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旅商人ユーノス
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「なんと! なんとなんと肥沃な土地!」
森を抜け、ライゼルの田畑を目の前にしたユーノスさんは満面の笑みで御者台から腰を浮かせた。
「まさかこんな辺境で、このように素晴らしい光景を目に出来るとは!」
「ミューゼア嬢も最初これを見たとき驚いていたっけ。ここ、そんなに凄いの?」
「凄いもなにも……、西の大穀倉地帯にも引けを取らない景色ですよ。いやもしかすると、こちらの方が凄いかも?」
ふーむ。あまり外に出ていない俺にはピンとこない。
魔物の襲撃が多かったからな、ウチは。田畑を広げても広げても、最終的な収穫はタカが知れていたんだよ。食べてくために開墾しまくってたらこうなっただけだ。
まあ魔物が居なくなった今年は、突然に収穫量が倍増して困っているわけだけどね。
でもまあ、こうして驚いてくれるとなんか気持ちは良い。俺が褒められてるような気にもなってくるくらいだ。気をよくしてユーノスさんに今年の収穫の話をしていると、彼はまたビックリ顔になり。
「レン草が余ってる!?」
「え? あ、はい」
そりゃもう、たーっぷりと。急に倍増しちゃって、むしろ困っていますが。
「都では貴重な食材として珍重されているのに……」
「美味しいですよね」
「さらっと言わないでください! ああ、これは市場が楽しみだ」
確かレン草も魔族領経由で回ってきたんだよなぁ。
そうかあれ、他領だと貴重品だったのか。ウチの商人さん――レグノアの奴も、きっとこれで儲けたりしてたんだろうなぁ。すまん、おまえの儲け話を旅商人にバラしてしまったよ。
左右を田畑に望みながら、馬車が町の中に入っていく。
途端、珍しそうに領民が寄ってきた。一人、また一人と集まってきて、早くも十数人。その中のおばちゃんが、俺に声を掛けてくる。
「珍しく馬車がやってきた、と思ったら……あれま、ギリアムさま?」
「森の手前で乗せて貰っただけだよ。こちらはれっきとした旅商人、ユーノスさん」
「おお? ということは」
と反応したのは、おばちゃんの横に居たおじさん。俺はニヤリと笑い、
「そう。いま開設中の新街道を伝ってやってきた、新生ライゼル初の訪問者だーっ!」
ガッツポーズをして見せる。
すると集まった皆も、「わーっ!」と声を上げた。
「初商人さんかい!? めでたいね!」
「魔族のあいつら、もうそこまで街道を作ったんで?」
「すげーな、着工からまだ二ヶ月も経ってないのに」
いやまだ地ならしだけの状態だけどね。
たまたまユーノスさんが好奇心旺盛だったから、道にもなってない道を伝ってきてくれただけ。
「ミューゼアさまが来てからこちら、良いことばかり起こるねぇ」
「あの方を嫁に貰ったのは、ギリアムさまのファインプレイですな」
まだお嫁さんではないけどな! まあ、いずれは確かに、ごにょごにょ。
「にいちゃん、商人のにいちゃん。鉄あるかい、鉄! ここじゃ、慢性的に鉄が不足していて! 農具を新調するのにすら困ってんだ」
「馬車の積み荷は売り物か!? 露店を開いてくれるなら頼むよ!」
俺がテレている間も、彼らはずっと嬉しそうな顔。馬車の周りに、さらに人が増えて来た。
「うわぁ、囲まれてしまいましたよギリアムさま」
「仕方ない。ここで軽く店を開いてしまったらどうです? 町の商会には俺の方からあとで連絡しておきますので」
「そうですか? ふむむ、でしたらちょっと場所をお借りしてしまいますか」
わっ、と周りの領民たちが湧く。
皆にスペースを少し開けて貰い、俺も手伝っての店開きが始まった。町の正面入り口に陳列されていく様々な売り物たち。中には見たこともないような物も混ざっていた。都で人気のものなのだろうか?
見てたら、用意を手伝っていた俺までワクワクしてきたぞ。
そろそろ準備が出来たかな、と思った頃、突然ユーノスさんが馬車の荷台に飛び乗った。
「さあさ、皆さん! 寄ってらっしゃい見てらっしゃいライゼルの熱き民よ、いやすでに集まってくれてるな!」
そして両手を大きく広げると、威勢の良い声を張り上げ始めたのである。
芝居掛かったその様子に、領民たちが「おお!」と湧いた。俺はといえば、売り物の麻布を手に思わずポカンと間抜け顔。なんだユーノスさん、急にどうしたんだ?
「見て御覧じろ、聞いて驚け! 都の市場を沸かす逸品が、この地のライゼルに上陸だ! 商会が羨む上質な絹布、剣士の命を預ける鋼の短剣、そしてほら、――この輝く香油! 塗れば異性の心を鷲づかみ、都の貴族すら振り返る!」
ユーノスさんが香油の小瓶を掲げると、おばちゃんが「ほお、そりゃ娘の婿探しにいいね!」と手を叩く。子供たちが「キラキラしてる!」と目を輝かせながら寄ってきた。領民の輪がさらに広がっていく。
凄いな、ユーノスさんが笑うと皆も笑う。
驚いていた俺も、なんだかまた楽しい気分になってきた。こんな売り口上を聞くのは初めてだ、威勢が良くて引き込まれてしまう。
「でも高いんだろう? 香油なんてさ」
誰かが言った。
「あはは、まあ高い。だがこの俺、旅商人ユーノス、ただ高いだけの物を高いまま売ろうとなんてしていない。ここだけの話だが、特別な仕入れルートを通じてるお陰で、だいぶお得な提供価格になっているんだ。今なら一瓶の価格て二瓶提供、二瓶一気にご購入頂ければ、五瓶の提供! こういう物は長く使ってこそ意味のあるものだからね!」
つまり相場の半額以下で提供ってことか?
それが本当なら安いのだろうな。俺はポツリ、麻布を荷台に置きながら突っ込んだ。
「だけど俺たちは相場をあまり知らないからなぁ。言われるままに信じたら、良いカモになってしまいそうだ」
「ハハハ、ギリアムさまのツッコミ、耳が痛い! さすが領主さま、しっかりしておられる」
ユーノスさんは愉快そうに笑って俺の方を見る。
「だが聞けライゼルの民よ! 俺はここの町に来るときに、都でも見たことがないほど立派な石造りの街道を通ってきた。そんな道を造る町の民だ、売り物の良し悪しなどスグに理解してしまうと思ってる。ナメた商売をしようなんて考えていない」
領民たちが「当たり前だ、ナメた商売なんかされてたまるか」と笑う中、誰かが声を上げた。
「ユーノスさんや、ウチの街道、そんなに凄かったのかい?」
「凄いも凄い! 綺麗に平らに敷き詰められた石の道路が広々と! 馬車がすれ違えるほどの本道があり、その両脇にはきっと、旅人用の道なのだろうねぇ細い道が完備されている。しっかり側溝も通っていて、ありゃあ大雨が降っても水ハケは万全だ。未来で設計された道かと、俺は思ったね」
ミューゼア嬢の考案、設計。うーん、そこまで褒められてしまうか。あの人、さすがだな。……なんて俺が思っていると。
「さすがギリアムさま、そんなすごい道を造ってしまうなんて……!」
領民がざわつきながら俺に注目する。これは頭を掻くしかない。
「いやあ、ミューゼア嬢の発案設計だよ、俺は石を運んだだけ。石の敷き詰めも、力がある魔族の彼らが頑張ってくれたお陰だし」
「つまりギリアムさまを中心に集まった方々が、お力を合わせて成した業じゃないかい!?」
「そうそう! ミューゼアさまの頭脳がなければ、その道は出来なかった。ギリアムさまが魔族の彼らと懇意にしていなかったら、それもまた道を造れなかった。結局はギリアムさまの行いの結果だよ!」
わー、と盛り上がる領民たちだ。いや照れるが。照れちゃうが。
俺はユーノスさんの方を見て、助けを求めた。彼は笑って続けた。
「領民に愛されている領主を見ると、俺も心が安らぐ! こういう町とは友好的な関係を紡ぎたくなるのが商売人ってもんさ! なんでこんな良い町が、これまで影に隠れていたのか!」
「この辺は魔物だらけだったんですよ、つい最近まで」
「ほうほう! 確かにその話は耳にしたことがある。ライゼル領は危険で不毛、魔物だらけで行商は命がけ、近寄らない方がいい、と。――そんな町に、いったいなのがあったのか!」
あれ? その辺の事情は町に来る前に話しておいたと思うが。
簡潔に、魔物が集まる原因になってた古竜を追い出したから、って。
なんでまた聞く? しかも俺ではなく、領民たちに向かって。
「ギリアムさまが、魔物の森から『鋼黒竜ヴェガド』を追い出してくれたからだぜ!」
「そうそう。だから減ったんだ、魔物が!」
領民の声に、ユーノスさんがハッとした顔を作った。
相変わらず芝居がかっているポーズのまま、ショックを受けたようにヨロヨロと御者台の上でよろめいて。
「なん……だって? 鋼黒竜ヴェガドを追い出す領主さま……。おおお、そんなツワモノが治める町が、ただの町なはずがない! ライゼルの民よ、俺は光栄だ。この町で商うなら、運気は上がる、財も積もる! さあ見て御覧じろ、この鋼の農具! 鉄不足のライゼルにぴったり、ギリアムさまの拳にも負けぬ頑丈さだ!」
「おお! 鉄だ! 農具だ!」と飛びつく農夫たち。皆が「やるな、商人!」と拍手喝采した。ユーノスさんは俺にウインクして、さらなる口上を繰り出す。
「まだまだ終わりじゃない! 聞けば、この肥沃な田畑、レン草が山ほど採れるとか! 知っておられるか、都じゃ貴族が金貨を積む絶品だ! 俺が商会に持ち帰れば、ライゼルは交易の星になる! さあ、この絹布、香油、農具、早い者勝ちだ!」
子供が「レン草、美味しいよね!」と叫び、おばちゃんが「ユーノスさん、絹布で服作るよ!」と手を上げる。俺もつい「レン草なら倉庫にたっぷりあるぞ!」と乗っかる。
「なんと、倉庫にたっぷり!? ギリアムさま、さすが辺境の覇者! よし、特別だ。レン草と農具の交換、今日だけ相談に乗るぞ! ライゼルの未来、俺と一緒に掴め!」
覇者ってなんだよ。ただの領主だけど。
俺は苦笑しながらツッコむが、領民は「ギリアムさま、かっこいい!」「商人、最高!」と大騒ぎ。周囲は熱気で包まれた。
「ハハハ、ギリアムさま、こりゃ商会に話すネタが尽きませんな! さあみんな、売り物は売り切れ御免だ! 見てってくれ見てってくれ」
ユーノスさんの声が響き渡り、俺は笑いながら売り物の整理を手伝う。
彼は客一人一人から丁寧に要望を聞いて回り、なにを取ってくれませんか、と俺に指示を出す。その姿は誠実そのもの、笑顔も真剣だ。
その真剣さが客にも伝わっているのか、あれをくれ、これはあるか? と尋ねる皆の声にも熱が篭もっていた。嬉しそうに楽しそうに、領民たちは売り物を物色する。
なんだか胸が熱くなってきた。街道作りを手掛けて良かったな、という気持ちが湧いてくる。ああそうだ、こういうのがいいんだよ。皆が幸せそうに笑ってる豊かな町。これまでも俺たちは笑ってやってきたけど、この輪をもっともっと広げていきたいんだ。
「ユーノスさん……いや、ユーノス。来てくれてありがとうな、おまえが新生ライゼルに訪れた最初の旅商人でよかった」
「光栄ですギリアムさま。ちょっと寄り道したつもりだけだったはずの場所がこんな素晴らしい町だなんて、俺も嬉しい限りです」
俺たちは目を合わせて、ニッと笑いあった。
「ギリアム、でいい。俺はおまえと仲良くしたい」
「はは、ありがとう。じゃあ早速仲良しとしての注文だ、――手が止まってるぞギリアム、商売のときはお客さまを第一に!」
おっと。咎められて周りを見渡すと、商品を待つ領民が渋滞してしまっていた。
「焼けるねぇ、男同士の友情かい? おばちゃんには目の毒さね」
ドッと笑い出す皆。
俺は軽く頭を掻いて、忙しく手を動かし始める。ユーノスがパン! と手を打ってまた声を出した。
「よしわかった、友情セールだ! 俺とギリアム、そして皆さんとの出会いに感謝の値下げ! その代わりに買った人らは町を回って吹聴してくれ、今ならお得な商人がここに居る、と!」
「お、おい。いいのかそんなに値引いて?」
「ギリアムが心配することじゃない。ここは損して得取れ、さ」
片目を瞑って笑うユーノスに、領民たちは大盛り上がり。
やっぱりこいつ、ただの商人じゃない。俺は苦笑した。
◇◆◇◆
その晩の話だ。
屋敷にユーノスを招待して、ミューゼア嬢と一緒の食事の席で。
「え、ユーノス!? もしかして、ユーノス・ベルクラウスさんですか!?」
ミューゼア嬢が彼の名を聞いて驚いていた。
ん? 有名人なのか? 俺が小声で訊ねると。
(URクラスの商人キャラですよ! 捕まえられると旅商人から大店にクラスアップして、その後のゲーム展開がだいぶ助けられる超有能な在野の商人!)
(ほほー)
とまあ小声でやり取り。
「はい、そうです。自分はユーノス・ベルクラウス……って、あれ? 俺、ベルクラウスを名乗りましたっけ?」
「ユ、ユーノスさんは都だと有名でしたから! ベルクラウス商会の跡取り、今は旅商人として研鑽を積んでいる」
「研鑽、というほどのものではありませんが」
ははは、と頭を掻くユーノスだ。
テレてというよりも、困ってるように見える。
それにしても、ほうほう、やはりユーノスは只者じゃなかったか。
「なんだユーノス、そんな有名な商人だったんだな」
「黙ってて悪かったねギリアム。ベルクラウス商会の顔で評価されたくなかったから」
「気にするなって。お陰で今日一日で、おまえとはだいぶ仲良くなれた気がする」
商売の手伝いは夕方遅くまで続いた。
途中からはウチの町の商会主であるレグノアもやってきて、あっちも突如大バザーを初めてしまう始末。
忙しかった。そして楽しかった。
その結果として、ユーノスとはこれくらいの口調で話せるくらいには、気心が知れたと思ってる。
「そう言って貰えると嬉しいよ」
俺たちが笑っていると、ミューゼア嬢が頃合いを見計らったようにユーノスに訊ねた。
「で、ユーノスさま。いま貴方はお悩みのことがあるのではないですか? 大旦那さまのことで」
「……そこまでお知りでしたか。さすがセルベール家のご令嬢」
「悩み? なんだよそんなことがあるなら、俺たち力になるぞ?」
「嬉しいことを言ってくれる。……ああでもさ、これはウチの事情だから」
遠慮がちな顔をするユーノスに、俺は笑いかけた。
「出会った初日でなにを言うのか、と思われるかもしれないが、俺はおまえを気に入った。強引にでも力を貸して、恩を売りたい」
「はは、ギリアムは正直で面白いな。俺も、キミみたいな人は気持ちが良くて好きだよ」
「だろう? 俺たちは良い友達になれると思うんだ」
俺の言葉に、ユーノスがクスリと笑う。
「……良いのかな、世話になっても」
まだ遠慮の残る顔で俺たちを見たユーノスに、ミューゼア嬢がちょっと申し訳なさそうな顔をしてみせた。
「ギリアムさまのお友達は私の友達、URとか言っていた自分を情けなく思います。是非ともお力にならせてくださいませ、ユーノスさま!」
「ありがとうございますミューゼアさま」
そう言ってユーノスが語り始めたのは、彼の父のことだった。
ベルクラウス商会の主人である彼の父は病魔に侵されていて、いつ死んでもおかしくない現状なのだと言う。
「俺は商会を継ぐことで、父を安心させたいのですが……」
その為には、父を唸らせる仕入れをしなくてはいけないのだという。それがユーノスが商会を継ぐために父から課せられた条件。
ユーノスは父を唸らせることが出来る品を探すため、旅から旅を続けていたとのことだった。
「なるほど。お父上を唸らせる仕入れ、ですか」
ミューゼア嬢が眉をひそませて、顎に手を置いて考え込む。
唸らせる仕入れ、ふーむ。
「ユーノスの父君は、どんな方なんだ?」
「というと?」
「いや、あるだろう? なにを好む方なのか、とか、なぜ商人をしているのか、とか。唸らせる為に考えるべき、ツボというものが」
「ああギリアム、そういう話なら……」
ユーノスの父君は、常々彼にこう言い聞かせてきたらしい。『人を幸せにする商売で稼げ』と。
「幸せな未来から零れてくるお金を、お裾分けしてもらうのが良い商売人。……父の言葉だよ」
「素晴らしいことを仰るお父上なのですね」
ミューゼア嬢の笑顔に、ユーノスが困り顔で頭を掻く。
「はい。でも甘いわけではなくて、……むしろ厳しく。同情で商売することを許してくださらない方でした」
「あら」
「俺は良い顔したがりだったので、よく叱られていました。同情が生むのは甘えでしかない、って」
「とても厳しそうな!」
ひえ、と言った感じに、今度はミューゼア嬢が困り顔になった。
「うーん。その辺のエピソードはゲームでも細かく語られていなかった部分ですので、どうすればいいのか全く私にはわかりません。ギリアムさま、なにか良いお考えなどありませんか?」
なんか俺に話を振ってきたぞ。
うーん、そうだな。
「ユーノスは、そんな父君のことをどう思ってるんだ?」
「もちろん尊敬しているよ。儲け第一で黒い商売を行う商人も多い中、父さんは本気で綺麗ごとを貫いてきた。俺も、ああでありたい」
なんだ、それなら簡単じゃないか。
「わかったよユーノス、父君を唸らせる方法が」
「え?」
ユーノスは不思議そうな顔で俺の方を見た。その横で、ミューゼア嬢も目を丸くしている。
「わかったって……ギリアムさま、本当ですか!?」
「ああ」
たっぷりと、唸らせてやろうじゃないか。俺は二人に、ちょっとした構想を話してみたのだった。
森を抜け、ライゼルの田畑を目の前にしたユーノスさんは満面の笑みで御者台から腰を浮かせた。
「まさかこんな辺境で、このように素晴らしい光景を目に出来るとは!」
「ミューゼア嬢も最初これを見たとき驚いていたっけ。ここ、そんなに凄いの?」
「凄いもなにも……、西の大穀倉地帯にも引けを取らない景色ですよ。いやもしかすると、こちらの方が凄いかも?」
ふーむ。あまり外に出ていない俺にはピンとこない。
魔物の襲撃が多かったからな、ウチは。田畑を広げても広げても、最終的な収穫はタカが知れていたんだよ。食べてくために開墾しまくってたらこうなっただけだ。
まあ魔物が居なくなった今年は、突然に収穫量が倍増して困っているわけだけどね。
でもまあ、こうして驚いてくれるとなんか気持ちは良い。俺が褒められてるような気にもなってくるくらいだ。気をよくしてユーノスさんに今年の収穫の話をしていると、彼はまたビックリ顔になり。
「レン草が余ってる!?」
「え? あ、はい」
そりゃもう、たーっぷりと。急に倍増しちゃって、むしろ困っていますが。
「都では貴重な食材として珍重されているのに……」
「美味しいですよね」
「さらっと言わないでください! ああ、これは市場が楽しみだ」
確かレン草も魔族領経由で回ってきたんだよなぁ。
そうかあれ、他領だと貴重品だったのか。ウチの商人さん――レグノアの奴も、きっとこれで儲けたりしてたんだろうなぁ。すまん、おまえの儲け話を旅商人にバラしてしまったよ。
左右を田畑に望みながら、馬車が町の中に入っていく。
途端、珍しそうに領民が寄ってきた。一人、また一人と集まってきて、早くも十数人。その中のおばちゃんが、俺に声を掛けてくる。
「珍しく馬車がやってきた、と思ったら……あれま、ギリアムさま?」
「森の手前で乗せて貰っただけだよ。こちらはれっきとした旅商人、ユーノスさん」
「おお? ということは」
と反応したのは、おばちゃんの横に居たおじさん。俺はニヤリと笑い、
「そう。いま開設中の新街道を伝ってやってきた、新生ライゼル初の訪問者だーっ!」
ガッツポーズをして見せる。
すると集まった皆も、「わーっ!」と声を上げた。
「初商人さんかい!? めでたいね!」
「魔族のあいつら、もうそこまで街道を作ったんで?」
「すげーな、着工からまだ二ヶ月も経ってないのに」
いやまだ地ならしだけの状態だけどね。
たまたまユーノスさんが好奇心旺盛だったから、道にもなってない道を伝ってきてくれただけ。
「ミューゼアさまが来てからこちら、良いことばかり起こるねぇ」
「あの方を嫁に貰ったのは、ギリアムさまのファインプレイですな」
まだお嫁さんではないけどな! まあ、いずれは確かに、ごにょごにょ。
「にいちゃん、商人のにいちゃん。鉄あるかい、鉄! ここじゃ、慢性的に鉄が不足していて! 農具を新調するのにすら困ってんだ」
「馬車の積み荷は売り物か!? 露店を開いてくれるなら頼むよ!」
俺がテレている間も、彼らはずっと嬉しそうな顔。馬車の周りに、さらに人が増えて来た。
「うわぁ、囲まれてしまいましたよギリアムさま」
「仕方ない。ここで軽く店を開いてしまったらどうです? 町の商会には俺の方からあとで連絡しておきますので」
「そうですか? ふむむ、でしたらちょっと場所をお借りしてしまいますか」
わっ、と周りの領民たちが湧く。
皆にスペースを少し開けて貰い、俺も手伝っての店開きが始まった。町の正面入り口に陳列されていく様々な売り物たち。中には見たこともないような物も混ざっていた。都で人気のものなのだろうか?
見てたら、用意を手伝っていた俺までワクワクしてきたぞ。
そろそろ準備が出来たかな、と思った頃、突然ユーノスさんが馬車の荷台に飛び乗った。
「さあさ、皆さん! 寄ってらっしゃい見てらっしゃいライゼルの熱き民よ、いやすでに集まってくれてるな!」
そして両手を大きく広げると、威勢の良い声を張り上げ始めたのである。
芝居掛かったその様子に、領民たちが「おお!」と湧いた。俺はといえば、売り物の麻布を手に思わずポカンと間抜け顔。なんだユーノスさん、急にどうしたんだ?
「見て御覧じろ、聞いて驚け! 都の市場を沸かす逸品が、この地のライゼルに上陸だ! 商会が羨む上質な絹布、剣士の命を預ける鋼の短剣、そしてほら、――この輝く香油! 塗れば異性の心を鷲づかみ、都の貴族すら振り返る!」
ユーノスさんが香油の小瓶を掲げると、おばちゃんが「ほお、そりゃ娘の婿探しにいいね!」と手を叩く。子供たちが「キラキラしてる!」と目を輝かせながら寄ってきた。領民の輪がさらに広がっていく。
凄いな、ユーノスさんが笑うと皆も笑う。
驚いていた俺も、なんだかまた楽しい気分になってきた。こんな売り口上を聞くのは初めてだ、威勢が良くて引き込まれてしまう。
「でも高いんだろう? 香油なんてさ」
誰かが言った。
「あはは、まあ高い。だがこの俺、旅商人ユーノス、ただ高いだけの物を高いまま売ろうとなんてしていない。ここだけの話だが、特別な仕入れルートを通じてるお陰で、だいぶお得な提供価格になっているんだ。今なら一瓶の価格て二瓶提供、二瓶一気にご購入頂ければ、五瓶の提供! こういう物は長く使ってこそ意味のあるものだからね!」
つまり相場の半額以下で提供ってことか?
それが本当なら安いのだろうな。俺はポツリ、麻布を荷台に置きながら突っ込んだ。
「だけど俺たちは相場をあまり知らないからなぁ。言われるままに信じたら、良いカモになってしまいそうだ」
「ハハハ、ギリアムさまのツッコミ、耳が痛い! さすが領主さま、しっかりしておられる」
ユーノスさんは愉快そうに笑って俺の方を見る。
「だが聞けライゼルの民よ! 俺はここの町に来るときに、都でも見たことがないほど立派な石造りの街道を通ってきた。そんな道を造る町の民だ、売り物の良し悪しなどスグに理解してしまうと思ってる。ナメた商売をしようなんて考えていない」
領民たちが「当たり前だ、ナメた商売なんかされてたまるか」と笑う中、誰かが声を上げた。
「ユーノスさんや、ウチの街道、そんなに凄かったのかい?」
「凄いも凄い! 綺麗に平らに敷き詰められた石の道路が広々と! 馬車がすれ違えるほどの本道があり、その両脇にはきっと、旅人用の道なのだろうねぇ細い道が完備されている。しっかり側溝も通っていて、ありゃあ大雨が降っても水ハケは万全だ。未来で設計された道かと、俺は思ったね」
ミューゼア嬢の考案、設計。うーん、そこまで褒められてしまうか。あの人、さすがだな。……なんて俺が思っていると。
「さすがギリアムさま、そんなすごい道を造ってしまうなんて……!」
領民がざわつきながら俺に注目する。これは頭を掻くしかない。
「いやあ、ミューゼア嬢の発案設計だよ、俺は石を運んだだけ。石の敷き詰めも、力がある魔族の彼らが頑張ってくれたお陰だし」
「つまりギリアムさまを中心に集まった方々が、お力を合わせて成した業じゃないかい!?」
「そうそう! ミューゼアさまの頭脳がなければ、その道は出来なかった。ギリアムさまが魔族の彼らと懇意にしていなかったら、それもまた道を造れなかった。結局はギリアムさまの行いの結果だよ!」
わー、と盛り上がる領民たちだ。いや照れるが。照れちゃうが。
俺はユーノスさんの方を見て、助けを求めた。彼は笑って続けた。
「領民に愛されている領主を見ると、俺も心が安らぐ! こういう町とは友好的な関係を紡ぎたくなるのが商売人ってもんさ! なんでこんな良い町が、これまで影に隠れていたのか!」
「この辺は魔物だらけだったんですよ、つい最近まで」
「ほうほう! 確かにその話は耳にしたことがある。ライゼル領は危険で不毛、魔物だらけで行商は命がけ、近寄らない方がいい、と。――そんな町に、いったいなのがあったのか!」
あれ? その辺の事情は町に来る前に話しておいたと思うが。
簡潔に、魔物が集まる原因になってた古竜を追い出したから、って。
なんでまた聞く? しかも俺ではなく、領民たちに向かって。
「ギリアムさまが、魔物の森から『鋼黒竜ヴェガド』を追い出してくれたからだぜ!」
「そうそう。だから減ったんだ、魔物が!」
領民の声に、ユーノスさんがハッとした顔を作った。
相変わらず芝居がかっているポーズのまま、ショックを受けたようにヨロヨロと御者台の上でよろめいて。
「なん……だって? 鋼黒竜ヴェガドを追い出す領主さま……。おおお、そんなツワモノが治める町が、ただの町なはずがない! ライゼルの民よ、俺は光栄だ。この町で商うなら、運気は上がる、財も積もる! さあ見て御覧じろ、この鋼の農具! 鉄不足のライゼルにぴったり、ギリアムさまの拳にも負けぬ頑丈さだ!」
「おお! 鉄だ! 農具だ!」と飛びつく農夫たち。皆が「やるな、商人!」と拍手喝采した。ユーノスさんは俺にウインクして、さらなる口上を繰り出す。
「まだまだ終わりじゃない! 聞けば、この肥沃な田畑、レン草が山ほど採れるとか! 知っておられるか、都じゃ貴族が金貨を積む絶品だ! 俺が商会に持ち帰れば、ライゼルは交易の星になる! さあ、この絹布、香油、農具、早い者勝ちだ!」
子供が「レン草、美味しいよね!」と叫び、おばちゃんが「ユーノスさん、絹布で服作るよ!」と手を上げる。俺もつい「レン草なら倉庫にたっぷりあるぞ!」と乗っかる。
「なんと、倉庫にたっぷり!? ギリアムさま、さすが辺境の覇者! よし、特別だ。レン草と農具の交換、今日だけ相談に乗るぞ! ライゼルの未来、俺と一緒に掴め!」
覇者ってなんだよ。ただの領主だけど。
俺は苦笑しながらツッコむが、領民は「ギリアムさま、かっこいい!」「商人、最高!」と大騒ぎ。周囲は熱気で包まれた。
「ハハハ、ギリアムさま、こりゃ商会に話すネタが尽きませんな! さあみんな、売り物は売り切れ御免だ! 見てってくれ見てってくれ」
ユーノスさんの声が響き渡り、俺は笑いながら売り物の整理を手伝う。
彼は客一人一人から丁寧に要望を聞いて回り、なにを取ってくれませんか、と俺に指示を出す。その姿は誠実そのもの、笑顔も真剣だ。
その真剣さが客にも伝わっているのか、あれをくれ、これはあるか? と尋ねる皆の声にも熱が篭もっていた。嬉しそうに楽しそうに、領民たちは売り物を物色する。
なんだか胸が熱くなってきた。街道作りを手掛けて良かったな、という気持ちが湧いてくる。ああそうだ、こういうのがいいんだよ。皆が幸せそうに笑ってる豊かな町。これまでも俺たちは笑ってやってきたけど、この輪をもっともっと広げていきたいんだ。
「ユーノスさん……いや、ユーノス。来てくれてありがとうな、おまえが新生ライゼルに訪れた最初の旅商人でよかった」
「光栄ですギリアムさま。ちょっと寄り道したつもりだけだったはずの場所がこんな素晴らしい町だなんて、俺も嬉しい限りです」
俺たちは目を合わせて、ニッと笑いあった。
「ギリアム、でいい。俺はおまえと仲良くしたい」
「はは、ありがとう。じゃあ早速仲良しとしての注文だ、――手が止まってるぞギリアム、商売のときはお客さまを第一に!」
おっと。咎められて周りを見渡すと、商品を待つ領民が渋滞してしまっていた。
「焼けるねぇ、男同士の友情かい? おばちゃんには目の毒さね」
ドッと笑い出す皆。
俺は軽く頭を掻いて、忙しく手を動かし始める。ユーノスがパン! と手を打ってまた声を出した。
「よしわかった、友情セールだ! 俺とギリアム、そして皆さんとの出会いに感謝の値下げ! その代わりに買った人らは町を回って吹聴してくれ、今ならお得な商人がここに居る、と!」
「お、おい。いいのかそんなに値引いて?」
「ギリアムが心配することじゃない。ここは損して得取れ、さ」
片目を瞑って笑うユーノスに、領民たちは大盛り上がり。
やっぱりこいつ、ただの商人じゃない。俺は苦笑した。
◇◆◇◆
その晩の話だ。
屋敷にユーノスを招待して、ミューゼア嬢と一緒の食事の席で。
「え、ユーノス!? もしかして、ユーノス・ベルクラウスさんですか!?」
ミューゼア嬢が彼の名を聞いて驚いていた。
ん? 有名人なのか? 俺が小声で訊ねると。
(URクラスの商人キャラですよ! 捕まえられると旅商人から大店にクラスアップして、その後のゲーム展開がだいぶ助けられる超有能な在野の商人!)
(ほほー)
とまあ小声でやり取り。
「はい、そうです。自分はユーノス・ベルクラウス……って、あれ? 俺、ベルクラウスを名乗りましたっけ?」
「ユ、ユーノスさんは都だと有名でしたから! ベルクラウス商会の跡取り、今は旅商人として研鑽を積んでいる」
「研鑽、というほどのものではありませんが」
ははは、と頭を掻くユーノスだ。
テレてというよりも、困ってるように見える。
それにしても、ほうほう、やはりユーノスは只者じゃなかったか。
「なんだユーノス、そんな有名な商人だったんだな」
「黙ってて悪かったねギリアム。ベルクラウス商会の顔で評価されたくなかったから」
「気にするなって。お陰で今日一日で、おまえとはだいぶ仲良くなれた気がする」
商売の手伝いは夕方遅くまで続いた。
途中からはウチの町の商会主であるレグノアもやってきて、あっちも突如大バザーを初めてしまう始末。
忙しかった。そして楽しかった。
その結果として、ユーノスとはこれくらいの口調で話せるくらいには、気心が知れたと思ってる。
「そう言って貰えると嬉しいよ」
俺たちが笑っていると、ミューゼア嬢が頃合いを見計らったようにユーノスに訊ねた。
「で、ユーノスさま。いま貴方はお悩みのことがあるのではないですか? 大旦那さまのことで」
「……そこまでお知りでしたか。さすがセルベール家のご令嬢」
「悩み? なんだよそんなことがあるなら、俺たち力になるぞ?」
「嬉しいことを言ってくれる。……ああでもさ、これはウチの事情だから」
遠慮がちな顔をするユーノスに、俺は笑いかけた。
「出会った初日でなにを言うのか、と思われるかもしれないが、俺はおまえを気に入った。強引にでも力を貸して、恩を売りたい」
「はは、ギリアムは正直で面白いな。俺も、キミみたいな人は気持ちが良くて好きだよ」
「だろう? 俺たちは良い友達になれると思うんだ」
俺の言葉に、ユーノスがクスリと笑う。
「……良いのかな、世話になっても」
まだ遠慮の残る顔で俺たちを見たユーノスに、ミューゼア嬢がちょっと申し訳なさそうな顔をしてみせた。
「ギリアムさまのお友達は私の友達、URとか言っていた自分を情けなく思います。是非ともお力にならせてくださいませ、ユーノスさま!」
「ありがとうございますミューゼアさま」
そう言ってユーノスが語り始めたのは、彼の父のことだった。
ベルクラウス商会の主人である彼の父は病魔に侵されていて、いつ死んでもおかしくない現状なのだと言う。
「俺は商会を継ぐことで、父を安心させたいのですが……」
その為には、父を唸らせる仕入れをしなくてはいけないのだという。それがユーノスが商会を継ぐために父から課せられた条件。
ユーノスは父を唸らせることが出来る品を探すため、旅から旅を続けていたとのことだった。
「なるほど。お父上を唸らせる仕入れ、ですか」
ミューゼア嬢が眉をひそませて、顎に手を置いて考え込む。
唸らせる仕入れ、ふーむ。
「ユーノスの父君は、どんな方なんだ?」
「というと?」
「いや、あるだろう? なにを好む方なのか、とか、なぜ商人をしているのか、とか。唸らせる為に考えるべき、ツボというものが」
「ああギリアム、そういう話なら……」
ユーノスの父君は、常々彼にこう言い聞かせてきたらしい。『人を幸せにする商売で稼げ』と。
「幸せな未来から零れてくるお金を、お裾分けしてもらうのが良い商売人。……父の言葉だよ」
「素晴らしいことを仰るお父上なのですね」
ミューゼア嬢の笑顔に、ユーノスが困り顔で頭を掻く。
「はい。でも甘いわけではなくて、……むしろ厳しく。同情で商売することを許してくださらない方でした」
「あら」
「俺は良い顔したがりだったので、よく叱られていました。同情が生むのは甘えでしかない、って」
「とても厳しそうな!」
ひえ、と言った感じに、今度はミューゼア嬢が困り顔になった。
「うーん。その辺のエピソードはゲームでも細かく語られていなかった部分ですので、どうすればいいのか全く私にはわかりません。ギリアムさま、なにか良いお考えなどありませんか?」
なんか俺に話を振ってきたぞ。
うーん、そうだな。
「ユーノスは、そんな父君のことをどう思ってるんだ?」
「もちろん尊敬しているよ。儲け第一で黒い商売を行う商人も多い中、父さんは本気で綺麗ごとを貫いてきた。俺も、ああでありたい」
なんだ、それなら簡単じゃないか。
「わかったよユーノス、父君を唸らせる方法が」
「え?」
ユーノスは不思議そうな顔で俺の方を見た。その横で、ミューゼア嬢も目を丸くしている。
「わかったって……ギリアムさま、本当ですか!?」
「ああ」
たっぷりと、唸らせてやろうじゃないか。俺は二人に、ちょっとした構想を話してみたのだった。
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