神守の少女、二度目の人生は好きに生きます〜因縁相手は勝手に自滅〜

雪水砂糖

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12 新たな一歩

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 翌朝、朝食の席に家族全員がそろい、ことの顛末を聞かされた。
 叔父様はその日のうちに離縁が成立し、さらに花蓮が叔父様の実子ではないことも判明したため、親子関係も完全に解消されたという。
 叔母様と花蓮はひとまず実家へ戻り、その一ヶ月後には、こちら側で見つけた辺境の商家へ嫁ぐことが決まったらしい。

 神守の社会から遠ざけるため、平民の中から結婚相手を探した結果、条件に合う人物が現れたのだという。相手は辺境で商家を営む四十歳の男性で、商人としての信用を得るために既婚者となることを望んでおり、子を持つ気もなければ結婚相手への関心も薄い。何度も公的なお見合い所を利用してきたが縁がなかったらしく、今回の縁談はまさにうってつけだった。

 お父様からそう説明を受け、あまりの展開の速さに、私はただ呆然とするばかりだった。
 こうして花蓮は、あっけなく神守の社会から退場したのだ。……これで、十六のときに私と光矢が命を落とす運命を変えられたのだろうか。

 朝食が終わり、光矢と午前中の勉強が始まる前の、わずかな時間に話をする。

「どう思う? これで本当に終わったと思う? 私がやったことなんて、お父様とお母様に話し合ってもらって、誤解を解いただけなのに」

「終わったと断言はできないけど、少なくとも両親との関係に関しては誇っていいことだと思うよ。何もしなければ、あと八年は確実に拗れたままだったはずだ」

「そうね……これから先、花蓮がまた立ちはだかるかもしれない。その時に備えて、私も力をつけておくつもりよ。そして、そのためだけじゃなく、前の人生でできなかったことを成し遂げて、もっと広い世界を見てみたいわ」

「うん。警戒は残しつつも、これからはたくさんの経験をして、姉さまには前の人生の分も心から楽しんでほしい。家族の関係も改善されたことだしね」

 この弟は本当に純粋な六歳なのだろうか?
 私には十六歳まで生きた記憶があるが、それにしても光矢は大人びすぎている気がする。
 ……まあ、あまり深く考えないようにしよう。

 お母様との訓練はまだ始まっていなかった。急な話だったので、お母様の予定がしばらく詰まっているらしい。
 そこで、当初の予定どおり光矢の基礎訓練に混ぜてもらい、体力づくりに励むことになった。勉強も変わらず続けつつ、そんな生活をしばらく続けていたある日――。

 朝から全教科の先生が揃い、すべての科目で試験を受けることになった。
 なかなか骨の折れる問題も多かったが、すべて解答できたと思う。
 採点が終わると、お父様とお母様も一緒に、教師たちが戻ってきた。

「やはり、お嬢様は全科目で高等部までの範囲を十分に理解しておられます」

「神気の制御も、優秀といえる水準に達しているでしょう」

 驚いたお父様とお母様が、同時に「それは本当か?」と声を揃える。

「ええ。最近の授業の様子から、もしやと思い、他の先生方とも話し合ったところ、全員が同じ見解でした。できていることを繰り返すのは時間の浪費ですので、このような試験を設けました。お嬢様には、もう一段上の教育を施すべきと存じます」

「そうか……透子はどう思う?」

「私も賛成よ。教育内容を一段引き上げ、その分授業時間を減らして、空いた時間は私との訓練と神殿での奉仕活動に充てましょう。きっといい経験になるはずよ」

「いきなり討伐隊に参加させるのは危険じゃないか?」

「奉仕活動は討伐だけじゃないわ。瑞葉と同じくらいの子たちも、神殿でできる仕事をしているの。雑用もあれば、神殿内の補助もあるのよ。もちろん強制はしないけれど……瑞葉はどう思う?」

「お母様! 私、やってみたいです。外の世界を見てみたい。お母様と一緒に討伐できるようになるまでは、家で訓練をしながら、神殿では雑用でも何でもします。でも……ひとつお願いがあります。私が水無瀬家の娘だと、分からないようにしてください」

「……分かったわ。きっと、身分を隠すことで見えるものもあるでしょう。何事も経験よ」

「でも、危険じゃないか? 君が常に一緒にいられるわけじゃないだろう」

「もちろん、佳乃も同行させます。けれど、分かっていると思うけれど、何かあったらまず自分で対処するのよ」

「はい! お母様。私、頑張ります!」

「僕も行きたいけど、叔父さんと共同で研究していることがあって、今はそちらを優先したいんだ」

「まあ……しょっちゅう通っていると思ったら、そんなことをしていたのね」

「完成が見えてきたら披露しますね」

「楽しみにしているわ。娘も息子も本当に優秀ね。蒼一さんに似たのね」

「いや、君だろう」

「………」「………」

 いきなり始まった両親の甘いやり取りに、私と光矢は言葉を失ったが、胸の奥にじんわりと温かいものがこみ上げてきた。

「私たちは……二人に似たんだと思います」

 そう言うと、以前は無表情だった両親が信じられないほど嬉しそうな顔で微笑んだ。
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