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第五章 2年目前半
第248話 祭りの後
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翌日も昼までクルスに滞在すると、そこからシャオンに向けて出発する。最後に王宮でダンスパーティーをして、それで建国祭は終わりとなる。
しかし、あの祈りの席における魔物の群れは一体何だったのか。謎は深まるばかりである。
だけど、変に話して不安を与えるのもよくないとして、私たちは黙っておいた。
「いやまぁ、魔物が集まってきてるのは知ってたけど、あそこまでの数は初めてだわ」
そう証言するのはエスカ。シャオンへ戻る最中の野営の際に話してくれた。
なんでも、去年の建国祭の時にも魔物の気配は感じていたらしい。ただ、私たちと同じように不思議な力に邪魔されて詳しくは分からなかったみたい。
そんなエスカの推理では、建国祭で捧げられる供物に引き寄せられたのではないかという事だった。つまり、魔物が集まるのは餌に引き寄せられたためだというわけ。
それでも、あの時の数は説明できないらしい。港に近い場所での魔物はそれほど確認されているわけではないのだそうだ。それを踏まえて明らかにおかしいというわけである。
ただ、今さらその状況を振り返ったところで何か分かるわけではない。私たちはそう結論付けると、その時は眠ったのだった。
私たちは無事にシャオンへと戻ってくる。クルスに向かった時同様、昼に出て翌々日の昼に到着するという、実に理想的で予定通りの移動となったのだった。
その足で城の中に入っていくと、城の中ではすっかり締めとなるダンスパーティーの準備ができ上がっていた。あとは傷みやすい料理を仕上げるくらいだけである。
シャオンの城に戻った私たちは、この2日間の移動の後なので、すぐさま湯浴みをする事となる。さすがに汗と泥にまみれた状態でダンスパーティーには出られないものね。この建国祭の締めでもあるイベントなので、とにかく気合いを入れる。
そうやって着替えさせられた私たち。それにしても、前世の事を思うと、ここまで派手な服装っていうのもなかなか着た覚えがない。というか着た事あったっけ?
着た事があるといっても、そのすべては転生後のこの世界での事よ。今回はよりにもよって首周りの布がない!
コルセットも着けているからことさら胸を強調した衣装になっていた。恥ずかしいわね。
しかし、そう思っていたのも束の間。エスカとミズーナ王女も似たような衣装だった。でも、王族二人とただの貴族の私とでは、装飾の数が違うから余計私は目立ってしまっていた。うう、恥ずかしいわ。
それにしても、ミズーナ王女は私よりも太っているのに、気品ある姿に見えるというのはさすが王女だと思う。
「お嬢様だって負けてはいませんよ」
私の視線に気が付いたのか、スーラがそんなフォローを入れてきていた。びっくりしたわね。でもね、スーラ。そのフォローはかえって悲しくなるからやめてね。私は口に出さないまでも、心の中で突っ込んでおいた。
そうこうしているうちに、建国祭の締めとなるダンスパーティーが始まった。私は王族ではないものの、今回の建国祭の間は、ずっと王族と同等の扱いを受けていた。それはこの最後のダンスパーティーでも同じようだ。まさか王妃や王子たちと同じタイミングで会場入りになるとは思ってもみなかった。
しかし、それと同時に王子と一緒に踊る事態になるとまでは思ってもみなかった。聞いてないよ。
「うん、言わなかったからね」
そう答えてきたのは、フィレン王子だった。あら、口に出てたみたい。私は慌てて口に手を当てていた。
私のその行動を目の前で見たフィレン王子は笑っている。
「もう、なんなのですか、フィレン殿下!」
ダンスのために手を取り合っている状態ながらも、私はフィレン王子に怒ってみせる。だけど、フィレン王子は笑ってそれを躱していた。その笑顔が素敵すぎるせいで、私はそこから何も言えなくなってしまった。文句を言っているのがばからしくなってきたのよ。仕方なく、踊っている間はずっと頬を膨れさせていた私だった。
周りからどう思われたかは気になったものの、私は最初から開き直っていた。サーロイン王妃とリブロ王子、アーサリーとエスカ、レッタス王子とミズーナ王女と他にも3組が踊っているのなら、その注目はとりあえず分散するだろうからね。
そして、私たちが踊り終わると、会場からは割れんばかりの拍手が送られた。あまりにも熱烈な拍手に、ダンス中の怒りもすっかり吹き飛んでしまった。
ダンスが終わると、ミール国王夫妻が乾杯の音頭を取って、無事に建国祭はそのすべてのスケジュールを終えたのだった。
クルス近くの砂浜で行われた祈りと供物を捧げる儀式以外は、基本的に騒ぐだけだったミール王国の建国祭。でも、単純なお祭りがゆえに、私たちの心には思い出として深く刻み込まれたような気がする。
そして、儀式中に集まってきた大量の魔物の謎。これもまた、私たちに深い印象を残していった。
あの魔物たちの襲来は、何かを意味しているのだろうか。
ただのダイエット恋愛シミュレーションの世界に、一体何が起きているというのだろうか……。
しかし、あの祈りの席における魔物の群れは一体何だったのか。謎は深まるばかりである。
だけど、変に話して不安を与えるのもよくないとして、私たちは黙っておいた。
「いやまぁ、魔物が集まってきてるのは知ってたけど、あそこまでの数は初めてだわ」
そう証言するのはエスカ。シャオンへ戻る最中の野営の際に話してくれた。
なんでも、去年の建国祭の時にも魔物の気配は感じていたらしい。ただ、私たちと同じように不思議な力に邪魔されて詳しくは分からなかったみたい。
そんなエスカの推理では、建国祭で捧げられる供物に引き寄せられたのではないかという事だった。つまり、魔物が集まるのは餌に引き寄せられたためだというわけ。
それでも、あの時の数は説明できないらしい。港に近い場所での魔物はそれほど確認されているわけではないのだそうだ。それを踏まえて明らかにおかしいというわけである。
ただ、今さらその状況を振り返ったところで何か分かるわけではない。私たちはそう結論付けると、その時は眠ったのだった。
私たちは無事にシャオンへと戻ってくる。クルスに向かった時同様、昼に出て翌々日の昼に到着するという、実に理想的で予定通りの移動となったのだった。
その足で城の中に入っていくと、城の中ではすっかり締めとなるダンスパーティーの準備ができ上がっていた。あとは傷みやすい料理を仕上げるくらいだけである。
シャオンの城に戻った私たちは、この2日間の移動の後なので、すぐさま湯浴みをする事となる。さすがに汗と泥にまみれた状態でダンスパーティーには出られないものね。この建国祭の締めでもあるイベントなので、とにかく気合いを入れる。
そうやって着替えさせられた私たち。それにしても、前世の事を思うと、ここまで派手な服装っていうのもなかなか着た覚えがない。というか着た事あったっけ?
着た事があるといっても、そのすべては転生後のこの世界での事よ。今回はよりにもよって首周りの布がない!
コルセットも着けているからことさら胸を強調した衣装になっていた。恥ずかしいわね。
しかし、そう思っていたのも束の間。エスカとミズーナ王女も似たような衣装だった。でも、王族二人とただの貴族の私とでは、装飾の数が違うから余計私は目立ってしまっていた。うう、恥ずかしいわ。
それにしても、ミズーナ王女は私よりも太っているのに、気品ある姿に見えるというのはさすが王女だと思う。
「お嬢様だって負けてはいませんよ」
私の視線に気が付いたのか、スーラがそんなフォローを入れてきていた。びっくりしたわね。でもね、スーラ。そのフォローはかえって悲しくなるからやめてね。私は口に出さないまでも、心の中で突っ込んでおいた。
そうこうしているうちに、建国祭の締めとなるダンスパーティーが始まった。私は王族ではないものの、今回の建国祭の間は、ずっと王族と同等の扱いを受けていた。それはこの最後のダンスパーティーでも同じようだ。まさか王妃や王子たちと同じタイミングで会場入りになるとは思ってもみなかった。
しかし、それと同時に王子と一緒に踊る事態になるとまでは思ってもみなかった。聞いてないよ。
「うん、言わなかったからね」
そう答えてきたのは、フィレン王子だった。あら、口に出てたみたい。私は慌てて口に手を当てていた。
私のその行動を目の前で見たフィレン王子は笑っている。
「もう、なんなのですか、フィレン殿下!」
ダンスのために手を取り合っている状態ながらも、私はフィレン王子に怒ってみせる。だけど、フィレン王子は笑ってそれを躱していた。その笑顔が素敵すぎるせいで、私はそこから何も言えなくなってしまった。文句を言っているのがばからしくなってきたのよ。仕方なく、踊っている間はずっと頬を膨れさせていた私だった。
周りからどう思われたかは気になったものの、私は最初から開き直っていた。サーロイン王妃とリブロ王子、アーサリーとエスカ、レッタス王子とミズーナ王女と他にも3組が踊っているのなら、その注目はとりあえず分散するだろうからね。
そして、私たちが踊り終わると、会場からは割れんばかりの拍手が送られた。あまりにも熱烈な拍手に、ダンス中の怒りもすっかり吹き飛んでしまった。
ダンスが終わると、ミール国王夫妻が乾杯の音頭を取って、無事に建国祭はそのすべてのスケジュールを終えたのだった。
クルス近くの砂浜で行われた祈りと供物を捧げる儀式以外は、基本的に騒ぐだけだったミール王国の建国祭。でも、単純なお祭りがゆえに、私たちの心には思い出として深く刻み込まれたような気がする。
そして、儀式中に集まってきた大量の魔物の謎。これもまた、私たちに深い印象を残していった。
あの魔物たちの襲来は、何かを意味しているのだろうか。
ただのダイエット恋愛シミュレーションの世界に、一体何が起きているというのだろうか……。
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