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33話 レオンハルト様の事情
しおりを挟むあれから、ライル様が後処理をしている間に、私達はレオンハルト様の部屋へと場所を移した。
部屋を出た時、レオンハルト様も一緒に出てきたのでヨシュア様がびっくりしていたけど、それは無視しておきましょう。
「そう言えば、聞きそびれていたんですけど、ジャスタ皇子とは仲がいいのですか? 」
ソファーに腰かけて、何だか眠れなくなってしまったので、レオンハルト様と話をする事にした。
「ああ、ジャスタは一年間海外留学でうちに来てたからな 」
「え? そうだったんですか? 」
小説にはない話だわ。
「ジャスタ皇子はレオンハルト様が猫を被ってるのを知っていらっしゃるようでしたけど、余程仲が良かったのですね 」
「まぁ、普通にしてたつもりなんだが、どこかで俺が素の時を見たようなんだよな、あれは失敗だった、あれから出会う度に俺の素を引き出そうとしてくるんだ 」
そう言われて、レオンハルト様は何故猫をかぶっているのか不思議になった。
今まで引っかかっても気にしないようにしていたけど、何故いい子ぶる必要があるのかしら、素のレオンハルト様の方が素敵だと思うのに・・・
「レオンハルト様は何故皆の前では猫をかぶるのですか? 」
不意に思った疑問を、何気なく問いかけてレオンハルト様を見ると、レオンハルト様は私から視線を逸らす。
「そんな事聞く必要は無い 」
その態度に、レオンハルト様にも何か理由があるのだと思った。でも余計に聞きたい。
そう思っていると、私の表情を察したレオンハルト様が口を開く。
「・・・・・・特に対した理由じゃない、周りからしたら些細な事だろうが、俺にとってはいい子を演じるのは大事なことなんだ、それ以上聞くな 」
「・・・はい 」
レオンハルト様の言葉に、何かとても繊細な事情があるような気がして、私もそれ以上は立ち入って聞こうとは思わなかった。
「それより、少し休めそうなら休んでろ、俺はライルが戻ってから休む 」
そんなことを言われても、一瞬しか見ていないけど、人が死んだところを見てしまって、寝ろと言われて寝れるわけが無い。
でも、時間はまだ深夜の二時を過ぎたところだ、このままここに居て私が寝なかったらレオンハルト様も休めないわよね、迷惑は掛けれない。
「分かりました。先に休ませていただきます。レオンハルト様、先程は助けて頂いてありがとうございました 」
「礼を言われることはしていない、エリシアを連れてきたのは俺だ、俺にはお前を守る義務がある 」
その言葉に、少し心がチクッとして沈んだ気がした。そうよね、義務よね、変に勘違いをしてはいけないわ。
「俺はここにいるから安心して寝てろ 」
「はい、おやすみなさい 」
私はにっこり笑って挨拶をしてから、またレオンハルト様の部屋の寝室に入った。
なんだか心がモヤモヤする。
何故かしら、レオンハルト様の優しさに、勘違いしかけていたから?
いくら好みの顔と声を持っていてもレオンハルト様とは関わるつもりは無い。好きにはならない。そう思っていたのに、私はレオンハルト様に惹かれてた?
私は自分の考えを正すように首を横に振る。
ダメよ、レオンハルト様は私をからかって遊ぶような性格最悪な人なのよ、絆されてはいけないわ。
それに、レオンハルト様は義務で守ってくれてると言った。
レオンハルト様は私に特別な感情なんて持っていないわ。精々、自分に気のない使いやすいコマとしか思っていないんだから、その気になるなんて、猫かぶり王子の思う壷だわ、またからかって遊ばれるだけよ。
ずっと、自分はクリスティーナ様と結ばれる運命のレオンハルト様なんて好きにならないって思っていたのに、決めていたのに、いつの間にか好きになりかけていたことに気がついて、もう一度、好きになっては泥沼が見えているのだと思い直す。
最近ずっと一緒に居たから変な気持ちになったんだわ。
ベッドに入ってからも色んなことが頭の中をぐるぐると回って、なかなか眠ることが出来なかった。
ようやくまどろみに落ちたのは明け方になってからだった。
「エリシア様、お目覚め下さい、朝ですよ 」
ユーリカの鈴のような爽やかな声に目を覚ます。けれど、瞼は重い。
「おはよう、もう朝? 」
「はい、お支度をしませんと、レオンハルト様がお待ちです 」
そう言われて一気に頭が睡眠から目覚める。
もうそんな時間になっていたの?
私はのろのろと起き上がると、慌てて支度をして隣の部屋に入った。
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