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しおりを挟むサイラーが言うには、オスカーとは話が通じないとは言うものの、ある種の話以内は普通に会話ができるという。そのある種とは何かとリリアが問うと、
「居場所、というか、立ち位置というか、今後の自分の身の振り方とか、そういうもの、じゃないかと思う。」
世の中がどうなったかについては理解しているようだ。リリアのことについてはおかしくなるが、兄嫁のことは正しく認識している。マリアが王宮を辞したことは理解するのに、護衛を終了したことについては意味不明なことを言う。
「オスカーの処遇関係の話になると、理解が怪しくなるんだ。理解することを拒否しているのかもしれない。」
「あ、そう言えば……。」
「うん?」
「最初の交流会の時には、仲良くしていきましょう、というような話をしたのに、次の交流会の時に、侯爵家の屋敷に住んでもらうことになるから、案内しましょうと言ったのよ。その時に、自分の部屋は何処になるのかと聞くから、それは婚約が確定したら準備をする、と伝えたら、急に怒り始めたのよ。」
「どんな風に?」
「そう、確か、えっと、婚約すると決まっているのに、今更何を言っているんだと。この家に住むことになるのは決定しているんだから、しっかりと準備をするのは当たり前だと……。そうね。確かにオスカーの居場所の話だわね。」
「うん……。そのことも医者に伝えて良いか?」
「お医者にかかったって、心の方なのね。」
「どうも言動がおかしいから医師に診せてはどうかと進言したんだ。一度では何とも言えないから、何度か問診するらしくてね。今度立ち会わせて欲しいって頼んだよ。」
「そうなのね。こうなると、ただの我儘だと良いわね。」
「その可能性が高くなったと思っているよ。そもそも、ゲイル家は、取り立てて仲が良いとは言わないけれど、家族間の関係性が薄い家族でもない。おかしいところがあるなら、もっと早く、日常でも気付いていたと思うんだ。」
「自覚していて、本性を隠していたとかは?」
「本当におかしいなら、自分がおかしいことに気付けないんじゃないかな?隠せるだけの知能があるのなら、相当頭が良い証拠だよね?」
「確かにそうね。」
「まあ、これはゲイル家の話だから、リリアが悩む必要はないよ。」
「まあ、冷たいのね。じゃあ私が悩んでいる時、あなたは放置するの?」
「まさか。一緒に悩むよ。」
「私もよ。」
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7/12 深夜から、新作の
「婚約解消の理由はあなた」
を開始します。
これの3分の1くらいの話になる予定です。
よろしければ、読んでやってください。
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