忘れられない君の香

秋月真鳥

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ヴォルフラム(攻め)視点

5.共に過ごすヒートと嫉妬

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 ヒート状態に入っているとしてもアレクシスの方がずっと体格がいいので、抵抗しようとすればできるはずだ。それをしないのだからこの行為は合意だと思っていいはずだ。
 舌を絡める口付けをすれば、アレクシスはそれを受け入れる。瑞々しい桃の香りに似たアレクシスのフェロモンが濃くなって、ヴォルフラムは自分がラット状態に入っていることに気が付いていた。
 口付けを交わしながら、アレクシスのシャツのボタンを外していく。
 唇が離れると荒い息の中、アレクシスが甘く声を上げる。

「んっ……ふっ……」
「アレクシス……アレクシス、愛してる。ずっとこうしたかった」

 初めて出会った十歳のときからアレクシスに夢中だった。アレクシスの人柄と香りに好感を抱き、運命だと思って来た。露わになったアレクシスの褐色の肌に、ヴォルフラムは唇を落とし、舌を這わせる。
 シャツを脱がせてしまうとアレクシスがエメラルドの飾られたチョーカーの鍵を差し出してきた。

「ヴォルフラム様、これ」
「いいのか?」
「結婚の条件ですから」

 自分で出した条件とはいえ、条件だから番になりたいのではなく、自分を愛しているから番になりたいと言ってほしいと思ってしまうのは贅沢すぎるのだろうか。オメガは意中のアルファのフェロモンの付いたものを集めて巣作りをする。アレクシスもヴォルフラムの衣服を集めて巣作りをしている以上、嫌いなわけはないのだが、それでもアレクシスの口から気持ちを知りたい。
 ラット状態になった頭でうまく考えられず、ただアレクシスのことを抱くことだけ考えて脱がせていくと、アレクシスはヴォルフラムに協力して腰を浮かせてスラックスも下着も脱がさせてくれる。
 体格に見合ったアレクシスの中心はそれなりに逞しく立派だったが、アルフェであるヴォルフラムのものよりは小さい。ヒートで兆しているそこを握って擦り上げると、アレクシスが甘く強請ってくる。

「ヴォルフラム様……そこ、じゃなくて……ひぁっ!?」

 触れてほしい場所は分かっているが、わざと胸に手をやると、アレクシスが高い声を上げる。

「ここか?」

 違うというように首を振っているのに構わず胸を揉み、つんと尖った乳首を摘まむと、アレクシスが喘ぐ。

「そんなところ……ひっ! ひぁっ!」
「ここには触れられたことがなかったのか?」
「触れられたこと……? あっ! あぁっ! ないです! ありません!」

 アレクシスの閨の相手をしたものは、アレクシスの体をじっくりと愛撫することはなかったようだ。全部上書きしたい気持ちだったのだが、ここに触れるのは自分が初めてかと思うと、執拗に乳首を摘まみ、捏ね、いじってしまう。
 アレクシスは高い声が出てしまうのを恥じらっているようだ。
 この可愛い声を聞いた相手がいる。
 脳髄が焼き切れそうなくらい嫉妬するが、これから先は一生アレクシスの可愛いところも、卑猥なところもヴォルフラムが独り占めするのだと決めて、必死に嫉妬を振り払う。

「アレクシス、他の男にもこの声を……。おれにも聞かせてくれ。これからはおれ以外に聞かせないでくれ」

 もう二度と誰にもこんな声を聞かせてほしくないと懇願するが、アレクシスはヒートの熱と快感でよく分かっていないようだ。
 首筋から鎖骨、胸筋、乳首、腹筋、へそに、勃ち上がって先走りを零している中心にまで念入りに舌を這わせていくと、アレクシスが自ら足を開いて後孔を見せつける。

「ヴォルフラム、ほしい! おねがい! ここ、さわって……!」

 体中隅々まで舐めて、上書きをするつもりだったが、強請られて我慢ができなくなる。
 興奮に乾いた唇を舐め、汗ばんだ長い金髪を掻き上げると、ヴォルフラムはアレクシスを見下ろす。
 全身ヴォルフラムに愛されて、しどけなく足を開いたアレクシス。褐色の肌が汗に濡れて艶々と光っている。

「アレクシス、なんて美しい。しっとりと汗ばんだ肌が艶々して、おれを誘っているようだ」
「ヴォルフラム……おねがい」
「優しくしたいのに」

 舌も上手く回っていないアレクシスが可愛くて、ヴォルフラムは立派な太ももの内側に口付けて軽く歯を立てた。それから濡れそぼるアレクシスの後孔に指を差し込む。愛液のぬめりもあってか、簡単に指を飲み込んでしまったそこに、ヴォルフラムは耐えきれない嫉妬心を覚えてしまった。

「柔らかいな……確かに初めてではなさそうだな。アレクシス、答えて。あなたを抱いたのはアルファか?」

 後孔を指で責めながら詰問すると、アレクシスがゆるゆると首を振る。
 どうやらアレクシスの相手はアルファではなかったようだ。
 それならばヴォルフラムの方がアレクシスを満たしてやれる。

 オメガのヒートを満たせるのはアルファだけだ。
 何より、アルファの中心はベータ男性とは比べ物にならないくらい長大だった。

「それなら、おれの方がずっと奥までアレクシスを満たせる。他の男など忘れてくれ。これからの人生はおれだけがアレクシス、あなたを抱く男だ」
「ヴォルフラム、あなただけ……」
「そう、おれだけだ、アレクシス」

 素直にヴォルフラムだけと答えるアレクシスに気をよくして、ヴォルフラムは解していたアレクシスの後孔から指を抜く。
 アレクシスの体を変えさせてうつぶせにさせて、四つん這いになってもらう。形のいい尻を突き出す形になったアレクシスに、ヴォルフラムはスラックスの前を寛げて中心を取り出した。
 アレクシスの痴態にそこはすっかりと勃ち上がっている。
 切っ先をアレクシスの後孔に押し当てると、アレクシスがちらりとヴォルフラムの方を見たのが分かった。その目は快楽に蕩けてヴォルフラムを欲しがっているように見えた。

「アレクシス、愛している」

 ゆっくりと奥までアレクシスの中に押し入って、ヴォルフラムは息をつく。確かに途中までは柔らかくヴォルフラムを飲み込んだが、奥の方は狭くヴォルフラムを締め付けてくる。

「ヴォルフラム……あっ!? うぁっ!?」
「アレクシス! アレクシス!」

 最奥に行き当たったヴォルフラムは、そこで済ます気はなかった。既に男を知っているアレクシスの体だが、ヴォルフラムだけしか知らない場所もまだ残っている。
 最奥の壁をこじ開けて更に奥に突き進むと、ぐぽっと壁を抜けて柔らかな内側にアレクシスの先端が包まれる。
 アレクシスの内壁が蠢いて絶頂しているのが分かっていた。アレクシスの中心からも白濁が溢れている。

「ベータの男なら、ここまでは届かないだろう。アレクシス、おれのものだ」

 背中にのしかかりながら、そこを中心に攻め立てると、アレクシスが声もなく喉を反らして絶頂を繰り返しているのが分かる。

「中、うねってすごい……持って行かれそうだ」
「ヴォルフラム……ふっ! ふぁっ!」

 奥の更に奥まで犯しつくして、ヴォルフラムはそこで白濁を吐き出す。それと同時にアレクシスの露わになったうなじに手を這わせる。

「アレクシス、ここ、噛んでいいか?」
「ヴォルフラム?」
「おれのものにしていいよな?」

 契約だからではなく、愛しているからヴォルフラムと番になりたいと思ってほしかった。
 確認すると、アレクシスが生理的な涙を流しながら懇願してくる。

「噛んでください、ヴォルフラム。おねがい……」

 その返事にヴォルフラムはアレクシスのうなじに歯を立てた。

「あなたのものにして……あぁぁぁっ!?」

 白濁を注ぎ込みながら噛み付いたうなじ。
 これでヴォルフラムとアレクシスは番になった。
 アレクシスのフェロモンはこれ以後ヴォルフラムにしか感じられず、ヴォルフラムもアレクシスのフェロモンにしか反応することはない。
 オメガは一度番を得てしまうと二度と番は持てないが、アルファは番を解消することによって別の番を持てる。しかし、ヴォルフラムはアレクシス以外の番を持つつもりはなかった。

「愛している……一生あなただけだ、アレクシス」

 血のにじむうなじを舐めて、ヴォルフラムはアレクシスを背中から抱き締めた。
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