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第五章 2年目前半
第249話 アンマリアの居ない学園
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アンマリアたちがミール王国へ行っている間、一人留守番となってしまったモモは、実に退屈そうに毎日を過ごしていた。
「あーあ、お姉様たちだけでずるいですわ。私もミール王国に行きたかったですわ」
自室で机に向かって座りながら、足をバタバタとさせているモモ。実に子どもっぽい仕草である。
本当に、アンマリアに本来の両親から救い出された後のモモは、義理の姉となったアンマリアにかなりべったりなのである。本当にどうしてここまでべったりになったのだろうか。このままでは依存症レベルで将来が心配になってしまうくらいだった。
「はあ、お姉様。早く会いたいですわ……」
モモはそう言いながらも、あくびが出たために眠りに就いたのだった。
翌日の学園では、モモはラムやサキといった、魔法型の友人たちと一緒に行動していた。しかし、やはりアンマリアが居ないとちょっと寂しいようだった。
ただこれは、他の二人も同じようで、どこか楽しさが足りていないようだった。まあ、体積的に物足りないのはよく分かる。
「やはり、アンマリア様がいらっしゃらないと、どこかつまりませんわね」
ラムからしてこの言いっぷりである。ライバル令嬢たちもかなりアンマリアの影響を受けているのだった。
「仕方ありませんよ。お隣のミール王国に国賓としてお呼ばれしてしまいましたから。断るとなると国家間の問題にもなりかねませんからね」
そう言葉を続けるのは、サキである。
こういう言葉が出てくるあたり、みんな令嬢として素直に成長しているようで嬉しい話である。
「あーでも、やっぱりお姉様に会いたいです!」
その雰囲気を一瞬で破壊するのがモモだった。本当にモモのアンマリア依存はかなり酷いものになっていた。拗らせていると言ってもいいレベルだった。
「まったく、令嬢ともあろう方が、そんな大声で叫ぶものではないですよ」
そこに通りかかったのは、タカーだった。隣にはタンとカービルも居る。影の薄い攻略対象三人が久しぶりに登場である。
「はっはっはっ、いいではないか。元気が一番だぞ。なあ、カービル」
「あなたやあなたの婚約者のサクラ嬢じゃないんですからね。まあ、元気なのはいい事ですが」
タンの言い分に苦言を呈しながらも肯定するカービルである。
「そういえば、サクラ嬢は見なかったか?」
雰囲気を完全に無視してタンがモモたちに尋ねる。
「一人だけ武術型ですので、ご一緒する事はあまりございませんゆえ、ちょっと分かりかねます。私たちもお誘いはしているのですが、サクラ様がそれを拒みますゆえ……」
「アンマリア様がいらっしゃると誘いやすいのですけれどね」
ラムとサキが、そのようにタンの質問に答えていた。
「ふーむ、やはりアンマリア嬢の存在は大きいな。いや、なにも体格の事を言っているのではないぞ」
誰も突っ込んでいないのに、タンは勝手にそんな風に弁明をしていた。さすがにこれには全員からジト目を食らう事になるタンである。自業自得だ。
「ですが、アンマリア嬢が居ないだけで、雰囲気ががらりと変わってしまうというのは否めませんね。心なしか学園の中が静かに思えます」
そんな事を言うタカーだが、周りでは他の学生たちが談笑している。十分賑やかだとは思うのだが、タカーは何を基準にそんな事を言ったのだろうか。気になるところである。
しかし、そこに誰もツッコミを入れる事はなく、久しぶりの顔合わせに話を弾ませていたようだった。
特にモモは親が決めた相手とはいえ、婚約者であるタカーとの久々の会話を楽しんだようだった。アンマリアが居ない寂しさは少しは紛れたようなのか、モモは少し表情を明るくしたようだった。
普段はアンマリアが居るので、アンマリアとの話ばかりになっていたモモ。婚約者との会話は少し新鮮だったのではないだろうか。
「たまには、婚約者である私も見てほしいな。そこで相談なのだけど、今度の週末は空いているかい?」
「えっと、はい、空いてます」
「では、たまには二人で出かけようか。いくら君がアンマリア嬢に恩義を感じているとはいえ、婚約者を取られてばかりでは、私が悲しいからね」
「た、タカー様……」
昼休みの終わりの別れ際に、そう言ってモモを口説くタカーである。だが、モモもまんざらではない様子である。
その様子を微笑ましく見るラムたち。
「カービル様、わたくしたちもどこか出かけませんこと?」
「ああ、それも悪くないかな」
ラムの誘いに、ちょっと消極的なカービル。やっぱり太っている方がいいのだろうか。
「あらあら、私なんて優良物件、見た目で捨てるなんて許しませんわよ。バラロース家を盛り立ててみせますから」
笑顔でにっこりと言うラムに気圧されて、カービルはその誘いを了承していた。これは将来尻に敷かれそうである。
「くっそう、みんないちゃいちゃしやがって! 俺だってサクラとは仲がいいんだからな!」
一人残されたタンが大声で叫んでいる。
「うふふ、本当ですわね。ただ、私なんて、殿下のどちらとの婚約者なのか、正式に決まっていませんもの。はっきりしている皆さんが羨ましいです」
「おおう、それはそうだったな。早く決まるといいな、サキ嬢」
一人余った者同士、慰め合うタンとサキだった。
結局、アンマリアが居なくてもみんなは平和なのであった。
「あーあ、お姉様たちだけでずるいですわ。私もミール王国に行きたかったですわ」
自室で机に向かって座りながら、足をバタバタとさせているモモ。実に子どもっぽい仕草である。
本当に、アンマリアに本来の両親から救い出された後のモモは、義理の姉となったアンマリアにかなりべったりなのである。本当にどうしてここまでべったりになったのだろうか。このままでは依存症レベルで将来が心配になってしまうくらいだった。
「はあ、お姉様。早く会いたいですわ……」
モモはそう言いながらも、あくびが出たために眠りに就いたのだった。
翌日の学園では、モモはラムやサキといった、魔法型の友人たちと一緒に行動していた。しかし、やはりアンマリアが居ないとちょっと寂しいようだった。
ただこれは、他の二人も同じようで、どこか楽しさが足りていないようだった。まあ、体積的に物足りないのはよく分かる。
「やはり、アンマリア様がいらっしゃらないと、どこかつまりませんわね」
ラムからしてこの言いっぷりである。ライバル令嬢たちもかなりアンマリアの影響を受けているのだった。
「仕方ありませんよ。お隣のミール王国に国賓としてお呼ばれしてしまいましたから。断るとなると国家間の問題にもなりかねませんからね」
そう言葉を続けるのは、サキである。
こういう言葉が出てくるあたり、みんな令嬢として素直に成長しているようで嬉しい話である。
「あーでも、やっぱりお姉様に会いたいです!」
その雰囲気を一瞬で破壊するのがモモだった。本当にモモのアンマリア依存はかなり酷いものになっていた。拗らせていると言ってもいいレベルだった。
「まったく、令嬢ともあろう方が、そんな大声で叫ぶものではないですよ」
そこに通りかかったのは、タカーだった。隣にはタンとカービルも居る。影の薄い攻略対象三人が久しぶりに登場である。
「はっはっはっ、いいではないか。元気が一番だぞ。なあ、カービル」
「あなたやあなたの婚約者のサクラ嬢じゃないんですからね。まあ、元気なのはいい事ですが」
タンの言い分に苦言を呈しながらも肯定するカービルである。
「そういえば、サクラ嬢は見なかったか?」
雰囲気を完全に無視してタンがモモたちに尋ねる。
「一人だけ武術型ですので、ご一緒する事はあまりございませんゆえ、ちょっと分かりかねます。私たちもお誘いはしているのですが、サクラ様がそれを拒みますゆえ……」
「アンマリア様がいらっしゃると誘いやすいのですけれどね」
ラムとサキが、そのようにタンの質問に答えていた。
「ふーむ、やはりアンマリア嬢の存在は大きいな。いや、なにも体格の事を言っているのではないぞ」
誰も突っ込んでいないのに、タンは勝手にそんな風に弁明をしていた。さすがにこれには全員からジト目を食らう事になるタンである。自業自得だ。
「ですが、アンマリア嬢が居ないだけで、雰囲気ががらりと変わってしまうというのは否めませんね。心なしか学園の中が静かに思えます」
そんな事を言うタカーだが、周りでは他の学生たちが談笑している。十分賑やかだとは思うのだが、タカーは何を基準にそんな事を言ったのだろうか。気になるところである。
しかし、そこに誰もツッコミを入れる事はなく、久しぶりの顔合わせに話を弾ませていたようだった。
特にモモは親が決めた相手とはいえ、婚約者であるタカーとの久々の会話を楽しんだようだった。アンマリアが居ない寂しさは少しは紛れたようなのか、モモは少し表情を明るくしたようだった。
普段はアンマリアが居るので、アンマリアとの話ばかりになっていたモモ。婚約者との会話は少し新鮮だったのではないだろうか。
「たまには、婚約者である私も見てほしいな。そこで相談なのだけど、今度の週末は空いているかい?」
「えっと、はい、空いてます」
「では、たまには二人で出かけようか。いくら君がアンマリア嬢に恩義を感じているとはいえ、婚約者を取られてばかりでは、私が悲しいからね」
「た、タカー様……」
昼休みの終わりの別れ際に、そう言ってモモを口説くタカーである。だが、モモもまんざらではない様子である。
その様子を微笑ましく見るラムたち。
「カービル様、わたくしたちもどこか出かけませんこと?」
「ああ、それも悪くないかな」
ラムの誘いに、ちょっと消極的なカービル。やっぱり太っている方がいいのだろうか。
「あらあら、私なんて優良物件、見た目で捨てるなんて許しませんわよ。バラロース家を盛り立ててみせますから」
笑顔でにっこりと言うラムに気圧されて、カービルはその誘いを了承していた。これは将来尻に敷かれそうである。
「くっそう、みんないちゃいちゃしやがって! 俺だってサクラとは仲がいいんだからな!」
一人残されたタンが大声で叫んでいる。
「うふふ、本当ですわね。ただ、私なんて、殿下のどちらとの婚約者なのか、正式に決まっていませんもの。はっきりしている皆さんが羨ましいです」
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