侍女は婚約が内定している俺様属性の男と縁を切りたい。

彩柚月

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 サイラーはオスカーの問診に立ち会いたかったが、側に誰かが居ると、オスカーが返答に忖度をする可能性があるとのことで、結局、書面での問診を見せてもらいながら診断結果を聞くことになった。

 医者が質問をして、オスカーがそれに答える方式。他愛のない質問から、だんだんオスカー個人に直結する質問になっていく。これを見る限り、どこにもおかしい返答はない。

 婚約のことも護衛のことも、理解している風な回答が並んでいた。

 医師は言う。
 「もう何度か問診をしたいと思いますが、今のところ、特に気になる部分はありません。多少、面倒を嫌う質のようではありますが、そのくらいは普通でしょう。」

 「ふむ……。先生、この部分。マリアさんの護衛とリリアとの婚約の質問への返答ですが、これは前回もしたのでしょうか?」
 「今までの問診表もコピーをお渡ししておりますが、原本はここに。」
 「回答は同じですね。先生、実は、」
 
 そう言って、問題の2つのことについて、今までオスカーがどのように反応したのか、リリアに対してどんな態度を取っていたのかを話した。

 「——なるほど。それで診断を要請されたのですね。いや、実は少し疑問を感じていたのです。オスカー君は、むしろ、聡明な部類に入ると感じていたものですから。しかし、そうなると……。」

 サイラーは思い切って、思いついたことを言ってみた。
 「先生。オスカーは、演技をしているということはありませんか?」
 「演技ですか?」
 「そうです。例えば、そうですね。自分が三男でいずれ家を出なくてはならないけれど、行き先を自分で探すのは面倒なので、わからない振りをしている、とかです。」

 「それは……そう当たりをつけて問診をしてみないとお答えはしかねます。」
 「可能性はあるということですね。」
 「私からはちょっと……。」
 「リリアに対しての態度も、自分の立場を脅かされないように、わからせようとした、とか。」
 「いや……お答えはできかねます。」
 「そういうケースはありますか?」
 「……。」
 「あるんですね。ありがとうございます。」
 「いや、オスカー君がそうであるかは、もう少し診察をしてみないと。」

 焦って否定する医師に
 「はい。もちろんです。可能性を知りたかっただけで、引き続き先生の診察をお願いします。」
 と、サイラーは言って、お礼をしてから医師を見送った。




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 7/12 深夜から、新作の
  「婚約解消の理由はあなた」
 を開始します。
 これの3分の1くらいの話になる予定です。
 よろしければ、読んでやってください。
 

 
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