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第二十六章 梅雨の季節
第五百二話 天変地異?
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普段ならベリアの専用席になっている助手席に、今はエレノアが乗っている。
「ベリアも大変だねぇ、あれじゃ暫くは忙しいんだ」
「Sランクに昇格するってのは、事前準備から色々とやる事が多いらしい」
「その合間にグラテミアから魔法の特訓を受けるなんて、相当タフなんだね」
エレノアが言うには、グラテミアの特訓は最初に基礎を簡単に教えたら、後はずっと実戦トレーニングらしい。
マンツーマンの時は苛烈で、グラテミアが満足するまで追い込むのでボロボロになる者がほとんどだと聞いて、少しだけ怖くなった。
「俺はグラテミアさんなりの優しさだと思っているけど。下手に甘やかすと成長が遅い場合もあるし、厳しく追い込み過ぎると自信を失って卑屈になる事もある、そこは受け手の問題だ。だが自分自身の本当の実力と限界を把握出来ていないと、実戦において足元を救われて終わりだ。まぁ、ここは教える者次第の難しい塩梅ってやつだ」
「へぇ…分かってるんだ」
エレノアは少し嬉しそうな顔をしている。
「その対象が自分だと思うと、逃げ出したくなるかもだけどな」
「ラミア族からは逃げられないぞ?」
「そんな気がしてる」
お昼の時間帯なので何処かで一緒に昼食でもと提案すると、エレノアがお勧めだと言うランチ営業をしているお店までマスタングを走らせる。
近くの馬車置き場に駐車してお店に入った途端、席案内の為に振り向いた店員が驚いた表情でエレノアを見ていた。
「いらっしゃいませ…え、エレノアちゃんが男連れ!?店長~!特等席よ、特等席の準備を!」
「何!?あのエレノアが!!」
店長と呼ばれた男が厨房から慌ててやって来ると、イズミの姿を見た瞬間に目を見開きドタドタを近付いて来た。
イズミの両肩を掴むと、満面の笑みで話し出した。
「アンタがエレノアの男なんだな!まさか俺が現役の間にこうして会えるとは、俺は嬉しいぞ!」
「ホルツ、アタシを何だと思ってるの?」
「お前さんがいつまで経っても男を作らないってグラテミア様がボヤいてた事くらい、俺達だって知ってらぁ!何処で出会ってどうとっ捕まえたのかは敢えて聞かないが、何にせよこんなに目出度い事は久しぶりだ!」
「酷い言い様ね…それと料理なんだけど、最近味覚が変わっててさ、酸っぱいのも欲しいんだけど」
店長自らが特等席だと言う席まで案内をしている途中で、エレノアが何時もとは違うオーダーをするとホルツなる店長が反応する。
「酸っぱいの?飯と飲み物の両方あるが、好みはどっち…味覚が変わって酸っぱいのって、お前さんまさか?」
「うん、そのまさかだよ」
エレノアはイズミの右腕に寄り添うと、ホルツに向けて笑顔を見せた。
するとホルツがスーッと涙を流したのだ。
「今日は天変地異でも起こるのか?」
「起きないよ!」
「そうか、遂にエレノアにも…そんな話しを聞いちまったら、俺達も黙っちゃいれねぇ!休憩中の奴等を叩き起こせ!お祝い料理の準備を特急でだ!!」
料理人魂に火が付いたのか後の接客を店員の1人に任せると、ホルツは厨房へと消えていった。
「エレノアさん、愛されてるな」
「愛され…てるのかなぁ、悪友のノリみたいに感じるけど」
「それでも祝ってくれて、妊娠の話を聞いて涙まで流して喜んでたんだから、心から嬉しいのだと思うけど」
席に座った2人はお店からのスペシャルメニューを振る舞われる事になり、屋敷に戻るとフラウリアから帰りが遅いと注意を受けてしまうのだった。
「いや~、普通男が出来たり妊娠したりしても、贔屓にしてるお店に報告まではしないでしょ?」
「ホルツさんのお店はサービス精神旺盛なんだから、イズミさんを連れて行くまでならまだしも、妊娠してる事まで話したらどうなるか位は考えなさいよ」
「それにしても酷いよね!『今日は天変地異でも起こるのか?』だってさ!流石に失礼だしょ!?」
「今まで男の影すら無かったのがラミア族として問題でしょ?アヤにだってチラホラと話があったのに、エレノアに至っては一切合切、何も無かったじゃない。私が仕込まなかったら今だって男の影は1つも無いと思うわね、断言出来る」
「それは…多分、その通りだけども。だってアタシが少しでも気になる男を軽く観察してるだけで皆逃げるし」
「それは普段の貴方が脳筋で、コミュニケーションは言葉と拳の合わせ技、みたいにしてるからよ。だから一部の工程を省いて関わりを作ったのだけども」
2人のやりとりを聞いていると、エレノアの脳筋元気娘っぷりだけが伝わって来たので、この辺りで話しを切り上げさせておく。
「まぁ色々と過程を省略したとはいえ、エレノアさんが私と関係を持って子供を身籠っている事実は変わりませんし、その辺にしておきましょう」
「おぉイズミ、分かってるぅ!」
「イズミ様ってあまり他人に興味関心の無いお方かと思っておりましたが、身内や関係者になると甘いタイプですか?」
「かもしれません。出来る限りの範囲で、人には優しくありたいものです」
エレノア達と別れ部屋に戻ると、外で誰かが特訓をしている声が聞こえる。
自分も身体を鍛えなければと考えながら、イズミはショルダーホルスターで眠るマグナムのメンテナンスを始めるのだった。
「ベリアも大変だねぇ、あれじゃ暫くは忙しいんだ」
「Sランクに昇格するってのは、事前準備から色々とやる事が多いらしい」
「その合間にグラテミアから魔法の特訓を受けるなんて、相当タフなんだね」
エレノアが言うには、グラテミアの特訓は最初に基礎を簡単に教えたら、後はずっと実戦トレーニングらしい。
マンツーマンの時は苛烈で、グラテミアが満足するまで追い込むのでボロボロになる者がほとんどだと聞いて、少しだけ怖くなった。
「俺はグラテミアさんなりの優しさだと思っているけど。下手に甘やかすと成長が遅い場合もあるし、厳しく追い込み過ぎると自信を失って卑屈になる事もある、そこは受け手の問題だ。だが自分自身の本当の実力と限界を把握出来ていないと、実戦において足元を救われて終わりだ。まぁ、ここは教える者次第の難しい塩梅ってやつだ」
「へぇ…分かってるんだ」
エレノアは少し嬉しそうな顔をしている。
「その対象が自分だと思うと、逃げ出したくなるかもだけどな」
「ラミア族からは逃げられないぞ?」
「そんな気がしてる」
お昼の時間帯なので何処かで一緒に昼食でもと提案すると、エレノアがお勧めだと言うランチ営業をしているお店までマスタングを走らせる。
近くの馬車置き場に駐車してお店に入った途端、席案内の為に振り向いた店員が驚いた表情でエレノアを見ていた。
「いらっしゃいませ…え、エレノアちゃんが男連れ!?店長~!特等席よ、特等席の準備を!」
「何!?あのエレノアが!!」
店長と呼ばれた男が厨房から慌ててやって来ると、イズミの姿を見た瞬間に目を見開きドタドタを近付いて来た。
イズミの両肩を掴むと、満面の笑みで話し出した。
「アンタがエレノアの男なんだな!まさか俺が現役の間にこうして会えるとは、俺は嬉しいぞ!」
「ホルツ、アタシを何だと思ってるの?」
「お前さんがいつまで経っても男を作らないってグラテミア様がボヤいてた事くらい、俺達だって知ってらぁ!何処で出会ってどうとっ捕まえたのかは敢えて聞かないが、何にせよこんなに目出度い事は久しぶりだ!」
「酷い言い様ね…それと料理なんだけど、最近味覚が変わっててさ、酸っぱいのも欲しいんだけど」
店長自らが特等席だと言う席まで案内をしている途中で、エレノアが何時もとは違うオーダーをするとホルツなる店長が反応する。
「酸っぱいの?飯と飲み物の両方あるが、好みはどっち…味覚が変わって酸っぱいのって、お前さんまさか?」
「うん、そのまさかだよ」
エレノアはイズミの右腕に寄り添うと、ホルツに向けて笑顔を見せた。
するとホルツがスーッと涙を流したのだ。
「今日は天変地異でも起こるのか?」
「起きないよ!」
「そうか、遂にエレノアにも…そんな話しを聞いちまったら、俺達も黙っちゃいれねぇ!休憩中の奴等を叩き起こせ!お祝い料理の準備を特急でだ!!」
料理人魂に火が付いたのか後の接客を店員の1人に任せると、ホルツは厨房へと消えていった。
「エレノアさん、愛されてるな」
「愛され…てるのかなぁ、悪友のノリみたいに感じるけど」
「それでも祝ってくれて、妊娠の話を聞いて涙まで流して喜んでたんだから、心から嬉しいのだと思うけど」
席に座った2人はお店からのスペシャルメニューを振る舞われる事になり、屋敷に戻るとフラウリアから帰りが遅いと注意を受けてしまうのだった。
「いや~、普通男が出来たり妊娠したりしても、贔屓にしてるお店に報告まではしないでしょ?」
「ホルツさんのお店はサービス精神旺盛なんだから、イズミさんを連れて行くまでならまだしも、妊娠してる事まで話したらどうなるか位は考えなさいよ」
「それにしても酷いよね!『今日は天変地異でも起こるのか?』だってさ!流石に失礼だしょ!?」
「今まで男の影すら無かったのがラミア族として問題でしょ?アヤにだってチラホラと話があったのに、エレノアに至っては一切合切、何も無かったじゃない。私が仕込まなかったら今だって男の影は1つも無いと思うわね、断言出来る」
「それは…多分、その通りだけども。だってアタシが少しでも気になる男を軽く観察してるだけで皆逃げるし」
「それは普段の貴方が脳筋で、コミュニケーションは言葉と拳の合わせ技、みたいにしてるからよ。だから一部の工程を省いて関わりを作ったのだけども」
2人のやりとりを聞いていると、エレノアの脳筋元気娘っぷりだけが伝わって来たので、この辺りで話しを切り上げさせておく。
「まぁ色々と過程を省略したとはいえ、エレノアさんが私と関係を持って子供を身籠っている事実は変わりませんし、その辺にしておきましょう」
「おぉイズミ、分かってるぅ!」
「イズミ様ってあまり他人に興味関心の無いお方かと思っておりましたが、身内や関係者になると甘いタイプですか?」
「かもしれません。出来る限りの範囲で、人には優しくありたいものです」
エレノア達と別れ部屋に戻ると、外で誰かが特訓をしている声が聞こえる。
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