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第一章 フェンリル
ぐっすり眠りについた朝
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「……ぴゅうん、ぴゅうんっ!」
「まだ起こすな。リーネが寝ているんだぞ」
(これでも、我慢しているというのに……)
フェリクス様の声が聞こえる。泣いているのはフェレスベルグの子供だ。頭の上で払う様子がうかがえる。
(でも、何の我慢?)
その瞬間に、頭の上に吐息がかかり、くすぐったくなる。そして、頭の中にフェリクス様と私が抱き合っている姿が流れてきた。言葉では言い尽くせない。それが酷く羞恥を煽られた。
「きゃーーーー!?」
勢いよく身体を起こすと、身体中が温かい。というか羞恥でいっぱいになり熱い。
「どうした? 怖い夢でもみたか?」
隣には、同じベッドで寝ていると一目瞭然のフェリクス様が、私の叫び声に驚き声をかけてきた。
「ゆめ……」
そうだ。あれは夢だ。必死でそう思い込む。フェリクス様の心の声だったら、なんか嫌だ。
「恐ろしい夢でした……」
「一体なにをみたんだ?」
「読まないでください! 絶対に読まないでください!」
(あれは何ですか? フェリクス様の頭の中はどうなっているのでしょう!?)
ベッドの上で頭から布団を被り、ガタガタと震える。その時に、ヴァルト様とメイドのアリエッタが「何事ですか!?」と部屋に飛び込んできた
部屋には、布団が揺れるほど震える私とそれをめくろうと手を伸ばしているフェリクス様がベッドの上にいる。
「フェ、フェリクス様! まだ結婚前ですよ! 軽々しく手を出さないでください!」
「だから、まだ手も出してない!」
怒るヴァルト様にフェリクス様も言い返す。
「全身で怯えているじゃないですか!? フェリクス様、一体フィリ―ネ様になにを……!?」
「知らん! 目が覚めたと同時に叫んだんだ!」
だんだんとフェリクス様の発言が言いわけじみてきた。怯えながら布団から顔を少しずつ出すと、ヴァルト様がフェリクス様に詰め寄る勢いで怒っている。
「大丈夫ですか!? フィリ―ネ様!」
アリエッタが、私の出した顔にすかさず反応して駆け寄る。涙目の私を見てアリエッタが息をのみ拳を握る。
「こんな純真無垢なフィリ―ネ様に……フェリクス様……」
「その蔑んだ眼は止めろ!」
蔑んだ目で見たアリエッタにフェリクス様が声を大にして言う。
そっとフェリクス様を見ると、怒りながらも困り果てている。そして、目が合う。
「……リーネ。夕べはよく眠れたか?」
「はい。全然フェリクス様が隣にいるのも気づきませんでした!」
「そうか……アリエッタ。支度をしてやれ。俺は部屋に帰る。朝食は居間に持ってこさせろ」
「「かしこまりました!」」
ヴァルト様とアリエッタが、騎士らしく同時に返事をする。すごく息がぴったりだった。
アリエッタはメイドなのに、凛々しくて憧れそうになる。
(でも、やっとフェリクス様が部屋から出て行ってくれる!)
ホッと胸を撫でおろすと、布団を軽くめくられフェリクス様が私の頭に唇を落とした。
(____っ!?)
その様子を、ヴァルト様がやめなさいと言わんばかりに「フェリクス様!!」と叫ぶ。
「だ、大丈夫ですか!? フィリ―ネ様!」
アリエッタがあたふたとする中で、必死で首を上下に振る。フェリクス様は、私の挙動を楽しんでいるかのように動揺すらしないで、最後に声をかけて部屋を出た。
「リーネ。早く着替えてこい」
「……はい」
「まだ起こすな。リーネが寝ているんだぞ」
(これでも、我慢しているというのに……)
フェリクス様の声が聞こえる。泣いているのはフェレスベルグの子供だ。頭の上で払う様子がうかがえる。
(でも、何の我慢?)
その瞬間に、頭の上に吐息がかかり、くすぐったくなる。そして、頭の中にフェリクス様と私が抱き合っている姿が流れてきた。言葉では言い尽くせない。それが酷く羞恥を煽られた。
「きゃーーーー!?」
勢いよく身体を起こすと、身体中が温かい。というか羞恥でいっぱいになり熱い。
「どうした? 怖い夢でもみたか?」
隣には、同じベッドで寝ていると一目瞭然のフェリクス様が、私の叫び声に驚き声をかけてきた。
「ゆめ……」
そうだ。あれは夢だ。必死でそう思い込む。フェリクス様の心の声だったら、なんか嫌だ。
「恐ろしい夢でした……」
「一体なにをみたんだ?」
「読まないでください! 絶対に読まないでください!」
(あれは何ですか? フェリクス様の頭の中はどうなっているのでしょう!?)
ベッドの上で頭から布団を被り、ガタガタと震える。その時に、ヴァルト様とメイドのアリエッタが「何事ですか!?」と部屋に飛び込んできた
部屋には、布団が揺れるほど震える私とそれをめくろうと手を伸ばしているフェリクス様がベッドの上にいる。
「フェ、フェリクス様! まだ結婚前ですよ! 軽々しく手を出さないでください!」
「だから、まだ手も出してない!」
怒るヴァルト様にフェリクス様も言い返す。
「全身で怯えているじゃないですか!? フェリクス様、一体フィリ―ネ様になにを……!?」
「知らん! 目が覚めたと同時に叫んだんだ!」
だんだんとフェリクス様の発言が言いわけじみてきた。怯えながら布団から顔を少しずつ出すと、ヴァルト様がフェリクス様に詰め寄る勢いで怒っている。
「大丈夫ですか!? フィリ―ネ様!」
アリエッタが、私の出した顔にすかさず反応して駆け寄る。涙目の私を見てアリエッタが息をのみ拳を握る。
「こんな純真無垢なフィリ―ネ様に……フェリクス様……」
「その蔑んだ眼は止めろ!」
蔑んだ目で見たアリエッタにフェリクス様が声を大にして言う。
そっとフェリクス様を見ると、怒りながらも困り果てている。そして、目が合う。
「……リーネ。夕べはよく眠れたか?」
「はい。全然フェリクス様が隣にいるのも気づきませんでした!」
「そうか……アリエッタ。支度をしてやれ。俺は部屋に帰る。朝食は居間に持ってこさせろ」
「「かしこまりました!」」
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(でも、やっとフェリクス様が部屋から出て行ってくれる!)
ホッと胸を撫でおろすと、布団を軽くめくられフェリクス様が私の頭に唇を落とした。
(____っ!?)
その様子を、ヴァルト様がやめなさいと言わんばかりに「フェリクス様!!」と叫ぶ。
「だ、大丈夫ですか!? フィリ―ネ様!」
アリエッタがあたふたとする中で、必死で首を上下に振る。フェリクス様は、私の挙動を楽しんでいるかのように動揺すらしないで、最後に声をかけて部屋を出た。
「リーネ。早く着替えてこい」
「……はい」
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