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ヴォルフラム(攻め)視点
2.ヴォルフラムの画策
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アレクシス・バルテルがオメガだったということは、あっという間に学園中に広まった。
長身で成績も首席で、剣術も体術もアルファよりも優れている筋骨隆々としたアレクシスがオメガ。
その事実は学園を震撼させた。
ヴォルフラムはずっとアレクシスのことをオメガだと信じていたので胸を撫で下ろしたのだが、他の生徒たちはそういうわけにはいかなかったようだ。
アレクシスのことをアルファだと信じて密かに懸想していたオメガが泣いているのを見たこともあったし、バルテル侯爵家の地位が欲しくてアレクシスに近付こうとするアルファがいるのも気付いていた。
「オメガのフェロモンはその気のないアルファでも誘うのでしょう? 子どもを一人、二人作って、その後は愛人を作れば問題ないのでは?」
食堂でアレクシスのことを噂しているアルファの生徒に、ヴォルフラムはコップの水をかけた。
激昂したアルファの生徒が殴り掛かってこようとするのに、一緒にいるフィリップに声をかける。
「おれは彼に決闘の申し込みをした。フィリップ、立会人になってくれるか?」
「ヴォルフラムは血気盛んなんだから。いいよ。決闘場に行こう」
第三王子のフィリップの立会いのもと決闘をするだなんて、どれだけの衆人環視の目に晒されるのだろう。ヴォルフラムは学年で一番の剣術と体術の使い手だったし、相手のアルファの生徒に勝ち目はなかった。
「お許しください。ただの冗談です」
「冗談でもおれの大事なひとを侮辱することは許さない」
「もう二度としません」
土下座して謝ったアルファの生徒だったが、去り際に「子爵家の子息が王子殿下の威を借りて」と捨て台詞を吐いたのを聞き逃さなかった。
「フィリップ、あの生徒について教えてくれ」
「伯爵家の次男だね。爵位を継げないからバルテル侯爵位を狙っているんだろう」
「そうか」
その後、そのアルファの生徒が市井に出たときにオメガのヒートに行きあって、そのオメガを襲ったとして学園を退学させられたのも、ヴォルフラムの仕業だった。
自分ではアレクシスに近付くことはできない。
近付いてしまえば惹かれて無理やりにでも番にしてしまう。
必死に耐えるヴォルフラムは、アレクシスに変な虫が近寄らないように目を光らせていた。
そのころにはバルテル侯爵家が借金を抱えていることは知られていたので、学園の長期休みにハインケス子爵家に帰ったときにヴォルフラムは両親に頼んでいた。
「何か事業を一つおれに任せてくれないか?」
結婚するのだったらアレクシスの家の借金を肩代わりするといえば話が早くなる。借金を肩代わりする代わりに結婚を迫るようで心苦しいのだが、アレクシスには少しずつ分かってもらえばいいとヴォルフラムは思っていた。
「それなら、果樹園の事業はどうだ?」
「やってみたい」
ヴォルフラムは果樹園の果実が二束三文でしか売れていないことに目を付けて、兄が任せられている運輸の事業と合わせてみることにした。
海を越えた外国では、この国では安くしか売れない果実も高級品として高く取り扱ってもらえる。それを利用して、船で果実を運んで外国に売れば、ヴォルフラムの事業はうまくいってひと財産を作ることができた。
後は両親の説得のみである。
学園を卒業して二年経ってもアレクシスが結婚したという話も、婚約したという話も聞こえてこなかった。一年先に学園を卒業していたアレクシスは、卒業と同時期に母を亡くし、事業に失敗した挙句その借金を返すためにギャンブルにはまって借金を増やした無能な父も出奔して、バルテル侯爵家の当主になっていた。
アレクシスがオメガに似合わぬ体格をしているので結婚の申し込みがないかといえば、そうではない。やはり侯爵位というのは魅力的なようで、アレクシスには結婚の申し込みが大量に来ていた。
それをヴォルフラムはフィリップを通して握り潰してもらっていた。
バルテル侯爵家の借金を返せるくらいまでヴォルフラムが事業で成功したのは二十歳のとき。これならば両親も納得してくれるだろう。
「バルテル侯爵家のアレクシス・バルテル様と結婚したい。ずっと憧れていて、彼のことは運命だと思っている。バルテル侯爵家の借金を返すだけの資金は自分で稼いだので、結婚を許してほしい」
両親にそう打ち明ければ、驚いてはいたが、ヴォルフラムが真面目にこつこつと積み上げてきたことを知っているので反対はしなかった。
「アレクシス様はヴォルフラムが憧れるような素敵な方なのね」
「借金を全額肩代わりするのは、アレクシス様のプライドが許さないだろう。半額だけ肩代わりして、残りの半分は結婚の持参金として持って行きなさい」
貴族として誇り高いアレクシスのことを尊敬していたし、尊重したいとも思っていたので、ヴォルフラムは父の忠告通りにすることにした。
結婚は父からアレクシスに申し込んでもらうつもりだったが、できるだけアレクシスと早く番になりたいし、寝室を共にしないような冷めた結婚をするつもりはないので、ヴォルフラムは自分の欲望のままに契約書を作っていた。
その中でアレクシスとの間に子どもが生まれなければハインケス子爵家の縁のものを後継者として据えると入れたのは、アレクシスに無理に子どもを産もうと努力してほしくなかったし、何より、アレクシスにとっては冷めた結婚関係を見せつけ続けた両親の縁のものが養子に入ったら、アレクシスを傷付けてしまうような気がしたからだった。
アレクシスは結婚の条件を飲み、ヴォルフラムと結婚した。
ヴォルフラムが二十一歳、アレクシスが二十二歳の春だった。
結婚に浮かれていたヴォルフラムは、結婚式で誓いの言葉を述べた後に、アレクシスがヴォルフラムの頬に手を当てて誰にも見えないように誓いの口付けをしたふりをして唇どころか頬にも口付けてくれなかったことにショックを受けた。
アレクシスと結婚するためにヴォルフラムはずっと努力してきた。
バルテル侯爵家の借金を返すために事業を展開させたし、学園ではフィリップと首席を争うくらいの成績を常に保っていた。剣術も体術も誰にも負けないくらい強くなったのに、アレクシスの目にヴォルフラムは映ってもいなかった。
ショックのあまりめまいがして結婚式を途中で退出してしまったが、アレクシスは最後まで参列客の相手をしていたようだった。
普通ならば結婚式は新郎新婦は途中で抜けて、後は両親が取り仕切ってくれるものなのだが、アレクシスには両親がいなかったことをヴォルフラムは忘れるくらいショックを受けていたのだ。
一人結婚式にアレクシスを残してしまったことを悔いながら、ヴォルフラムはアレクシスとの新婚生活を始めた。
結婚式が終わって夫夫の部屋に来たアレクシスはどこかぼんやりとしていた。強く逞しく美しいアレクシスは常に生気がない。漂うのは諦観で、何もかもを諦めている目をしていた。
「ヒートではないようだが、今日は……」
「そのことなのですが」
初夜を共に過ごしたいとヴォルフラムが言う前に、アレクシスは真剣な表情でヴォルフラムに言った。
「事業が立て直るまでの間は、ヒート中でも寝室を共にすることは許していただきたいのです」
「それでは、番になれないではないですか」
「その……わたしも一応オメガなので、ヒート中に交われば妊娠する可能性があります。事業が立て直るまでは妊娠で執務を離れるわけにはいかないのです」
初夜を共に過ごすどころか、ヒートの期間まで拒まれてしまう。
契約書にはヴォルフラムとアレクシスは番になることと書いていたし、ヒートの期間は寝室を共にすることと書いていたが、アレクシスの同意がないのに無理やりに体だけ繋げても虚しいだけだった。
「執務はわたしが手伝う」
「手伝っていただけるのはありがたいのですが、わたしはバルテル侯爵で、この領地に責任があります。それに、あなたも納得して婿入りしてきたわけではないのでしょう?」
「そんなことは……」
「気にしないでください。事業は立て直します。借金も全て返します。あなたは愛人を作ってもいい。愛人との間に子どもが生まれたら、その子を後継者に据えても構いません」
「愛人など作らない!」
愛人などいらない。
アレクシスだけを想ってここまで生きてきた。
生涯アレクシスを愛するつもりだと今この場で言ってもアレクシスは信じてくれないだろう。
「あなたは、無理にわたしと過ごす必要はないのです」
それどころか、ヴォルフラムを遠ざけようとまでしてくる。
頑ななアレクシスの心を溶かすには、信頼関係を築くしかない。
その日はそれで納得してバルテル侯爵家に用意された自分の部屋でヴォルフラムは休んだ。
バルテル侯爵家は使用人も少なく、広い屋敷は古びて改修の手が必要そうだとは気付いていたが、まずはアレクシスとの時間を持つことだ。
ヴォルフラムの部屋は豪華ではなかったが、清潔で日当たりのいい場所だった。
屋敷中にアレクシスの香りが漂っているような気がして、落ち着かなかったがなんとか眠った翌朝から、ヴォルフラムはアレクシスの執務室に行って執務を手伝った。
いくつもの事業が立て直しを必要としており、領民は貧しく苦しんでいるようだった。
織物産業に女性の進出を助言したり、果樹園の事業はドライフルーツの開発や隣りの領地から入って来る紅茶と果物を合わせてフレーバーティーを作ることなどを提案する。
事業の話はアレクシスも嫌がらずに聞いてくれて、ヴォルフラムは執務の合間に一緒に食事を摂る約束までしていた。
最初はアレクシスが執務室で食事を摂るのでと断られたが、それならばヴォルフラムも執務室で食事を摂ると言って、なんとか食堂で二人で食事が摂れるようになった。
少しずつアレクシスとの会話も増えて行ったが、事業のことや執務のことばかりでアレクシスを口説くことは難しい。
それでもヴォルフラムは時間をかけてアレクシスに歩み寄ってもらうつもりだった。
長身で成績も首席で、剣術も体術もアルファよりも優れている筋骨隆々としたアレクシスがオメガ。
その事実は学園を震撼させた。
ヴォルフラムはずっとアレクシスのことをオメガだと信じていたので胸を撫で下ろしたのだが、他の生徒たちはそういうわけにはいかなかったようだ。
アレクシスのことをアルファだと信じて密かに懸想していたオメガが泣いているのを見たこともあったし、バルテル侯爵家の地位が欲しくてアレクシスに近付こうとするアルファがいるのも気付いていた。
「オメガのフェロモンはその気のないアルファでも誘うのでしょう? 子どもを一人、二人作って、その後は愛人を作れば問題ないのでは?」
食堂でアレクシスのことを噂しているアルファの生徒に、ヴォルフラムはコップの水をかけた。
激昂したアルファの生徒が殴り掛かってこようとするのに、一緒にいるフィリップに声をかける。
「おれは彼に決闘の申し込みをした。フィリップ、立会人になってくれるか?」
「ヴォルフラムは血気盛んなんだから。いいよ。決闘場に行こう」
第三王子のフィリップの立会いのもと決闘をするだなんて、どれだけの衆人環視の目に晒されるのだろう。ヴォルフラムは学年で一番の剣術と体術の使い手だったし、相手のアルファの生徒に勝ち目はなかった。
「お許しください。ただの冗談です」
「冗談でもおれの大事なひとを侮辱することは許さない」
「もう二度としません」
土下座して謝ったアルファの生徒だったが、去り際に「子爵家の子息が王子殿下の威を借りて」と捨て台詞を吐いたのを聞き逃さなかった。
「フィリップ、あの生徒について教えてくれ」
「伯爵家の次男だね。爵位を継げないからバルテル侯爵位を狙っているんだろう」
「そうか」
その後、そのアルファの生徒が市井に出たときにオメガのヒートに行きあって、そのオメガを襲ったとして学園を退学させられたのも、ヴォルフラムの仕業だった。
自分ではアレクシスに近付くことはできない。
近付いてしまえば惹かれて無理やりにでも番にしてしまう。
必死に耐えるヴォルフラムは、アレクシスに変な虫が近寄らないように目を光らせていた。
そのころにはバルテル侯爵家が借金を抱えていることは知られていたので、学園の長期休みにハインケス子爵家に帰ったときにヴォルフラムは両親に頼んでいた。
「何か事業を一つおれに任せてくれないか?」
結婚するのだったらアレクシスの家の借金を肩代わりするといえば話が早くなる。借金を肩代わりする代わりに結婚を迫るようで心苦しいのだが、アレクシスには少しずつ分かってもらえばいいとヴォルフラムは思っていた。
「それなら、果樹園の事業はどうだ?」
「やってみたい」
ヴォルフラムは果樹園の果実が二束三文でしか売れていないことに目を付けて、兄が任せられている運輸の事業と合わせてみることにした。
海を越えた外国では、この国では安くしか売れない果実も高級品として高く取り扱ってもらえる。それを利用して、船で果実を運んで外国に売れば、ヴォルフラムの事業はうまくいってひと財産を作ることができた。
後は両親の説得のみである。
学園を卒業して二年経ってもアレクシスが結婚したという話も、婚約したという話も聞こえてこなかった。一年先に学園を卒業していたアレクシスは、卒業と同時期に母を亡くし、事業に失敗した挙句その借金を返すためにギャンブルにはまって借金を増やした無能な父も出奔して、バルテル侯爵家の当主になっていた。
アレクシスがオメガに似合わぬ体格をしているので結婚の申し込みがないかといえば、そうではない。やはり侯爵位というのは魅力的なようで、アレクシスには結婚の申し込みが大量に来ていた。
それをヴォルフラムはフィリップを通して握り潰してもらっていた。
バルテル侯爵家の借金を返せるくらいまでヴォルフラムが事業で成功したのは二十歳のとき。これならば両親も納得してくれるだろう。
「バルテル侯爵家のアレクシス・バルテル様と結婚したい。ずっと憧れていて、彼のことは運命だと思っている。バルテル侯爵家の借金を返すだけの資金は自分で稼いだので、結婚を許してほしい」
両親にそう打ち明ければ、驚いてはいたが、ヴォルフラムが真面目にこつこつと積み上げてきたことを知っているので反対はしなかった。
「アレクシス様はヴォルフラムが憧れるような素敵な方なのね」
「借金を全額肩代わりするのは、アレクシス様のプライドが許さないだろう。半額だけ肩代わりして、残りの半分は結婚の持参金として持って行きなさい」
貴族として誇り高いアレクシスのことを尊敬していたし、尊重したいとも思っていたので、ヴォルフラムは父の忠告通りにすることにした。
結婚は父からアレクシスに申し込んでもらうつもりだったが、できるだけアレクシスと早く番になりたいし、寝室を共にしないような冷めた結婚をするつもりはないので、ヴォルフラムは自分の欲望のままに契約書を作っていた。
その中でアレクシスとの間に子どもが生まれなければハインケス子爵家の縁のものを後継者として据えると入れたのは、アレクシスに無理に子どもを産もうと努力してほしくなかったし、何より、アレクシスにとっては冷めた結婚関係を見せつけ続けた両親の縁のものが養子に入ったら、アレクシスを傷付けてしまうような気がしたからだった。
アレクシスは結婚の条件を飲み、ヴォルフラムと結婚した。
ヴォルフラムが二十一歳、アレクシスが二十二歳の春だった。
結婚に浮かれていたヴォルフラムは、結婚式で誓いの言葉を述べた後に、アレクシスがヴォルフラムの頬に手を当てて誰にも見えないように誓いの口付けをしたふりをして唇どころか頬にも口付けてくれなかったことにショックを受けた。
アレクシスと結婚するためにヴォルフラムはずっと努力してきた。
バルテル侯爵家の借金を返すために事業を展開させたし、学園ではフィリップと首席を争うくらいの成績を常に保っていた。剣術も体術も誰にも負けないくらい強くなったのに、アレクシスの目にヴォルフラムは映ってもいなかった。
ショックのあまりめまいがして結婚式を途中で退出してしまったが、アレクシスは最後まで参列客の相手をしていたようだった。
普通ならば結婚式は新郎新婦は途中で抜けて、後は両親が取り仕切ってくれるものなのだが、アレクシスには両親がいなかったことをヴォルフラムは忘れるくらいショックを受けていたのだ。
一人結婚式にアレクシスを残してしまったことを悔いながら、ヴォルフラムはアレクシスとの新婚生活を始めた。
結婚式が終わって夫夫の部屋に来たアレクシスはどこかぼんやりとしていた。強く逞しく美しいアレクシスは常に生気がない。漂うのは諦観で、何もかもを諦めている目をしていた。
「ヒートではないようだが、今日は……」
「そのことなのですが」
初夜を共に過ごしたいとヴォルフラムが言う前に、アレクシスは真剣な表情でヴォルフラムに言った。
「事業が立て直るまでの間は、ヒート中でも寝室を共にすることは許していただきたいのです」
「それでは、番になれないではないですか」
「その……わたしも一応オメガなので、ヒート中に交われば妊娠する可能性があります。事業が立て直るまでは妊娠で執務を離れるわけにはいかないのです」
初夜を共に過ごすどころか、ヒートの期間まで拒まれてしまう。
契約書にはヴォルフラムとアレクシスは番になることと書いていたし、ヒートの期間は寝室を共にすることと書いていたが、アレクシスの同意がないのに無理やりに体だけ繋げても虚しいだけだった。
「執務はわたしが手伝う」
「手伝っていただけるのはありがたいのですが、わたしはバルテル侯爵で、この領地に責任があります。それに、あなたも納得して婿入りしてきたわけではないのでしょう?」
「そんなことは……」
「気にしないでください。事業は立て直します。借金も全て返します。あなたは愛人を作ってもいい。愛人との間に子どもが生まれたら、その子を後継者に据えても構いません」
「愛人など作らない!」
愛人などいらない。
アレクシスだけを想ってここまで生きてきた。
生涯アレクシスを愛するつもりだと今この場で言ってもアレクシスは信じてくれないだろう。
「あなたは、無理にわたしと過ごす必要はないのです」
それどころか、ヴォルフラムを遠ざけようとまでしてくる。
頑ななアレクシスの心を溶かすには、信頼関係を築くしかない。
その日はそれで納得してバルテル侯爵家に用意された自分の部屋でヴォルフラムは休んだ。
バルテル侯爵家は使用人も少なく、広い屋敷は古びて改修の手が必要そうだとは気付いていたが、まずはアレクシスとの時間を持つことだ。
ヴォルフラムの部屋は豪華ではなかったが、清潔で日当たりのいい場所だった。
屋敷中にアレクシスの香りが漂っているような気がして、落ち着かなかったがなんとか眠った翌朝から、ヴォルフラムはアレクシスの執務室に行って執務を手伝った。
いくつもの事業が立て直しを必要としており、領民は貧しく苦しんでいるようだった。
織物産業に女性の進出を助言したり、果樹園の事業はドライフルーツの開発や隣りの領地から入って来る紅茶と果物を合わせてフレーバーティーを作ることなどを提案する。
事業の話はアレクシスも嫌がらずに聞いてくれて、ヴォルフラムは執務の合間に一緒に食事を摂る約束までしていた。
最初はアレクシスが執務室で食事を摂るのでと断られたが、それならばヴォルフラムも執務室で食事を摂ると言って、なんとか食堂で二人で食事が摂れるようになった。
少しずつアレクシスとの会話も増えて行ったが、事業のことや執務のことばかりでアレクシスを口説くことは難しい。
それでもヴォルフラムは時間をかけてアレクシスに歩み寄ってもらうつもりだった。
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