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密着! 夏休み旅行!
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しかし、水瀬のいうことも尤もだ。この高校はナメられたら終わりの世紀末なので、こういう時に他人に対処してもらうようでは逆に嫌がらせに遭いやすくなってしまう。嫌な高校である。
そういうわけで、何か対策を講じよう! と思って俺はノートを取り出した。
「無理ンゴねぇ」
「おい、遊んでんなら片付けろ」
思いつくわけない~~角が立たず人を傷付けず嫌がらせを収められる手腕があれば今こんな状況に叩き落とされてない~~てかコミュ障もやってない~~
「なんじゃあ大将。まだ悩んどんのか」
「今まで目立たず騒がず平穏に生きてきたのにどうして三年ってこんな波乱なんだろうと思ってる」
「いいこと教えちゃるが、大将にとって平穏なだけで概ねいつも波乱やったぞ」
まぁ二年までの俺って行動範囲が『旧校舎・教室・家・地元』だったもんな。ギャルゲーの主人公みたいな行動範囲してる。イベントと攻略対象を消したギャルゲー。
「つか別に目立たずも勘違いじゃねぇか? お前の悪評、一年の頃から轟いてたぞ」
悪評も轟いていた。もう終わりやね。
だが確かに、俺が変わった結果の今この状況というのは否定しない。
「舎弟もいっぱいできたし、なんか行動範囲広がったしな。別に舎弟は望んで得たもんじゃないが」
「……『俺のモンになれよ、九鬼イブキ』」
「なんで激似なんだよ俺のモノマネがよォ」
イブキがクイッと顎をしゃくれさせて声真似をした。顔はめちゃくちゃ腹立つけどめちゃくちゃ似てる。この声で人権を失うようなことを言われたら俺は明日から地位を失うだろう。
「『女は十二歳までが最高だよなぁ』」
「練習すんのやめろ。それでさっきのセリフ以外はあんま似てないのな。同じセリフしか繰り返さずモノマネ得意とかほざいてた中学の頃の俺かよ」
「ウワ」
「武藤様は引くのやめよ?」
どれに引いたんだろう。考えてみよう!
①俺(偽)のセリフ(=俺に引いてる)
②このセリフが咄嗟に出たイブキ(=イブキに引いてる)
③中学時代の痛い俺(=俺に引いてる)
これおおむね俺だな。3分の2。3分の2は大体66.7%である。
別に何かに役に立つとかでは一切ないけど、3分の2って数字は意外と人生で出てくるので覚えておくとおっと思えるぞ。
「まぁ茶番は置いておくとして、せめて犯人の顔とかはわかんねぇのかよ。それとも天下の生徒会役員サマがお目溢しするってか?」
「なんでそんな機嫌悪いん」
「自分が介入出来んきやろ」
テーブルの正面にのっしと武藤様が座った。正面からノートを覗き込まれると何も書いてないのが恥ずかしくなってくるな。ハイビスカスとか急に描こうかな。
手持ち無沙汰にペン回しをしたらペンが吹っ飛んでいった。もうダメだ俺は。
「ウーン、犯人の顔はわかってるんだよね」
「……は?」
「は?」
「ん?」
アレ、言ってなかったっけ。
「ちょっと前に寮で手書きアンケートを設置したことあるじゃん。まぁ中庭についての改善案とか」
「おん」
「そういや……」
イブキと武藤様が顔を見合わせて、あったな……みたいなことを言う。二人も書いててくれたもんね。
「よく使う場所だから関心が高いみたいで、内容も短くて済むし、寮母さん(♂)にも宣伝してもらったからこの寮の高校生は皆アンケートに答えてくれたんだよ」
ちなみに武藤様の要望である『端っこの方にある温室が勿体無いので活用してほしい』とかイブキの要望である『夏は特に暑いので給水機が欲しい』は結構他にも出してる人がいて、需要があると判断したので叶えます。
俺も給水機ほしい。
「アレと嫌がらせ手紙の筆跡を照合して、書いた人間を割り出したんだよ。まぁ手紙を嫌がらせに使われる時点で繋がりはあるわけだろ?」
それが勝手に使われたにしろ嫌がらせのためにはなから書いたにしろ、毎日毎日こう枚数があれば筆跡鑑定も捗るというものだ。
どの内容を何枚誰が書いたかはもう分かっている。
「実家暮らしの人は居たんだけど、この高校で実家暮らしって言ったら下町の子でしょ?
レターセットが売られてる場所を特定してその圏内に絞り込んで、今度は喫茶アネラに関してアンケ取ったんだよ」
ちょうど近い場所で助かった。
大型ショッピングモールの方も覗いたのだが、もらった封筒の中にはその店舗限定のものがある。
この高校に来て風紀委員長を推すような人間は基本真面目──真面目だからこそユニコーンにやりやすいが──なので、馴染みの喫茶店ならアンケに答えてくれるのだ。
「で、送ってきた人は概ね特定し終わったんだよな。思ってたより大規模な犯行じゃないっぽくて助かった、あとはつつけば他の人も軒並みすっぱ抜けるだろ」
なので嫌がらせ犯の特定は終わっている。実はね! 近づきたくないので今は避けてるよ! 怖いからね!! 後輩が多かった。特に一年生。
風紀委員長と関わりが浅く、認知されないのを良いことに好き勝手しているのだろう。
この高校のルールもよく分かっていないし親衛隊として正式所属してない人も多い。こりゃ管理できんわ。
「生徒会は親衛隊を嫌ってる人も多いからな。この件が明るみになったら親衛隊って文化が潰されかねんし」
それは困る。俺はまだ武藤様の親衛隊でいたい。俺ナンバー若いんだぞ!!
それはそれとして、親衛隊は自警団のように治安の維持に尽力したり、有名な生徒を守る役割も果たしてくれている。
そうでなくとも色んな人の居場所になるものなので、潰れて欲しくはないんだよな。
「あと、これ知った俺の親衛隊とか絶対暴力に訴えるからな。どうしたもんかと思って──なに??」
なんか相槌がなくなったので不安に思って二人の方を見ると、苦虫を噛み潰したみたいな顔をしていた。二人とも。その顔同時に二人見ることあるんだ。
「たまに意味わからんほど有能な奴だよテメーは」
「普段あんな無能やのにな」
褒めてるならもうちょいちゃんと褒めてほしいんだけど!?
確かに今回俺の行動力えぐ~という気持ちになった。自己肯定感上がるぜ、有能ムーブすると。
「結局嫌がらせかわしきれなくて指切ってるくせにな」
自己肯定感下がるぜ、無能ムーブすると。
そういうわけで、何か対策を講じよう! と思って俺はノートを取り出した。
「無理ンゴねぇ」
「おい、遊んでんなら片付けろ」
思いつくわけない~~角が立たず人を傷付けず嫌がらせを収められる手腕があれば今こんな状況に叩き落とされてない~~てかコミュ障もやってない~~
「なんじゃあ大将。まだ悩んどんのか」
「今まで目立たず騒がず平穏に生きてきたのにどうして三年ってこんな波乱なんだろうと思ってる」
「いいこと教えちゃるが、大将にとって平穏なだけで概ねいつも波乱やったぞ」
まぁ二年までの俺って行動範囲が『旧校舎・教室・家・地元』だったもんな。ギャルゲーの主人公みたいな行動範囲してる。イベントと攻略対象を消したギャルゲー。
「つか別に目立たずも勘違いじゃねぇか? お前の悪評、一年の頃から轟いてたぞ」
悪評も轟いていた。もう終わりやね。
だが確かに、俺が変わった結果の今この状況というのは否定しない。
「舎弟もいっぱいできたし、なんか行動範囲広がったしな。別に舎弟は望んで得たもんじゃないが」
「……『俺のモンになれよ、九鬼イブキ』」
「なんで激似なんだよ俺のモノマネがよォ」
イブキがクイッと顎をしゃくれさせて声真似をした。顔はめちゃくちゃ腹立つけどめちゃくちゃ似てる。この声で人権を失うようなことを言われたら俺は明日から地位を失うだろう。
「『女は十二歳までが最高だよなぁ』」
「練習すんのやめろ。それでさっきのセリフ以外はあんま似てないのな。同じセリフしか繰り返さずモノマネ得意とかほざいてた中学の頃の俺かよ」
「ウワ」
「武藤様は引くのやめよ?」
どれに引いたんだろう。考えてみよう!
①俺(偽)のセリフ(=俺に引いてる)
②このセリフが咄嗟に出たイブキ(=イブキに引いてる)
③中学時代の痛い俺(=俺に引いてる)
これおおむね俺だな。3分の2。3分の2は大体66.7%である。
別に何かに役に立つとかでは一切ないけど、3分の2って数字は意外と人生で出てくるので覚えておくとおっと思えるぞ。
「まぁ茶番は置いておくとして、せめて犯人の顔とかはわかんねぇのかよ。それとも天下の生徒会役員サマがお目溢しするってか?」
「なんでそんな機嫌悪いん」
「自分が介入出来んきやろ」
テーブルの正面にのっしと武藤様が座った。正面からノートを覗き込まれると何も書いてないのが恥ずかしくなってくるな。ハイビスカスとか急に描こうかな。
手持ち無沙汰にペン回しをしたらペンが吹っ飛んでいった。もうダメだ俺は。
「ウーン、犯人の顔はわかってるんだよね」
「……は?」
「は?」
「ん?」
アレ、言ってなかったっけ。
「ちょっと前に寮で手書きアンケートを設置したことあるじゃん。まぁ中庭についての改善案とか」
「おん」
「そういや……」
イブキと武藤様が顔を見合わせて、あったな……みたいなことを言う。二人も書いててくれたもんね。
「よく使う場所だから関心が高いみたいで、内容も短くて済むし、寮母さん(♂)にも宣伝してもらったからこの寮の高校生は皆アンケートに答えてくれたんだよ」
ちなみに武藤様の要望である『端っこの方にある温室が勿体無いので活用してほしい』とかイブキの要望である『夏は特に暑いので給水機が欲しい』は結構他にも出してる人がいて、需要があると判断したので叶えます。
俺も給水機ほしい。
「アレと嫌がらせ手紙の筆跡を照合して、書いた人間を割り出したんだよ。まぁ手紙を嫌がらせに使われる時点で繋がりはあるわけだろ?」
それが勝手に使われたにしろ嫌がらせのためにはなから書いたにしろ、毎日毎日こう枚数があれば筆跡鑑定も捗るというものだ。
どの内容を何枚誰が書いたかはもう分かっている。
「実家暮らしの人は居たんだけど、この高校で実家暮らしって言ったら下町の子でしょ?
レターセットが売られてる場所を特定してその圏内に絞り込んで、今度は喫茶アネラに関してアンケ取ったんだよ」
ちょうど近い場所で助かった。
大型ショッピングモールの方も覗いたのだが、もらった封筒の中にはその店舗限定のものがある。
この高校に来て風紀委員長を推すような人間は基本真面目──真面目だからこそユニコーンにやりやすいが──なので、馴染みの喫茶店ならアンケに答えてくれるのだ。
「で、送ってきた人は概ね特定し終わったんだよな。思ってたより大規模な犯行じゃないっぽくて助かった、あとはつつけば他の人も軒並みすっぱ抜けるだろ」
なので嫌がらせ犯の特定は終わっている。実はね! 近づきたくないので今は避けてるよ! 怖いからね!! 後輩が多かった。特に一年生。
風紀委員長と関わりが浅く、認知されないのを良いことに好き勝手しているのだろう。
この高校のルールもよく分かっていないし親衛隊として正式所属してない人も多い。こりゃ管理できんわ。
「生徒会は親衛隊を嫌ってる人も多いからな。この件が明るみになったら親衛隊って文化が潰されかねんし」
それは困る。俺はまだ武藤様の親衛隊でいたい。俺ナンバー若いんだぞ!!
それはそれとして、親衛隊は自警団のように治安の維持に尽力したり、有名な生徒を守る役割も果たしてくれている。
そうでなくとも色んな人の居場所になるものなので、潰れて欲しくはないんだよな。
「あと、これ知った俺の親衛隊とか絶対暴力に訴えるからな。どうしたもんかと思って──なに??」
なんか相槌がなくなったので不安に思って二人の方を見ると、苦虫を噛み潰したみたいな顔をしていた。二人とも。その顔同時に二人見ることあるんだ。
「たまに意味わからんほど有能な奴だよテメーは」
「普段あんな無能やのにな」
褒めてるならもうちょいちゃんと褒めてほしいんだけど!?
確かに今回俺の行動力えぐ~という気持ちになった。自己肯定感上がるぜ、有能ムーブすると。
「結局嫌がらせかわしきれなくて指切ってるくせにな」
自己肯定感下がるぜ、無能ムーブすると。
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