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第九章 海を目指して
第百二十四話 曰く付き?
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マスタングでまったりと旅をしているイズミは今、平原の小高い丘の頂上にてコーヒー作りに挑戦をしていた。
前々から非常に苦いコーヒーしか作れておらず、ようやく最初に比べるとマシになっては来たが、それでもまだまだ苦いのだ。
「焙煎か?焙煎の段階から既に駄目なのか?」
焙煎した豆を削り、焚火で水を温めている小鍋へと粉を入れる。
沸騰する直前に焚火から離し、少し冷めるのを待ちながら平原を見渡した。
「青い空、見渡す限りの平原、遠くに小さく見える町、そしてコーヒーの香り。この世界を満喫してる感じがするな」
木製のコップへとコーヒーを注ぎ、粉がコップの底に沈澱するのを待ってから一口飲んだ。
「うん、苦い。苦味にステータスを全振りしてるとまで思える苦さだ」
イズミが渋い顔をしながらコーヒーを飲む。
「…マスター。魔法反応を探知しました」
マスタングからの報告を聞いたイズミは、コーヒーをトランクに置いてからモニターを確認した。
「400m先に魔法反応が多数あります。現在確認が出来たのは15人相当です」
「敵なのか?」
イズミが目を凝らして平原を見ていると、確かに遠くで動く何かがあった。
「敵意は感じません。我々にも気付いておりませんので、スルーで良いかと」
「なら良いか」
コーヒーを飲み直しつつ遠くで動く何者か達を観察する。
そんなまったりとした時間を過ごしていたら、アーリアから魔法通信が入って来た。
「イズミ、今は大丈夫?ブレスレット出来たわよ」
「大丈夫だ」
転移魔法で現れたアーリアが、加工を済ませたブレスレットを取り出した。
「アメジストは可能な限り大きさを残してカットしたって。石は爪を追加して固定したわ」
ブレスレットを受け取ったイズミは、アーリアから借りていたバングルを外してブレスレットを左手に取り付けた。
「ありがとう。やはり付け慣れたヤツの方が良いな」
アメジストはネックレスのトップにするようなドーム状の加工がされていて、太陽光が当たると紫色がより鮮やかに輝いているように感じた。
アメジストを囲うように縁取りがされ、更に6本の爪で固定されている。
爪の位置も綺麗につけられており、ズレのような違和感は感じない。
職人技を感じる加工だった。
「イズミ…そのアメジストって、曰く付きだったりする?」
アーリアが真剣そうな表情をして質問をして来たので、イズミは正直に答えた。
「この前話した通りだ。お供え物のお礼としか思っていない」
マスタングが特定出来なかった魔法反応に対し、イズミがお供え物をした結果としてお礼の代わりに置いていった。
そう思っている。
その程度の認識であり、曰く付きとかは考えてはいなかった。
「加工とカットを依頼した工房の職人達が皆んな口を揃えて、完成するまでずっと誰かの視線を感じたとか、作業が終わるまで変な夢を見たとか言うのよ」
アーリアが話をしている事を考えながら、イズミはコーヒーをアーリアへ渡してから自分の分も注いだ。
「私が鑑定をしても付与は確認出来なかったし、持っていても変な気配も感じなかったし。職人達の話の説明がつかないのよね…って苦い!」
考え事をしながらコーヒーを口にしたアーリアが、少し口に含んだだけで苦すぎて噴き出した。
「苦いか…何度やっても上手く作れないんだよな」
イズミは粉が口に入らないように意識しつつ、静かにコーヒーを飲む。
苦さを楽しむ事すら許さない、苦味の猛攻を受ける。
「目の醒める一杯だ」
「絶対に作り方を間違えてると思うわコレ…口直しに甘いのが食べたいのだけど」
アーリアはどうやら、コーヒーのような苦い飲み物は駄目らしい。
イズミは黒パンにベリーのジャムを塗って、アーリアへ渡した。
「そうだ。アメジストは長時間日の光に当たっていると、色抜けするとか言われているから。その辺は把握しておいてね…ジャムが美味しいわね」
アーリアがジャムが乗った黒パンを味わいながら、アメジストの注意点を教えてくれた。
「そうなのか?ありがとう、覚えておくよ」
イズミはブレスレットを見てから、転移魔法で帰るアーリアを見送った。
「…曰く付き、か。そんな石には見えないけどな」
片付けを済ませたイズミが、マスタングへ乗り込んでエンジンをかける。
左手に着けたブレスレットのアメジストの輝きが、不自然に揺らめいたがイズミは気が付かなかった。
前々から非常に苦いコーヒーしか作れておらず、ようやく最初に比べるとマシになっては来たが、それでもまだまだ苦いのだ。
「焙煎か?焙煎の段階から既に駄目なのか?」
焙煎した豆を削り、焚火で水を温めている小鍋へと粉を入れる。
沸騰する直前に焚火から離し、少し冷めるのを待ちながら平原を見渡した。
「青い空、見渡す限りの平原、遠くに小さく見える町、そしてコーヒーの香り。この世界を満喫してる感じがするな」
木製のコップへとコーヒーを注ぎ、粉がコップの底に沈澱するのを待ってから一口飲んだ。
「うん、苦い。苦味にステータスを全振りしてるとまで思える苦さだ」
イズミが渋い顔をしながらコーヒーを飲む。
「…マスター。魔法反応を探知しました」
マスタングからの報告を聞いたイズミは、コーヒーをトランクに置いてからモニターを確認した。
「400m先に魔法反応が多数あります。現在確認が出来たのは15人相当です」
「敵なのか?」
イズミが目を凝らして平原を見ていると、確かに遠くで動く何かがあった。
「敵意は感じません。我々にも気付いておりませんので、スルーで良いかと」
「なら良いか」
コーヒーを飲み直しつつ遠くで動く何者か達を観察する。
そんなまったりとした時間を過ごしていたら、アーリアから魔法通信が入って来た。
「イズミ、今は大丈夫?ブレスレット出来たわよ」
「大丈夫だ」
転移魔法で現れたアーリアが、加工を済ませたブレスレットを取り出した。
「アメジストは可能な限り大きさを残してカットしたって。石は爪を追加して固定したわ」
ブレスレットを受け取ったイズミは、アーリアから借りていたバングルを外してブレスレットを左手に取り付けた。
「ありがとう。やはり付け慣れたヤツの方が良いな」
アメジストはネックレスのトップにするようなドーム状の加工がされていて、太陽光が当たると紫色がより鮮やかに輝いているように感じた。
アメジストを囲うように縁取りがされ、更に6本の爪で固定されている。
爪の位置も綺麗につけられており、ズレのような違和感は感じない。
職人技を感じる加工だった。
「イズミ…そのアメジストって、曰く付きだったりする?」
アーリアが真剣そうな表情をして質問をして来たので、イズミは正直に答えた。
「この前話した通りだ。お供え物のお礼としか思っていない」
マスタングが特定出来なかった魔法反応に対し、イズミがお供え物をした結果としてお礼の代わりに置いていった。
そう思っている。
その程度の認識であり、曰く付きとかは考えてはいなかった。
「加工とカットを依頼した工房の職人達が皆んな口を揃えて、完成するまでずっと誰かの視線を感じたとか、作業が終わるまで変な夢を見たとか言うのよ」
アーリアが話をしている事を考えながら、イズミはコーヒーをアーリアへ渡してから自分の分も注いだ。
「私が鑑定をしても付与は確認出来なかったし、持っていても変な気配も感じなかったし。職人達の話の説明がつかないのよね…って苦い!」
考え事をしながらコーヒーを口にしたアーリアが、少し口に含んだだけで苦すぎて噴き出した。
「苦いか…何度やっても上手く作れないんだよな」
イズミは粉が口に入らないように意識しつつ、静かにコーヒーを飲む。
苦さを楽しむ事すら許さない、苦味の猛攻を受ける。
「目の醒める一杯だ」
「絶対に作り方を間違えてると思うわコレ…口直しに甘いのが食べたいのだけど」
アーリアはどうやら、コーヒーのような苦い飲み物は駄目らしい。
イズミは黒パンにベリーのジャムを塗って、アーリアへ渡した。
「そうだ。アメジストは長時間日の光に当たっていると、色抜けするとか言われているから。その辺は把握しておいてね…ジャムが美味しいわね」
アーリアがジャムが乗った黒パンを味わいながら、アメジストの注意点を教えてくれた。
「そうなのか?ありがとう、覚えておくよ」
イズミはブレスレットを見てから、転移魔法で帰るアーリアを見送った。
「…曰く付き、か。そんな石には見えないけどな」
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