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後日談
幸福の王と青葉の正妃
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生まれて来たザーヒルとマリナが一か月になった頃から、ジャファルは政務に戻った。休憩時間には後宮に戻り双子に乳をやり、慌ただしく政務の場に戻って行く様子を、ザーヒルとマリナの面倒を見ながらルカは見送っていた。
ルカが正式な政務の場に出たのは、生後三か月の双子を乳母に預けてのことだった。双子の出産でずっと臥せって一年近く顔を出さなかったルカの復帰に、側近たちは歓声を上げた。
「お元気になられて良かったです」
「健康な御子を二人もお産みになって本当にお体、酷使なさったでしょう」
「王様、第三子は時間を空けてくださいませね」
産んだのがルカと思われているから、相変わらずほっそりとした身体で王座の隣りに座るのが、側近たちは信じられないようだった。本当は産んだのはジャファルで安産だったのだが、そういうことは言わない方が良いことは分かっている。
復帰してすぐなので短い政務を終えて、書類を纏めて持ってジャファルとルカは今は廃止されて正妃と王の私室となった後宮に戻った。たっぷりと乳を飲ませてもらったザーヒルとマリナは、赤子用の寝台でぐっすり眠っている。二人の様子を確かめてから、ジャファルはルカを膝に抱き上げて、机に着いた。
妊娠してからは赤子のことを心配して、ルカはジャファルが抱き上げようとしても膝に乗ることを断っていた。出産してからもしばらくは体調が戻るまでは遠慮していた。
心置きなくジャファルの膝の上に乗れるルカは嬉しくて幸せで、そんなルカを膝の上に乗せているジャファルも満足そうだった。
「私がオメガだと公表できればいいのだが、領主の中にはオメガを格下に見るものが多く、生まれても領地を継がせないのが慣習となっておる。そういう領主たちと幼いザーヒルとマリナを抱えて、争いはしたくない」
王がオメガだと分かれば反乱を起こしかねない領主たちがいる。我こそは王に相応しいと国を乗っ取りかねない輩がいる。それらを黙らせて、国の平和を守り続けるためには、まだジャファルがオメガだと明かすことは難しかった。
「気長に行きましょう。ザーヒルとマリナのバース性が分かって、王になるまでに、二人がアルファでもオメガでも国を継げるように、僕はジャファル様を支え続けます」
「二人が国を継ぐのか?」
「王様が二人いてはいけませんか?」
産まれた赤子が双子だったときから、ルカは考えていたのだと明かす。
「どちらかがオメガでも、マリナの出産のときでも、もう片方が王位を守れるではないですか。僕はジャファル様が政務を休んでくださって、側にいてくださること、幸せでした」
赤ん坊の成長を感じ、胎動を感じ、日々大きくなるお腹にわくわくして、ルカはジャファルの出産に臨めた。
「夫も妻の出産にもっと寄り添うべきなのではないかと思ったのです。それをジャファル様は実現させてくれた」
周囲にとってはジャファルがアルファで夫で、ルカがオメガで妻。妻の出産を心配して政務を休んで付きっきりだったジャファルの姿は、他の国民にも影響するだろう。そして、何よりルカがジャファルの妊娠出産に付きっきりでいられた。
「ここに来てから、毎日が幸せです」
白い頬を紅潮させるルカの顎を掬って、ほの赤い唇に口付けると、長い睫毛を伏せてじっと口付けを受ける。稚さの残る丸い頬も、華奢な体付きも変わらず、ルカは出会ったときと同じく愛らしかった。
「そんな顔をされると、可愛がりたくなる」
「そ、それは、まだ、ダメですよ」
出産からまだ三か月しか経っていないので、主治医からも交わりは避けるようにと言われている。口付けて身体を互いにまさぐるだけで、熱を逃せないもどかしさに、ジャファルはルカを深く抱き締める。胸に顔を押し付けられるような形になって、ルカも半泣きでジャファルの胸に触れていた。
「したくなっちゃいますからぁ」
「いつならばいいのだ」
「発情期が来たら、ますます気を付けないといけないって……」
「我慢ができるか」
23歳になっているがジャファルもまだ若い。長い禁欲生活を耐えて赤子を産み、その後も三か月我慢させられて、次の発情期が来ても孕むような激しい交わりは禁じられている。
立て続けに子を成すのはジャファルの身体の負担も大きかったし、政務を度々外れなければいけない事態になれば、国も荒れてくるかもしれない。
王としての責任感と、オメガとしての欲望の間で、ジャファルは揺れていた。
生後半年になって、ザーヒルとマリナは離乳食も食べ始めた。首も据わって抱っこがしやすくなって、乳母とルカが匙を口に持っていくと、一生懸命口を動かして食べようとする。飲み込むのも得意で、二人は生まれたときの小ささが嘘のように丸々と健康に育っていた。
政務中は乳母に預けているのだが、今日は特にルカの出る場面はないということで、ザーヒルとマリナに離乳食のどろどろの粥を与えていると、ジャファルが足早に部屋に戻って来た。
「ザーヒルとマリナを頼む。しばらく、ここに篭る」
運命の番なので互いにしかフェロモンが作用しないので分からなかっただろうが、ルカにはジャファルが濃厚な甘い香りをさせていると感じる。もう一年半近くお預けを食らっていた体に、それは誘惑的過ぎる香りだった。
乳母たちがザーヒルとマリナを連れて部屋に戻って行く。
二人きりになった瞬間、ルカは抱き上げられて、少しばかり乱暴に寝台の上に投げ出されていた。
「半年待った。もう良いよな?」
「で、でも、赤ちゃん、できちゃうかもしれませんよ?」
「できたらできたとき」
男らしく宣言して、ジャファルがルカのブローチを外し、布と下着を脱がせてしまう。裸になったルカの細い腰に跨って、ジャファルは自分の衣ももどかしく脱ぎ捨てていた。
露わになる発達した大胸筋、引き締まった腰、割れた腹筋、丸く形のいい大殿筋に、ルカは釘付けになってしまう。白く細く華奢なルカの身体とは比べ物にならないくらい、ジャファルは立派な体付きをしていた。
「ルカ、欲しいのだ。分かってくれ」
「ダメぇ……あぁっ!」
皮の厚い手で中心を扱かれて、ルカは腰をくねらせてしまう。ずっと我慢して、ジャファルが欲しかったのはルカも同じだ。しかも、濃厚なフェロモンがルカを誘って来る。
拒まなければいけない理性とは反して正直にそそり立った中心を、ジャファルが後孔に押し当ててゆっくりと腰を落としていく。飲み込まれる悦さに、ルカはそれだけで達しそうだった。
「だめっ! デキちゃう……あかちゃん、デキちゃう……」
達しないように根元を押さえるルカに構わず、ジャファルが腰を振り立てる。白濁を放ちたいのに、必死の理性で自分の手で解放できないようにしている苦しさに、ルカの目からぼろぼろと涙が零れた。
オメガの発情期は激しく、孕みやすい時期になっているから気を付けるように主治医にあれほど言われたのに。
「くるしっ……ジャファルさまぁ、ゆるしてぇ」
「すまない、ルカ。実は、主治医から子どものできにくくなる薬を貰って、飲んでいる」
「え!? ひっ! あぁぁっ!」
囁くと共に手を外されて、ルカはジャファルの中で達していた。堰き止めていて苦しかった分、解放された快感は激しく、ルカはくたりと寝台の上に力なく倒れてしまう。
「早く欲しくて、気が急いた。先に説明すれば良かったな」
「それじゃあ、デキないんですか?」
「確率は低くなる」
その言葉に安堵して、ルカは新しく涙が零れてしまった。その涙を舌で舐め取られて、胸を顔に押し付けるようにしながら、ジャファルがぐちぐちと接合部を濡れた音を立てて動かす。
胸を弄っていると、母乳の薄甘い味がして、ルカは泣きながら笑ってしまった。
「ザーヒルと、マリナに、怒られるかもしれません。ジャファル様のお乳をとったと」
「もともとはルカのものだ」
垂れる母乳を舐めて乳首に軽く歯を当てると、またじわりと乳が滲んでくる。それを楽しんでいると、気持ちいいのかジャファルがうっとりとして腰を動かしだした。
「ひぁっ! ひんっ!」
すぐにジャファルの与える快感に、ルカは短く喘ぎ声しか上げられなくなる。
中で放つのが心配だったが、もう一度放っているので、歯止めなど利かなかった。
何度も放ってルカとジャファルは満足するまで身体を交わしたのだった。
湯浴みを終えて、新しい敷布で寝台を清潔にすると、ジャファルがルカを腕枕して呟く。
「何年か先で良いから、まだルカとの子が欲しい」
「ジャファル様が産んでくださるのなら、僕も、欲しいです」
「男の子も女の子もおるから、次はどちらでも良いな」
「二人同時じゃなくていいですからね?」
次も双子だったらジャファルが大変かもしれないと言うルカに、一度産んだのだから大丈夫だろうとジャファルは自信満々に言う。
発情期の一週間、我慢することなく身体を交わせたのは良かったが、ザーヒルとマリナに会えないのは寂しかった。
ジャファルの発情期が終わって二人を連れて来てもらうと、ザーヒルとマリナも寂しがっていたようだった。
必死にジャファルの胸をまさぐるので、乳母には下がってもらって、ジャファルとルカとザーヒルとマリナだけになる。先にザーヒルの口に乳首を咥えさせたが、真剣に吸っていたザーヒルが何事かに気付いて泣き出してしまった。
「どうした、ザーヒル?」
「もしかして、出が悪いとか?」
次の発情期が来たということは、次の妊娠にジャファルの身体が備えているということで、当然母乳の出も悪くなる。それに敏感なザーヒルはしっかりと気付いていた。
「妊娠はしておらぬと思うが……ザーヒル、マリナ、すまない。ルカと私がずっと睦まじくいるために、これは仕方のないことなのだ」
真剣にジャファルが言い聞かせても、生後半年の赤ん坊に分かるはずがない。
乳母が呼ばれて、乳を与えられてもどこかザーヒルもマリナも不満げだった。
「ごめんね」
二人の赤子特有のふわふわの髪を撫でながら謝るルカに、ぱかっと二人は口を開ける。
「ご飯?」
どうやら二人は離乳食で我慢するようだった。
乾いた風の吹く国に、青葉萌える国から妃がやって来た。
二人は運命の番で、たくさん子どもを作り、末永く幸せに暮らしたのだった。
ルカが正式な政務の場に出たのは、生後三か月の双子を乳母に預けてのことだった。双子の出産でずっと臥せって一年近く顔を出さなかったルカの復帰に、側近たちは歓声を上げた。
「お元気になられて良かったです」
「健康な御子を二人もお産みになって本当にお体、酷使なさったでしょう」
「王様、第三子は時間を空けてくださいませね」
産んだのがルカと思われているから、相変わらずほっそりとした身体で王座の隣りに座るのが、側近たちは信じられないようだった。本当は産んだのはジャファルで安産だったのだが、そういうことは言わない方が良いことは分かっている。
復帰してすぐなので短い政務を終えて、書類を纏めて持ってジャファルとルカは今は廃止されて正妃と王の私室となった後宮に戻った。たっぷりと乳を飲ませてもらったザーヒルとマリナは、赤子用の寝台でぐっすり眠っている。二人の様子を確かめてから、ジャファルはルカを膝に抱き上げて、机に着いた。
妊娠してからは赤子のことを心配して、ルカはジャファルが抱き上げようとしても膝に乗ることを断っていた。出産してからもしばらくは体調が戻るまでは遠慮していた。
心置きなくジャファルの膝の上に乗れるルカは嬉しくて幸せで、そんなルカを膝の上に乗せているジャファルも満足そうだった。
「私がオメガだと公表できればいいのだが、領主の中にはオメガを格下に見るものが多く、生まれても領地を継がせないのが慣習となっておる。そういう領主たちと幼いザーヒルとマリナを抱えて、争いはしたくない」
王がオメガだと分かれば反乱を起こしかねない領主たちがいる。我こそは王に相応しいと国を乗っ取りかねない輩がいる。それらを黙らせて、国の平和を守り続けるためには、まだジャファルがオメガだと明かすことは難しかった。
「気長に行きましょう。ザーヒルとマリナのバース性が分かって、王になるまでに、二人がアルファでもオメガでも国を継げるように、僕はジャファル様を支え続けます」
「二人が国を継ぐのか?」
「王様が二人いてはいけませんか?」
産まれた赤子が双子だったときから、ルカは考えていたのだと明かす。
「どちらかがオメガでも、マリナの出産のときでも、もう片方が王位を守れるではないですか。僕はジャファル様が政務を休んでくださって、側にいてくださること、幸せでした」
赤ん坊の成長を感じ、胎動を感じ、日々大きくなるお腹にわくわくして、ルカはジャファルの出産に臨めた。
「夫も妻の出産にもっと寄り添うべきなのではないかと思ったのです。それをジャファル様は実現させてくれた」
周囲にとってはジャファルがアルファで夫で、ルカがオメガで妻。妻の出産を心配して政務を休んで付きっきりだったジャファルの姿は、他の国民にも影響するだろう。そして、何よりルカがジャファルの妊娠出産に付きっきりでいられた。
「ここに来てから、毎日が幸せです」
白い頬を紅潮させるルカの顎を掬って、ほの赤い唇に口付けると、長い睫毛を伏せてじっと口付けを受ける。稚さの残る丸い頬も、華奢な体付きも変わらず、ルカは出会ったときと同じく愛らしかった。
「そんな顔をされると、可愛がりたくなる」
「そ、それは、まだ、ダメですよ」
出産からまだ三か月しか経っていないので、主治医からも交わりは避けるようにと言われている。口付けて身体を互いにまさぐるだけで、熱を逃せないもどかしさに、ジャファルはルカを深く抱き締める。胸に顔を押し付けられるような形になって、ルカも半泣きでジャファルの胸に触れていた。
「したくなっちゃいますからぁ」
「いつならばいいのだ」
「発情期が来たら、ますます気を付けないといけないって……」
「我慢ができるか」
23歳になっているがジャファルもまだ若い。長い禁欲生活を耐えて赤子を産み、その後も三か月我慢させられて、次の発情期が来ても孕むような激しい交わりは禁じられている。
立て続けに子を成すのはジャファルの身体の負担も大きかったし、政務を度々外れなければいけない事態になれば、国も荒れてくるかもしれない。
王としての責任感と、オメガとしての欲望の間で、ジャファルは揺れていた。
生後半年になって、ザーヒルとマリナは離乳食も食べ始めた。首も据わって抱っこがしやすくなって、乳母とルカが匙を口に持っていくと、一生懸命口を動かして食べようとする。飲み込むのも得意で、二人は生まれたときの小ささが嘘のように丸々と健康に育っていた。
政務中は乳母に預けているのだが、今日は特にルカの出る場面はないということで、ザーヒルとマリナに離乳食のどろどろの粥を与えていると、ジャファルが足早に部屋に戻って来た。
「ザーヒルとマリナを頼む。しばらく、ここに篭る」
運命の番なので互いにしかフェロモンが作用しないので分からなかっただろうが、ルカにはジャファルが濃厚な甘い香りをさせていると感じる。もう一年半近くお預けを食らっていた体に、それは誘惑的過ぎる香りだった。
乳母たちがザーヒルとマリナを連れて部屋に戻って行く。
二人きりになった瞬間、ルカは抱き上げられて、少しばかり乱暴に寝台の上に投げ出されていた。
「半年待った。もう良いよな?」
「で、でも、赤ちゃん、できちゃうかもしれませんよ?」
「できたらできたとき」
男らしく宣言して、ジャファルがルカのブローチを外し、布と下着を脱がせてしまう。裸になったルカの細い腰に跨って、ジャファルは自分の衣ももどかしく脱ぎ捨てていた。
露わになる発達した大胸筋、引き締まった腰、割れた腹筋、丸く形のいい大殿筋に、ルカは釘付けになってしまう。白く細く華奢なルカの身体とは比べ物にならないくらい、ジャファルは立派な体付きをしていた。
「ルカ、欲しいのだ。分かってくれ」
「ダメぇ……あぁっ!」
皮の厚い手で中心を扱かれて、ルカは腰をくねらせてしまう。ずっと我慢して、ジャファルが欲しかったのはルカも同じだ。しかも、濃厚なフェロモンがルカを誘って来る。
拒まなければいけない理性とは反して正直にそそり立った中心を、ジャファルが後孔に押し当ててゆっくりと腰を落としていく。飲み込まれる悦さに、ルカはそれだけで達しそうだった。
「だめっ! デキちゃう……あかちゃん、デキちゃう……」
達しないように根元を押さえるルカに構わず、ジャファルが腰を振り立てる。白濁を放ちたいのに、必死の理性で自分の手で解放できないようにしている苦しさに、ルカの目からぼろぼろと涙が零れた。
オメガの発情期は激しく、孕みやすい時期になっているから気を付けるように主治医にあれほど言われたのに。
「くるしっ……ジャファルさまぁ、ゆるしてぇ」
「すまない、ルカ。実は、主治医から子どものできにくくなる薬を貰って、飲んでいる」
「え!? ひっ! あぁぁっ!」
囁くと共に手を外されて、ルカはジャファルの中で達していた。堰き止めていて苦しかった分、解放された快感は激しく、ルカはくたりと寝台の上に力なく倒れてしまう。
「早く欲しくて、気が急いた。先に説明すれば良かったな」
「それじゃあ、デキないんですか?」
「確率は低くなる」
その言葉に安堵して、ルカは新しく涙が零れてしまった。その涙を舌で舐め取られて、胸を顔に押し付けるようにしながら、ジャファルがぐちぐちと接合部を濡れた音を立てて動かす。
胸を弄っていると、母乳の薄甘い味がして、ルカは泣きながら笑ってしまった。
「ザーヒルと、マリナに、怒られるかもしれません。ジャファル様のお乳をとったと」
「もともとはルカのものだ」
垂れる母乳を舐めて乳首に軽く歯を当てると、またじわりと乳が滲んでくる。それを楽しんでいると、気持ちいいのかジャファルがうっとりとして腰を動かしだした。
「ひぁっ! ひんっ!」
すぐにジャファルの与える快感に、ルカは短く喘ぎ声しか上げられなくなる。
中で放つのが心配だったが、もう一度放っているので、歯止めなど利かなかった。
何度も放ってルカとジャファルは満足するまで身体を交わしたのだった。
湯浴みを終えて、新しい敷布で寝台を清潔にすると、ジャファルがルカを腕枕して呟く。
「何年か先で良いから、まだルカとの子が欲しい」
「ジャファル様が産んでくださるのなら、僕も、欲しいです」
「男の子も女の子もおるから、次はどちらでも良いな」
「二人同時じゃなくていいですからね?」
次も双子だったらジャファルが大変かもしれないと言うルカに、一度産んだのだから大丈夫だろうとジャファルは自信満々に言う。
発情期の一週間、我慢することなく身体を交わせたのは良かったが、ザーヒルとマリナに会えないのは寂しかった。
ジャファルの発情期が終わって二人を連れて来てもらうと、ザーヒルとマリナも寂しがっていたようだった。
必死にジャファルの胸をまさぐるので、乳母には下がってもらって、ジャファルとルカとザーヒルとマリナだけになる。先にザーヒルの口に乳首を咥えさせたが、真剣に吸っていたザーヒルが何事かに気付いて泣き出してしまった。
「どうした、ザーヒル?」
「もしかして、出が悪いとか?」
次の発情期が来たということは、次の妊娠にジャファルの身体が備えているということで、当然母乳の出も悪くなる。それに敏感なザーヒルはしっかりと気付いていた。
「妊娠はしておらぬと思うが……ザーヒル、マリナ、すまない。ルカと私がずっと睦まじくいるために、これは仕方のないことなのだ」
真剣にジャファルが言い聞かせても、生後半年の赤ん坊に分かるはずがない。
乳母が呼ばれて、乳を与えられてもどこかザーヒルもマリナも不満げだった。
「ごめんね」
二人の赤子特有のふわふわの髪を撫でながら謝るルカに、ぱかっと二人は口を開ける。
「ご飯?」
どうやら二人は離乳食で我慢するようだった。
乾いた風の吹く国に、青葉萌える国から妃がやって来た。
二人は運命の番で、たくさん子どもを作り、末永く幸せに暮らしたのだった。
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ふたりの愛に心が満たされました。むくれたルカがジャファルを誘うシーンには良い意味でゾクリとさせられました。大事なところで男前な姿を見せてくれるルカ、色んな意味と方法で包容力を見せつけてくれるジャファル、大好きです!
一気読みしちゃいました!
すきです!
ありがとうございました!
一気読みありがとうございます!
こちらこそ読んでいただきありがとうございました。
一気に読ませていただきました!
喘ぐ可愛い攻のルカとガチムチ受ジャファルが性癖にドンピシャで読んでて凄く楽しかったです!
是非喘ぐ攻をまた書いていただけると嬉しいです!
ありがとうございます!
ガチムチ受けと喘ぐ攻め大好きなのでまた書くと思います。
そのときはどうぞよろしくお願いします。