王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

文字の大きさ
90 / 201
密着! 夏休み旅行!

14

しおりを挟む
俺の有能ムーブを噂が凌駕していく。誰? 真実は小説よりも奇なりとか言った人。普通の人生送ってて創作の奇妙に勝てたら創作はいらないんだわ。

「見ろよあれ、田中さんだ」
「シッ声上げんな! 殺されるぞ……!」
「嫌がらせの報復に家族を晒し上げたって……なんて恐ろしい人なんだ」
「やったことの落とし前はつけさせる……漢だぜ」

道を歩けばサッとモーセのように人波が割れ、俺の道ができる。食堂での執行部みたいなことを俺にするな。

昇降口までみな頭を下げて顔を上げず、ヒソヒソと言葉を交わし合っている。その声以外音は鳴らず相当に静かだ。

「あの~……みんな? 別におれ、そんな道開けてもらわなくても……普通にしてくれたらいいから」
「いえそんな、滅相もない!!」
「ジブン達の気持ちなんで、これは!!」
「やりたくてやってるんで!! やらせてください!!」
「そんな教師がやる気ないなら帰れとか言ってきた時みたいな態度取らなくても」
「!!!! 田中さんの冗談だ!! 総員笑えーーーッッッ!!!!!!!!!」

ドッッ!!
号令が敷かれた瞬間爆笑が巻き起こる。うおお話の流れで出した例えを思いの外重く受け止められた時の恥じらいレベル100!

「わぁぁあやめて~~!」
「やめッッッッ!!!!!!!!!」

耳に痛い静寂。心も痛い。
そんな命令のように笑われても俺は、俺は……。
ずらりと寮の方まで整列した生徒達に半泣きになる。ギリギリ顔には出さなかったけど。

俺は自分がどう見られているかも、どう振る舞えば角が立たないかも把握するようにしている。姉に似た顔立ちと、一応は役員であることからわりと目立つので。

なので当然今回も田中宗介のパブリックイメージを下調べしておいたのだけれど。

(大体が悪の帝王とか……裏番とか極道の跡継ぎとか根も葉もない噂だったし)

うちは由緒正しくない成金である。一代で成功してるので金の余裕はあるが俺に才能とかは特に無いので普通に落ちぶれると思う。いや甥がどうにかしそうだな。

はぁ~マジで憂鬱。
旧校舎に行けばこんな待たれない──俺の庇護下にある人以外は出禁にしている──し、逃げちゃおっかな。でも、たまには俺が顔を出さない身内だけの時間も必要だろうし。

「よォチャラ男。今日も囲まれてんな」
「っわ……! 会長さま~!?」

ウワーーーーーッッ今日ラッキーデイかも!!!!!!!!!

のしっと肩に腕がかかる。肩を組まれたのだと気づいた頃にはふわりと香る、華やかで品のある香り。苛烈で美しい武藤様によく似合うと常々思っていた。

「ッ……! ……!」
「抑えろ! 田中さんの御前だ……!!」
「騒がしくしたら殺される、騒がしくしたら殺される」

黄色い歓声が珍しく上がらない。俺のせいである。あまりにも恐れられすぎじゃない? 普段誰彼構わずキャアキャア騒いでるのに。

「……ほーう」
「うわなんか企んでる顔!」
「いや? テメーの訳わからん噂も、なかなか役に立つじゃねぇか。よくやった」

えーなんか褒められてる嬉しい。なんで?

「ちょうど、騒がれるのはうざったるいと思ってたんだよ。どうせ帰るところも一緒なんだ。なぁ?」

最後あたりの言葉は耳元で囁かれる。肩を組んだ手があやすように優しく首元を撫で、ゾクゾクと背筋が震える。低い声が色気たっぷりに脳をくすぐり、心臓が跳ねた。

「せいぜい良い隠れ蓑になれよ、裏番さん」
「……えっ」
「おら行くぞ」
「……え!?!?!?!?!?」

全然話聞いてなかった。が、俺の手を恭しく引く仕草で言いたいことがわかってしまう。

「おれと会長さまが一緒に帰る……ってこと?」
「今かよ。話聞かねぇなお前は」

聞ける訳ないだろこっちはオタクだぞマジ距離感考えろよ!!!!!!!
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い

八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。  11/21 登場人物まとめを追加しました。 【第7回BL小説大賞エントリー中】 山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。 この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。 東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。 風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。 しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。 ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。 おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!? そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。 何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから! ※11/12に10話加筆しています。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

処理中です...