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宮殿
42.手紙の力
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「神子様、今日はお散歩はいかがですか」
お祈りからの帰り道でシアに誘われ、キアラはゆっくりと目を瞬いた。
草花が風にそよいで、土のにおいがする庭を歩くのは好きだ。
けれど。
「……またに、しませんか」
「……そうですね、またにしましょう」
気持ちがふさいでいる自覚はあったし、シアが善意で言ってくれていることはわかっていたが、キアラは自室と礼拝堂を往復するだけの生活を続けていた。
ゲラルドにもエドゥアルドにも会ってはいないが、もしどこかの庭に出て、どちらかと顔を合わせてしまって、また一方的に許しを乞うようなことを言われたらと思うと、怖い。ゲラルドに服を脱がされたことだけでも恐ろしかったのに、自分で決めていいはずの自分の気持ちを、許すべきだと受け入れさせられるのは、悲しい。
「……ミオ、シア、どこか出かけたいところがあったら、自由に出かけてください」
ふと心配になって、キアラはミオとシアに言い聞かせるように声をかけた。キアラはあまり出かける気分ではないにしても、ミオやシアはどこか行きたいところがあるかもしれない。
「……私は神子様のお傍に」
「私も神子様と一緒にいます」
そう思って声をかけたのだが、ミオにもシアにも傍にいると返事をされて、キアラはまたゆっくりと目を瞬いた。
「……そう、ですか」
お礼を言うのは少しおかしいだろうか。けれど、二人が傍にいてくれるというのは、嬉しい。
ほんの少し、軽くなったような気のする足で廊下を歩いていたら、珍しく向こうから誰かがやってきた。ここのところは、キアラの出歩くところにはほとんど人がいないのが常だ。
「マナヴィカ様よりお手紙をお預かりして参りました。この場でお渡ししてもよろしいでしょうか?」
「……シア、ちょうだいしていただけますか」
シアに手紙を渡し、柔らかく一礼してくれた人にキアラも膝を曲げて返礼する。穏やかな気配の精霊が傍にいたから、マナヴィカの離宮にいたうちの誰かかもしれない。
手紙を届けてくれた人が廊下を戻っていくのを見送って、キアラも自室への道をまた歩き始めた。
「マナヴィカ様からお手紙、とは、なんでしょうね」
「……シア、おてがみ、とは、なんですか」
「文字を書いて、お相手に気持ちを伝えたりご連絡したりするもののことです。紙に書かれることが多いですけど、布や板に書かれることもありますね」
人から人へ渡してもらって、遠くの人にも届けることができるのだそうだ。
「それは……素敵ですね」
ヨラガンの文字を書いたら、ユクガまで届けてもらえるだろうか。今も変わらず、キアラがユクガに心を寄せていることを伝えたら、ユクガは喜んでくれるだろうか。
少しだけ幸せな空想を浮かべて、キアラはそっと微笑んだ。
もし、キアラが誰かに手紙を書いたとしても、それがどこにも届かないだろうことは、もうなんとなくわかっている。
「……部屋に戻ったら、お茶をいれてくださいませんか」
「承知しました」
長い階段をゆっくり上って、窓辺に用意されている椅子に腰を下ろすとミオがベールを取ってくれる。傍の机に手紙を置いて、シアが一礼して部屋を出ていった。お茶を用意してくれるのだろう。
「……ミオ、手紙とは、文字が書かれているのではないのですか」
「ええ、手紙には文字を書くのですが、そのままでは他の方に読まれてしまうかもしれません。ですから、封筒に入れて封をするのです。私が封を切ってもよろしいですか?」
「……はい」
少し待っているように言い置いて、ミオも部屋を出ていってしまった。することもないからとぼんやり窓の外を眺めると、精霊の気配がする。風の精霊が、空を飛び回っているのかもしれない。
楽しそうな気配にキアラも微笑むと、不意に目の前に崩れかかった石積みの建物が現れた。気がつけば石畳の敷かれた場所に立っていて、ミオとシアの姿はない。
周囲を見回すと大きな池が広がっているようで、向こう岸もよく見えなかった。大きな池の中に、石を積んで陸地を作り、さらにその上に建物が作られたらしい。ヨラガンにこれほど大きな池はなかったと思うが、どこなのだろう。
首を傾げつつ、キアラは建物に近づいた。周囲を飛んだり、あるいは単に漂ったりしている精霊たちは、キアラに構う様子はない。小鳥の姿をしているもの、小さな獣の姿をしているもの、あるいは形も定まらず揺れ動いているもの。姿はばらばらでも、ここにいるのはすべて精霊のようだ。
心地いい気配に包まれて、建物の扉があったであろう場所をくぐり、キアラは室内に足を踏み入れた。壁や窓の一部、扉などは崩れてしまっているが、建物自体は頑丈に立ち続けていて、上から崩れてくる心配はなさそうだった。きれいな敷物や棚のような家具も、壊れたり破れたりしているものもあれば、形をとどめてまだ使えそうなものもある。
手や服が触れたことで大きく壊してしまわないように、キアラは慎重に中を進んだ。どこからか日の光が入っていて十分明るいのだが、壁に作りつけてあったり廊下に立てられたりしている道具に火の精霊が宿って、ちょうどランプのように周囲を照らしてくれている。
地下に下りる階段を、探さなければならない。
目的地が地下にあることを、キアラはなぜか知っていた。階段を下りて、地下に行って、あそこまで行かなければならない。
どこのことだろう、と一瞬意識をよぎったものの、ちょうどそのとき階段の入り口を見つけて、すぐにその疑問はどこかに行ってしまった。扉はついていたのかもしれないがなくなっていて、きれいに入り口だけが空いている。そっと中を覗き込むと、壁や階段が崩れている様子はなかった。窓も何もないのだが、中を飛び交っている精霊がぼんやりと光っていて、明かりのようになっている。
そっと足を踏み出して、キアラは慎重に階段を下りていった。歩いている途中で階段が崩れたり、壊れたり、ということはないだろうが、自分が足を踏み外して落ちたり転んだり、ということは十分にありえる。下りていくにつれてひんやりしてきて、腕をさすっていたら、火の精霊が集まってきて温めてくれた。
「ありがとうございます」
厚意にお礼を言ってなおも階段を下り、本当に終わりがあるのか疑わしくなってきたころにようやく、一番下が見えてきた。
段を下りきってため息を漏らし、目的のものを視界に収めようと顔を上げると、キアラの目に入ってきたのは机の上に置かれた手紙だった。
「え……?」
ぱちぱちと瞬きをすると、周囲は見覚えのある部屋だった。カガルトゥラードの宮殿にある塔の一つ、その中にある、キアラの部屋。窓辺の傍に置いてある椅子の一つに、腰かけている。
「お目覚めですか、神子様」
「……ミオ……」
よく見れば体には上掛けがかけてあって、ミオかシアがかけてくれたのかもしれなかった。うたたねをしていたらしい。
「お疲れだったんでしょう。もう一度、お茶を持ってきますね」
「……申し訳ありません、シア……」
「いいえ、お気になさらないでください」
シアは扉から出ていき、ミオがトレーを持ってくる。上に乗っていたのは、ナイフによく似た道具だ。
「これはペーパーナイフといいます。封筒の封を切るための道具です」
封筒の横のところからペーパーナイフの先を入れて、ぴーっと紙を割いていく。きれいに折りたたまれた封筒というものの一部が空いて、袋のようになったところからたたまれた紙を取り出すと、ミオがトレーに乗せて差し出してくれた。
「こちらが手紙です。どうぞお読みください、神子様」
「……ありがとうございます、ミオ」
マナヴィカの手紙は、きれいな字で書かれていて読みやすかった。丁寧なあいさつから始まって、マナヴィカの近況、キアラの体調が思わしくないと聞いていて、それを気づかう言葉、もしよかったらまた離宮でお茶をしましょうというお誘い、もう一度キアラを気づかう言葉。
最後も丁寧なあいさつで締めくくられた手紙を何回か読み返して、キアラはそっと顔をほころばせた。
「お手紙は……素敵なものですね」
誰かが自分に対して心を傾けてくれた言葉を、何度も読み直すことができる。この手紙を書くために、相手があれこれと心を砕いてくれただろうことも嬉しい。
「神子様も、書いてみますか?」
ほこほこした気持ちで手紙を見つめていたら、戻ってきたシアがお茶を置きながら声をかけてくれた。ゆっくりと目を瞬いてシアを見つめる。
「……私も、お手紙を、書けるのですか」
キアラが手紙を書いてみたとしても、誰にも届けてもらえないのだと思っていた。どこにも自由に行ってはいけなくて、誰とも自由に会ってはいけなくて、だからきっと、手紙を書くのも自由ではないだろうと思っていた。
「マナヴィカ様へ、お返事のお手紙を書くのもよいかと存じます」
手紙を乗せて渡してくれたトレーに、ミオが紙とペンを乗せて持ってきてくれる。マナヴィカになら、手紙を書いてもいいようだ。
もしかしたら、手紙は、好きに書いてもいいのかもしれない。
「ほ、他の方、にも、書いてもよいですか」
「マナヴィカ様以外、ですか?」
「どなたに?」
「え、と……」
だめだ。ユクガのことは秘密で、ミオやシアにも明かすわけにはいかないから、ユクガに手紙を出すことはできない。
「ど、どなたと、いうのではなくて……いつか、どなたかに、書くかも……」
もごもご答えてミオとシアをちらりと見ると、きょとんとした顔をしている。変に思われただろうか。
「……もちろん、他の方に書いてもいいですよ」
けれど、ミオが穏やかに微笑んで頷いてくれたので、キアラも安心してペンを手に取った。
お祈りからの帰り道でシアに誘われ、キアラはゆっくりと目を瞬いた。
草花が風にそよいで、土のにおいがする庭を歩くのは好きだ。
けれど。
「……またに、しませんか」
「……そうですね、またにしましょう」
気持ちがふさいでいる自覚はあったし、シアが善意で言ってくれていることはわかっていたが、キアラは自室と礼拝堂を往復するだけの生活を続けていた。
ゲラルドにもエドゥアルドにも会ってはいないが、もしどこかの庭に出て、どちらかと顔を合わせてしまって、また一方的に許しを乞うようなことを言われたらと思うと、怖い。ゲラルドに服を脱がされたことだけでも恐ろしかったのに、自分で決めていいはずの自分の気持ちを、許すべきだと受け入れさせられるのは、悲しい。
「……ミオ、シア、どこか出かけたいところがあったら、自由に出かけてください」
ふと心配になって、キアラはミオとシアに言い聞かせるように声をかけた。キアラはあまり出かける気分ではないにしても、ミオやシアはどこか行きたいところがあるかもしれない。
「……私は神子様のお傍に」
「私も神子様と一緒にいます」
そう思って声をかけたのだが、ミオにもシアにも傍にいると返事をされて、キアラはまたゆっくりと目を瞬いた。
「……そう、ですか」
お礼を言うのは少しおかしいだろうか。けれど、二人が傍にいてくれるというのは、嬉しい。
ほんの少し、軽くなったような気のする足で廊下を歩いていたら、珍しく向こうから誰かがやってきた。ここのところは、キアラの出歩くところにはほとんど人がいないのが常だ。
「マナヴィカ様よりお手紙をお預かりして参りました。この場でお渡ししてもよろしいでしょうか?」
「……シア、ちょうだいしていただけますか」
シアに手紙を渡し、柔らかく一礼してくれた人にキアラも膝を曲げて返礼する。穏やかな気配の精霊が傍にいたから、マナヴィカの離宮にいたうちの誰かかもしれない。
手紙を届けてくれた人が廊下を戻っていくのを見送って、キアラも自室への道をまた歩き始めた。
「マナヴィカ様からお手紙、とは、なんでしょうね」
「……シア、おてがみ、とは、なんですか」
「文字を書いて、お相手に気持ちを伝えたりご連絡したりするもののことです。紙に書かれることが多いですけど、布や板に書かれることもありますね」
人から人へ渡してもらって、遠くの人にも届けることができるのだそうだ。
「それは……素敵ですね」
ヨラガンの文字を書いたら、ユクガまで届けてもらえるだろうか。今も変わらず、キアラがユクガに心を寄せていることを伝えたら、ユクガは喜んでくれるだろうか。
少しだけ幸せな空想を浮かべて、キアラはそっと微笑んだ。
もし、キアラが誰かに手紙を書いたとしても、それがどこにも届かないだろうことは、もうなんとなくわかっている。
「……部屋に戻ったら、お茶をいれてくださいませんか」
「承知しました」
長い階段をゆっくり上って、窓辺に用意されている椅子に腰を下ろすとミオがベールを取ってくれる。傍の机に手紙を置いて、シアが一礼して部屋を出ていった。お茶を用意してくれるのだろう。
「……ミオ、手紙とは、文字が書かれているのではないのですか」
「ええ、手紙には文字を書くのですが、そのままでは他の方に読まれてしまうかもしれません。ですから、封筒に入れて封をするのです。私が封を切ってもよろしいですか?」
「……はい」
少し待っているように言い置いて、ミオも部屋を出ていってしまった。することもないからとぼんやり窓の外を眺めると、精霊の気配がする。風の精霊が、空を飛び回っているのかもしれない。
楽しそうな気配にキアラも微笑むと、不意に目の前に崩れかかった石積みの建物が現れた。気がつけば石畳の敷かれた場所に立っていて、ミオとシアの姿はない。
周囲を見回すと大きな池が広がっているようで、向こう岸もよく見えなかった。大きな池の中に、石を積んで陸地を作り、さらにその上に建物が作られたらしい。ヨラガンにこれほど大きな池はなかったと思うが、どこなのだろう。
首を傾げつつ、キアラは建物に近づいた。周囲を飛んだり、あるいは単に漂ったりしている精霊たちは、キアラに構う様子はない。小鳥の姿をしているもの、小さな獣の姿をしているもの、あるいは形も定まらず揺れ動いているもの。姿はばらばらでも、ここにいるのはすべて精霊のようだ。
心地いい気配に包まれて、建物の扉があったであろう場所をくぐり、キアラは室内に足を踏み入れた。壁や窓の一部、扉などは崩れてしまっているが、建物自体は頑丈に立ち続けていて、上から崩れてくる心配はなさそうだった。きれいな敷物や棚のような家具も、壊れたり破れたりしているものもあれば、形をとどめてまだ使えそうなものもある。
手や服が触れたことで大きく壊してしまわないように、キアラは慎重に中を進んだ。どこからか日の光が入っていて十分明るいのだが、壁に作りつけてあったり廊下に立てられたりしている道具に火の精霊が宿って、ちょうどランプのように周囲を照らしてくれている。
地下に下りる階段を、探さなければならない。
目的地が地下にあることを、キアラはなぜか知っていた。階段を下りて、地下に行って、あそこまで行かなければならない。
どこのことだろう、と一瞬意識をよぎったものの、ちょうどそのとき階段の入り口を見つけて、すぐにその疑問はどこかに行ってしまった。扉はついていたのかもしれないがなくなっていて、きれいに入り口だけが空いている。そっと中を覗き込むと、壁や階段が崩れている様子はなかった。窓も何もないのだが、中を飛び交っている精霊がぼんやりと光っていて、明かりのようになっている。
そっと足を踏み出して、キアラは慎重に階段を下りていった。歩いている途中で階段が崩れたり、壊れたり、ということはないだろうが、自分が足を踏み外して落ちたり転んだり、ということは十分にありえる。下りていくにつれてひんやりしてきて、腕をさすっていたら、火の精霊が集まってきて温めてくれた。
「ありがとうございます」
厚意にお礼を言ってなおも階段を下り、本当に終わりがあるのか疑わしくなってきたころにようやく、一番下が見えてきた。
段を下りきってため息を漏らし、目的のものを視界に収めようと顔を上げると、キアラの目に入ってきたのは机の上に置かれた手紙だった。
「え……?」
ぱちぱちと瞬きをすると、周囲は見覚えのある部屋だった。カガルトゥラードの宮殿にある塔の一つ、その中にある、キアラの部屋。窓辺の傍に置いてある椅子の一つに、腰かけている。
「お目覚めですか、神子様」
「……ミオ……」
よく見れば体には上掛けがかけてあって、ミオかシアがかけてくれたのかもしれなかった。うたたねをしていたらしい。
「お疲れだったんでしょう。もう一度、お茶を持ってきますね」
「……申し訳ありません、シア……」
「いいえ、お気になさらないでください」
シアは扉から出ていき、ミオがトレーを持ってくる。上に乗っていたのは、ナイフによく似た道具だ。
「これはペーパーナイフといいます。封筒の封を切るための道具です」
封筒の横のところからペーパーナイフの先を入れて、ぴーっと紙を割いていく。きれいに折りたたまれた封筒というものの一部が空いて、袋のようになったところからたたまれた紙を取り出すと、ミオがトレーに乗せて差し出してくれた。
「こちらが手紙です。どうぞお読みください、神子様」
「……ありがとうございます、ミオ」
マナヴィカの手紙は、きれいな字で書かれていて読みやすかった。丁寧なあいさつから始まって、マナヴィカの近況、キアラの体調が思わしくないと聞いていて、それを気づかう言葉、もしよかったらまた離宮でお茶をしましょうというお誘い、もう一度キアラを気づかう言葉。
最後も丁寧なあいさつで締めくくられた手紙を何回か読み返して、キアラはそっと顔をほころばせた。
「お手紙は……素敵なものですね」
誰かが自分に対して心を傾けてくれた言葉を、何度も読み直すことができる。この手紙を書くために、相手があれこれと心を砕いてくれただろうことも嬉しい。
「神子様も、書いてみますか?」
ほこほこした気持ちで手紙を見つめていたら、戻ってきたシアがお茶を置きながら声をかけてくれた。ゆっくりと目を瞬いてシアを見つめる。
「……私も、お手紙を、書けるのですか」
キアラが手紙を書いてみたとしても、誰にも届けてもらえないのだと思っていた。どこにも自由に行ってはいけなくて、誰とも自由に会ってはいけなくて、だからきっと、手紙を書くのも自由ではないだろうと思っていた。
「マナヴィカ様へ、お返事のお手紙を書くのもよいかと存じます」
手紙を乗せて渡してくれたトレーに、ミオが紙とペンを乗せて持ってきてくれる。マナヴィカになら、手紙を書いてもいいようだ。
もしかしたら、手紙は、好きに書いてもいいのかもしれない。
「ほ、他の方、にも、書いてもよいですか」
「マナヴィカ様以外、ですか?」
「どなたに?」
「え、と……」
だめだ。ユクガのことは秘密で、ミオやシアにも明かすわけにはいかないから、ユクガに手紙を出すことはできない。
「ど、どなたと、いうのではなくて……いつか、どなたかに、書くかも……」
もごもご答えてミオとシアをちらりと見ると、きょとんとした顔をしている。変に思われただろうか。
「……もちろん、他の方に書いてもいいですよ」
けれど、ミオが穏やかに微笑んで頷いてくれたので、キアラも安心してペンを手に取った。
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