王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

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密着! 夏休み旅行!

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泣いてる俺を晒すのはどうかと思ったのか、顔の部分にジャージを被せられて保健室へ向かった。保健教員──来栖くるすは爆笑していた。

「ひどい、生徒が嫌がらせされて笑うなんて」
「お前の嫌がらせに笑ったわけじゃなくて、いい歳こいて殺人犯みたいな格好して保健室来たことに笑ってんだよ」

どうやら傷はびっくりするくらい浅く、パックリいったと思ってたら全然浅いとこだけちょっと切ってたらしい。

診断を聞いた佐藤くんが「うん、たくさん血が出たらびっくりするもんね」と困ったように笑っていた。ちなみに血は止まっているし、佐藤くんは一時間目があったので教室に帰った。

「一応あれ、絆創膏出しとくわ」
「一応とか言うな来栖~」
「びちゃびちゃにすんなよ。風呂入ったら変えろ」

カミソリの刃が錆びていてもいけないので一応洗って消毒され(痛かったのでブチギレて泣いた)絆創膏をぺっと貼られる。あんなに大惨事だったのに見た目全然大したことなくなってしまった。

「血がいっぱい出てびっくりした」
「気持ちはまぁ分かるがな。俺もいまだに包丁で怪我するとウオッと思う」
「いやなんか、指切る機会とかそこまでないからいっつも新鮮なんだけど、指切った時って大したことなくてもそんななる? ってくらい出るじゃん」

紙を捲った拍子に指の先が切れ、早く本の続きを読みたいと思ってタオルで指を押さえてたら訳わからんくらい長く血が出てきて驚いた。何かの病気とか診断されたこともないのであれが普通の血液量である。正気の沙汰ではない。

「小さい切り口からよくわからねー容量の血液が出るから驚くんだよな。人間を血袋だと考えるとそこまで疑問はないんだが」
「その場合疑問に思うべきは人間を血袋だと捉える倫理観だと思うんだよ来栖」

物騒である。

嫌がらせによってメンタルの状態が心配だったらしく、今日は一日休んで行くかと聞いてくれた来栖の提案を断り普通に昼休み。当たり前のように一時間目の途中から合流し四時間きっちり授業を受けた。

「はえーっ、そんなこともあるんですねぇ。わからせますか?」
「獅童くん犬増やしそうだから嫌かも」
「ああ、猫好きでした?」

全然話通じない。ほぼ習慣化した武藤様のお弁当を食べていると、水瀬がだがな、と続けた。

「甘ちゃんなのは勝手だけどな宗介。実際怪我した時点で悠長に構えてられねーんだぞ」
「う」
「暴力的な人物が真に暴力に目覚めるのは、初めてが出来た瞬間だからな」
「はぁー、深いっすね」
「今適当に作った言葉だが光栄だぜ」

出た水瀬の嘘八百。真顔で嘘つくからあいつすごいんだよな。俺だったらニヤニヤしてしまうと思う。気持ち悪い感じで。この嘘大ウケするぞ~と思って意気揚々と嘘ついて嫌われるのだ。

「田中先輩、嫌がらせされてるんですか?」
「ッチ、卑怯な奴らだぜ」

定食をとりにいっていた市ヶ谷くんと東郷くんが合流した。ここ最近全然会わなかったような気がしたが相変わらず元気でニコイチである。

「あんまり効果はないけどねー。回し者かってくらいカミソリ仕込んでくる以外は」
「カミソリ仕込むのは相当でしょう!」
「平然としすぎだろアンタ。いちいち泣いてそうなのに」

東郷くんの俺への解像度高すぎる。
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