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第十二節 人の国・裏の世界 セイル編
第221幕 生まれ出る者
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そこから先の戦闘はさらなる熾烈さを増していった。
俺の方も完全に自分の身体を気にしない戦い方をするようになったおかげ……とも言うべきだろうが。
「こいつ……!」
ヘルガは湧いてくる泉のように魔方陣を次々と展開してくるが、この女は自重というものを本当に知らない。
さすがにここが地下であることくらいは認識しているからか、爆発を巻き起こす武器の使用頻度は低いし、それ以上に火力がある武器は一切使用してこない。
再びぐるりと俺の周辺に魔方陣が出現し、次々に銃が姿を表すけれど……俺の方もそれに負けず劣らずの速度で対処していく。
魔力の消費を恐れて戦える相手じゃないことはわかっていたはずだけれど、戦ってみてよりはっきりと感じた。
だからこそ、今は防御の魔方陣にも力を出すことを惜しまない。
その上でさっきから左手で作っている魔方陣は徐々に形をなしていって……全力で戦っている俺の魔力を遠慮なく吸い取っていっている。
一瞬立ちくらみを覚えるが、一気に魔力を消費した影響だろう。
身体が悲鳴をあげ、痛みが限界に近くなったときにはすぐさま『再』『生』『身体』の起動式で展開した魔方陣でそれを癒す。
それを見る度にヘルガは忌々しい視線を俺に送ってくるけど、そんなもんは俺が散々あんたに感じたことだ。
頭がおかしいんじゃないかと思うほどの魔方陣の展開に高火力な銃火器の数々……こんなもの、限界とか常識とか全て超えて行かなければ戦うことだって出来ない。
今は辛うじて拮抗しているけれど……魔力が尽きた方が不利になる。
というか俺は身体が感じる激痛を気力と魔方陣でなんとかしているだけだし、実際に肉体の限界のぎりぎりを攻めているくらいだ。
戦況は長引くほどに不利。幸いなのはヘルガにはそれがわかっていないということだろう。
彼女は俺の魔方陣の効果が強すぎることに警戒しているようで、だからこそ少々過剰に反応しているように見える。
だけど、それならなおさら好都合ってもんだ。
俺はヘルガに肉薄して、グラムレーヴァによる斬撃を繰り出す。
けれどもヘルガの方も負けずに別の言語で書かれている魔方陣とナイフを駆使して対応してくる。
身体強化の魔方陣を重ね続けている彼女は、徐々に俺の動きについてきているけど……それは間に合わない。
「よしっ……完成した……!」
こっちの魔力が尽きる前になんとか完成した『生命』『炎』『魔人』の起動式による魔方陣の構築が完成した。
尋常じゃない魔力が吸い取られていく。思わず身体がふらついてよろけそうになるけど、今はそんなことに気を張っている場合じゃない。
ヘルガは俺が何かをしようとしていることに警戒心をあらわにして、魔方陣で転移して距離を取り、先程以上の……本気で殺しにきたなとわかるほどの膨大な数の魔方陣を同時に展開してきた。
「……よくも」
ふるふると身体を震わせて俯いているヘルガを……俺が抵抗して生意気だとか、勇者として負けるわけにはいかないとか、そんな感情を抱いているからなのかと思った。
『弱い』と言った男の逆襲のようなものを受けて、内心穏やかじゃないのかと。
「よくも私にцарьとの約束を破らせたな! 許さない……! 貴様は絶対に……」
何十……何百……数え切れないほどの魔方陣が展開されていく。
今までのはお遊びだとでも言うかのような数と向けられる憎悪。
今まで向けてきた感情がお遊びだったんじゃないかと言いたくなるほどの恐ろしい表情で睨んでいる。
端正な顔つきをしているから、醜く崩れている訳じゃない。むしろ憎しみを向けるその顔すら綺麗だからなおさら恐ろしい。
スパルナやルーシーの無事が気になるけれど……こっちもそれを気にしていられる状況じゃないか。
なにせ恐ろしい表情で睨まれながらも、魔力ががんがんに吸い取られていってるんだからな。
身体強化に注いでいた魔方陣を少しずつ切っていって、今まさに生まれそうな新しい魔方陣の方にそれを流れ込ませていく。
片膝をついて意識が遠のきそうになった時……ヘルガは手を振り上げ、一気に振り下ろす。
その瞬間に現れていた銃が一斉に火を吹いて、俺に襲いかかってくる。
だけど、遅かったな。俺の魔方陣も発動している……!
俺の周りを炎が覆い囲み、次々と放たれる銃弾を飲み込んでいっている。
「……こんな魔方陣だったか?」
自分が作って発動したのとは全く違う効果が現れたせいで不思議に感じていたけど、目の前にふわふわと浮いている大きな炎の塊が俺を守るように炎をだしてくれているようだった。
その間に徐々にそれは形を作っていって、胴体に頭や手足が生えていって……完成したのは炎が人の形をしたもの。
少年と青年の中間のような顔つきをしていて、俺に向かってにかっと笑顔を向けると大きく右手を振り上げてヘルガのいる方向に思いっきり突き出す。
それだけで炎は彼の意思に従うように熱波となっていくつも広がっていって、ヘルガのバカかと思うほどの量の魔方陣から次々と放たれる攻撃に対処しているようだった。
この土壇場で俺の残っていた魔力の大半を使って生まれ出た最強の魔人……。
俺の方は完全に疲れ果てて、身体が全く動けないくらいだったけれど、しばらくはこの魔人がなんとかしてくれるだろう。
「た、頼んだぞ……」
ほとんど座り込んだような状態で魔方陣で生み出した炎の魔人に話しかけると、彼はそれに答えるかのようにゆっくりと頷いてくれた。
……よし、後は任せた。
俺の方も完全に自分の身体を気にしない戦い方をするようになったおかげ……とも言うべきだろうが。
「こいつ……!」
ヘルガは湧いてくる泉のように魔方陣を次々と展開してくるが、この女は自重というものを本当に知らない。
さすがにここが地下であることくらいは認識しているからか、爆発を巻き起こす武器の使用頻度は低いし、それ以上に火力がある武器は一切使用してこない。
再びぐるりと俺の周辺に魔方陣が出現し、次々に銃が姿を表すけれど……俺の方もそれに負けず劣らずの速度で対処していく。
魔力の消費を恐れて戦える相手じゃないことはわかっていたはずだけれど、戦ってみてよりはっきりと感じた。
だからこそ、今は防御の魔方陣にも力を出すことを惜しまない。
その上でさっきから左手で作っている魔方陣は徐々に形をなしていって……全力で戦っている俺の魔力を遠慮なく吸い取っていっている。
一瞬立ちくらみを覚えるが、一気に魔力を消費した影響だろう。
身体が悲鳴をあげ、痛みが限界に近くなったときにはすぐさま『再』『生』『身体』の起動式で展開した魔方陣でそれを癒す。
それを見る度にヘルガは忌々しい視線を俺に送ってくるけど、そんなもんは俺が散々あんたに感じたことだ。
頭がおかしいんじゃないかと思うほどの魔方陣の展開に高火力な銃火器の数々……こんなもの、限界とか常識とか全て超えて行かなければ戦うことだって出来ない。
今は辛うじて拮抗しているけれど……魔力が尽きた方が不利になる。
というか俺は身体が感じる激痛を気力と魔方陣でなんとかしているだけだし、実際に肉体の限界のぎりぎりを攻めているくらいだ。
戦況は長引くほどに不利。幸いなのはヘルガにはそれがわかっていないということだろう。
彼女は俺の魔方陣の効果が強すぎることに警戒しているようで、だからこそ少々過剰に反応しているように見える。
だけど、それならなおさら好都合ってもんだ。
俺はヘルガに肉薄して、グラムレーヴァによる斬撃を繰り出す。
けれどもヘルガの方も負けずに別の言語で書かれている魔方陣とナイフを駆使して対応してくる。
身体強化の魔方陣を重ね続けている彼女は、徐々に俺の動きについてきているけど……それは間に合わない。
「よしっ……完成した……!」
こっちの魔力が尽きる前になんとか完成した『生命』『炎』『魔人』の起動式による魔方陣の構築が完成した。
尋常じゃない魔力が吸い取られていく。思わず身体がふらついてよろけそうになるけど、今はそんなことに気を張っている場合じゃない。
ヘルガは俺が何かをしようとしていることに警戒心をあらわにして、魔方陣で転移して距離を取り、先程以上の……本気で殺しにきたなとわかるほどの膨大な数の魔方陣を同時に展開してきた。
「……よくも」
ふるふると身体を震わせて俯いているヘルガを……俺が抵抗して生意気だとか、勇者として負けるわけにはいかないとか、そんな感情を抱いているからなのかと思った。
『弱い』と言った男の逆襲のようなものを受けて、内心穏やかじゃないのかと。
「よくも私にцарьとの約束を破らせたな! 許さない……! 貴様は絶対に……」
何十……何百……数え切れないほどの魔方陣が展開されていく。
今までのはお遊びだとでも言うかのような数と向けられる憎悪。
今まで向けてきた感情がお遊びだったんじゃないかと言いたくなるほどの恐ろしい表情で睨んでいる。
端正な顔つきをしているから、醜く崩れている訳じゃない。むしろ憎しみを向けるその顔すら綺麗だからなおさら恐ろしい。
スパルナやルーシーの無事が気になるけれど……こっちもそれを気にしていられる状況じゃないか。
なにせ恐ろしい表情で睨まれながらも、魔力ががんがんに吸い取られていってるんだからな。
身体強化に注いでいた魔方陣を少しずつ切っていって、今まさに生まれそうな新しい魔方陣の方にそれを流れ込ませていく。
片膝をついて意識が遠のきそうになった時……ヘルガは手を振り上げ、一気に振り下ろす。
その瞬間に現れていた銃が一斉に火を吹いて、俺に襲いかかってくる。
だけど、遅かったな。俺の魔方陣も発動している……!
俺の周りを炎が覆い囲み、次々と放たれる銃弾を飲み込んでいっている。
「……こんな魔方陣だったか?」
自分が作って発動したのとは全く違う効果が現れたせいで不思議に感じていたけど、目の前にふわふわと浮いている大きな炎の塊が俺を守るように炎をだしてくれているようだった。
その間に徐々にそれは形を作っていって、胴体に頭や手足が生えていって……完成したのは炎が人の形をしたもの。
少年と青年の中間のような顔つきをしていて、俺に向かってにかっと笑顔を向けると大きく右手を振り上げてヘルガのいる方向に思いっきり突き出す。
それだけで炎は彼の意思に従うように熱波となっていくつも広がっていって、ヘルガのバカかと思うほどの量の魔方陣から次々と放たれる攻撃に対処しているようだった。
この土壇場で俺の残っていた魔力の大半を使って生まれ出た最強の魔人……。
俺の方は完全に疲れ果てて、身体が全く動けないくらいだったけれど、しばらくはこの魔人がなんとかしてくれるだろう。
「た、頼んだぞ……」
ほとんど座り込んだような状態で魔方陣で生み出した炎の魔人に話しかけると、彼はそれに答えるかのようにゆっくりと頷いてくれた。
……よし、後は任せた。
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