神守の少女、二度目の人生は好きに生きます〜因縁相手は勝手に自滅〜

雪水砂糖

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34 辺境の地1(領主夫人、姫花視点)

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(辺境の領主 岩城いわしろ家当主夫人視点)
 水無瀬透子様に仕える侍女であり、わたくしの学院時代からの友人――恭子から手紙が届いた。
 この恭子という人物、実家の家格は中大位ながら、透子様を敬愛するあまり親衛隊の隊長にまでなった後、ついには押しかけ同然で侍女となった変わり者である。学院時代から武芸に秀で、透子様の護衛も兼ねている。そして、同じく水無瀬蒼一様を敬愛する相模家の次男と利害一致の末に結婚し、夫婦そろって水無瀬家のために尽くしている。

 そんな彼女の手紙とあらば、透子様に関する報せに違いない。胸の高鳴りを抑え、封を丁寧に切った。


 ---

 そちらの領地の商家に、沼安姫花が嫁いでいることは既知のことと思います。
 水無瀬家当主の弟君と結婚しながら、その実の娘が弟君の子ではなく、婚約中の過ちでできた子であることが判明し、離縁された――これが表向きの理由です。しかし真の原因は別にあります。
 弟君は結婚後、一切姫花に関心を示さず、親族の集まりにも顔を出さないのをいいことに、姫花は夫妻それぞれに「政略結婚で仕方なく結ばれた」「本当は他に想い人がいる」と嘘を吹き込み、娘の花蓮は瑞葉様に対して、まるでご両親に愛されていないかのような作り話を繰り返し、家族の絆を引き裂こうとしていました。
 これらの事実は家族会議で発覚し、ご当主が弟君に離縁を勧告しました。
 透子様は非常にお怒りです。
 あなたは親衛隊副隊長として、なすべきことをなさい。

 ---

 手紙を握る手が震えた。
 なんということ…あの女狐が、まだ透子様御一家に牙を剥いていたとは!
 透子様親衛隊副隊長の全力をもって、必ずや裁きを下すのだ。覚悟しなさい。


(姫花視点)
 辺境へ来て、やることもなく暇を持て余していた頃、領主夫人から、私と花蓮に茶会のお誘いが届いた。

 夫となった人とは、初日に顔を合わせただけである。「特に任せる仕事はないから、予算の範囲内で自由にしてくれて構わない」と言い残し、それ以降、一度も姿を見せない。

 浅井克己との結婚のときも、やるべき仕事はなかったが、水無瀬家の縁者として、お茶会やパーティの招待は少なからずあった。しかしこの辺境の地で商いを営む夫には、そうした華やかな社交の場から声がかかることはないだろう。だからこそ、領主夫人は、この地に珍しい社交の機会として、私を招いたのだろう。辺境では華やかな催しが少なく、領主夫人もそうした場に飢えているに違いない。華やかな神守出の私と親しくなりたいのも無理はないわ。私はどこにいても求められる存在なのね。

 克己と結婚した時に揃えた品のうち、持ってこれたものはほんの一部だが、高価な着物やドレスだけは何としても数着ずつ持参した。こちらで用意された服は、平民でももっと華やかな物を着るのではと思うほど質素だ。

 辺境を治める岩城家の茶会――『子ども連れの気楽なもの』とは、書いてあったが……最初が肝心よ。この領地の方々に、私の美しさを刻みつけてやる。

 選ぶのは決まっている。持参した中でも最も高価な特注のドレス。私の魅力を最大限引き立てるのは、やはりこれしかない。

 ああ、当日が楽しみだわ……

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