陛下の溺愛するお嫁様

さらさ

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㊶嘘だろ(クロード)

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しばらく休んでいると、遠くから草を踏み閉める音が聞こえてきた。
足音の数が多い。シドは間に合わなかったか・・・

「レイラ、立てるか?俺の後ろに居てくれ。」

そう言うと、俺は立ち上がりながらレイラを片手で立たせる。

「どうしたの?」

「敵が来たようだ。」

「敵?」

レイラはシーリカ王国との揉め事は知らないから敵がいると言うことを知らない。
なので俺の言葉に驚いたようだ。

「レイラが眠っている間、シーリカ王国のオリビア女王と揉め事があったんだ。エレオルト城の中での出来事だったから手は出さなかったが、向こうもあれで引くとは思えない。どこかで仕掛けてくると思っていた。レイラをまた巻き込んでしまった。・・・すまない。」

簡単に説明をすると、レイラが俺の腕に自分の手を絡ませてきて見上げる。

「ミカ、わたくしはミカのそばに居たいの。だから危険に巻き込まれるのも承知よ。」

そう言ってにっこり笑って言う。

「ミカが守ってくれるんでしょ?」

う、・・・レイラ、可愛すぎる。この笑顔、思わず抱きしめたくなる。
レイラは男心をくすぐるのが上手いな。

「でも、今は無理しないでね。」

心配そうに見つめるレイラ。

「ああ、分かってる。」

俺は腕にしがみつくレイラの額にキスを落としてから剣を握り直す。
探してるように彷徨っていた足音がこちらに向かってくる。

右足の感覚は少し戻った気がするが、まだ思うように動かない。腹も痛い。あまり力が入らないが、右手が無事で良かった。

しばらくして、相手の姿が見て取れるようになる。
鎧を着た騎士が二十人ほど歩いてくる。
向こうも俺に気がついたようだ。

レイラを背中と木の間に隠すように前に立つ。

「あら、驚いたわね、生きていたの?」

鎧の中から声がして、鎧がざっと道を開ける。鎧に囲まれた中から出てきたのはオリビア女王だ。

「死体を拾って首をルシリア帝国に突き出してやろうかと思ったのに、まさか生きていたなんて・・・」

オリビアは驚いたという表情を作った後、ニヤリと笑う。

「ふふふっ、こんないい男殺すの勿体ないと思っていたのよ。生きていたのなら連れて帰って私のペットにしてあげる。」

性懲りも無くそんなことを考えているのか。

「手負いのようだし、さすがの剣鬼もこの人数には勝てないでしょう。大人しく私に従うなら、今なら後ろのメスは逃がしてあげる。でも、抵抗するならこの場で殺すわ。」

脅しを掛けるように、最後の言葉は低い声で叫ぶオリビア。

「俺が従うわけないだろう。」

俺の可愛いレイラをメスとか言いやがって、この女、絶対許せん。

「あら、残念。なら痛めつけて、愛する女を殺される所を見せてから連れてってあげる。」

オリビアはニヤリと笑って片手を振りかざす。

「お前達、女は殺していいけど、男はほどほどに痛めつけておやり。」

そう言うと、鎧達の中に消えていく。
鎧が一斉に剣を抜き、俺に向かってくる。
俺はふーーーっと呼吸を整えると、向かってくる鎧を待ち構えた。

鎧の倒し方は足、脇、首の鎧の継ぎ目、最初に大ぶりでかかってきた鎧の剣を弾くと脇に剣を刺す。続けて来る鎧も剣で弾いて体勢を崩すと足を斬る。

「何やってるの、一斉に掛かりなさい。」

オリビアが後ろから指示を飛ばす。
そのしじで、五人が一斉に斬りかかってくる。

俺は五人の剣を受けるのが精一杯だった。
何とか剣はしのげるが、レイラから離れるわけにいかない。動かずに護るしかない。
剣を受けつつ、スキをついて首に剣を突き刺し何人かを片付けた。残り半分と思った時に前方からさらに三十人ほどの鎧が現れる。

嘘だろ・・・腹が痛くて額を脂汗がじわりと流れる。

増える鎧兵を見て、後ろでレイラが小さく悲鳴をあげた。
俺はどうなってもレイラだけは護らないと。










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