異世界無宿

ゆきねる

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第十六章 犯罪組織を追え

第二百二十二話 呪い返しの効果

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最後尾の馬車から敵が降りて来たのを確認し、マスタングで少し距離を取る。
ベリアは次の攻撃準備が出来ているようなので、急いでショットガンに弾を込め直した。

「フレイムバースト!?なんで賊が使えるんだよ!」

ベリアがギョッとした目をして叫ぶ。
ファイアーボールの比では無いサイズの火球が、馬車の上に出現したのだ。

「イズミ、あれはマズい!」

「避けてフラウリア達を狙われてもマズいだろ!」

イズミは接近して来た敵を排除してから、ショルダーバッグに手を伸ばしグレネードランチャーを取り出した。

「中央の馬車からだ!」

「分かった!」

イズミはしっかりと狙いを定めグレネードランチャーを撃ち込む。

ボコーン

そんな音と共に弾が馬車を目掛けて飛んでゆく。
命中し爆発もしたが、フレイムバーストは消滅しない。

「防御魔法が剥がれただけか?」

イズミは直ぐに弾を込め直し、2発目を撃ち込んだ。
急いで撃ったせいか、馬車の近くに着弾した。
爆発で馬車にもダメージはあったが、攻撃は止まっていない。

「イズミ!来るぞ!」

フレイムバーストが動き出し、真っ直ぐにイズミ達へ接近して来る。
ストーンバレットよりゆっくりとした動きだった。

「マスター、こちらを」

マスタングがイズミを呼んだので、急いでグローブボックスを確かめる。
そこには腕時計が入っていた。

「こちらをベリア様へ」

「…成程、魔法返しか!」

イズミは腕時計を掴むと、走って来たベリアの左手に腕時計を装着させる。

「どうしたイズミ、逃げないとヤバいって!」

「ベリア、フレイムバーストに向けて左手を伸ばせ!」

「あ?」

「早く!」

唐突な指示にテンパっているベリアだったが、イズミが強引に左手を伸ばさせる。
フレイムバーストの熱を感じる距離に到達した時、腕時計の魔法返しが発動した。

時空が歪むかのようにフレイムバーストが腕時計へと吸い込まれ、何事も無かったように消失してしまった。

「…え?」

ベリアは理解に苦しんでいたが、腕時計のインデックスが赤く光っているのを見て、イズミに確認を取った。

「イズミ、コレって…」

「そう、試作品第4号。マスタングが超特急で作ってくれたんだ」

イズミが聞いていた使い方を軽く説明すると、ベリアが人差し指を天に向ける。
すると、フレイムバーストが上空に現れた。

魔法返しが成功したのである。

ベリアは何の気無しに最後尾の馬車へ人差し指を向けると、フレイムバーストはゆっくりとした動きで馬車へ進み、馬車を一気に灰に変えてしまった。

「おぉ…すげぇなコレ!」

ベリアが驚きの表情でイズミを見ていたが、直ぐに腕時計を返却して来た。

「なんか、腕が重く感じるから返しとく」

「なんかあった時に便利そうだから、ベリアの持ってるアイテムボックスにでも仕舞っておいてくれ」

「分かった。そうする」

ベリアが腕時計を自身のアイテムボックスに仕舞うのを見てから、マスタングに乗り込み馬車へ接近する。

馬車をスキャンすると、生きているのは1人だけだった。
その1人がゆらりと馬車から降り、マスタングに向けて攻撃をしようとした時だった。

急に叫びだし、両手で顔を覆い地面に転げだしたのだ。
2人共理解が追いつかず、叫び続ける敵を見ている事しか出来なかった。

マグナムを構えながら近付くと、叫び声を上げているのが男だと分かった。

「俺の…俺の身体に何をしたぁ!熱い、痛いぃ!」

「知らんな」

男をしっかりを確認出来るくらい近付いたら、ベリアが後退りをした。
男の顔と両手が、瞬く間に紫色に変色し腐りだしたのだ。

「マスター、呪い返しを検知しました」

「発動は任意のタイミングなのか?」

「不明です。調査が必要です」

マスタングの知らせを聞いたイズミは、直ぐに察した。
目の前で身体が腐り始め苦しみ叫ぶこの男が、子供達に隷属の魔法を掛けた術者なのだと。

イズミはフラウリアに連絡を取り、呪い返しの対象者の1人を発見した事と、今回の呪い返しの効果を説明した。

フラウリアは自身の魔法でイズミの足元に蛇を出現させると、蛇は男をジッと睨みつける。

「確かに、呪いのようです。男の魔力も急激に枯渇し始めています」

「な、何故だ…!?」

「隷属の魔法、かけたろ。だからじゃないか?」

男の腐った顔がイズミを見る。
目玉が腐り、もう見えていないかもしれないが。

イズミは目の前の男に止めをささず、マスタングへと戻っていった。
ベリアは介錯をしようかと考え込む様子もだったが、子供達の事を思い出したのか、首を振ってからイズミの後を追いかけて来た。
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