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27章 魔人と神人
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光の線は床を焦がし、壁や天井を斜めに走って止まった。いや、銃口となっていた腕が肩の部分ごと断ち切られ、金属の本体は壁に打ち付けられ、正面の装甲部分が破壊されている。
その直線上には大剣を振り切った姿のカイルがいるものの、銃口の腕を切ったのは理解できるが、前方部分が破壊された理由がわからない。
「カイルさん。蹴って破壊しないでもらえません?アレぐらいの攻撃、大したことありません」
シェリーが呆れたような声で、カイルの横を通り過ぎて、壊されてしまった魔導兵のところに行こうとする。しかし、横を通り過ぎようとしたところで、カイルに手首を捕まれてしまった。
「シェリー。まだ動いている」
カイルは前面が壊れてもなお、ぎこちなく動き、態勢を整えようとしている魔導兵を睨みつけている。
「あれ?なんで動いたんだろう?」
カイルと魔導兵の間に、首を傾げながらロビンが入ってきた。それもラフテリアを片手で抱きかかえながら。
「エリザベートが触っても何も起こらなかったのになぁ」
恐らく壊れた後、この場所に移動させたのは大魔女エリザベートだったのだろう。彼女は空島から奪ってきたのだ。それは使えないモノを溜めて置く場の管理をしていたのも、彼女だったに違いない。
「ロビン。きっと神さまの力だよ。だって六番目は神さまとお話ができるもの」
白き神主義のラフテリアは、全ての奇跡は白き神の力とでも言いたいのだろう。
「確かに彼女の周りには神気が漂っているから、あり得るかもしれないね」
ロビンはラフテリアの白き神主義の言葉に同意を示す。いや、愛おしいラフテリアの全てを肯定したいのかもしれない。その冬の空のような瞳には人外であるラフテリアしか映っていないのだから。
「ロビン様、心外ですね。私は神気など、まとっていませんよ」
ロビンに神気を感じると言われたシェリーは不機嫌そうに言い返した。ただでさえ良い印象がない白き神の神気を感じると言われれば、シェリーはきっぱりと否定するだろう。
「何を言っているのかな?」
ぎこちなく動くものの、可動部分が上手く噛み合っていないのか、叩きつけられた壁から動けない魔導兵の観察に飽きたロビンは振り向いて言った。
「君は聖女だからね。神との繋がりは存在し続けるだろう?」
ロビンの言っていることに間違いはない。聖女とは白き神が聖女と決め、神の代わりに地上を浄化する役目を与えた者のことなのだ。だから、シェリーには白き神との繋がりは存在する。聖女であるかぎり。
白き神に剣聖とあるように役目を与えられたロビンの言葉を、シェリーは否定することはできず、大きくため息を吐きながら、ガシャガシャと同じ動きを繰り返す魔導兵に近寄っていく。カイルに右手を繋がれながら。
間近で見た魔導兵は前面の装甲が大きく破壊され、割れた隙間から中を見ることが出来た。その中を見てシェリーは眉を潜める。
「趣味が悪い」
ただ一言つぶやき、右手を握ろうと思ったが、カイルに握られているため、それは叶わず、左手で握りこぶしを作る。
そして、白い炎をまとわし、壊れた部分を狙って左手を打ち放った。
「『白き業火の灰燼』」
白き炎は魔導兵を浄化するように、全てを覆い焼き尽くす。その後には煤けた壁が残るのみ。
「ロビン様。壊れた魔導兵を全て灰にしてもいいでしょうか?」
「え?持って帰るんじゃなかったの?」
シェリーはオリバーへのお土産として魔導兵を持って帰ろうとしていたのだ。それが一転、全てを燃やすと言っている。この大陸の護りとして存在している魔導兵以外の全てを。
「必要ありません。こんな悪趣味なもの」
「何がどうしたのか。説明してくれない?」
ロビンとしては、シェリーが触ったことで直るのであれば、全てを直して欲しいと思っていたのだ。それは勿論この大陸の防衛のために。
シェリーはとても嫌そうな顔をして、山積みになっている魔導兵の残骸を指して言う。
「これ、恐らく元はアーク族です」
「「……」」
カイルもロビンもシェリーの言葉に一瞬何を言っているのか理解できないでいた。魔導兵がアーク族とは?
「え?羽ないよ?足が四本あるし」
ラフテリアはそもそもの疑問を口にした。アーク族なら翼があるものだ。そして、人形であるアーク族は二本足である。決して四本足ではない。
その言葉にシェリーは山積みになった魔導兵の一体に近づいて、ある一点を指し示した。
「この背中の突起。おそらく翼に繋がる骨の突起物が外装に残されていると思われます」
シェリーはカイルが言っていた魔導兵が空を飛んでいたと言うには、空を飛べる機構が無いことを疑問視していた。
「そして、この後ろ足」
シェリーは使い潰されたゴミのようなナイフを取り出して、後ろ足の根本をつつく。
するとバキッと壊れた音がしたが、魔導兵の後ろ足が外れた。その後ろ足の足首に見えるところも壊し、背中の突起に合わせてみる。
「翼の骨格ではないのでしょうか?」
その直線上には大剣を振り切った姿のカイルがいるものの、銃口の腕を切ったのは理解できるが、前方部分が破壊された理由がわからない。
「カイルさん。蹴って破壊しないでもらえません?アレぐらいの攻撃、大したことありません」
シェリーが呆れたような声で、カイルの横を通り過ぎて、壊されてしまった魔導兵のところに行こうとする。しかし、横を通り過ぎようとしたところで、カイルに手首を捕まれてしまった。
「シェリー。まだ動いている」
カイルは前面が壊れてもなお、ぎこちなく動き、態勢を整えようとしている魔導兵を睨みつけている。
「あれ?なんで動いたんだろう?」
カイルと魔導兵の間に、首を傾げながらロビンが入ってきた。それもラフテリアを片手で抱きかかえながら。
「エリザベートが触っても何も起こらなかったのになぁ」
恐らく壊れた後、この場所に移動させたのは大魔女エリザベートだったのだろう。彼女は空島から奪ってきたのだ。それは使えないモノを溜めて置く場の管理をしていたのも、彼女だったに違いない。
「ロビン。きっと神さまの力だよ。だって六番目は神さまとお話ができるもの」
白き神主義のラフテリアは、全ての奇跡は白き神の力とでも言いたいのだろう。
「確かに彼女の周りには神気が漂っているから、あり得るかもしれないね」
ロビンはラフテリアの白き神主義の言葉に同意を示す。いや、愛おしいラフテリアの全てを肯定したいのかもしれない。その冬の空のような瞳には人外であるラフテリアしか映っていないのだから。
「ロビン様、心外ですね。私は神気など、まとっていませんよ」
ロビンに神気を感じると言われたシェリーは不機嫌そうに言い返した。ただでさえ良い印象がない白き神の神気を感じると言われれば、シェリーはきっぱりと否定するだろう。
「何を言っているのかな?」
ぎこちなく動くものの、可動部分が上手く噛み合っていないのか、叩きつけられた壁から動けない魔導兵の観察に飽きたロビンは振り向いて言った。
「君は聖女だからね。神との繋がりは存在し続けるだろう?」
ロビンの言っていることに間違いはない。聖女とは白き神が聖女と決め、神の代わりに地上を浄化する役目を与えた者のことなのだ。だから、シェリーには白き神との繋がりは存在する。聖女であるかぎり。
白き神に剣聖とあるように役目を与えられたロビンの言葉を、シェリーは否定することはできず、大きくため息を吐きながら、ガシャガシャと同じ動きを繰り返す魔導兵に近寄っていく。カイルに右手を繋がれながら。
間近で見た魔導兵は前面の装甲が大きく破壊され、割れた隙間から中を見ることが出来た。その中を見てシェリーは眉を潜める。
「趣味が悪い」
ただ一言つぶやき、右手を握ろうと思ったが、カイルに握られているため、それは叶わず、左手で握りこぶしを作る。
そして、白い炎をまとわし、壊れた部分を狙って左手を打ち放った。
「『白き業火の灰燼』」
白き炎は魔導兵を浄化するように、全てを覆い焼き尽くす。その後には煤けた壁が残るのみ。
「ロビン様。壊れた魔導兵を全て灰にしてもいいでしょうか?」
「え?持って帰るんじゃなかったの?」
シェリーはオリバーへのお土産として魔導兵を持って帰ろうとしていたのだ。それが一転、全てを燃やすと言っている。この大陸の護りとして存在している魔導兵以外の全てを。
「必要ありません。こんな悪趣味なもの」
「何がどうしたのか。説明してくれない?」
ロビンとしては、シェリーが触ったことで直るのであれば、全てを直して欲しいと思っていたのだ。それは勿論この大陸の防衛のために。
シェリーはとても嫌そうな顔をして、山積みになっている魔導兵の残骸を指して言う。
「これ、恐らく元はアーク族です」
「「……」」
カイルもロビンもシェリーの言葉に一瞬何を言っているのか理解できないでいた。魔導兵がアーク族とは?
「え?羽ないよ?足が四本あるし」
ラフテリアはそもそもの疑問を口にした。アーク族なら翼があるものだ。そして、人形であるアーク族は二本足である。決して四本足ではない。
その言葉にシェリーは山積みになった魔導兵の一体に近づいて、ある一点を指し示した。
「この背中の突起。おそらく翼に繋がる骨の突起物が外装に残されていると思われます」
シェリーはカイルが言っていた魔導兵が空を飛んでいたと言うには、空を飛べる機構が無いことを疑問視していた。
「そして、この後ろ足」
シェリーは使い潰されたゴミのようなナイフを取り出して、後ろ足の根本をつつく。
するとバキッと壊れた音がしたが、魔導兵の後ろ足が外れた。その後ろ足の足首に見えるところも壊し、背中の突起に合わせてみる。
「翼の骨格ではないのでしょうか?」
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