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第119話 人が増えたら紹介は必要ですよ
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まったく、アンドリュー殿下ときたらまったく困ったものですよね。
まさか、見習いとはいえ、王宮料理人を寄こしますか……。あの人、本当に無駄な行動力があるから困るんですよね。
そんなわけですので、追い返すわけにもいきませんので、やむなく雇い入れましたよ。
ひとまずは予備のエプロンを渡しておきましょう。予備はまだあるとはいいましても、これは注文を出しておかなければなりませんね。
渡されたエプロンを広げてみて、三人ともぴたりと動きを止めてしまいます。
「これは……ラッシュバードですか」
一番体ががっしりしているミシオさんがエプロンのデザインについて言及してきました。
お渡ししたエプロンには、胸の部分と左下にラッシュバードの姿が刺繍されています。これで私の店だとすぐに分かるようにしてあるのです。なにせ公爵領でラッシュバードを飼っているのは、私のところだけですからね。
「さすがにアマリス様が連れて帰られたラッシュバードがいらっしゃいますから、すぐに分かったようですね。これがこの食堂の制服です。本当はおそろいの衣装にしようかと思ったのですが、他の方々に断られてしまいましたからね」
「なるほど、そうでしたか」
「このエプロンは、実に分かりやすくていいですね」
はい、お三方ともすぐに理解して頂けたようですね。
お話が済めば、翌日からの営業に向けて料理の練習です。そのためには厨房の中をまず見てもらわなければなりません。
食材の置いてある場所や厨房設備の説明、それと何種類か料理を教えていますと、あっという間に夕方を迎えてしまいました。
その時間ともなると、出かけていたイリスたちが戻ってきてしまいます。
「ただいま戻りました、レチェ様」
「お帰りなさい、イリス、みなさん」
全員が顔をそろえましたね。
それではせっかくですから、食堂のメンバーの紹介をしておきましょうか。
厨房の責任者は私の侍女であるイリスです。常にメイド服ですから目立ちます。私が庶民の服を着ていますので、彼女の方が主に思う方もいらっしゃるとか。
厨房のその下の責任者になるのが、カリナさん。二次の応募でやってこられた女性ですね。二人の娘は農園の方で働いています。互いに恋しくなるかと思われましたが、強くやっているようです。
厨房とホールの両方で働くティルさん。この方は訳ありでうちで働くことになりました。元気になられて健気に頑張って下さっています。
ティルさんの息子さんたちは、上がウィルくん、下がジルくんです。ウィルくんは厨房とホールの手伝いです。主に洗い物を担当してくれています。ジルくんはラッシュバードのお世話です。互いに気に入っているのか、相性はよさそうですね。
ホールの三人娘はトルモさん、ホプリさん、ラフワさんです。明るく接客をされています。頭がよろしいのでしょうか、会計を今まで一度も間違ったことがありません。素晴らしいですね。
対して、アンドリュー殿下から送り込まれてきた料理人のお三方です。
リーダー格と思われる一番体格の大きい方がミシオさん。少し偉そうにしているように見えますが、これでも謙虚な方でまだまだ見習いです。
もう一人の男性は頭の毛がありませんね。料理人を本気で目指しているミサンさんです。髪の毛がないのも、料理に入っては困るということだそうで、かなりこだわりがありそうです。ですが、この方もまだ見習いなんですよ。
残った女性の方はマミアさん。アンドリュー殿下とのお茶会では、よく私の紅茶を淹れて下さっていた方です。そのためか私の顔立ちをよく覚えていたようでして、髪を染めた私を一発で見抜いてしまったのです。困ったものですね。
私がそれぞれの紹介を終わらせますと、互いに挨拶をされています。これからは当面この面々で営業しますからね。よく知っておくことはいいことです。
ああ、そうそう。ミシオさんたちについては、王宮料理人であることは伏せております。私の親の伝手でここを紹介されたということにしておきます。
だって、みなさん庶民の方々ですからね。お城の関係者だなんて知ったら、それだけで委縮してしまいますからね。
「では、明日からはこの面々で食堂の営業を行います。イリス、厨房の管理はお任せしますね」
「承知致しました、レチェ様」
「ウィルくんは、ジルくんと一緒にラッシュバードのお世話をお願いします」
「分かった」
ウィルくんはにっこりと返事をしてくれました。その返事の様子を見ていたジルくんが笑顔になります。やはり、兄弟は一緒にいてこそでしょうかね。
「レチェ様はいつも通り事務の仕事に集中して下さい」
「ええ、裏方のお仕事は任せて下さい。みなさんが安心して仕事に集中できるように、食材の管理などしっかりしますから」
淡々とした表情のイリスに対して、私はやる気十分に返事をしておきました。
さあ、明日からの営業は新戦力を加えた新体制で臨みます。
人の増減があっても、私のやることは変わりません。
おいしい料理で公爵領を盛り立ててみせますよ。
まさか、見習いとはいえ、王宮料理人を寄こしますか……。あの人、本当に無駄な行動力があるから困るんですよね。
そんなわけですので、追い返すわけにもいきませんので、やむなく雇い入れましたよ。
ひとまずは予備のエプロンを渡しておきましょう。予備はまだあるとはいいましても、これは注文を出しておかなければなりませんね。
渡されたエプロンを広げてみて、三人ともぴたりと動きを止めてしまいます。
「これは……ラッシュバードですか」
一番体ががっしりしているミシオさんがエプロンのデザインについて言及してきました。
お渡ししたエプロンには、胸の部分と左下にラッシュバードの姿が刺繍されています。これで私の店だとすぐに分かるようにしてあるのです。なにせ公爵領でラッシュバードを飼っているのは、私のところだけですからね。
「さすがにアマリス様が連れて帰られたラッシュバードがいらっしゃいますから、すぐに分かったようですね。これがこの食堂の制服です。本当はおそろいの衣装にしようかと思ったのですが、他の方々に断られてしまいましたからね」
「なるほど、そうでしたか」
「このエプロンは、実に分かりやすくていいですね」
はい、お三方ともすぐに理解して頂けたようですね。
お話が済めば、翌日からの営業に向けて料理の練習です。そのためには厨房の中をまず見てもらわなければなりません。
食材の置いてある場所や厨房設備の説明、それと何種類か料理を教えていますと、あっという間に夕方を迎えてしまいました。
その時間ともなると、出かけていたイリスたちが戻ってきてしまいます。
「ただいま戻りました、レチェ様」
「お帰りなさい、イリス、みなさん」
全員が顔をそろえましたね。
それではせっかくですから、食堂のメンバーの紹介をしておきましょうか。
厨房の責任者は私の侍女であるイリスです。常にメイド服ですから目立ちます。私が庶民の服を着ていますので、彼女の方が主に思う方もいらっしゃるとか。
厨房のその下の責任者になるのが、カリナさん。二次の応募でやってこられた女性ですね。二人の娘は農園の方で働いています。互いに恋しくなるかと思われましたが、強くやっているようです。
厨房とホールの両方で働くティルさん。この方は訳ありでうちで働くことになりました。元気になられて健気に頑張って下さっています。
ティルさんの息子さんたちは、上がウィルくん、下がジルくんです。ウィルくんは厨房とホールの手伝いです。主に洗い物を担当してくれています。ジルくんはラッシュバードのお世話です。互いに気に入っているのか、相性はよさそうですね。
ホールの三人娘はトルモさん、ホプリさん、ラフワさんです。明るく接客をされています。頭がよろしいのでしょうか、会計を今まで一度も間違ったことがありません。素晴らしいですね。
対して、アンドリュー殿下から送り込まれてきた料理人のお三方です。
リーダー格と思われる一番体格の大きい方がミシオさん。少し偉そうにしているように見えますが、これでも謙虚な方でまだまだ見習いです。
もう一人の男性は頭の毛がありませんね。料理人を本気で目指しているミサンさんです。髪の毛がないのも、料理に入っては困るということだそうで、かなりこだわりがありそうです。ですが、この方もまだ見習いなんですよ。
残った女性の方はマミアさん。アンドリュー殿下とのお茶会では、よく私の紅茶を淹れて下さっていた方です。そのためか私の顔立ちをよく覚えていたようでして、髪を染めた私を一発で見抜いてしまったのです。困ったものですね。
私がそれぞれの紹介を終わらせますと、互いに挨拶をされています。これからは当面この面々で営業しますからね。よく知っておくことはいいことです。
ああ、そうそう。ミシオさんたちについては、王宮料理人であることは伏せております。私の親の伝手でここを紹介されたということにしておきます。
だって、みなさん庶民の方々ですからね。お城の関係者だなんて知ったら、それだけで委縮してしまいますからね。
「では、明日からはこの面々で食堂の営業を行います。イリス、厨房の管理はお任せしますね」
「承知致しました、レチェ様」
「ウィルくんは、ジルくんと一緒にラッシュバードのお世話をお願いします」
「分かった」
ウィルくんはにっこりと返事をしてくれました。その返事の様子を見ていたジルくんが笑顔になります。やはり、兄弟は一緒にいてこそでしょうかね。
「レチェ様はいつも通り事務の仕事に集中して下さい」
「ええ、裏方のお仕事は任せて下さい。みなさんが安心して仕事に集中できるように、食材の管理などしっかりしますから」
淡々とした表情のイリスに対して、私はやる気十分に返事をしておきました。
さあ、明日からの営業は新戦力を加えた新体制で臨みます。
人の増減があっても、私のやることは変わりません。
おいしい料理で公爵領を盛り立ててみせますよ。
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