氷狼陛下のお茶会と溺愛は比例しない!フェンリル様と会話できるようになったらオプションがついてました!

屋月 トム伽

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第一章 フェンリル

知りたい感情の変動

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フェリクス様が部屋からカップを持ってきてくれてそれにジルの持ってきたお茶を淹れた。
ほのかに甘い香りが漂う。

「……いつもこのお茶を飲んでいるのか?」

私がカップにお茶を注ぐのをみて、まじまじとフェリクス様が見ている。

「いつもでは……時々です。最近は疲れてお茶を飲む前に寝ていることもあるので……」

まだ温かいお茶を淹れてジルの部屋に向かうと顎に手を当てて考え込みながらフェリクス様も付いてくる。

(どうしてついてくるのでしょうか?)

意味が分からない。フェリクス様の心の声が聞こえないかしら? と思いながら必死で集中すると、すぐにばれてしまう。絶対に読ませないぞという気迫だけは感じる。

「……読まなくていいからな」
「私のも読まないでください……」
「これでも、リーネの心の声はあまり鮮明に聞こえないんだが?」
「そうは見えません……」

困ったなぁと思いながら、ジルの部屋をノックすると彼女はすぐに出てきた。

「フィリ―ネ様? どうかなさったのですか?」
「体調が悪いようですので、お茶を持ってきました。いつもジルが「よく寝れます」と言って持って来てくれたお茶です」
「これを私に……?」

呆れたようにお茶を見下ろすジルは、すでに寝支度を整えたナイトドレス姿だった。胸の開いたキャミソールドレスがいつものドレスと違い、よりいっそうジルが大人っぽく見える。

(それは、色っぽいと言うんだ)

フェリクス様が、何も知らない私に教えようと心の声に呼びかける。でも、フェリクス様。顔はいつもと同じ冷静な表情ですけど、心は笑ってませんか?

「色っぽい……」

思わず声に出ていた。

「あぁ、これですか? 私はもう子供ではありませんからね。これくらい普通ですよ」

自信ありげに胸を強調するジル。彼女にお茶を出すと、それをフェリクス様はジッと見ている。

「フェリクス様も、このような格好がお好きですか?」
「……まぁ、嫌いではないな。だが、友人に見せる姿ではないぞ」
「違いますか……」

こんな格好をしてもフェリクス様は友人になってくれないということはわかる。でも、フェリクス様……ちょっとジルの姿に食いつきすぎですよ。

「ほら、さっさと渡して部屋に戻るぞ。侍女も早く休め」
「はい。ジルもゆっくり休んでね。明日の朝の支度は自分でするから気にしないでね」
「わかりました」

ジルの部屋をあとにしてフェリクス様と部屋に帰ると、彼はお酒を飲み始めている。

「飲むか?」
「お酒は飲んだことがありませんので……」
「冗談だ。リーネはこの茶を飲め」

ジルの淹れたお茶は冷めているけど、それは私にとってはなんとも思わないことだった。
たまに夜にも私の部屋にやってきてお話をするフェリクス様だけど、今夜はお茶を飲むとベッドに促される。

「フェリクス様は、部屋で休まないのですか?」
「俺も少し本を読む。寝るまでいてもいいか?」
「もちろんです」

ベッドサイドに座るフェリクス様も私に合わせてか本を開くと、「本は好きか?」と聞いてくる。

「好きですけど……今度は、恋愛小説を読んでみます」
「急にどうした?」
「フェリクス様が友人になってくれないから……」
(ジルの言っている意味もよくわからない。でも、国には帰りたくない)

それに、男女の関係が全くと言っていいほどわからない私が知りたくなっているのだ。

「……さっきのことを気にしているのか?」
「気になってますけど、それが何なのかわからないのです」
「あれは嫉妬だな……嫉妬にしては少し弱いが……ヤキモチぐらいか?」
「でも、フェリクス様を応援してますよ」
「そこは応援しなくていい」

最後の言葉は力を込めて言われる。

「あれは、部下だ。少し報告を受けていただけだから気にするな」
「お仕事ですか?」
「そうだな……少々事が進みそうだからな。いずれリーネの力も借りることになるだろう」
「私の力……」

それは、ジルが言っていた癒しの魔法のことだ。ジルの言っていた通りに私を利用する気だったのだ。だからといって、ディティーリア国には帰りたくないし、私をこの国に迎えてくれたフェリクス様には恩を返したい。でも、私が用済みになったら、この気持ちはどこに行くのだろうか……彼との関係も終わるのだろうか。
父上や兄上たちのように、用事がある時だけ私を呼び出す関係になるのだろうと漠然とした不安が走った。

(……いつかここから逃げよう)

「リーネ……?」

驚いたように目を見開いて私を見つめるフェリクス様に「何でも言ってください」と伝えた。この言葉もうそ偽りのない言葉。

「リーネ……どうした?」

フェリクス様が抱き寄せてくる。それを受け入れたいのに、不思議と瞼が落ちるように閉じて、私は眠りについた。






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