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32話 真夜中の顔合わせ
しおりを挟むは? 何でレオンハルト様がここに?
「レオンハルト様、何をしてるんですか? 」
私はレオンハルト様の姿を確認した途端、賊や幽霊でなかったと安心して窓を開けた。
「エリシア!! 来るな!! 」
「え? 」
突然怒鳴られて、レオンハルト様をよく見ると手には剣を持っていた。そして、レオンハルト様の足下に何か黒い物体がある。
「え? 」
「あ、クソッ! 」
状況が飲み込めず呆然としていると、レオンハルト様が膝を付いてしゃがみこんで、黒い物体を確認してから悪態をつく。
「・・・・・・舌を噛んで自決しやがった・・・ 」
自決? よく見るとその黒い物体はうつ伏せで倒れている人だった。
「その人、死んだの? 」
「エリシアは見るな、危ないから中に入ってろ 」
何が起こったのか分からずに立ち尽くす私を、いつの間にか隣に来ていたライル様がそっと引き戻す。
「エリシア様、少しかけてお待ちください 」
ライル様が私の肩にショールを掛けてくれて、椅子のある方へ促してくれる。
私は言われるまま座ってさっきまで居たベランダの方を見た。
レオンハルト様は死んだ? 人の身元を確認しているのか、あちこち調べている。
そこへライル様が戻って二人で何か話し込んだ後、レオンハルト様が私の元へ歩いてきた。
「すまない、起こすつもりはなかったのに、少しうるさかったな 」
「そんな、全然うるさくなかったですよ、私がたまたま起きてしまっただけです 」
私の元へ来るなり謝るレオンハルト様に思わず焦る。
「何があったのですか? 」
「・・・・・・エリシアには見つからないように処理したかったんだけどな 」
レオンハルト様が私の前に腰掛けながら言う。
「私に見つからないように? なんの事ですか? 」
そう言ってから、ようやくパニックになっていた頭が落ち着いてきたのか、自分の中で答えが出る。
「・・・もしかして、私狙われてたんですか? 」
「・・・ああ 」
「何故ですか? 」
何故私が狙われなければならないのか、王子であるレオンハルト様ならともかく、私は普通の子爵令嬢よ? それに、レオンハルト様は私が狙われているのを知っていた様子、どういう事?
「私が狙われる理由が分かりません 」
「それは俺のせいだ、すまない 」
「レオンハルト様のせい? ・・・もしかしてレオンハルト様と娘を結婚させたい誰かの仕業だとでも? 」
「おそらく 」
「何それ、じゃまだから消す? 私がやってるのはそんなに危険な仕事だったの? 」
「本当にすまない、まさかそこまでするとは思わなかった 」
レオンハルト様は本当に申し訳なさそうに頭を下げて謝る。
殿下に頭を下げさせるなんてしてはいけない。でも、まさか命を狙われるなんて思ってなかったので、驚いて思わずレオンハルト様を責めてしまった。
「・・・誰が私を邪魔だと思っているのかわかってるのですか? 」
「さっきの奴が自害してしまったから分からなくなった。持ち物から身元を割り出すことが出来るか・・・プロの刺客だからそう簡単に身元が分かるものを持ってるとも思えないけど、後はライルに任せる。昨日鉱山でお前が声を掛けられたのもそうだ、ヨシュアから初めからお前を狙っていたようだったと聞いて、エリシアが狙われてるのではないかと気づいた 」
「それって、シュナイダー国王様にこっそり話すのは無理よね 」
「ああ、どこの国のやつが狙ってるのか分からないし、シュナイダー国王の城の中で襲われたと言えば警備の甘さを指摘することにもなる。エリシアには悪いが出来るだけ穏便にすませたい 」
私も分かってはいたけれど、レオンハルト様の言うことは最もだ。下手をすれば国家間の争いの種になりかねない。
「分かりました。レオンハルト様はずっとここで見張っててくださったんですか? 」
良く考えれば、何故刺客が私の部屋に入る前に止められたのか、ずっとレオンハルト様が見張っててくれたってことよね、寝たと思ったのに?
「ああ、俺の部屋で寝てくれてた方が、俺が一緒だと思われてる分、狙われる確率は低かったし、守りやすかったんだがな 」
あの時、レオンハルト様が自分の部屋で寝ろって言ったのはそういう事だったの?
「言ってくだされば私も理解しましたのに! 」
「来るかも分からない刺客が来ると言ってしまえば、お前は心配で眠れないだろ 」
「それはそうですけど・・・レオンハルト様も寝てないじゃないですか 」
「俺は一瞬寝た 」
一瞬って・・・私が部屋を出る時のことよね、どれくらい寝ていたのかは分からないけれど、そんなに寝ていないはず。そう思うと、何も知らずに寝ていた自分が申し訳ないことをした気分になる。
「エリシアが気に病むことは無い、どちらにせよ、正面はヨシュアが守ってくれてるから、俺は窓からの侵入にだけ注意していればよかったから、ライルと二人で見張ることが出来た。まぁ、正面から来るなんてことはほぼ無いだろうから、こっちだとは思ってたけどな、出来るだけエリシアには気付かれずに処理したかったんだが、起こしてしまってすまない 」
そう言ってから、レオンハルト様は私を見つめる。
「エリシアは俺が守るから、出来れば俺からあまり離れないでくれ 」
その言葉と表情に、思わず心臓が跳ね上がる。
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