権するものも出てくるのではないのか?

「第6師団で聞いたんだけどな。一般部門での優勝者は軍部の者を指名して戦えるらい。あの青狼の師団長と本気でやりあえるんだ」

 それはだたのパフォーマンスであって、第6師団長のクストが本気で戦うとは思えないし、彼は何かがあった為に待機をしておかなければならないので、オルクスの対戦を拒否する可能性の方が高い。

「オルクスさん。第6師団長さんは王都の治安維持に全力をそそいでもらわないといけないので、ダメです」

 シェリーは全力でと言っているのは勿論この祭りを楽しむために遊びに出かけるであろうルークの身を案じてのことだ。

「でもさぁシェリー。一般人でも第0師団向きの人がいるかもしれないから、見に行った方がいいと思う」

 グレイが第0師団の人員確保の心配を何故かしてきた。このことは第0師団長のツヴェークにまかせてあるので、シェリーがわざわざ人材探しをしないでいいようにしている。なのに、グレイはルークの応援に行かないのかとか第0師団の人材探しに行かないのかと言ってきたのだ。

 そんなグレイにシェリーはため息を吐く。

「今度はなんですか?ナディア様」

 いや、愛し子のグレイに干渉して、女神ナディアが神言をしてきたのだった。

『あら?そんなに嫌そうな顔をしなくてもいいのではないのかしら?』

 シェリーの斜め向かい側の席に座りテーブルに肘を付いてその手のひらの上に顎を置いて首を傾げている姿の女神ナディアが突如として存在していた。

「以前も言いましたが、グレイさんを使って言いたいことを言うのはやめもらえないでしょうか?」

 シェリーからまたしても女神ナディアの言葉を伝えていたと知ったグレイは、隣に突如として顕れた女神ナディアから距離を取るために慌てて隣にいるカイルを盾にするように女神ナディアから隠れた。

 そんなグレイに女神ナディアは微笑ましげな笑みを向ける。

『でもシェリーちゃんは私の言うことを聞かないでしょ?』

 何かと女神であるナディアの神言を無視し続けているシェリーに直接言葉を伝えるのではなく、グレイを使って伝えることにしたと安易に女神ナディアは言っているのだ。

「必要なことと、そうでは無いことを分けているだけです。ナディア様はナディア様の個人的なわがままが多いので、それは後回しにしているだけです」

『あら?神なんて大抵わがままなものよ?特にあのいけ好かないヤツとかね』

 女神ナディアは酷く白き神を嫌っているようだ。美しい女神ナディアの顔を歪める程に。

「それは、別にいいので、今回は何があるのですか?」

 他の神のわがままなど、どうでもいいと切り捨てて、シェリーは今日の武闘大会の予選に行かせたい理由を女神ナディアに尋ねた。

『雨が降るのよ。そこに末の子がいるの。まだあの子は幼いから……あら?』

 女神ナディアが話している途中だというのにシェリーの姿はこの場から消えてきた。そして、二階の方から何か物をひっくり返しているようなドタバタという音が聞こえてきた。
 いつものシェリーとしては考えられない行動だった。

「女神ナディア様。それは大会の予選にルークが観戦に来ているところに、何かが起こるということでしょうか?」

 空席を挟んだ先のカイルが女神ナディアに先程の神言の意味を問いかけた。
 今日、その大会の予選会場で何かが起こるが、女神は下界のことに直接関与できないためシェリーに神言したのだ。しかし、女神ナディアは何が起こるとは言葉にしていないのに、シェリーはさっさと行動に移してしまったのだった。

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