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田中宗介の朝は意外と早い。
コンパクトにまとめられた部屋で目覚ましが鳴り響く。時刻は6時半。SHRは8時40分の開始なので、おおよそ二時間程度の猶予がある。
「ぅ……ぅぐ…………」
起きれない。
もそもそと布団から手を飛び出させ、その寒さに心を折られながらも目覚ましを止めた。叩いた力が強く目覚ましが音を立てて倒れる。
「おきる……」
悪魔が隣で今日くらいは寝てもいいんじゃないか、と囁く。それをどうにか振り払って布団を剥ぐと、その寒さにびっくりするほどやる気がなくなる。
どうにかこうにか這ってリビングに出てきたはいいものの、扉から体が半分出たあたりで諦めそうになる。というかもう挫ける。床冷たい。
「おい、何してやがる」
「おきてる」
「起きてねぇんだわ」
ここで武藤様が起床。武藤様は毎日6時40分に起きては朝ジョグ、シャワー、朝食、食後のコーヒーと共にニュースのチェックといったモーニングルーティーンを過ごしている。
俺は起床30分経たないと起動しないので、ここ数日は毎日床に落ちている姿を見せつけていることとなるのだ。
「オイ、用事あって起きてんだろ。さっさと立て」
今日はどうやら睡魔に囚われた死体に話しかけたい日のようだ。さすがカリスマは気まぐれの起こし方も理解の範疇にない。
「畑……おきる……ねむい……まだごじとかじゃない?」
「現実から逃げんな。なんつーダメ人間だ……たまんねぇな……」
「なにが」
「ンでもねぇ、ほら立て立て!」
脇の下あたりを何かに支えられる。力強い腕が俺を引き上げて、二本の足で立たせようとする。させるか!
「抵抗すんな!」
武藤様のテンションがちょっと高いような気がする。朝型なのだろうか。
ピシャリと叱られてしょんぼりしていると、武藤様は俺を支えたまま歩き出した。ひえひえの床を最低限歩くふりをしていても、武藤様は力が強く軽々と俺を支えてしまわれる。
そんな意外な力強さにときめいていると、いつの間にか目の前に洗面台があった。
「床に落ちたままだから目が覚めねぇんだよ、顔洗え」
「……」
めちゃ嫌。
顔を顰めたのがわかったらしくわがまま言うなとどやされる。だって水冷たいじゃん……
「おら、お湯!」
武藤様は心も読める。
じゃばじゃばと洗面台の蛇口からお湯が溢れている。仕方がないのでお椀型にした手ですくい、パシャリと顔にかける。
効果を実感はしていないが手を抜くと怒られそうなので顔の汚れを洗い落とし、持ってきていた石鹸で手を泡立たせてしっかり綺麗にした。
「タオル!」
「あい」
すかさず隣からタオルが差し出され、何も考えずぽふりと顔をつけた。だって手汚れてるし……
武藤様はでかいため息をつき、俺の顔を乱暴に拭いてくれて。
それで。
それで。
「っうおおおお会長さまぁ!?!?」
「やっと起きたかこのクソボケが」
「なっ、えっ何ぃ!? ごめん!?」
──ようやく意識が覚醒したというわけだ。
「毎日毎日床に落ちやがって。邪魔なんだよ、次から速攻顔洗え」
「ご、ごめんマジで……? 会長さま意外と世話焼くの上手いねぇ……?」
別に記憶が飛んでいるわけではないので、武藤様が触れてくれた感触──わりと邪魔だと思ってたことはともかく──や甲斐甲斐しく水がお湯になるまで確認してくれたことも覚えている。
やはりさすが学校のキング。常日頃から生徒全員を統率しているから、一人の面倒程度当たり前に見れるというわけか……えっそうだよね、なんか理論が無茶苦茶な気がする!
「普通だボケ! ったく、お前如きに時間取られちまった」
すっかり目の覚めた俺には興味がないのか武藤様は背を向けていってしまう。俺もそろそろ出かけなければ。
あ、でも。
「顔洗いにはいってるんだけど……途中で諦めてるだけなんだよね……」
呟いた瞬間。武藤様の方が一瞬跳ね小指をぶつけた。めちゃくちゃ痛そう!
コンパクトにまとめられた部屋で目覚ましが鳴り響く。時刻は6時半。SHRは8時40分の開始なので、おおよそ二時間程度の猶予がある。
「ぅ……ぅぐ…………」
起きれない。
もそもそと布団から手を飛び出させ、その寒さに心を折られながらも目覚ましを止めた。叩いた力が強く目覚ましが音を立てて倒れる。
「おきる……」
悪魔が隣で今日くらいは寝てもいいんじゃないか、と囁く。それをどうにか振り払って布団を剥ぐと、その寒さにびっくりするほどやる気がなくなる。
どうにかこうにか這ってリビングに出てきたはいいものの、扉から体が半分出たあたりで諦めそうになる。というかもう挫ける。床冷たい。
「おい、何してやがる」
「おきてる」
「起きてねぇんだわ」
ここで武藤様が起床。武藤様は毎日6時40分に起きては朝ジョグ、シャワー、朝食、食後のコーヒーと共にニュースのチェックといったモーニングルーティーンを過ごしている。
俺は起床30分経たないと起動しないので、ここ数日は毎日床に落ちている姿を見せつけていることとなるのだ。
「オイ、用事あって起きてんだろ。さっさと立て」
今日はどうやら睡魔に囚われた死体に話しかけたい日のようだ。さすがカリスマは気まぐれの起こし方も理解の範疇にない。
「畑……おきる……ねむい……まだごじとかじゃない?」
「現実から逃げんな。なんつーダメ人間だ……たまんねぇな……」
「なにが」
「ンでもねぇ、ほら立て立て!」
脇の下あたりを何かに支えられる。力強い腕が俺を引き上げて、二本の足で立たせようとする。させるか!
「抵抗すんな!」
武藤様のテンションがちょっと高いような気がする。朝型なのだろうか。
ピシャリと叱られてしょんぼりしていると、武藤様は俺を支えたまま歩き出した。ひえひえの床を最低限歩くふりをしていても、武藤様は力が強く軽々と俺を支えてしまわれる。
そんな意外な力強さにときめいていると、いつの間にか目の前に洗面台があった。
「床に落ちたままだから目が覚めねぇんだよ、顔洗え」
「……」
めちゃ嫌。
顔を顰めたのがわかったらしくわがまま言うなとどやされる。だって水冷たいじゃん……
「おら、お湯!」
武藤様は心も読める。
じゃばじゃばと洗面台の蛇口からお湯が溢れている。仕方がないのでお椀型にした手ですくい、パシャリと顔にかける。
効果を実感はしていないが手を抜くと怒られそうなので顔の汚れを洗い落とし、持ってきていた石鹸で手を泡立たせてしっかり綺麗にした。
「タオル!」
「あい」
すかさず隣からタオルが差し出され、何も考えずぽふりと顔をつけた。だって手汚れてるし……
武藤様はでかいため息をつき、俺の顔を乱暴に拭いてくれて。
それで。
それで。
「っうおおおお会長さまぁ!?!?」
「やっと起きたかこのクソボケが」
「なっ、えっ何ぃ!? ごめん!?」
──ようやく意識が覚醒したというわけだ。
「毎日毎日床に落ちやがって。邪魔なんだよ、次から速攻顔洗え」
「ご、ごめんマジで……? 会長さま意外と世話焼くの上手いねぇ……?」
別に記憶が飛んでいるわけではないので、武藤様が触れてくれた感触──わりと邪魔だと思ってたことはともかく──や甲斐甲斐しく水がお湯になるまで確認してくれたことも覚えている。
やはりさすが学校のキング。常日頃から生徒全員を統率しているから、一人の面倒程度当たり前に見れるというわけか……えっそうだよね、なんか理論が無茶苦茶な気がする!
「普通だボケ! ったく、お前如きに時間取られちまった」
すっかり目の覚めた俺には興味がないのか武藤様は背を向けていってしまう。俺もそろそろ出かけなければ。
あ、でも。
「顔洗いにはいってるんだけど……途中で諦めてるだけなんだよね……」
呟いた瞬間。武藤様の方が一瞬跳ね小指をぶつけた。めちゃくちゃ痛そう!
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