『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ

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34話 ダンスパーティー

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「起こしてすまない、もう少し寝かしてやりたかったが、時間だ  」

私が部屋に入るなり、レオンハルト様が先に謝る。

「いえ、私こそ遅くなり申し訳ございません。おはようございます 」

「うん、おはよう、今日もエリシアは綺麗だね 」

そう言って笑った王子スマイルのレオンハルト様は今日もどこから見ても完璧なイケメン王子だわ。

「・・・猫かぶりの練習ですか? レオンハルト様こそ、いつもお美しいですね 」

私もレオンハルト様に合わせてにっこり笑顔で返す。
このやり取りにも少し慣れたわね、心をどこかに置いてくればなんて事ないわ。

「エリシアも言うようになったね 」

レオンハルト様はクスクスと笑いながら私の対応に、何故か満足しているように微笑む。
これだけレオンハルト様にからかわれ続けたらハートも強くなるわ。

今日はディアルド王国第三王子のコーディー様のご結婚式、この国の結婚式がどんな物なのか、見たことは無いけれど、本の知識では前世の世界と同じく神の前で誓いの儀式をして、指輪を左手の薬指にお互い付け合う。流石元が前世の世界の読み物、共通点は沢山ある。

今日はドレスコードが決まっていて、女性はクリーム色のドレス、男性は黒に決められている。レオンハルト様は背が高いので黒の衣装をスラリと着こなしている。いつもの事だけど、カッコイイ。

花嫁は純白のドレスなので、とても映えて美しいのではないかと今から楽しみ。

「では、行こうか 」

案内役のクルシュさんが来たのを見て、レオンハルト様が腕を差し出す。
私はその腕に手を絡めて見上げて微笑む。

「はい 」



結婚式は諸外国の要人を迎えた厳かな式で、レオンハルト様より二つ年上だというコーディー様はグレーの衣装に身を包んで、柔らかな笑顔で純白の花嫁を愛おしそうに見つめていた。
花嫁様はとても綺麗で、とても幸せそうで、私もいつかはこんな風に優しく見つめてくれる男性と結婚する日が来るのかなと、一瞬胸が高鳴った。
あ、でも基本貴族の娘は政略結婚の種にしかならないから、あんな風に愛おしそうに見つめてもらえる旦那様の所へ嫁ぐことが出来ればの話だけどね、とすぐに冷静な自分が横槍を指していた。

式は何事もなく終わりを迎え、参列者は解散、その後のパーティーへと流れる。
私もレオンハルト様と一緒に会場に入った。

会場では、国王様の挨拶があり、乾杯の合図でパーティーは始まりを迎える。
まず最初に今日の主役の二人のダンスが始まると、皆が注目する。
お二人のダンスはとても素敵なのだけど、私の隣に立つレオンハルト様も目立つのよね、今も女性の視線を独り占めしている。いや、正確には今日ご結婚された花嫁以外の女性だわね。
その注目の的のレオンハルト様とダンスを踊らなければならないのが今の私の最大の苦痛。
目立ちたくない人生を送ってきたのに、何故この異国の地で嫉妬という注目を浴びなければならないのか・・・
でもまぁ、今日を乗り切ればメインイベントは終わりだわ、あと少しの我慢ね。

主役のダンスが終わって、みんなが思い思いに踊り始める中、私もレオンハルト様と踊る。
ダンスはお兄様としか踊ったことが無かったのだけど、レオンハルト様も踊りやすい。普段から情報収集なんて、王子様がやることでは無いようなことをやってるからか、空間認識能力が高いのか、大勢の中で踊っているのに、流れるように人の間を通り抜けて自由に踊れる。

「レオンハルト様のエスコートはとても踊りやすいですわね 」

「そう? 」

1曲踊り終わって感想を述べていると、一人の女性が現れた。

「殿下、私マーガレットと申します。私と踊っていただけませんか? 」

この子は私を物凄く睨んでいた娘だわ。
確か、宰相を務めていらっしゃる侯爵家の二番目のご令嬢だったかしら、上のお姉様は第一王子のご正妻なのよね、この娘は確かマーガレット様だったかしら、王子であるレオンハルト様にダンスの申し込みなんて、度胸あるわね、でも、今日は結婚パーティー、今日だけは誰が誰に申し込みをしても許される日、なのでレオンハルト様も断ることは出来ない。

「マーガレット嬢、喜んで、お相手させてください 」

レオンハルト様は優雅に返事をした後、私に向き直って少しかがみこんで微笑む。

「エリシア、ごめんね、少し行ってくるね 」

そう言うと、二人でダンスの輪の中に消えていった。

ゆったりと踊るレオンハルト様の姿がチラチラと見える。
相手の方も美しいご令嬢なので華やかだわ。

「レオンハルトと踊ってる子に嫉妬してるのか? 」

突然話しかけられて隣を見ると、ジャスタ皇子が立っていた。

「そ、そんな事ありませんわ 」

「そうか? ずっとあの二人を目で追っていたようだが? 」

ジャスタ皇子に言われて、無意識にレオンハルト様をずっと見ていた事を自覚してドキッとする。
私はレオンハルト様が大好きな演技をしているのだから当然よね、演技を続けなくては!

「・・・そうかもしれません、私にはレオンハルト様しか見えないのです 」

少し戸惑ってしまったけれど、戸惑いを隠すようにジャスタ皇子を見上げて微笑んだ。
すると、ジャスタ皇子は表情を緩めて優しく微笑む。
金色の瞳がキラキラと揺れて綺麗。

「妬けるな、だけど俺の事も見てくれ、俺と踊ってくれないか? 」

ジャスタ皇子は私に向かって手を差し出した。



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