異世界無宿

ゆきねる

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第九章 海を目指して

第百二十五話 物資の補給

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旅を始めて約半月、イズミは海の見える町の1つ手前の村にて物資の調達をしている。

食料には余裕があるが、水の残りが不安だったのだ。

村に入り徐行運転で進み馬車置場に停め、買い物をしようと準備をしていたら、子供たちが珍しいものでも見たかのような表情で、マスタングへと近寄って来た。

「おじさん、この馬車はなぁに?」

「俺の相棒だよ、イタズラはしないでくれよ」

優しく注意をしていると、母親だろう女性が子供を連れて行った。

買い出しをすべく村で売っている物を見に広場へと歩いていると、村人の年齢層が気になった。

働き盛りの若い男が見当たらない。
年寄りと女性、あとは子供だ。
子供だって7歳にも満たないだろう。

「旅のお方、何かお探しで?」

「水を補充しに来たんだ。他には野菜、あれば果物とかも見たい」

イズミは声を掛けてきた老人にそう告げると、水汲み場へ案内された。

持参した水筒3個分の水を補充する。
その隣で井戸の水を汲んでくれる女性に、ポケットから取り出した銀貨3枚をコソッと渡した。

驚く女性に対して、イズミは小声で話しかけた。

「水を汲んでくれたお礼だ…それと、少し聞きたい事がある」

イズミは村に入ってから、ずっと気になっていた事を尋ねた。


「徴兵ね…」

村の女性が言うには、最近帝国の動きが怪しいとかで、領主が動ける民衆を徴兵しては訓練をしているらしい。
訓練期間は具体的には決まっておらず、村によって徴兵時期が決まっているそうだ。
ここ最近は4年に1度の徴兵で、約1年程度の事が多いとの事だ。

その間の衣食住は領主側の負担とは言っても、村からすると大切な働き手が居なくなるので結構痛い。
そのせいで農作物を育てるのにすら、かなりの苦労をしている。

訓練する事は悪い訳では無いが、難しい話である。

平和の為に戦争に備える。
その備えは、何処までやるべきなのか?

イズミは小難しい事を考えるのは止めて、水を補充した水筒をマスタングへと持っていった。

水の確保を済ませたので、今度は食料を買いに向かう。 

「みかん?」

売物の1つに、元いた世界のみかんと瓜二つの果物があった。

ちょっとした懐かしさを覚えたイズミが、売っている女性に声をかけた。

「コレは何だ?」

「オレンジですよ」

イズミはオレンジと聞いて納得してからそれを3つ購入した。

みかんとオレンジの違いは何かを思い出そうとしたが、直ぐには浮かんで来なかった。

マスタングに戻り一休みしていると、少し間を空けて馬車が停まった。
イズミはマスタングに軽く探りを入れさせた。

「馬車は3台、人が13人、商人と護衛の冒険者である可能性が高いです」

「そうか」

イズミは馬車の観察を止めると、海の見える町へと向かう準備をした。

馬車置場を利用させて貰ったので、マスタングから降りて見張り番をしている子供に銀貨を1枚握らせてお礼を言った。

「こんなに貰って良いの?」

子供が喜んでいたが、単純に銀貨よりも安い銅貨の手持ちが無かったからである。

挨拶は済んだのでマスタングへ戻ろうと振り返ったら、馬車から降りてきた男達の1人と目があった。

何かに気づいたように目を反らした男を見て、イズミはマスタングへと足早に移動した。

違和感が無いような感じで男達を横目で確認していると、男はリーダーだろう男へと近付いて話をし始めた。
ガタイの良い男が、イズミを見てから他の仲間にも確認を取り始める。

冒険者ギルドのお偉方が俺を探している。
そんな話を聞いた記憶が、イズミの脳裏を過ぎった。
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